早苗は幻想郷に来る前、虐められていた。
しかし、あるとき告白される。それも、相手は虐めっ子!?
「実は好きだったんです、付き合ってください」
「……」
私の名前は東風谷 早苗。中学二年生です。俗に言う虐められっ子です。未だに馴れません、虐め。
それで、お昼休みに校舎裏に呼び出されて、またネチネチ色々言われるのかと思ったら、告…白…。
「……」
「……」
「…えっと、返事は?」
嬉しいと思う気持ち半分、どうせ罰ゲームの何かだろうという諦め半分、信じられないという気持ち半分。あ、150%
「おーい」
「…本当、ですか?」
「嘘ついたことは…無い、とは言えないかな」
目の前の男は虐めグループの盛り上げ役の…確か…誰だっけ?
「でも私、あなたの名前を…その…」
「あ、やべ」
「へ?」
「ギャハハハハハ!」
「ちょっと!本気にしてんの~?」
「緑の癖に?アハハハハハ!」
「ププ…お、おいニキ!もう演技は良いぞ、お前もそんなの相手に告白なんて疲れたろ?」
後ろから、虐めグループの残り四人が。
あぁ、やっぱり、そういう類いの虐めか。
少しでも、期待した、私が、あぁ。
「何言ってるのさ、わたくしはほんきでございますよ?」
「ブハッ!ちょ、笑わすなよ!」
「ギャハハハハハ!ゲホッゴホッゴハッハハッハハハ!」
「ちょ、ケン笑いすぎ!」
「アハハハハハ!つ、釣られちゃって、笑いが、アハハハ!」
もうやだ。帰りたい。…いや、消えたい。今すぐ、この世から。
「だからぁ。…まあいいか。それで、東風谷さん、返事は?」
「……はい?」
「「「「………え?」」」」
「あ、『はい』だってさ!おい、皆!俺彼女出来たぜ!」
な、何を言っているのか、さっぱり分からない。
え?え?あれ?ただの罰ゲームじゃ?
「お、おい、何時もの冗談だよな?」
「ニキの冗談ってたま~に本気かどうか分からないヨネ」
「ほら、戻ろうぜ、ニキ」
「そうよ、そろそろ時間みたいよ?」
「ん…そうだね」
ニキさんがグループの元へ移動する。
私の横を通るときに、
「放課後、ここで」
そんな声が聞こえた、気がした。
~○~○~○~○~○~
ねぇ、本気なの?そうよ、何であんな子を?もっと他にいい女はたくさん居るだろうに、何であいつ?
「良いじゃん。強いて言えば…疲れなさそうだから」
…お前、本気なのか?本気なんだな?…虐められるぞ?というか、虐めるぞ?
「いやいや、逆に東風谷さんをこっち側に持ってこれるかも」
それは有り得ない。絶対に。俺が言うんだから本当だ。
「ま、良いさ、虐めればいい。彼女と付き合うんだ、それぐらい覚悟してる」
「ね、リーダー。良くさ、彼女が出来て人生変わったって人たちがさ、居るじゃん?…そろそろ、変わっても良いかなぁって。思ったんだ。わりぃな?」
「あ、そうだ!暴力は止めてくれよ?痛いのは嫌だからさ」
~○~○~○~○~○~
今日の授業はいつも以上に身にならなかった。失敗を笑われても全く気にならなかった。というか、今日、何か笑われたっけ?
「放課後、ここで」
校舎裏。何で、来たんだろう。まだ、期待してるから?
何度も何度も裏切られてきたのに?
「はぁ…」
「……」
きっとずっと一人でここに立つことになるんだろう。
夜になって、帰る後ろ姿を指差されるんだろう。
「あぁ、嫌だなぁ」
「…何が?」
「生きるのが…っ!?いつの間に!?」
「ついさっき」
まさか真横に待ち合わせの人が居るのに気が付かないなんて。
「それより、まあ、さっきはかなり強引に告白した訳だけども、実際は…ドウデスカ?」
「何で片言…」
「あ、ちゃんとやり直したい?そっかそっか」
そういうと、ニキさんは少し離れて私と向かい合う。
「実は前から好きでした、付き合ってください」
「……。私、は…」
どうしよう。どうすれば良いの?
「……」
「……。…私は虐められてます」
「うん」
「私の地毛は緑色です」
「うん」
「家は神社で、おじさんおばさんたちには『現人神』と呼ばれてます」
「うん」
「喋るのが苦手です」
「うん」
「こんな私が、好きなんですか?」
「うん」
~○~○~○~○~○~
学校では瞬く間にある噂が立った。
すなわち、
「元グループの頭脳、『殺人鬼のニキ』が虐められっ子と付き合い始めた」
と。
一話目のサブタイトルは『好きなんですか?』
続けない理由:恋愛物とか、書ける気がしないので