女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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ひふみ先輩すげぇなと思った昨日今日

コメントで多かったいいペースですね的なやつ。
作者の投稿ペースが早いのは……

『振り返るとそこにいつも読者の目があるんだ。
すげえよ読者は。
多分暇で、暇でムスコもある。初めての感想文もこなすし、今度は評価まで。
その読者の目が俺に聞いてくるんだ
「『魔術師、次はどうする。次はなにを書く。次はどんなワクワクする話を見せてくれるんだ』」
―――ってな。あの目は裏切れねえ。
あの目に映る俺は、いつだって最高に粋がって格好いい通りすがりの魔術師じゃなきゃいけねえんだ。 』

つまり、低評価が怖い



比企谷八幡は世話を焼く

 

友達。

どこからどこまでが友達かなのかはよくわからんが、国語辞典やネットで調べれば『一緒に遊んだり勉強したり、友情を深め合った人達』とか書かれているが。

つまり、学校生活を共にした者達は全員友達なのかと言われればそうでもなく、最後の一文句『友情を深め合った人達』が重要なキーワードとなる。

 

そう、たとえ共に勉学に励もうが共に青春の汗を流そうがそこに友情が無ければ友達とはいえないのだ。そもそも、友達だから友情が育まれるわけで友達でないのなら友情なんて存在しない。

 

友達とは共に自分という人間の共通認識、存在認識があってそこから共に学び遊んで初めて友情が生まれて友達という関係になっていくのではないだろうか。

いや、待てよ。友達だから友情が育まれると言ったのに、なんで先に友情が生まれてんだよ。……まぁ、あれだな。バトルの後はみんな友達って言うしな…友達の定義は人それぞれってことでいいよな……

 

別に友達がいなくても不利益はないし、なんなら恋人もいなくても何ら問題がない。というか、友達や恋人が大事と言うやつはだいたいリア充だし、それに俺ががんや生活習慣病よりも恐れている、人に依存している【他人依存症】にかかっている節があるので感染しないためにも関わりたくないものだ。

 

ちなみに俺は妹(小町)依存症だから特に問題は無い。妹にくらい迷惑かけてもいいでしょ。他人には迷惑かけてないんだから。

 

 

###

 

昨日の夜から雨がザーザーと振り続けており、朝起きても未だに雨は地面を打ち付けていた。流石にこの雨の中で自転車を漕いで会社に行く気にはなれず、仕方なく電車を使っている。

 

社会人になってからというもの、電車というのはあまり好きではない。まぁ、高校生になってから嫌いだったが。

理由は簡単で痴漢に間違われる可能性があるからだ。今の時代は世間では男女平等を目指して様々な政策を掲げてはいるが、どうにも女尊男卑の世の中になっている気がする。

 

ほら、昔は女性がつけなかった仕事もつけるようになってるし、給料も変わんなくなってきたし、それに女性専用車両やら映画館ではレーディスデイとか言って逆に女性を贔屓している傾向がある。

 

それに比べて男子はオタクや根暗、ブサイク、キモイだからといって退けられ、金も学も顔も無ければ結婚できず非リアの一途をたどる……ん?これらは女性も同じだな。

 

しかし、俺が一番女尊男卑を感じるのは電車である。例えば、触ってもないのに「この人痴漢です」とか言われたらもう社会的抹殺が待っている。職も家族も信用もその一言ですべて失われるし、告訴されて慰謝料請求とかにまでなったら金まで持っていかれてしまう。

痴漢の無実を証明するには逃げるのが一番いいらしい。ほら、逃げるは恥だが役に立つとかいうだろ。

 

まぁ、2駅くらいだからすぐにつくしそんなことには巻き込まれないだろう。やっべ、これフラグじゃん…

だが、対策はバッチリである片手でつり革を持ち、余った左手でマッ缶を握っている。これで俺は手が出せないし、出せたらおかしいことになる。

 

「この人痴漢です」

 

耳元で囁くように女性の声が聞こえて、ドキッとして後ろを振り向くとそこには見知った顔がある。

 

「川……川……川ごえ?」

 

「は?あんた何言ってんの。まじで殺すよ」

 

それは社会的にということでしょうか。

にしても、こいつの苗字ってなかなか思い出せねぇな。なんだっけ。黒のレース…違うな。コックカワサキ…?セッ!……違う違う。

あれ?川崎?

 

「あぁ、川崎か」

 

「あんた…」

 

どうやら、本気で忘れられていてショックを受けるどころか呆れられてるようだ。てか、こいつも電車なのね。まだ実家暮らしならありえるか。

 

「で、なんだよ。そんな怖いこと言いやがって」

 

「別に、どういう反応するか気になっただけ」

 

「やめろよ、そういうの。マジでビビるから」

 

ほんとに心臓に悪いから。

 

「てか、お前ってそういうことするんだな……ってどこ見てんだよ」

 

「いや、あれ」

 

あれ?川崎の指さす方向を見れば涼風と桜がいた。同じ電車だったのか。にしても、なんか2人とも機嫌悪そうだな。生理か?女性の機嫌が悪い原因は生理か便秘だと思ってる俺は間違っているだろうか。間違ってますね、うん。

 

「あれがどうしたんだよ」

 

「…どうしたんだろうね」

 

そう言う川崎の顔はどこか寂しげで、素っ気ない感じがした。

まぁ、何かあったんだろうと気付いていてこんな聞き方した俺も俺だが。自然に見ていていたたまれなくなって、俺は電車の外に目を向けていた。

 

###

 

 

電車を降りて、改札を抜けて傘をさして会社に向かい、着けばすぐにパソコンの電源をいれる。ここまで川崎と一緒に来たのだが涼風と桜は同じ駅で降りたのにバラバラに来ていた。

 

チラリと隣を見れば、涼風は普通に仕事しているのかと思えば、気が散っていてあまり手が動いていない。ふむ……わかりやすいな。

 

まぁ、2人のことに俺が首を突っ込むことはないだろう。これは友達同士の問題というやつだろうから、2人も関係ないやつにあれこれ言われるのも嫌だろう。

 

そう思いながら、仕事をこなしていると昼休みに入る。俺はいつも通り1人で食堂に向かおうと席を立つ。

 

「はじめさんお昼どうします」

 

「あぁ、ごめんここで軽く済ますよ」

 

涼風がはじめさんにそう尋ねると、はじめさんはカバンからコンビニの袋を取り出す。涼風に視線を向けられ、その会話を聞いていたゆん先輩も「私もや、堪忍な」と手を合わせる。

 

多分、誰かに打ち明けたいのだろう。誰でもいいというわけでもない。人間、悩み事というのは誰かに打ち明けるだけでスッキリするものだからな。

 

「比企谷君、お昼…」

 

振り向くと涼風は少し涙目だった。おそらく、自分でも無自覚なんだろう。これは俺の勝手な憶測だが、涼風は滅多に怒らないし、友達とも喧嘩しない。そういうやつが怒って友達と喧嘩した時、どうしたいか、どうして欲しいのか。それは俺の妹がそうだからよくわかっている。

 

「いいぜ、付き合うよ」

 

 

 

###

 

 

エレベーターにお互い無言で乗り込む。ボタンを押すとドアがゆっくり閉まっていく。そして、エレベーターは動き出す。しかし、俺達の時間は全く動かない。小町ならこういう時は自分から話し始めるのだが、こういう時は相手から話し始めるのを待つべきなんだろう。

 

「比企谷君ってさ」

 

「ん?」

 

「友達と喧嘩したことある?」

 

うん、それは友達と呼べる友達がいたことがない人間に対してはかなり答えづらい問いかけですね。というか、人間関係テストとか出されたら0点取る自信あるよ、俺。

 

さて、相手が真剣に聞いてきているんだ。俺も真剣に答えねばならん。喧嘩か……マジで友達いなかったからなぁ…したことないんだよなぁ。小町ともしたのは一番最近では修学旅行明けだし…修学旅行…。

 

「そうだな。友達がいなかったからそういうことは無かったが、行き違い…すれ違いみたいなことはよくあったな」

 

「へぇ」

 

「聞いてといてそれはひどくないか」

 

「ごめん…あのね、実は……朝にねねっちと喧嘩したんだ」

 

「…原因は?」

 

「私、仕事終わっても絵かいてて昨日あんまり寝てなくて、それでねねっちに倒れるよって言われて…それでこの会社おかしいんじゃない?って言われてそれでイラッとしちゃって…それで色々言っちゃったら『ばかー!!』って言われて……」

 

「それでお前も怒ったわけか」

 

仕事終わっても絵かいてるんだ…すごいね。俺帰ったらすぐに寝てるよ。おかげでこの前の健康診断の結果オールAだったよ。

 

「ひどくない?私頑張ってるのに」

 

確かに涼風は俺より頑張っているのだろう。でも、その頑張りが万人に伝わる訳では無い。ゲームをしているプレイヤーのほとんどはゲーム制作側の苦労なんていざ知らずプレイしているだろうし、なんならグラフィックが悪かったりバグが見つかったりするとすぐにネタにする。そんな世の中なのだ。だから、親友である桜にもそれが伝わらないのは当然なのだ。

 

だから、今かけるべき言葉は共感でも否定でもない。涼風はどうしたらわかってもらえるかが知りたいのだ。桜とこのまま喧嘩別れするのが嫌なのだ。……仕方ないな。

 

「そうだな。ところで涼風、お前パソコン消した?」

 

「え、ううん。つけっぱなしだったと思う」

 

ならば、大丈夫だろう。うみこさんか川崎あたりが世話を焼いて桜にあやまるなり、話すように背中を押したはずだ。

じゃ、俺がすることは。

 

「そうか、じゃ、俺行くから」

 

「え!?サラダ食べるの早くない!?結構量あったよね!」

 

「フッ、ぼっちは早食(草食)なんだよ」

 

「……」

 

あれぇ…思ったより全然受けてない??少しは笑ってくれると思ったんだが…まぁ、いいや。

 

「ほら、俺、けっこう遅れてるから早くやんないと八神さんに怒られちゃうし、じゃ」

 

流石に真面目に話を聞いていないと思われたのか、なんだか不機嫌顔だ。まぁ、そりゃ悩んでる時にあんな事言われてもなぁ……。

あ、そうだ。ついでにひとつ言っとくか。

 

「あぁ、あと涼風」

 

「……なに?」

 

「友達なんてそう簡単にできるもんでもないんだから、大切にしとけよ」

 

俺はそれだけ言うと、ゴミを捨ててエレベーターのボタンを押した。エレベーターを待っていると「…わかってるよ…バカ…」とそんな声が聞こえた気がした。

 





このあと2人はちゃんと仲直りします。やったね八幡!
あと2話でアニメ分終わりますよ!やったね魔術師!
多分大晦日の投稿はガキ使やってる時に出すから18時〜20時の間くらいに出すよ!テキトーに見といてね!

あと、新年1日2日は投稿しません。帰省するので……すみません。
書けたら書きます。なんでもするからぁ!

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