女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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1周年記念の1発目。というか、この話が延々と続きます。
ストックできてからやろうと思ったんですが、そうもいきそうにありません。

理由としてはアニメよりも早く進みすぎてるかもしれないからです。なので、しばらく番外編で繋ぎます。番外編なので時系列は特に気にしてませんのでご注意を。


それと、新キャラ(紅葉、ツバメ)メイン回が多かったからという理由もあります。今回は出てこないけど、全ヒロイン出るので!お楽しみに!投稿頻度は今月中に終わればいいなーのレベルです。



料理対決の概要とキャストの方は本文見てください。



では!


イーグルジャンプお料理対決 ~はじめの1歩は甘くお好みで!~

 

 

とある日の朝、俺は突然起こされるなり、目隠しをされた。理解が追いつかぬまま背後に銃口と思わしき物を突きつけられ、そのまま車に乗せられる。僅か数分しか経っていなかったであろう走行時間は目隠しのせいもあって俺には何時間にも感じられた。ついに目的の場所に着いたのか、車から降ろされ歩くこと数秒、目隠しを解かれたそこに広がっていたのは…

 

 

 

 

「パンパカパーン!イーグルジャンプお料理対決~」

 

 

 

見事な厨房に野菜やお肉、さらには魚などの豊富な食材にそれを調理するためのフライパンやまな板、包丁、ボウル他……そして味を整えるための調味料が数多く揃えられていた。

 

 

 

「今日の司会進行は比企谷八幡の世界でたった1人の妹、比企谷小町が努めさせていただきます!」

 

 

おもちゃのマイクを持ってテンション高々な表情を見せる我が妹に俺は目頭を押さえる。

 

 

 

「小町ちゃん、これは何?」

 

 

 

「イーグルジャンプ主催のお料理対決だよ?」

 

 

 

それはさっき聞いたからわかる……いや全然分かってないんだけど。言葉では分かってても脳が理解に追いついてないんだ。

 

 

 

「まぁ、細かいことは抜きにしてちゃちゃっとやっちゃおう!」

 

 

いつの間にか降りてきていたスクリーンにプロジェクターから発せられる光で今回のイベントの概要が映し出される。

 

 

1、イーグルジャンプ社内で一番料理が上手いのは誰だ!?ということで決まりました。主催者の名は伏せさせていただきます。

 

 

2、料理対決とか言ってますけど、特に順番を付けたりしません。が、やっぱり1位の人は決めたいと思います。

 

 

3、この場はアピールのチャンス!頑張ってくださいね☆

 

 

 

 

料理対決だけど、順番はつけない。ただし、1位は決める。ということは把握はしたが、最後の一行は小町の書いたやつで間違いないな。

てか、ここどこだよ。それとお前なんで制服で来てるんだよ。3年生だろ、受験あるだろ?こんなことしてる場合じゃないだろ。ほんとに誰だよこんなこと企画したやつ。

 

 

 

「それでは今回の対決の審査員をご紹介しましょう!」

 

 

俺の疑問もお構いナッシングと、小町がゴングを鳴らすと部屋が急に暗くなり俺の座ってる席がライトアップされる。

 

 

「まずは比企谷八幡!来年で20歳です!小町的には早くガールフレンドの1人でも紹介して欲しいですねー」

 

 

バカやめろ、そんな目で俺を見るな。いいんだよ、彼女なんて。べ、別に欲しくなんかねぇーし!そろそろ、あのもう1人の僕を旅立たせたいし?いや、そんなことないんだからねッ!ガールフレンドはいつだって俺の胸の中に……ラブプラス最高!

 

 

 

「次に葉月しずくさん!初めましてで成り行きで頼んだら快くOKしてくれました!兄がいつもお世話になっております」

 

 

「いやいや、こんな楽しそうなイベント参加しない手はないからね。私、料理は作るより作ってもらう派だから。それと比企谷くんにはどちらかと言うとこちらがお世話になってるよ」

 

 

 

ペコペコ頭を下げる小町に気にしなくていいよと手を振る葉月さん。てっきり、この人主催かと思ったんだけど、どうやら違うらしい。次に葉月さんの隣の人物が指をさされる。

 

 

「ついでに材………?あ、材木座義輝先輩にお越しいただきました!」

 

 

「我の紹介だけあっさりしすぎてない!?不敬!不敬であるぞ、八幡!」

 

 

えぇ…俺に言われても困るわ。てか、お前何様だよ。完全にイーグルジャンプ関係ないじゃん。ちょっとクリスマスに顔見せして迅雷が如くされてやられてたじゃん?なんだ、シナリオライターにでも売り込みに来たのか。

 

 

「ええと、材木座先輩は戸塚さんが来れなかったので代理です」

 

 

 

あ、そういうこと。そういえば、戸塚は埼玉の大学だもんな。今頃、じゃがいも小僧にナンパされてるかもしれないな。ほら、戸塚可愛いし。

 

 

それにしても、材木座っていうチョイスはおかしいと思うぞ。他にいたろ。ほら、バイトで来てたじゃん?かわ、川越?だっけ?僕と君以外の全人類を抗う間もなく盛り付けてくるやついたろ。いい加減に覚えないと怒られるかなぁ。

 

 

「それでは早速やって参りましょう!エントリーナンバー1番!『名前がはじめだから一番最初に出すことにしました!』篠田はじめさんです!」

 

 

「そんな単純な……」

 

 

 

 

呟くと、ぶしゅゅゅ!!と白い煙がスポットライトが照らすドアから吹き出し、そこから堂々とした顔ではじめさんが現れる。後ろにはエキストラなのか、何者なのか。とりあえず黒服のが台車でボウルで覆われたはじめさんの作った料理を運んでくる。

 

 

「え、調理済みなの?あそこの素材やら道具はなんなの?ねぇ?」

 

 

「まぁまぁ比企谷くん。そういうのは気にしなくていいじゃないか」

 

 

「うむ!この場において重要なのは料理であり、食材は二の次だ!」

 

 

いや、料理作るのに食材が一番重要だろ。何言ってんだよあんたら。あそこの食材どうすんだよ?冷蔵しないと腐るよ?

 

 

 

「では、はじめさん。料理をどうぞ!」

 

 

「うん!私のはこれだぁー!!」

 

 

勢いよく開かれたボウルから湯気が立ち上り、そこからもくもくとゆっくり料理が形を表していく。

 

 

 

「む、カレーか」

 

 

材木座が言うとはじめさんはうんと頷く。

 

 

 

「私の料理は、カレー!甘口だよ!」

 

 

甘口か。基本甘党な俺だが、カレーは中辛派なんだよな。あの身体を芯から温めてくれる感じと程よい辛さが鼻腔や味覚を刺激してくれる。

 

 

 

別に構わないのだが欲を言えば、福神漬けとからっきょうも欲しいところだな。なんであんなに調味料があってそれらがないのか不思議だ。

 

 

 

「というか、はじめさん料理できたんですね」

 

 

 

「それくらいできるよ!!」

 

 

 

「うわー相変わらずお兄ちゃんはダメだなー」

 

 

仕方ないじゃん、この前の形が不揃いのおにぎり見たらそこまで上手いとは思えんだろ。いや、でも、やっぱり料理は気持ちだよな。戸塚ならそう言うと思うんだ俺。

 

 

 

 

 

「とりあえず、せっかく出された料理なんだからちゃんと食べようじゃないか」

 

 

 

やはり、ここは一番大人な葉月さんがそう言うと、俺と材木座は頷き合ってスプーンを手に取り、カレーを一口ほど掬う。そして。

 

 

「あ、これ昔食ったことあるわ」

 

 

「我もポケモンカレーの味に似てるのを思い出した」

 

 

 

そうそう、確かポケモンシール欲しさに買ったわ。でも、パンのやつと違って紙のシールだったからガッカリしたな。しかも、あれ貼るとそう簡単に剥がれないんだよ。跡が残って気持ち悪い。

 

 

 

「うん、やっぱり女の子の作る手料理はいいね。愛くるしさが味に染みてる気がする」

 

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

もう食べ終えて口周りを綺麗に拭きとりながら葉月さんが言うと、はじめさんはやったぁと笑顔を浮かべる。

 

 

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃん、はじめさんのお料理どう?美味しい?」

 

 

「美味い。でも、小町の作ったやつの方が……むぐごご?」

 

 

 

「そういうのは2人きりのときにしましょーね!」

 

 

せっかく褒めてあげようと思ったら、怖い笑顔で迫ってきてバナナを口に放り込んできたから上手く最後まで喋れなかったぜ。カレーとバナナって合うんだな。多分、甘口なのが影響してるんだろうけど。

 

 

 

「ここははじめさんの料理を褒めないと」

 

 

 

そう言われてもなぁ。美味しいといえば美味しいのだが、味付けとか肉とか野菜の煮込み具合は小町がナンバーワンでオンリーワンだし。そこは曲げたくないんだよな。口の中に入っていたバナナをすべて胃の中に入れて水を飲む。バナナうんめぇ~。

 

 

 

「ほら、早く褒めてもらいたくてモジモジしてるじゃん。早く早く!」

 

 

 

気のせいかもしれないけど、小町ちゃんなんだかアホっぽいよね。アホガールにでもなったんですか?ってくらいに。

 

 

 

小町の言う通りモジモジしてるはじめさんに目を向けると、お盆を体に押し付けてはじめさんにたわわに実った健康な果実を強調させていた。どこでそんな芸当に学んだんだと思ったら忘年会の場所決めの時に葉月さんが教えてたな。

 

 

 

「ま、まぁ、その、食べられないことはないです……」

 

 

 

「そ、そっか……はじめて作ったけど思ったより上手くいったみたいでよかった……」

 

 

 

ほっと一息ついて、右手を胸に当てて撫で下ろすはじめさん。名前の通りはじめにやって初めての料理を見事に成功させたようだ。

 

 

「じゃあ、次に参りましょう!エントリーナンバー2番!『はじめが1番ならうち2番行くわ』飯島ゆんさんです!」

 

 

おい、急だな。ちょっといい空気になってんだからもうちょっと待てよ。ガラガラと台車の車輪が転がる音が聞こえたと思うと、台車の上に置かれたゆん先輩の料理が現れる。さっきから引いてるその黒服の人は何者なの?あれ?金は命より重いって言ってる人の側近の1人か何か?

 

 

 

「えーでは、ゆんさん。料理名をどうぞ!」

 

 

 

「ほな、いくで、そりゃ!」

 

 

 

勢いよく皿を閉じていたボウルが外されて、ゆん先輩の作った料理がその正体を表す。水に溶いた小麦粉を生地として、野菜、肉類、魚介類など好みの材料を使用し、鉄板の上で焼き上げ、ソース・マヨネーズ・青のり等の調味料をつけて食する。

 

 

焼き方や具材は地域によって差が見られ、「関西風お好み焼き」「広島風お好み焼き」など、様々な様式のお好み焼きが存在している。今回、ゆん先輩作のは豚肉ベースにソース、マヨネーズ、鰹節をトッピングした関西人の究極人智、お好み焼きである。

 

 

 

「ほな、召し上がれ」

 

 

 

ジェントルマンのようなお辞儀でそう言うゆん先輩に俺は手を合わせて「いただきます」と口にしてから、箸をとる。

 

 

こういうのは千葉県民である俺には馴染みのない料理ではあるが、もんじゃ焼きとかの鉄板焼きで作る料理にはある程度の寛容がある。

 

 

「1枚を3人でわけるのか」

 

 

 

「そのようだな。で、誰がやる?」

 

 

 

「私がやろう。何か切るものはないかな?」

 

 

 

 

さっきのカレーのこともあり、俺に関しては追加でバナナもあったから1人1枚だとキツかったのでこれはありがたい。そもそも、イーグルジャンプ主催ということはこの後も料理出てくるんでしょ?KMAPビストロみたいな感じでチームで出してくれた方がよかった気がする。俺の腹は無限に入るわけじゃないから。

 

 

一番歳上で上司である葉月さんに分けてもらうのは何とも部下としてどうなのかと思ったけど、俺は直属してるわけじゃないからいい気がしてきた。ダメなんだけど。でも、プライベートな場だし俺分けるの苦手だからこれが最善だと思うんだ。ほら、俺と材木座って飯行く友達とかいないから切り分けたりする必要ないじゃん?だから、必然的にそういうスキルが無いわけですよ。

 

 

 

「はい、比企谷くん。それと君も食べたまえ」

 

 

2人で感謝の気持ちを込めて頭を下げる。その時に材木座がメガネを落としたのだが、気にしないでおこう。箸でお好み焼きを一口サイズにしてそれを放り込む。キャベツのシャキッという噛み心地のよさとカリッと焼かれた豚肉のジューシーさ、それらをソースやマヨが包み込むことによって素晴らしいハーモニーを奏でるようだった。

 

 

 

「ご飯が欲しくなる理由がわかった気がする」

 

 

 

「せやろ?」

 

 

 

お好み焼きは主材に小麦粉を使ってるので米と同じく炭水化物なのだが、これはご飯があった方が箸が進むだろう。ずっと、炭水化物のオンパレードを食べる関西人のことおかしいと思ってたけどこれは……アリだ。

 

 

 

「すげー美味いっすね」

 

 

 

「…ま、まぁ、おとんとおかんの代わりに作ったりしてたからな」

 

 

 

「まじで美味いです。店出しましょうよ」

 

 

 

「いや…出して誰が来んねん」

 

 

 

若干照れたと思ったらジト目になるゆん先輩。静かに咀嚼して食べる葉月さんにもう食べ終わったのか爪楊枝で歯に挟まったネギや鰹節を取っている材木座。なんだかシュールだな。

 

 

 

「で、誰が来んの?」

 

 

 

「え?俺がいきますよ」

 

 

 

絶対とは言わないがたまにくらいなら。それくらいなら食べてもいいかもしれない。それに俺以外にも来てくれる人は大勢いるだろう。はじめさんとか涼風とか。残りのお好み焼きもパクパクと食べていると、ゆん先輩は髪をクルクルと指で回しながらそっぽを向く。

 

 

 

「ほ、褒め言葉として…受け取っとくわ…」

 

 

 

そう言って入って来たドアから部屋を出るゆん先輩の後ろ姿を見送って、興奮したような感じで小町がマイクを握る。

 

 

 

「うん、ナイスお兄ちゃん!この調子で次もいきましょーー!」

 

 

 

 

 

……これいつまで続くんだ?

 

 

 

 

そんな俺の心の呟きは、これから次から次へと現れる料理の前に消え去るのだろうと思いつつ、なんだかんだこの場を楽しんでいる自分がいた。







まずは最近出番の少ない同期組の2人でした。はじめさんもゆん先輩も可愛いんだよ。はじめさんは一緒に遊んでると常に童心の心でいれそうだし、ゆん先輩は可愛くあろうとしてくれることがすごく愛おしく感じれると思う。あくまで、作者の見解なのであくまでそういう考え方もありか、くらいでお願いしますね!






さて、主催者誰だよって?そりゃ俺だよ。



Q、どこがお金出してるの?
A、特別編だからと僕が魔術で作った金で出してます。
違法なので絶対ダメです。良い子悪い子は真似しないでね!できないって?そりゃそうか。





オマケ


料理を作る前の意気込み



はじめさん「あんまり、料理は得意じゃないんだ~。基本的にインスタントとかレトルトで済ませてるし、ゆんのお家で食べさせて貰うこともあるから。自分で作れるのは簡単な炒め物くらいなんだけど……ちょっと頑張ってみようかなって!」


小町「そういうのすごくいいと思います!それで、誰に一番たべてもらいたいですか!?」


はじめさん「えっ!?……あー、うん、それはノーコメントで…」




ゆん「うちは久しぶりにお好み焼き作ってみるわ。関東の人ってあんまり食べへんやろうから、美味しさを知って欲しいな」


小町「うんうん、兄とか私は鉄板モノはもんじゃしか食べたことないのでどういう反応するか楽しみです!」



after 楽屋的なところにて。



はじめ「八幡甘いの好きだから喜ぶと思ったんだけどな…。あんまり喜んでなかったなー……。よし!くよくよしてても仕方ない!次からもっと美味しくできるように頑張ろうー!おーー!」



ゆん「もし、会社クビになったらお好み焼き屋でも始めてみよかな……なーんてな。……ほんま、作って、よかったわ…」



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