コラボイベやネロ祭に夢中になっておりました。
あと単純にいそがしかったのよね。
ちゃんとイリヤ獲得しましたよ!
そしてなぜか百殺夜行だけクリアできない……
七章の展開予想として、もしギルガメッシュが敵なら、絶対エミヤさんが特異点F以来初めて出てきて「別にあれを倒してしまっても構わんのだろう?」(BGM:エミヤ)って足止めやると思うんだよね!
悲痛な叫び声を上げたメイヴにリンカーは向き直った。
目を見開き、たったいまこの特異点から消失したクー・フーリンのいた場所を見つめている。
面倒になりそうだ、とリンカーは漠然と思った。
次いでリンカーに視線を移したメイヴは、その瞳に憎悪を滾らせた。
「……のに……」
小さく、メイヴが呟いた。
「…ぃれたのに……」
鞭を持つ手が激情に震える。
魔力が感情に呼応してその身から漏れ出し大気を震わせた。
「やっと手に入れたのにっ!!」
メイヴは激昂した。
普段は無垢な、あるいは邪悪な笑みを浮かべるその顔は怒りに歪む。
「許さない許さない許さないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!!!」
その手に聖杯が現れる。
ゆっくりとメイヴが歩き始める。
大地が唸りを上げながら揺れ始めた。
「リンカー!!」
マスターたる彼女が他のサーヴァントを引き連れ現れる。
誰1人欠けていないことを確認し安堵のため息をリンカーは漏らした。
『こ、こ、こ、これはまさか!?そんな…こんなことが可能なのか!?』
周りの状況を調査したロマンが焦燥の声を上げる。
「ドクター、いったい何が……っ」
マシュがロマンに問いかけようとしたその瞬間だった。
立つのもやっとなほど揺れが激しくなり、ホワイトハウスを囲う全ての大地が隆起し、爆ぜた。
「そ、そんな………」
現れたのは無数にひしめく魔神柱。
『
かつてメイヴが、クー・フーリンを打倒するために生み出した集合戦士。
その枠に無理やり魔神柱をはめ込み、一挙に召喚したのだ。
その暴挙はしかし、現実に成功しその場にいる多くを絶望させるに足るものだった。
そしてさらに、今度はメイヴ自身が魔神柱へと変貌する。
その手に聖杯を掲げながら、美しい少女は醜悪な肉柱へと姿を変える。
「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!」
「さらに、もう一体だと……!?」
ラーマが驚愕を露にする。
だが、変化はそれだけではなかった。
メイヴが変身した魔神柱の内部から、膨大な魔力がほとばしる。
聖杯の魔力と、自分の霊基、そして
合計29に登る魔神柱が、一つの魔神柱へと合体した。
バベルの塔かのようにそびえ立つ巨大な、あまりに巨大な魔神柱。
「こ、こんなことが……」
憔悴したように、マシュが呟いた。
さしものナイチンゲールも、その光景に言葉を失った。
あまりに衛生上良くないと。
「ユ■サナ■ッッ!!」
地獄の底から響くような怨嗟の声が大地に響いた。
その瞬間、巨大な魔神柱から闇色の息吹のような攻撃が繰り出された。
リンカーは咄嗟にかつて狼騎士がその友を守る結界の糧とした大盾を取り出しその攻撃から身を守った。
マシュが彼女やラーマ、ナイチンゲールの前に立ち同様に盾を構える。
迫り来る攻撃の轟音の中、彼女がマシュの名を叫んだ。
「はい!真名、偽装登録!『
ホワイトハウスがその攻撃に巻き込まれ無残にも倒壊し、周囲の街が更地へと早変わりした。
『な、なんて威力なんだ……っ』
ロマンの唖然とした声が虚しく響いた。
彼女たちはマシュの宝具によってなんとか難を逃れたものの、そのあまりの破壊力を目の当たりにして呆然としていた。
「リンカーっ!」
彼女が叫んだ。
見れば、盾は健在のもののその身は満身創痍であり、身体中から夥しい量の血が溢れていた。
彼女の悲痛な叫びに、安心させるように彼は片手を挙げるとエスト瓶を取り出しエストを飲む。
すぐさま身体中の傷が時間を巻き戻すように回復する。
片手に螺旋の剣を呼び出し、それに炎を纏わせる。
ーあるいは、切り札を一つ、切らねばならんか……
彼は天を衝く魔神柱を睨みつけながら呟いた。
「『
魔王ラーヴァナを討つための不滅の刃が魔神柱へと叩き込まれる。
それは正しく魔性を滅ぼすその真価を発揮して魔神柱へと深手を与えた。
その肉が弾け大きく抉り吹き飛ばされる。
「…く、これ、でも、ダメか……」
ラーマが片膝をついた。
彼の宝具は確かに深手を与えたが、しかしそれは深手を与えただけだった。
その巨大な体の、健在な部分がたちどころにその傷を修復していく。
これが並の魔神柱であれば確実に致命傷であったそれも、29の魔神柱が聖杯を核に合体したそれが相手ではかすり傷に等しかった。
これまで彼らはマシュのサポートにナイチンゲールの回復、そしてラーマとリンカーの火力を彼女の指揮の元十全に振るい善戦してきた。
しかし、どれだけ受けるダメージを減らし、傷を癒し、攻撃を重ねても、疲労と物量には勝てなかったのだ。
動きを止めたラーマを磨り潰さんと、魔神柱が蠢く。
「ラーマ!」
彼女が声を上げるも、すでに彼の身体は、霊基は、限界に近かった。
避けようとする反応も、その動きも遅すぎた。
その瞬間、遠方より無数の矢が降り注ぎ、まるで爆撃のような威力で魔神柱へと襲い掛かった。
「ここは、私にお任せください」
そこに現れたのは、一度カルデアの一行に敗れ姿を消した授かりの英雄、アルジュナだった。
多くのしがらみを吹っ切った彼は、どこか晴れ晴れしい顔をしている。
一度北部戦線に向かった彼は、ホワイトハウスの方向に現れた超巨大な魔神柱を見てすぐさまそこへ向かったのだ。
このおぞましい大敵を屠ることこそ、自身の最後の役割だろう。
「みなさん、ここから出来うる限り離れてください。私の霊基を犠牲に我が宝具を放ちます。辺り一帯は跡形もなく消え去るでしょう」
そう言って宝具を展開しようとするアルジュナ。
それを止めたのは意外にもロマンだった。
『ちょ、ちょっと待つんだ、いや待ってください!』
「なんだ、魔術師」
『辺り一帯を吹き飛ばすような宝具を撃たれるのは困るんだ!そんなことをすれば聖杯ごと魔神柱を破壊してしまってこの特異点が修復不能になってしまう!!』
普段であれば英霊に凄まれれば怯えてしまうロマンも、ことがことだけにそんな余裕はなかった。
彼の言葉にアルジュナも顔をしかめる。
「ではどうするのです。このままあれの好きにさせても人理は崩壊するだけでしょう」
『え、ええと、それは……』
そこで、リンカーがラーマを担いで、そしてマシュが彼女を抱きかかえながらナイチンゲールとともに後退してきた。
そこに魔神柱からの追撃がかかるも全員が飛び退ってそれを避ける。
「どうしましょう、先輩っ、このままじゃ……っ」
マシュの言葉に、彼女は考え込んだ。
このままではジリ貧でこちらが負ける。
アルジュナは強力な助っ人ではあったがその宝具では聖杯を破壊してしまう。
あの物量を殲滅でき、かつ聖杯を回収する。
それは到底不可能なことのように思えた。
本当に?
彼女の中でそんな問いかけが響いた。
それを可能にする方法を、自分は知っているのではないか?
ただ、それを見ないふりしていただけで……
ー貴公
その時、彼が彼女に呼びかけた。
「リンカー……」
ー貴公の使命を、忘れてはならない
かつて、己が身に課せられた残酷な使命を果たした男からの、後押しの言葉だった。
彼女は一瞬目を伏せる。
そして彼女が次に顔を上げた時、そこには決然とした表情があった。
「……今からリンカーを置いて私たちは退避するよ」
「な、それはっ!」
ラーマの抗議の声を、彼女は手で制して言葉を続ける。
「退避するのは魔神柱からではなく、リンカーの宝具から。あと、退避と言ってもそれはアルジュナの宝具の射程距離ギリギリまで。……アルジュナにはリンカーが私のところに帰還後、すぐさま宝具を撃ってもらうから、準備をお願い」
リンカーの宝具から退避とはどういうことか、リンカーが帰還する方法はあるのか、なぜアルジュナの宝具を撃つ必要があるのか。
多くのものが多くの疑問を抱いたものの、そこにまたも魔神柱の攻撃が襲いかかりそれをぶつけることは叶わなかった。
さあ、急いで!と彼女が叫び、そして魔神柱の攻撃が苛烈さを増したために彼らは彼女の指示に従わざるをえなかった。
「リンカー!」
マシュに抱えられながら、彼女はただ1人魔神中へと向かう彼に叫んだ。
「令呪を以って命じます!必ず無事で戻ってきて!」
令呪の一画が消え、レイラインにのって膨大な魔力が彼に伝わり命令を実行する。
それは、彼の理性の強化として作用した。
それに彼は笑みをこぼす。
自身のマスターはやはり優秀だ、と。
自分が旅していた時よりもはるかに機転が利くのではないかとすら思う。
事実、よく同じような場所で、同じような敵に何度も殺されたこともあった。
ーさて
彼の眼前には、見上げてもその頂上の見えぬ巨大な魔神柱があった。
未だ怨嗟の声尽き果てぬそれを見据え、彼は自身のダークリングに手をかざした。
ダークリング。不死人の証。
まるで内にある闇を火が押しとどめようとしているかのようなそれ。
それとよく似たものが、あの火が燃え尽きかけていた時代に天に座していたのを覚えている。
その穴から、闇がこぼれだす。
今から彼が解放する宝具は、彼自身の逸話が宝具へと昇華したものではない。
おそらく、不死人がサーヴァントとして召喚されれば、その規模に違いはあれ持つであろう不死人共通の宝具である。
彼は、自分がそれを使ったことはなくともその恐ろしさを知っていた。
かつて、過去に飛んだ時、彼は目の当たりにしたのだ。
一国が深淵に堕ちる様を。
その国の、人間性の暴走した民の姿を。
人間性。
すべての生あるものが持つソウルとはまた違い、人にしかないそれ。
果たしてそれは、人にしかない人間性とは、何なのか。
その答えはー
ー『
「な、んだ、あれは……」
彼らの視線の先には、闇が、深淵が広がっていた。
まるで世界を蝕むように瞬く間に広がったそれは、ある程度広がるとその速度を落としドーム型になった。
まるでそこだけ世界が抜け落ちたかのような闇。
天地を貫いていた魔神柱は、一瞬でその闇の中に沈んだ。
ラーマとアルジュナは、その魂の根源的なところから恐怖がわき起こるのを感じた。
あの闇は、決して触れていいものではない、と。
「アルジュナには、リンカーの帰還後にあれを吹き飛ばしてもらいたいんだ」
彼女の言葉に、アルジュナは一も二もなく頷いた。
「当たり前です。たとえ止められようとも私はあれをこの世から消し去るでしょう。あれは、この世にあってはいけないものだ」
『うわわわ、なんだこれ!?計器の故障か!?さっきまでリンカーと魔神柱がいたところに大量の人間の魂をごった煮にしたような反応があるんだけど!?』
このままじゃあ特異点が全部それに飲み込まれるぞ、と警告をロマンが発した。
その言葉に彼女は答えず、その今も徐々に徐々に広がりつつある深淵を見つめた。
どうか、無事で……
不安げな顔で拳を握りしめた彼女の拳を、マシュの手が取った。
「マシュ……?」
「大丈夫ですよ、先輩」
そう言って微笑んだマシュの目にも、隠せぬ不安が渦巻いていた。
それでも自分を案じ、元気付けようとしてくれたマシュの気遣いに力をもらい、彼女の手を握り返す。
どんなことがあっても決して屈さない。
それは自分には非常に難しいことだけれど、マシュと、カルデアのみんなと、リンカーがいてくれればできるはずだと彼女は思う。
カルナに一画、そして先ほどリンカーに一画使い、残りは一画しか残っていない令呪を見る。
それは彼女の決断の確かな証だ。
再び、深淵を見据える。
その目には未だ不安は残れど、希望にも満ちていた。
それは突然の出来事だった。
彼女の眼の前に白い靄が渦巻いたかと思うと、突如リンカーがその火継ぎの鎧に闇を滴らせて現れた。
瞬間、何か危険な気配を感じてサーヴァントたちが飛び退く。
彼女もマシュに抱きかかえられてそれに続いた。
彼は右手に握っていた何かを彼女とマシュの方へ投げ渡す。
マシュがまずそれを受け止め、見ればそれは…
「聖杯!!」
マシュの言葉を聞いて、彼女はリンカーに駆け寄ろうとした。
ー近寄るな!
いつにない怒号が彼の口から放たれた。
それに彼女も、ひいては他の面々の動きも止まる。
彼は膝をつき、胸元あたりを押さえつけるように掌を押し当てていた。
かすかな唸り声が木霊する。
彼は人間性の暴走を、かろうじてその理性で押さえ込んでいた。
ー貴、公…深淵を……
彼が絞り出すような声で言った。
それにハッとした彼女は、アルジュナの名を叫ぶ。
「承知しました。神性領域拡大。空間固定。神罰執行期限設定――全承認」
アルジュナの掌に、世界を七度破壊可能な神造宝具が顕現する。
マハーヴァーラタにおいても一度も使用されなかった超常の宝具が解放された。
「『
その日、第五特異点における激闘が幕を下ろした。
今回使用された宝具の詳細は、まだ七章も、ソロモンの神殿での最終決戦もあって未公開が多いのでお預け。
まあ要はウーラシールで出てきたあのボスと似たようなことをリンカーさんがするって思ってくださいな。
個人的に、「人間性を捧げよ」っていうキャッチフレーズはシリーズ最初の作品のものとして素晴らしいと思う。
まず人間性を捧げよっていう言葉がゲームのキャッチフレーズとしてあったらめちゃくちゃ夢中になれ、あるいは夢中にしてやる自信があるって解釈できるわけじゃん。
これだけですごい面白そうだけど、さらに実際にやってみれば篝火に自分の獲得した人間性を捧げるシステムがあって、それが篝火の強さに関わってくることがわかる。
そして人間性のフレーバーテキストには意味深な文章があって考察とかも捗る。
これはうろ覚えなんだけど、アナスタシアか誰かが篝火ははじめての火の火の粉だとかそんな感じのことを言ってた思う。
はじめての火の火の粉に人間性を捧げると火が強くなるとか色々ストーリーの結末を暗示してる気がするし。
そしてDLCでついに人間性とはダークソウルだったんだよ!ってタイトル回収する流れ。
誰もが事前知識なしで意味を解釈できるそこそこ平凡な文章のキャッチフレーズが、ゲーム内で色々な作用を果たすことになるってのが本当にすごいと思うわけです!!
次回は対英雄王で猛威をふるってくれた師匠とのからみを書きたいなって。