すごくすごく短いですが、あった方がいいかな、と思ったので。
最終章、お疲れ様でした。
宣言通り、六章に太陽おじさん登場させたら視覚星さんが涙目になってしまうことが決定してしまったのですが、どうしたら良いですかねぇ。
まあちょっとずつ書き進めますので、気長にお待ちいただければ……。
七章で書きたいことがあるけど、ストーリーの流れとか関係なしにいきなりそこから始めたりしたらあんまよくないよね……。
これはまだ星詠みによる人理焼却が予言される前、魔術王を名乗る者の権謀が成るより以前の物語。
王は不老不死を求めて冥界へと足を踏み入れ、そしてそのさらに深奥に横たう深淵へと赴いた。
深淵、あるいは原初の海、この世の最も深き場所。
彼はそこでついに不死の霊薬を手に入れる。
本来であれば、彼の旅はそこで終わりであっただろう。
あとは再び地上、生者の国へと帰るのみ。
しかし、王のその千里眼が、直感が、彼をさらなる深奥へと彼を誘った。
あり得ざる王の旅の延長。
これにより彼の国はただしき歴史よりさらに荒廃を迎えることとなるがそれはまた別の話である。
王の歩みは、もはや彼の眼をもってしても己が四肢すら見えぬ深きところへと達した。
彼の足は砂浜を歩むようにわずかに沈み、何かを舞い上げた。
「始まりの地か、あるいは墓所か」
王はぼつりとつぶやくと、見えぬはずの瞳をある一点へと向けた。
ひたすらに闇。
もはや無に等しきそこに、しかし彼は確かにそこに存在を感じ取った。
「ーーーー」
それは、女の声だった。
王はじっと彼女を見つめるのみ、返答はなかった。
再び彼は歩みを始め、彼女に近づく。
その女もまた彼に近づいた。
「未だ、闇の先を見ているか」
静かに王は言った。
女は一つ、ゆっくり頷いた。
彼女はかつて、火防女と呼ばれた者だった。
とある英雄の、王の最期を看取った者でもある。
彼女は、彼が大業を成してのち、悠久とも言える時間を経てなお、彼より賜った目でもって闇の先を見据えていた。
ゆえに、彼女は迫り来る新たに芽生えた火を消さんとする脅威もまた、察知していた。
「ーーーー」
ゆえに、彼女は新たに芽生えた火、その中の一つの象徴たる眼前の王にそれを差し出した。
「要らぬ、と常の
王は、素直に彼女の差し出したそれを受け取った。
彼にとって、珍しき、あるいは彼女以外にはいないであろう千里眼の先達である。
さしもの絶対の裁定者とて、無碍にしかねる事態であった。
あるいは、彼もまた、迫り来るその脅威を感じ取っていたが故か。
「その不敬、特に赦す」
王が受け取ったそれは、古ぼけた壺であった。
華美な装飾など一つもなく、質素な土器だった。
封をされたその中身は、深淵の闇も相まって窺い知ることはできなかったが、しかし、王はその壺から、己が手のひらを伝ってその神秘を感じとっていた。
「聖遺物、聖者の遺体、そんなところか」
ふん、と一つ鼻を鳴らした王はすぐさま踵を返した。
もはやそこに用はない。
王は女に声をかけることもなく歩み去る。
そんな彼の背に向かって、彼女は静かに、丁寧に一礼した。
あるいは、正確に言えばその王が抱えた壺に向けたものであったかもしれない。
そして、彼の気配が彼方に消えた頃、その身を起こし、暗い闇の先を見据える目で彼を見つめて言った。
「いってらっしゃいませ、灰のお方」
これはまだ、人類最後のマスターが、希望が第六の特異点にすらたどり着かぬ、遥か過去の物語。
短くてすみません……。
でも七章でやりたいこと的に書いときたくて……。
あと、展開予想は感想に書くのやめてネ!
かなりわかりやすい気がするので!!僕のために!!
かぼたんがもらった瞳って火が消えた先の未来見通しているから、独自設定で千里眼(もどき?)ということに。
福袋はケツ姉でした。
散財して武蔵きました。
ついでにカルナさんがピックアップすり抜けてきました。