青いリボンをつけた少女。夜をさ迷う彼女は、ふとしたことから見たことの無い場所へ辿り着く。
その場所は、少女の住む町よりもお化けが身近で……。
注意:深夜廻のネタバレを若干含む可能性があります。
今日も夜がきた。いつもはチャコと一緒に町を探索するんだけど、今日はなんとなく一人で行こう。赤いリボンをお守りに持って、と。・・・。
後はライトを肩に掛けて、と。電池が残っているか確認するためにカチカチする。
ちゃんとついたり消えたりしてる。
「チャコ、今日はいい子で待っててね」
クゥーン
ユイは居なくなっちゃって、まだユイのことを考えると胸が痛いけど、うん。大丈夫。
家を出て左右を見る。お化けは、居ない。
持ち物を確認・・・小石が8、お金が9、紙飛行機が2、虫かごが2、魚クッキーが3、塩が2。袋は無いや。
今日はどこに行こうかな。もしかしたらまたあの人に会えるかもしれないし、隣町に行ってみようかな。
今日は最後の日だから歩いていこう。目に焼き付けておこう。いつでも思い出せるように。
私は、明日、引っ越しします。
「っ・・・!」
追われてる・・・。右手でライトを動かして照らす。白い影のお化けが近付いてきてる。心臓がドキドキする。
けど、もう何回も逃げてきた。大丈夫。
>ー
結局あの人には会えなかった。残念だな。けど、もしかしたら会えるかもとあの人に会った最後の場所まで歩いてきた。
そう、あのトンネルだ。途中から崩れちゃってたトンネル。ここに来るまでに小石とお金は10になるまで拾った。
「・・・やっぱり、暗いな」
ライトで照らしても足元しか見えない。
「・・・?」
あれ、岩が無い・・・? どういうことだろう・・・?
奥に何かあるのかな。今夜で最後だし、行ってみよう。
私は奥に足を進める。
「っ・・・!?」
トンネルの向こう側が見えた。けど、今、誰かが話しかけてきた・・・?
ライトで周りを照らす。でも、誰も居ない。何も居ない。心臓はちょっとドキドキしてる・・・。
「気の、せい・・・?」
気のせい、みたいだ。先に進もう。
あら…?
珍しいわね…
>ー
トンネルの先は長い階段があった。くねくね曲がってて、手すりも無いからちょっと疲れるな・・・。
ときどき黒い手みたいなお化けが近付いてくるけど、ライトで照らすと逃げていった。明るいのが苦手なのかな?
そして、草ぼうぼうの広場を越えて頂上に着いた。
「これ・・・神社・・・?」
そこにあったのは神社。けっこう広い。ライトで周りを照らしつつ、神社の賽銭箱の前まで進む。
お金をポイッと投げる。カランカランと音を鳴らしてお金は賽銭箱の中に入る。
・・・何も起きな「あややややや!」うわぁっ!
「こ、こ、これはスクープです! 見出しは《真夜中に賽銭! 謎の少女!》ですね!」
びっくりした・・・心臓が凄いドキドキしてる。いつの間に後ろに?
「あやや? おっとこれは失礼しました。私は射命丸
「えっと・・・私は、ハルって言います」
「ハルさんですか! 成る程成る程」
アヤさんは手帳に何かをサラサラと書いてる。何を書いているんだろう。
・・・あれ? この人・・・!?
「は・・・羽・・・!?」
「あややや? 天狗をご存じでない? ということはもしかしなくても外の人間ですかね」
私は逃げ出した。