龍歴院、その会議室は紛糾していた。
なにせ全く未知のモンスターが確認されたのだ。それも多数。
古龍かどうかも確認できず、取り敢えずの名前を付けようにも多すぎるうえに生態が理解出来ないのでできず。
「えぇい、これをどうしろと言うのだ、上は!」
「どうするも何も、我々には監察するしか手はない……」
「その報告だけでこれまで発見されたモンスターの半分を優に越えるのだぞ! 人手が足りぬ!」
「そ、それは……」
と、会議室の扉が叩き開けられる。
「室長、室長!」
入ってきたのは麓のベルナ村で専属ハンターへモンスターの情報を伝えている研究員だった。
「なんだ! 今は会議中だぞ! 滅多な事では……」
「専属ハンターが狩りました!」
「……何?」
あまりにも有り得ない事が聞こえ、聞き間違いかと思い聞き返す。
「ですから! あの専属ハンターが、新種のモンスターを、狩りました!」
「なにぃ!?」
急遽、そのハンターを呼び出すこととなった。
だが。
「なにぃ!?『よほど重要な事で無い限り呼ぶな』だぁ!?」
「……こればかりは、我々の自業自得でしょう。ベルナ村に来たばかりの彼を貶しまくったのはあなたですから」
「だが、これこそ重要な事だろう!」
「彼にとっては重要ではない、という事ですね」
ふっ…と外へ目を向けるベルナ村常駐の、主席研究員。
「この世界に決闘……デュエルなど存在しないと言った時の彼の顔は、なんとも絶望していたのに」
「む?」
「いえ。何でもありませんよ」
研究員は、この中で彼だけはそのハンターと親しいのである。
「では、私はこの辺で」
「待て、来たばかりではないか。とにかくもっと詳しく奴について教えろ。まずはそこからだ」
「一言で言えば我儘、ですかね」
「は?」
「それでは」
主席研究員はさっさと部屋から出ていってしまう。
「っ~~! 我儘なのは! よぅく知ってるわ!」
「―――となった訳ですけど、ハンター殿」
「ふん、自業自得だ。俺の
「ですよね」
主席研究員の目の前。一人のハンターが立っている。
……だが、とてもハンターとは思えない出で立ちだ。装備らしい装備を着けておらず、緑色のインナー一丁。
その背には武器が無い……大剣や太刀といったメジャーな近距離武器や、弓やボウガンといった遠距離武器は勿論、ランスやハンマー、双剣操虫棍、狩猟笛さえ。
代わりに、左腕に謎の物体を装着している。
片手剣の盾のようなその物体には8000の数字が浮かび上がっている。
また、左手へ向けるように一束のカードがセットされている。片面、しかも一番上のカードしか確認出来ないが、茶色く、見ていると吸い込まれそうな模様が描かれている。
「しっかし、旧砂漠とやらに探索に行ったらまさかのレドックスだ。中々楽しかったが……如何せん、疲れるな……狩りというものは」
「レドックス……ですか」
「あぁ。
少し硬かったがな、とハンターが笑う。
(これが、
主席研究員の眼鏡の奥の眼が、キラリと光った。
さすがに遊戯王で狩りは想像がつかないので却下。正直、これを書くのでさえ凄く難しかった。