女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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お久しぶり。
マジで久しぶりで「なんて呼ばせてたっけ…?」ってなったりしてかなり時間かかりました。


桜ねねはいつだってトラブルメーカーである。

 

成人式。それは日本において20歳を迎えた男性女性が大人になったことを祝う式典として俺は認知している。20歳になると酒が飲めてタバコが吸えるくらいの浅い認識ではあるが、以前までなら選挙権もあったが随分と前に18歳から可能になったため、20歳になってできることというのはかなり減ったように思う。

 

 

 

なんなら、近々成人までも18歳に下げようという試みもあるらしく、これから日本はどうなるのかと不安でたまらない。

 

 

 

しかし、俺が不安に思ったところでこの世の中は全く変わらない。20歳じゃなくてもタバコを吸うやつや酒を飲むやつは探さなくてもSNSにはいるし、それを公表して「自分はもう大人」「お前らとは違うんだよ」アピールに勤しんでいる。あれ傍から見たら単なるバカだし、私は法律を無視しました宣言にもなってるからやめようね。

 

 

 

それに、20歳になって大人になったと認められても人は変わらない。子供の頃からルールを守ってきたやつは大人になっても石頭だと思うし、クズなやつはずっとクズだと思う。大人になったからって得られるのは社会的地位、いつ崩れさるかわからない硝子のようなシロモノだ。子供の頃なら電車で少し女性に触れても仕方ないだとか気にもとめないが、大人になれば触れなくても不快な視線を浴びせられたと痴漢者扱いされるのだ。見たくなくても視界に入るものは仕方ないと思うし、不快だと感じるのは相手の被害妄想に過ぎない。それでも痴漢のレッテルを貼られれば男性は負けるか逃げるかしかないので、どうしようもない。

 

 

 

 

 

やはりどう考えてもこの世は腐っている。俺の目以上に。

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

涼風からのメールに乗ってる地図に従い道を進む。電車に揺られてる間、成人について考えてみたが良いことも悪いことも特になく、世間的に大人と認められるという形に落ち着いたが途中からおかしなことになっていた気がする。それはいつもの事か。

 

 

 

歩いていると駅の近くのオフィス街から石瓦の塀に囲まれた立派なお屋敷が立ち並ぶ景色へと変わる。ここだけ江戸時代なのかとタイムスリップしたことを疑うくらいの和風な建築物。さらにチュンチュンと鳴きながら飛ぶ雀がそれに拍車をかけようとするが、よく考えると江戸時代には電柱はなかったのでここは明治時代なのかもしれない。違うか?うん。違うか。

 

 

 

にしても、星川の家ってこの辺だとしたら由緒正しい家柄のお嬢様だったりするのだろうか。美人だし美術スキルがあってわんぱくというところがお嬢様のテンプレって感じで、あとはこれで傘を持って大乱闘にでも参加すれば完璧だな!その前に悪い王に攫われて配管工事の兄弟に助けてもらう必要があるが。

 

 

 

「うへぇ…」

 

 

星川に家に近づいてそろそろかという所に今まで見た家よりも大層立派な屋敷を見つけておもわず驚きの声が出てしまう。小町が見ればこんなに広いと掃除も大変なんだろうねと漏らしそうなくらいでかい屋敷を見上げて歩いていると、その屋敷の玄関らしきところで俺と同じ屋敷を見る4人の同僚がいた。

 

 

 

「ここっぽいね」

 

 

 

「ご立派なお屋敷〜」

 

 

 

「私も初めて来たけどすごーい…」

 

 

 

どうやらあちらもつい今しがた着いたらしく大きくそびえる屋敷にそれぞれ感想を口にしていた。

いたのは涼風と桜に望月と鳴海で、全員今年度成人したメンバーである。一番端にいた桜は俺に気づくと「あ!」と大きな声を上げる。それに追従して他の4人も目線をむけるがその中で望月と鳴海が驚いたように目を開く。

 

 

 

「え、比企谷さん?」

 

 

 

「なんで先輩が?」

 

 

 

いつものキョトンとした目ではなくガチで「なんでいるんですか」って感じの目を向けられている。そういえばこいつら俺のこと涼風より歳上だと思ってるんだよな。さて、どう説明したものかと考えていると桜が固まる2人に普通に「ハッチーも今年で成人なんだよ」と言うと2人は「えっ!?」とまた驚いたようだが「そうなんだ」と納得するとすぐにいつも通りに戻った鳴海だったが突然顔を紅潮させる。

 

 

 

比企谷さんが20歳…? じゃあ私、同い年の男の子に裸見られたの…?

 

 

 

「どうしたの、なる?」

 

 

 

「ううん……なんでもない…」

 

 

 

心配そうに鳴海の顔を覗き見る望月だが鳴海は何か言った後顔を逸らして顔を振る。それでいつも通りの証明になるのかはさておき、ガラッと扉が開いてこの屋敷の住人である星川が現れる。

 

 

 

「みんないらっしゃい〜! 八幡くんも来てくれんだ〜」

 

 

 

こっちは俺がいることを聞いていたのかあまり驚いだ様子はなくにこやかに手を振っている。星川に促されて中に入ると、それはもう凄い日本の金持ちって感じの屋敷だった。門から玄関までは石畳で、家の中もシックにかつ気品漂わせる木の廊下に鳴海の旅館の和室部屋よりも広くアンティークさを感じさせる内装に的確な家具の配置。この部屋だけでハッピールームアカデミーから8万ポイントくらい貰えるのではないだろうか。

 

 

 

「ほたるんの家ってお金持ちだったんだね〜」

 

 

 

「ううん、ひいおじいちゃんが建てた家をそのまま使ってるだけだから今はそんなことないよ」

 

 

 

昔はお手伝いさんがたくさんいたらしいが今はお掃除の人しかいないらしい。でもいるのか。そう思った時涼風とセリフが被ったのは内緒だ。星川に案内されて着付けするための部屋に向かう途中、ひっそりと星川の隣へと近づく。別に変なことをしようって訳では無い聞きたいことがあるだけだ。

 

 

 

「俺来てよかったのか」

 

 

 

そう、今の状況は5人の女子に1人だけ男と大変居心地が悪い。いや会社の方がもっと酷いからそこはいい。けど、女子の着付けに男の俺が来てよかったのかと今更ながら思ってしまった。

 

 

 

「うんいいよ。ひいおじいちゃんの袴もあるし」

 

 

 

うむ、どうやら俺の意図とは違う解釈をしたらしい。てか、ひいおじいちゃんマジで何者だよ。この辺の地主か何か? 地主じゃなくても袴は持ってるもんだろうけど、5人分の着物に男用の袴まであるとか。あとめちゃくちゃどうでもいいけど男1人に女5人って五等分の花嫁みたいだな。あちらと違って胸囲の格差社会が存在するが。

 

 

 

「ここで着付けしよう」

 

 

 

 

星川が開いた部屋は畳が1枚2枚3枚……沢山敷いてある広い部屋だった。桜が大の字で寝れるくらいには広い。実家にも今住んでるとこにも畳の部屋はないので少しばかり高揚感というものがある。これがDNAに刻まれた日本人の因子というものだろうか。

 

 

 

「そうだ、ほたるん紹介するね。こちら望月紅葉ちゃんと鳴海ツバメちゃん。春から入社でちょうど成人式の会場も一緒で」

 

 

 

寝転ぶ桜を注意した涼風はそのまま望月と鳴海の紹介に入った。鳴海は初めてだったと思うが、望月は2度目……もしくは俺の知らないとこで会ってればもっとか。

 

 

 

「へ? あ、うん。星川ほたるです。よろしく〜」

 

 

 

「せ、成人式は諦めてたので誘ってもらって嬉しいっす」

 

 

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 

 

鳴海は一応気さくな感じだが、どこかぎこちなさを感じるあたり星川と何かしら面識があるのだろうか。星川と望月は言うまでもない。

それを思ったのは涼風も同じだったのか俺にコソッと耳打ちするように話しかけてくる。

 

 

 

「どうしたんだろうあの2人」

 

 

 

 

「…生き別れの姉妹にでも似てたんじゃないのか」

 

 

 

「髪の色が明らかに違うんだけど…」

 

 

 

髪の色が違っても生き別れの姉妹ってのは存在するんだよ。養子に出された家で髪質が変わった子とかもいるんだから。まぁ現実にそういうことがあるかどうかは知らない。

涼風の適当に話しながらマイペースな星川に呆れている望月の姿が目に入る。やっぱりちょくちょくあったりしてるのだろうか。

 

 

 

「そういえばハッチーは会場どこなの?」

 

 

 

「地元だけど行かねぇかな…」

 

 

 

「え、じゃ今日何しに来たの」

 

 

 

「何しに来たんだろうな…」

 

 

 

まさか今日が成人式当日だなんて俺知らなかったもん。曜日感覚狂いまくりだよ。都内だから電車の乗り合わせさえ良ければ間に合うだろうが、借り物の袴で千葉まで行く気は無いな。

 

 

 

「ふーん、じゃこっちの出ようよ!」

 

 

 

「それってアリなのか?」

 

 

 

別に成人式自体出なくても成人としては認められるんだし、わざわざ行かなくてもいい気がする。それに地元だと高校の知り合いはまだしも中学より下の知り合いもいるからな。トラウマが蘇って吐くかもしれないから行きたくない。

別にいいんじゃないと軽く言う桜に呆れていると星川が着物をもって戻ってくる。

 

 

 

「じゃ着付けは私と…」

 

 

 

「はい!母から習ってるので私もできます!」

 

 

 

鳴海の率先して行動しようとするその精神憧れちゃうなぁ…嘘だけど。まぁあの母ちゃんで実家が旅館なら着物の着付けくらい教え込まれていて当然だろう。

 

 

 

「まずはあおっちと紅葉ちゃんから着ようか」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「はい」

 

 

 

返事して用意を始める女性陣を見て俺は襖を開ける。すると、鳴海が「どこ行くんですか?」と尋ねられる。

 

 

 

「いや、着替えるんだったら俺外にいた方がいいでしょ」

 

 

 

言うと、涼風も望月は顔を見合わせてから頷き、星川と鳴海も「だね」と了承する。

 

 

 

「私もなにか手伝うことあるー?」

 

 

 

そこに2人の着付けが終わるまで暇の桜が着付け担当組に聞くと「ねねっちは座ってて」と同調して釘を刺される。

それにむくれた桜は立ち上がると俺の横まで歩いてきて襖に手をかける。

 

 

 

「じゃ、ハッチーと待ってるねー」

 

 

 

 

顔はにこやかな笑顔なのに声はそこまで笑ってない桜はパタンと襖を閉めると、俺にまたにこりと笑顔を向ける。

 

 

 

「じゃ待ってる間にハッチーの着付けやっちゃおうか」

 

 

 

「お前できるの?すっごく不安なんだが」

 

 

 

「大丈夫だよ、スマホで検索すれば大丈夫!」

 

 

 

久しぶりにこんな信用出来ない大丈夫聞いたな。

 

 

 

「いや、お前らが終わるの待ってるわ。それに成人式行かねぇから着る必要ないし…」

 

 

 

ん?だったら俺帰ってもいいのでは? そう思ったが口にするべきではないと思って、ため息でかき消す。

 

 

 

「けどほたるん、ハッチーに袴着せる気満々だったよ」

 

 

 

え?そうなの? と目線でだけで聞くと、コクリと頷いて桜は唐突に襖を開ける。

開けた先にあったのは下着姿の涼風と望月で星川と鳴海が肌襦袢を着せる途中だった。

 

 

 

「ほたるん、ハッチーの着物って━━」

 

 

 

 

「ねねっちー!!!!」

 

 

 

桜が言葉を発してる間に自意識を取り戻して顔を赤らめた涼風は、鬼のような形相で怒鳴るとそれに恐れを為した桜は「ひぃぃぃぃごめんなさいぃぃ!!」と急いで襖を閉める。

 

 

 

「こ、怖かった…」

 

 

 

「着付けが終わった後の方が怖いと思うぞ」

 

 

 

頭を抱えて蹲る桜に追い討ちするように言うと、ぐたりと地面に倒れ込み生きる屍となった。まぁ多分俺もこのあと怒られるんだろうな。理不尽の極みである。




八幡の着付けまでいくとかなり長くなるので一旦カット(なお書けてない)


続きは明日、明後日に書いて投稿したいですね。
誤字脱字あれば報告お願いします(いつもしてくれる人マジでありがとう)




特に報告することは無いですが、NEW GAME!!のR18あんまりねぇなぁ…ってことで書くかもです。そんだけ〜。

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