この様な作品に評価を下さりありがとうございます。
感想は楽しく読ませて貰ってます。
俺は恩納基地のシェルターの中でリモコンを前に突き出し金城となのる軍人をはじめとする「レフトブラッド」の人間を操り行動を停止させた。
深雪姉さんや穂波さんは何が起きたのか分からないとキョトンとしているが、お母様だけは目を見開き絶句して俺を見ていた。
俺は人前で初めて能力を使った。でも記憶を改竄すれば問題ないよネっ☆と安易に考えていた。
何故このような状況になったのか?時間を遡る。
昨日、聴取を終え疲れを癒し目覚めるとお母様と穂波さんが今日の予定を話し合っていた。
「海に出るのは論外よね…。」
「ええ。この天気じゃとても出れませんよ…。」
天気が崩れ台風まで発達はしなかったが強い風が外で吹き荒れている。
「ここまで来てショッピングもちょっとねぇ…。」
同感である。せっかく沖縄までバカンスに来ているというのに旅行先の買い物ではお土産を買う以外での意味を見出すことの出来ない俺では退屈以外の何物でも無いのだ。
「どうしようかしら?」
可愛らしく小首を傾げ穂波さんに意見を聞いている。実年齢はお母様の方がずっと上であるはずなのに穂波さんがお母様の姉さんに見えてしまう。不思議だ…。
「そうですね…。琉球舞踊の観覧何てどうでしょうか?」
穂波さんはタブレット端末を手に持ちチョチョイと操作してお母様に見せた。
「衣装をつけて体験する事も出来るみたいですよ?」
「面白そうね。深雪さんはどう思いますか?」
少し離れたところに座っていた深雪さんに質問が飛ぶ。深雪さんは俺の方を見る。
(操祈はどう思いますか?)
(別にいいとおもうわよぅ)
と視線で相槌を打つ。
「私も面白そうだと思います。
「ではお車の用意をしておきます。ただ一つ問題があるのですが…。」
穂波さんが心底残念そうな声で
「こちらは女性のみなんですよ。」
するとお母様は少し考える。
「そう。達也、今日一日好きにしていいわ。昨日軍人の方と仲良くなっていたわね?軍の基地にでも行ってきなさい。」
「かしこまりました。」
お母様は好きにしていいと言いながら軍の基地に行けという。もあ此れがお母様だからしょうがないと思う。
「お母様、私も一緒に行ってもよろしいですか?」
「どうして?」
「私もミストレスとしてガーディアンがどれだけやれるのか把握しておきたいので。」
「そう。感心ね。」
深雪姉さんがお母様に達也兄さんについていきたいとねだってそれを認められていた。するとお母様は俺にどうするか視線で訪ねてくる。
「私はお母様と一緒に琉球舞踊にいきますわぁ。」
お母様は頷き達也兄さんに注意事項を言って後俺と穂波さんを連れて琉球舞踊に赴いた。
それから二、三日ほどバカンスを楽しみホテルパーティーにもよばれ黒羽姉弟と親睦を深めたりと退屈せずに有意義な時間を過ごしていた。
リビングで朝食を食べ終えゆっくりしているとあらゆる電子機器から警報が鳴り始めた。
『西方海域より侵攻』
『潜水ミサイル艦を主兵力とする…etc』
穂波さんが慌てて携帯端末を用意し告げる。
「真夜様に便宜を図って頂けるように依頼します。」
「ええ。お願い。」
すると達也兄さんの端末に連絡がかかってきた。
「ええ。はい。母に相談してみます。」
手短に通話を終えると
「恩納基地軍大尉より基地内のシェルターに避難してはどうか、というお申し出を頂きました。」
穂波さんが戻ってきてお母様に携帯端末を持っていき「真夜様からです。」と告げ渡す。
「もしもし、真夜?…ええ、私よ。…そう。貴女が手を回してくれたのね…でも、かえって危険ではなくて?。…そうね。…わかりました。ありがとう」
通話を終えると俺たちは恩納基地軍のシェルターにいく流れになった。別荘から出るとタイミングよく軍人さんが車から降りたところで達也兄さんと話している。しかもあの軍人さん海で俺たちに絡んできた人だ。すると俺が視界に入ったのか頭を下げてきた。
「先日は申し訳ありませんでした。」
先日達也兄さんと深雪姉さんには基地に行った際に謝罪したそうだが俺はいなかったので今謝罪をしたというわけだ。
「構いませんよぅ」
というかぶっちゃけどうでもいいのである。この体は戦闘能力が途轍もなく低いから早く避難したいのだ。
謝罪も終わったことだし車に乗り込み基地に向かって行った。
基地につきシェルターの中で深雪姉さんが達也兄さんとラブコメを繰り広げているのをニヤニヤ観賞しながら此れからの展開について考える。
此れからの原作の流れでは達也兄さんが外の様子を見にいき、その間に襲撃を受け死亡一歩手前まで行っていたのである。俺は危険を避ける為に能力を使用する事も辞さない気持ちで時間が経過するのをまっていた。
しばらくすると達也兄さんと穂波さんが立ち上がり顔を見合わせていた。
「今のは…。」
「ええ。銃声ですね。しかもサイレンサーをつけた。」
俺には全く聞こえなかった。この人達の耳はどういった構造をしているのだろう?そう考えている間にも話は進んでいく。
「君たちは魔法師なのかね?」
何か変なおっさんが話しかけてきた。
「ええ、そうですが。」
穂波さんが怪訝そうに答える。おっさんは威張るような口調で続ける。
「なら外の様子をを見てきたまえ。」
(何言ってんの?こいつ)
そう思ったのは俺だけでは無いはずだ。現に穂波さんは呆れ気味で答える。
「何を言ってるんですか?」
「わからないかね?魔法師とはそもそも人間に奉仕する為につくられたものだろう。なら私に従うべきだろう?」
此れには言葉も出なかった。深雪姉さんは絶句して何とも言えない顔をしているし、穂波さんは青筋を浮かべていた。そこで達也兄さんが口を開く。
「私たちはあなたの指示を聞く気はありません。私たちは魔法師は人類全てに対し奉仕する為にあるのであってあなた個人に対して奉仕する訳ではありませんので。」
おっさんは顔を真っ赤にして叫ぶ。
「子供のくせに生意気なっ!!」
「子供の前でみっともないわぁ。」
此れは俺の言である。おっさんはハッとして自分の家族を見るも家族からは軽蔑の視線が向けられている。ザマァ!!いい気味だ。
今まで黙っていたお母様が口を開く。
「達也、外の様子を見て来なさい。」
「しかし…」
「此れは命令よ。」
「かしこまりました。」
達也兄さんがシェルターから出て行った。すると行き違いになったのか軍人が走ってシェルターに入って来た。ついに生まれて初めての生存を賭けた戦いである。
「私は金城一等兵であります。近くまで敵が迫ってきいるので避難誘導させていただきますので私について来てください。」
ペラペラと適当なことを話して俺たちを捉えようとしているのだろう。しかし今の俺は能力発動中である。つまり奴の思考はだだ漏れ。本当のことを何一つ話していないのである。
「いえ、息子が外の様子を見に行っているので先にあちらの方々を避難させて下さい。」
「いえ、しかし…」
金城一等兵は少し悩んだ後に
「息子さんは我々が責任を持ってお連れいたしますので避難を優先させて下さい。」
あちらもお母様も一歩も引かずに問答を続けていると基地に来るまえ俺に謝罪をした軍人さんが走って来た。
「ディックっ!!なぜ裏切った⁉︎」
と軍人さんが叫ぶ。
そこで金城一等兵の仲間さんは俺たちに裏切りがばれたと思ったのだろう。アンティナイトのジャミングを発動させようとしていた。その思考を読んでいた俺は行動を起こす。
そして冒頭に戻る。