女の子だらけの職場で俺が働くのはまちがっている   作:通りすがりの魔術師

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多分、八幡って奉仕部のおかげでかなり女慣れしてるよね
年下キラーだし、年上キラーだし。なんなら、たらしだし。
では、どうぞ。

あとお久しぶりです。


社畜になってから初めてのおつかい

俺と涼風の歓迎会も終わり、早くも数日が経過した。

先月までは桜色だった木々も今ではすっかり緑色で季節の変わり目を感じさせる。

しかし、季節が変わっても時間が経っても、仕事というのは終わらず、一つのことを終わらせると次から次へと仕事がやってくるものである。

 

「あー学生時代に戻りたい」

 

そうボヤいてみたが、学生に戻ったところで好きになった女子に振られ吊るし上げられ、部活に強制入部させられたり、木炭クッキー食わせられたりする絵しか見えなかった。唯一の救いは戸塚だけである。

あぁ…戸塚、君は今埼玉の大学にいるのかい?野原家には会えたかい?ひろしは妙にイケボになってて、豚は浩史じゃないかい?

 

って、人の心配してる場合じゃねぇな。というか、誰も俺のボヤキに反応してくれないとか。いや、知ってたけどね。慣れっこだけどね。

それにスカラシップでお金免除してもらって全部俺のもの計画を白紙にしてまで社畜になったのだ。

周りが女子ばっかりでも気にしないドラゲナイ。いじめとかない分、全然マシだよ。本当にマジで。

 

気分転換がてらマッカンのフタを開けて、喉に突っ込む。疲れた身体と心にMAXコーヒーの甘さと糖分が流れ込んでくる。やっぱ、マッカンはすげぇな、最後までコーヒーたっぷりなんだから。

 

「それ、青葉ちゃんのモデル?」

 

マッカンに安らぎを感じているその後ろで涼風のキャラクターにモーションをつけているはじめ先輩。それを覗き見る飯島先輩。さらにそれにピクッと反応し恥ずかしさそうに身をよじる涼風。KAWAII。

 

「こないな感じ?」

 

「ちょっと媚びすぎじゃない?……?」

 

涼風のキャラが可愛い感じだからきゃるるんって感じをだそうと飯島先輩がやってみせるのだが、はじめ先輩にはあまり効果がないようだ。はじめ先輩は涼風の視線に気付いたようで、逆に涼風もはじめ先輩に気付かれ「わ!」と声を上げてパソコンに向き直る。

それを見て動揺したのか「え、なに!?」と悲鳴のような声をあげているはじめ先輩。すると、飯島先輩がはじめ先輩のパソコン画面を指さす。

 

「これが気になるんやない?」

 

はい、正解です。おっと、いけない思わず親指を立ててしまった。あれだな、俺も仕事仕事…。っと思っていたのだが、不意に飯島先輩の悪いいたずらじみた笑顔が視界に入った。

 

「へーこれが会話モーションなんやーへーこれが歩行モーションなんやーへーこれ…」

 

「意地悪しないでください!!」

 

なるほど、そういう事ね。

これはパワハラに入るのだろうか。いや、はいらないよな。

パワハラっていうのは「メモ取らなくてもいいの?」「わかんないことあったら聞いてね」「それくらい自分で考えて欲しかったなー」「ねぇ、なんで勝手にやっちゃうの?」それでできたら陰口叩かれるんだぜ?何その理不尽。てか、平塚先生が上司に言われて嫌だった言葉ランキングのやつばっかりだな。しかし、俺は今のところ言われてない。

なんなら、ひふみ先輩に「わからないことあったらいつでも聞いてね!└(^p^┘)┘」「あーそれはね~……って感じだよ!( ´ ▽ ` )」って顔文字付きで教えてくれるんだぜ!

 

結論入らない(俺調べ+ひふみん先輩補正、効果はリザレクション精神的ダメージの無効化、相手は死ぬ)

 

「ごめんな〜青葉ちゃん、素直やからつい」

 

ケラケラ笑いながら言う様子を見ればあまり反省していないようだが、涼風もあまり気にしてないようだ。そして、涼風ははじめ先輩に画面を見せてもらって歓喜しているようだ。そりゃそうだ。自分の作ったキャラに命が吹き込まれているようなものだからな。

 

……ところではじめ先輩の「青春」って書かれた服はどこで貰えるんですかね。

 

###

 

 

遠山先輩のタブペン(タブレットペンの略)が反応しなくなったらしく、八神さんに頼まれて俺と涼風、はじめ先輩とでトコトコお買い物である。

 

3人一緒といっても3列横並びで歩くとなるとかなり邪魔になるので、はじめ先輩と涼風が2人で並びその後ろに俺という配置である。

遠目から見ればストーカーと思われるかもしれんが「千葉love」というシャツを着てストーカーするやつなんていないだろう。むしろ、ストーカーではなく不審者に近いが千葉を愛する者に悪い奴はいない。

なので、俺はグレーゾーンである。って、グレーゾーンなのかよ。

 

「おつかいって頻繁にあるんですか?」

 

「ううん、たまにあるくらいだよ」

 

ずっと2人で会話していて俺が入る隙間がないどころか俺も一緒にいるということを忘れられているのだろうか。別に悲しくない。ホントダヨ、ハチマンウソツカナイ。

 

「でも、次からは青葉ちゃんか八幡のどっちかが1人でいかされると思うから。レシートとか捨てないようにね」

 

「は、はい!気を付けます!」「…うす」

 

あれですよね、忘れられてると思ったらちゃんと振り向いて言ってもらえると嬉しいよね。でも、はじめ先輩も嬉しそうな表情なのはなぜなんでしょうか。

 

店に入ってからエスカレーターを上がりPC関連コーナーに向かう。

ペンタブってPC関連に入るんだな…と思ったらタブレットコーナーと隣接してた。まぁ、PCもタブレットも最近じゃそんな変わらんくなってきたし。最近では薄さ軽さ速さを求めるようになってるようだ。それなら低コス、(攻撃も死ぬのも)速いクイックブレーダーってのをおすすめするぞ。速さが足んねぇか?

 

「タブレットペンって太いのや細いのもあるんだよね、どれがいいんだろ?」

 

あれ?タメ語ということは俺に話しかけてますか?そういう時は肩を軽く叩く、「ねぇ、八幡」と一声かけるべきですよ。すみません、そんなことされたら死んでしまいます。

 

「よく分からんけど、普通のでいいんじゃねぇか」

 

太すぎもせず、細すぎもせず、普通のボールペンくらいの太さのものを渡すと涼風ははじめ先輩にこれでいいか確認のために尋ね、レジに持っていこうとするのだが「……あ」と何か思い出したような声を出すと恥ずかしがりながらこちらを向く。

 

「すみません、お財布を会社に忘れてきちゃいました…」

 

「ドジだなぁ…今度から注意するんだよ…?」

 

笑いながらポケットを漁っていたはじめ先輩の顔が曇る。

まさか…

 

「はじめ先輩もないんですか?」

 

「いや、落とした…っぽい…」

 

「「え!?」」

 

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とりあえず、ペンタブは俺が購入し領収書をもらってからはじめ先輩のところに合流する。どうやら、サービスカウンターには届いていなかったらしく、涼風は来た道を探しに行ったそうだ。

 

「あぁ、私はなんて情けない先輩なんだ!でも、青葉ちゃんはしっかりしてるなぁ…。それにいい子だし、可愛いし。しかも10代…なんてケシカランだ!」

 

まだ21歳の人が何を言っているんだ。

 

「ほら、人間財布落とすことくらいありますよ。どっかの主婦だって買い物行こうと街まで出かけたら財布を忘れたってのもありますし」

 

俺がフォローするように言うとはじめ先輩は苦笑する。

 

「それってサザエさんじゃん…」

 

あれ、あんまりウケてない感じ?おかしいな…折本なら「なにそれ、ウケない」とか言ってくれそうなのに。あら、折本にもウケてないじゃない。

 

「…それにはじめ先輩だって可愛いじゃないですか。なんというか、そのシャツとパーカーも似合ってますし」

 

言うと、今度は俯いていて何も言ってくれない。…あれだな、冴えないキモイ男子に顔可愛いとか服いいねとか言われてもキモイだけだよね!

 

俺がなんとも言えない感情に押しつぶされそうになっているとはじめ先輩の財布を持った涼風がやってきた!そして、財布は会社のデスクに置きっぱなしだった!

 

なんだよ、どっちもどっちじゃねぇか。

帰り道、来た時と同じように俺が2人の後ろに付く形で進んでいく。

さっきのはじめ先輩の反応が気になりすぎて、よくよく考えれば有名人をボディガードしてるSPのようでなんか俺カッコイイんじゃね?という現実逃避に至っている。

 

「はぁ…おっちょこちょいな先輩でごめんね」

 

「そんな!私もおっちょこちょいだからちょっと安心します……ってこんなこと言ったら怒られちゃいますね」

 

2人とも可愛いなチクショー!!なぜ、彼氏がいないんでしょうかね。

 

「青葉ちゃんはそれでも可愛いし…」

 

「へ!?はじめさんだって可愛いですよ!!」

 

「……そう?…なのかな?」

 

はじめ先輩はチラッと俺を見ると手を猫の手にして「ど、どうかにゃ?」と、キラッとした感じのポーズをとる。

 

「え…あー、まぁ、可愛いんじゃないですかね」

 

「いや、やっぱ照れるな、ははは」

 

「ははは!」

 

おい涼風、はじめ先輩が喜んでるんだからその乾いた笑いはやめろ。

褒めた俺が悲しくなっちゃうだろ。

 

###

(会社に帰った後のはじめ先輩 語り 比企谷八幡)

 

 

はじめ先輩はなははんとした笑顔で会社のエレベーターに乗り、フロアについてもその笑顔が崩れることはなく、ペンタブの入った袋をクルクル回しながら、八神さんのデスクに向かう。

 

「八神さん、買ってきましたあ!」

 

はじめ先輩の陽気な声を聞き、八神さんは手を止めてはじめ先輩の方に身体を向ける。

 

「おお、お疲れ」

 

「どうぞ!!」

 

ペンタブを渡され、満面の純粋な笑顔を向けられた八神さんは「……あ ああ……ありがとう……」と何があったのかと言いたげな目ではじめ先輩を見るが本人に気にする素振りはなしということで、とうとう口にすることにしたらしい。

 

「ど、どうしたの?」

 

「ほへ?何がですか?」

 

ほへ……ってあんた。可愛いけど…八神さんめっちゃこっち見てくるんだけど。どうやら、何があったのかを俺たちに聞いているようだ。涼風は全力で首をブンブン振り、俺は笑ってごまかす。

 

「あはは、はじめったら自分のキャラ間違えてんで」

 

飯島先輩からはじめ先輩に言葉という爆弾が投下され、それをまともに受けた先輩は「わ、わかってたよチクショー!!」と言ってトイレへ駆け込んでいった。

 

 

 

今日も会社は平和なようだ。




なぜ、彼氏がいないんでしょうかね

まんがタイムきららキャラットだからですね

活動報告では書かないと言ったな
あれは多分だ…

とりあえずいくつか作品に関しての連絡を

・ヒロインはおそらく全員。何かしらフラグを立てていきますが、八幡が全部折っちゃうのでしょう。

・とりあえず原作1巻が終わるまでは書きたいと思います
(応援よろしくぅ!)

・ひふみ先輩の顔文字は種類豊富だろうと思い、可愛い系から謎なやつまで用意

・八幡が高卒で就職したのは3年生になってからの出来事がきっかけ
(詳しくは決めてません。決まり次第、余裕があれば書こうと思います)

・卒業後、連絡を取ってる(取ってくる)のは由比ヶ浜、材木座、戸塚、一色、 葉山、平塚先生のみ。雪乃は連絡先を交換してなかったと思うし、あの2人は連絡先交換してたらなんか嫌なので。

今のところはこんな感じです。他になにか聞きたいことなどあれば感想とともに送ってほしいです。では!

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