やる気を無くした第一話集   作:yourphone

17 / 21
これは『アンダーテール』の二次小説。

エポット山に一人の男が落ちた。
彼は滅多に人の話を聞かなかった。
彼は幾つもの名前を持っていた。

時に、逃げ出し。時に、話し合い。時に、助け合う。
時に応援し、時に買い物し、時にドラムになり、時に一番いいのを頼む。

「またPAPYRUSに負けたのか?」「大丈夫だ、問題無い」


El Shartale

あなたの名前は?

 

****|

 

E n o c |

 

これでいい?

 

*はい

 

 

Loading……

 

 

それは雲の上に存在した。

巨大な手のひら……指が六本あるが。

そんな不思議な建造物(?)の上に、男が二人。

 

「Enoc・・・あー、そんな装備で大丈夫か?」

 

彼の名はルシフェル。時空を駆ける大天使だ。

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

そして、Enocと呼ばれた男が自信満々に返事をする。

 

「………本当か? もっと良いのがあったろう?」

 

ルシフェルが心配するのも無理はない。Enocの格好は……

 

「そうか? 僕はこの、シャツ、というものが気に入ったんだ」

 

青に紫のストライプのシャツ。ジーパン。彼の見事な金髪は何故か茶色に染められている。

 

「そ、そうか」

 

この装備()を用意したのが自身ということもあり、説得を諦めるルシフェル。

 

「あー、まさか気に入るとは思わなかったな。光栄だよ」

 

皮肉を交え遠回しに『違うのにしろよ』と伝えてみる。……が、このEnoc、至極真面目。

 

「あぁ、そう言って貰えるなんて、この装備も嬉しがってるさ」

 

その癖少しばかりユーモアがあるから厄介だった。

 

「それじゃあ、行ってくる」

「あ、おい」

 

制止の声も届かず、巨大な手のひらからEnocは飛び降りる。

 

「……ふっ。人の話を聞かない奴だな」

 

そして、ルシフェルは指を鳴らす。

 

 

「……ここは?」

「おっと、これはしまったな……Enoc、ここはエポット山。一度登ったら降りてくる事は無いと言われている」

「つまり、『知恵』を持ち去った堕天使達が居るかもしれない」

「あー……どうだろうな」

 

ルシフェルが言葉を濁すが、既にEnocの意思は固まっている。

 

「よし、行こう」

 

ストライプのシャツのまま、その山を登り始める。

 

「『そこに山があるから』、か。……あぁ、気にしないでくれ」

 

ルシフェルはEnocから少し離れ、携帯電話を取り出す。

 

「やぁ。……ああ。今のところ順調さ。あいつは人の話を聞かないが……まぁ、良い奴だからな。ん? …………ははは、君には負けるさ。……ああ、もしもの時は何とかする。じゃあ」

 

通話を切る。周りを見回すが、既にEnocの姿は見当たらない。

 

「おっと、見失ってしまったか……私には関係無いが、な。Enocが泣き出してしまうかもしれない」

 

誰かにウインクし、指を鳴らす。

 

 

エポット山の山頂。

 

「ルシフェル、これは……」

「噴火口だな。Enoc、落ちないように――」

「うわっ」

 

Enocは足を滑らせ落ちていった。

 

「…………全く、何時になったらあいつは話を聞くんだ?」

 

四羽の鳥がEnocの後を追うように噴火口の中に飛び込む。

 

「あれは大天使の……いや、紹介は後にしようか。それに、()()知っているだろう? さて……」

 

そして、指が鳴らされる。

 

 

 

 

パチンッ





個人的に発想は良かった。ただ、明らかに面倒。悲しいな。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。