fateを語る上で、きっと外せない彼と絡ませてみました。
でもずっとダクソ主人公喋っちゃってる感がががが…
最後ら辺はあんまエミヤ関係ないかも。
皆さんは水着イベントどうでしたか?
自分は無事本命のマルタさんを手に入れました。
その過程で尻上も手に入り驚きました。
さらになぜかジャックが2枚も当たって仰天しました。
ジャックちゃんも、海で遊びたかったのかなぁ。
ちなみに無課金でした(無課金自慢さーせん)。
リンカーはカルデアの中の食堂、その調理場にいた。
無論彼は調理のためにそこいるのではない。
彼の見つめる先にはこのカルデアにて一挙にその食事事情を担っている英霊が丁度料理に励んでいる姿があった。
今はもう直ぐお昼時という頃。
カルデアにおいて無事であった20名あまりのスタッフに加え、今やカルデアには数多くの英霊が召喚されており、その多くが必要がなくとも娯楽として食事に舌鼓を打っている。
その中にはもともと人間だったとは思えぬほどの健啖家もおり、そんな彼らの食事を用意している最中の調理室はある種の戦場である。
その様をただ見つめるのみのリンカー。
さすがにその視線に耐えかねたのか、その視線の先の英霊、アーチャーであるエミヤは口を開いた。
「どうしたのかね、リンカー。暇であるというのなら、少々手伝ってくれても罰は当たらんと思うがね」
その皮肉交じりのエミヤの言葉に、すまないと一言口にすると、何を手伝えば良いかとエミヤに問うた。
本当に手伝いを買って出るとは思っていなかったのか、エミヤは思わずせわしなく動かしていた手を止めてしまう。
「なに?私から言っておいて何だが、本気かね?」
その言葉に、首を縦に振るリンカー。
迷惑でなければだが、と言葉を続けるリンカーをしばらく見つめた後、エミヤは彼に根菜類の皮むきを言い渡した。
リンカーはその腕に装備していた籠手を自らのソウルの内にしまい、手を洗うと包丁を手に取った。
さすがに刃物の扱いには慣れているのか、ぎこちないながらも順調に皮を剥き始めたリンカー。
エミヤはその姿(腕のみ何もつけていない甲冑姿)に激しい違和感を感じつつも、どこぞの料理全くできない勢などよりもよほど役に立つと認識して自身の作業へ戻った。
「しかし、またどうしてこんなところに?あなたは普段、食事を取らないと記憶していたが……」
リンカーはその問いに、根菜から目を離さずに頷いた。
ー然り、我ら不死人は、食事をすることはない
サーヴァントだから食事をしないのではなく、サーヴァントとなる以前、そもそも不死人が食事をしない。
そのことをその言葉からエミヤは正確に読み取った。
それについてエミヤが口を開く前に、再びリンカーが口を開いた。
ー食事だけでなく、不死人には生殖機能もなく、おそらく睡眠も不要であろう
「それは……」
生きていると言えるのか、とエミヤは口にすることができなかった。
その言葉は、偉業を成した目の前の大英雄の生の、ひどい冒涜のように思えたからだ。
リンカーは普段の落ち着いた雰囲気と違い、おどけるように肩をすくめた。
ー貴公の疑念も最もであろう…果たして、不死人は生きていると言えるのか、私にもわからぬ
その言葉に、エミヤは思わず言葉を返した。
「そんなことはあるまい。少なくとも、あなたは己が過酷な使命のため、折れることなくその生を、使命を全うしたのだろう?生きていなければ、それは成せぬことだろう」
正義の味方となるため、すべての人を救うため、ひたすらそのために生涯を捧げ、否、死後すら捧げたエミヤにとって彼のその生涯は、追うものが使命か、理想かの違いはあれど、どこか親近感を抱き、そして純粋に尊敬すべきものだ。
自分は果たして、追い求めた理想に届いたか。
きっと、届いてはいないだろうとエミヤは自嘲した。
いつかどこかであった聖杯戦争の記録において、自分は答えを得はしたものの正義の味方足り得たかというと、未だ疑問が残る。
だからこそ、此度人類を救うという目的のもとカルデアに召喚されたことは、エミヤにとって喜ばしいことではあったのだが。
エミヤの言葉にリンカーは謝意を述べると、それで、と話を続けた。
ー今、私がここに来たのは、その不死人の性質にあるからこそだ
ふむ、とエミヤは内心首を傾げた。
食事が必要ないならば、なおさら食堂に、それも調理室に来る必要はないと思ったのだ。
ー私が火継ぎを終わらせてのち、君たちの人類は始まった
そんな君たちは、たといサーヴァントの身になろうとも、食事を忘れぬ
食事を忘れて久しい私にとって、万人すべからく楽しむ食事というものは、
今の私にとって最も身近で、目で見え、手で触れられ、鼻で感じることができる、私が生きた証のようなものなのだ
その声音は、エミヤが見た第4特異点での記録で、リンカーがマスターに言葉を送った時のように、慈しみが溢れていた。
ー多くの者に取って、食事をするとは当たり前のことなのだろう
その当たり前がなかった私にとって、皆がそれを楽しむ姿はどうにも尊く感じてしまう
不死人が失ったものを、今やすべての人間が当然のように行うことができるのだと。
そして、同時に知りたくなったのだ
皆が楽しむその料理が作られる場を
おそらく、人々がその歩みとともに長い年月で培ってきたものが、ここにはあるのだろうと思い、な
その言葉の間に、意外にも早く任された根菜の皮を剥き終わったらしいリンカーは、エミヤに次の指示を仰いだ。
それにエミヤはフッと不敵な笑みを浮かべて首を振った。
「そのような話を聞かされてしまっては、手伝ってもらうわけにはいかんな。なに、そこで見ていてくれたまえ、リンカー。人類の培ってきた調理のすべて、とはさすがに言えんが、その極致の一端をお見せしよう。別に、最高の料理を作ってしまっても構わんのだろう?」
その言葉に、リンカーは珍しく声を出して笑うと、では拝見させていただく、と調理台から身を引いた。
もはやそこは一人の英霊の独壇場。一つの戦場の最前線である。
エミヤは食材と再び向かい合う。
そして平素を超える気合いとともに調理に取り掛かった。
「アーチャー、今日の昼食はいつになく豪勢で美味でした。故におかわりを所望します。ええ、それはもうたんまりと」
「うむ、口にあったようで何よりなのだがね、アルトリア。おかわりは逃げも隠れもせんのだから、カウンターから身を乗り出すのをやめたまえ」
「なるほど、さすがはアーチャー、剣だけでなく料理の貯蔵も充分というわけですね」
「アルトリアよ、落ち着きたまえ、それはどちらかというと金ぴかの方へ言うべき言葉だと理解しているか?」
今日も多くの英霊、カルデア職員がエミヤの料理に唸りを上げた。
特にその日の料理は特に素晴らしい出来で、アルトリアなど一部の健啖家は実にご機嫌である。
和気藹々とした食堂の様子を、リンカーはエミヤと同じように調理場の中から眺めていた。
エミヤがその姿を横目で見るに、リンカーはまるで自分がその食事を楽しんでいるかのように上機嫌な様子だった。
ふと、彼の視線がエミヤの料理を肴に、真っ昼間から酒盛りをしている集団のところで止まった。
それはケルト出身だったり、あるいは海賊だったり、もしくは個人的に酒が好きだったりするような者たちの集まりだ。
楽しげにどんちゃん騒ぎを繰り広げる彼らを見て、リンカーの纏う雰囲気がどことなく寂しげなものになったことにエミヤは気付いた。
「どうかしたのかね?」
無粋かとは思いつつ、エミヤは問いかけた。
それに気を悪くした様子もなくリンカーは応じた。
ー…いや、なに、かつての友のことを思い出してな…
ゆっくりとリンカーは語り出した。
ー不死でありながら、なんとか食事と酒盛りを楽しもうと工夫を凝らしていた男だったよ
何度か、彼とは酒盛りをした…酔うことはなかったがね…
ああ、彼は快活で、頓狂なところもあるが、いいやつだった
懐かしそうにリンカーは語る。
そしてその寂しげな姿から、その友とは別れることになったこともどことなく察していた。
ー最後は、自らの使命を果たして、灰に帰ってしまったよ
きっと、満足して逝ったと、そう思ってはいるが……
彼と交わした最後の酒の味は、今もまだ覚えているとも……
それきり黙り込んだリンカーに、エミヤがそれ以上言葉をかけることはなかった。
火の時代最後の英雄ということは、つまりそれだけ多くの別れを経験したということなのだろう。
エミヤはその感傷を侵すほど無粋ではなかったし、またかける言葉も見つからなかったのだ。
2人は黙って食堂の喧騒を見つめ続けた。
さて、所変わって場所は冬木。
いわゆる素材集めに来ているわけである。
また同時に最近召喚したサーヴァントの試運転も兼ねていた。
炎上しているとはいえ地元だ。ナビケーターとしての役目も兼ねてエミヤもそれに同行している。
またリンカーも万が一に備えて後方で待機していた。
その他のサーヴァントと違い、アラヤの全面バックアップのもと召喚された彼は、聖晶石を多量に消費して召喚されただけあり最初から霊器再臨を何段階か済ませている。
故に冬木で出てくるようなエネミーに対しては過剰戦力もいいところなのだ。
「ふむ、今の所問題はなさそうではあるな」
「うん、大丈夫そうだね。喧嘩もないみたいだし、安心安心」
彼女は周りの地獄のような景色もどこ吹く風、快活にエミヤの言葉に同意を返した。
すでに複数の特異点を修正した彼女はいつの間にかクソ度胸を得ていたらしい。
無論、彼女自身の度胸だけでなく、彼女の周りにはマシュ、エミヤ、リンカーと、彼女が信頼を寄せる英霊たちが侍り、その身を守っていることもその快活さの理由ではあろうが。
「ジキルさんとフランさんはロンドンの一件で相性がいいことはわかっていましたからね。……テスラさんは、ええ、普段通りというやつなのでしょう」
マシュもエミヤや彼女の言葉に同意を示す。
リンカーは霊体化したまま黙して語らなかった。
そもそもそこまで口数の多い訳でもないのでその場にいた他の3人は気にすることもない。
そのまま敵性反応のあるところを転々とする中で、ふとエミヤはリンカーに問いかけた。
「そういえばリンカー、貴方は聖杯にかける願いはあるのかね?」
彼は彼女の死を防ぐために抑止力として呼ばれた英霊ではあるが、しかし理性ある身であれば願いもあるのではないかと考えたのだ。
以前の調理室での一件で会えば会話をする程度には親密になったエミヤは、彼があまりその手の話をすることがないのに気がついていた。
かといって、語りたくない、といった風でもなかったため、すでに何度も聖杯戦争に関わっている身として気になったこともあって、少し余裕と時間のあるそのタイミングで尋ねたのだった。
「あ、私もちょっと気になるなー。リンカー、聞いてもいいかな?」
彼女も、内心エミヤグッジョブとか思いながらそれに便乗する。
マシュも口には出さないが興味津々といった様子だった。
その三者の様子にリンカーは苦笑をこぼした。
ー別段、楽しい話でもないが、良いのかね
なんだかすごい発光が辺りを覆ったが、すでに慣れっこになっていた4人は気にすることはなかった。
彼女が元気良く首を縦に振っているのを見て、彼は実体化して話し始めた。
ー特別大仰な願いはないが、強いて一つ挙げるならば、磨耗し忘れ去ってしまった記憶を取り戻すことだろうか
「磨耗?」
彼女の問いに、彼は深く頷いた。
ー今ある私の記憶は、永きにわたり幽閉されていた北の不死院から脱出するところから始まる……
しかし、私にもあったはずなのだ、不死の証たるダークリング、それが発現する以前の、人並みの生活とやらが
記憶の磨耗、それはエミヤにも当てはまるものだった。
かつての自分の記憶は薄れて久しく、鮮明に覚えているのは自身にとって重大な瞬間の幾つかのみだ。
ーまだ、火継ぎを成すまでの旅路の間、私はその頃の記憶を持っていたはずだ
その記憶があった故に、私は臆することなく、この身をはじめての火に捧げたのだから
しかし、その後、いつしか私はその記憶を失っていた
業火に身を焼かれる苦しみ、第二の使命を果たすための旅路、その間に幾度となく経験した死
それらは容赦なく、私というものをすり減らしていった
すでに私が人並みに生きていた頃の記憶も、自らの名前さえも私は覚えていない
彼女と、マシュは息を飲んだ。
自身というものを規定するアイデンティティ、それを失うとはどれほどの恐怖なのか、想像すらできなかったのだ。
それでも、目の前の英雄は進み続けた。
でなければ、自分たちが生きるこの時代はこなかったかもしれないのだ。
それは、どれだけ過酷な道程だったのか。
ー無論、叶うならば、だが
もし叶う願いに限りがあるならば、他の者の願いを優先してくれていい
私は、自らの生に満足して逝っているのだ
それ以上の贅沢は、過ぎたものだろう
そこで言葉を切って、リンカーはエミヤに顔を向けた。
曰く、君はどうなのか、と。
エミヤは以前、彼に自分は記憶の一部が磨耗していることを話していたことを思い出した。
「……私の場合、幾つか、私の原風景とも言える記憶を覚えている。…私にとっては、それらだけありさえすればそれでいい。
むしろ、貴方も、そしてマスターも、これから世界を救うなどというそれはもうたいそうなことを成すのだ。ちょっとくらいの贅沢はあってもよかろう」
「そうだよ!実際聖杯はそこそこいっぱいあるんだし!ちょっと贅沢するのもできないなんて、万能の願望器の名が泣くって!」
「だろう?」
彼女の言葉にエミヤはいつも通りのニヒルな笑みで返した。
「もちろん、エミヤもちゃんと願いを考えておかなきゃだめだよっ、マシュも考えておいてね。きっと、これからみんな頑張るんだから、みんなにご褒美がなくっちゃ!」
腕をブンブンと振って主張する彼女に、エミヤは苦笑しながら了承の意を示した。
マシュも照れくさそうにわかりました、と告げる。
「リンカーも、たまには我侭になってみなきゃ」
ね?と自分を見上げる彼女を、彼はまぶしそうに見つめた。
果たして、多くの薪の王の犠牲を無駄にした自分に、その権利があるのか彼にはわからかった。
それでも、彼は頷いた。
彼女がそう言うなら、そうなのかもしれない。
そう思わせる暖かさが、彼女の言葉にはあった。
ーならばそのためにも、必ずやこの世界、救わねばな
かつて一度世界を救い、世界を終わらせた男は改めてそう決意した。
ダクソ3の恥部隠しの説明文見て不死人かわいそすぎると思ったのは自分だけじゃないはず。
ダクソ3のジークバルトイベは燃えるとともに悲しいですよね。
もしまだ見てない人がいたらフラグ管理面倒くさいですけど是非一度は見てみてください。