捏造設定、独自解釈、オリキャラなどが入る可能性があります。
それでも構わないという心の広い方のみ、先へとお進み下さい。
無理!という方にはブラウザバックを推奨致します。
主人公の名前とかは拙作、某所にて投稿している別シリーズのぐだ子基準ですがあくまでもイフ世界のぐだ子です。
それではどうぞ、拙い作品ではありますがお楽しみ下さい。
打ち合いはたったの2合。
睨み合いに至っては恐らく2秒に満たない。
だが、それがまるで永遠にすら思えた。
「ふん、いけ好かないマスターじゃて…この好機に戻れと来たか…まあ、良い…そこな槍使い、貴様がなんのクラスかは知らぬが…次におうた時こそ、全力で打ち合おうぞ。」
「は、逃げるのか爺、少しは楽しめるかと思ったんだがな?」
「生憎我がマスターは臆病でな、貴様のように武人気質だと良かったんじゃがな。」
赤い中華風の衣装、結われた赤髪。
喋り方こそ老獪ながら目の前の、自分を殺そうとした相手は若々しく、鍛え上げられた身体をしていた。
「かっ、冗談…俺は王だ、殺し、奪い、強さを示すーー在り方はただそれだけでいい。」
否定しながら、何処か嬉しそうに口角を吊り上げる、漆黒。
「ふ、覚えておれよ、必ず、必ず貴様の本気を見せてもらう。」
そう、言い捨ててバックステップ。
中華風の男は土蔵の入り口から出たかと思えば急にその気配が消えた。
先ほど迄の圧倒的存在感が嘘のように。
「気配遮断ーー?いや、違うな…目視出来なくなった途端に気配が完全に消えただと…厄介な野郎だな、フン。」
男が消えた先に殺気を叩きつける様にしていた彼が、振り向く。
怖い。
けど、震えるほどにーーその強さに憧れる。
「サーヴァント、バーサーカー…呼び声に応えて来てやったぞ、小娘。」
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さて、訳がわからない。
聖杯戦争???
いや、確かに私の家は魔術師の家系だ。
しかし。
私は…今や完全に一般人だったはず。
なにせ父の代で魔術師としては終わっている。
魔術師には…魔術刻印と言うものがある。
言うなればそれは魔術師の家系にとって一子相伝の魔術の奥義書みたいなもので、先祖代々受け継がれていくその家系の魔術の結晶みたいなものだ。
兄が居たが、兄は後継者にはなれなかった。
そのままならば私が後継にされていただろう。
だが、不幸な事故で父は他界。
遺体すら残らない惨状で…魔術刻印もまた失われた。
バーサーカーによればこれは聖杯戦争。
聖杯を巡り、七人の
母は早くに亡くし、身寄りもなく父の古い縁故に頼って仮の住まいにとこちらに引っ越してきた訳だがーー真逆。
狙った様にそんな儀式が開催されるなんて。
聞いてない。
第一、私がその
「は、ははは…なんだろ、こんな…私が何をしたって言うの?」
「何をだと?お前、馬鹿か。」
思わず零した言葉に、辛辣な答えが返ってきた。
「お前は俺を召喚した。」
「は、はぁ。」
「故に、俺は貴様を旗印に全てを刺し殺し、踏み壊し、蹂躙する。」
「え…、何、なん、え?」
「お前となら…楽しい覇道を歩めそうだな…マスター。」
凶暴な、笑み。
それを見た途端だった。
胸が、痛い。
ズキズキと痛み、息までが苦しい。
「あ?どうしたよ、無駄にでけぇ自分の胸なんざ鷲掴みにして?」
「し、知らない、わよ…急に、なんか苦しく…カハッ」
視界が揺らぐ。
グニャグニャと景色が歪み、立っているのか、倒れているのかすらわからない。
拙い、意識もっていかれ、る…。
《…朔弥…!》
声。
懐かしい声。
「っ…がはっ!」
酸素が急激に脳へ供給される様な感覚。
身体中から奪われたものが一気に満たされ、私は激しくむせ込んだ。
地面についた自分の両手、ことに左手に見える痣ーー、令呪が見える。
三つの巴が追いかけ合う様に配置された美しい赤い図柄。
それは、目の前のバーサーカーの胸にも刻まれた文様。
「そうか、俺の維持が殊の外堪えたのか。」
言うや、バーサーカーはその姿を光に包み、消えた。
「…あ。」
途端に楽になる身体。
『不便なもんだな、魔力が足らないなんざ。』
頭に直接語りかける様な声。
「……!?」
『狼狽えるんじゃねえ、霊体化しただけだ、この声はお前との
「あ、え、そうか…これ、貴方の声なんだ」
『ああ、後でもう少し説明してやる、今は休め。』
意外に優しく言われてしまう。
…ツンデレ…?
『お前…死にてえのか、あ?』
ギャー!?
し、思考が筒抜けっ!?
「ご、ごめんなさいーっ!?」
思わず飛び上がり、土蔵の壁に背中を押しつける形でひっつく。
ずるずるへなへなとへたりこみ、床に崩れ落ちる。
驚愕と安堵から力が抜けた。
情けない話だが…下着を濡らさなかっただけマシだと思う。
「あうあう…誰か助けて…。」
割と本気で。
意識を手放す寸前、
その時は本当にそう思ったりした。
***********************
朝。
朝だ。
太陽が顔を出し、大半の人にとって1日が始まる時間。
いつもと同じその朝に。
何故か今日は珍客が居た。
いつもの様に早起きし、食事の支度をする前に先日散らかしたままだったと思い出した土蔵に来ると、扉が半開きになっていた。
「…なんでさ?」
中を覗けば、そこには女の子が倒れていた。
橙色の明るい髪を肩まで伸ばした健康的な印象を受ける顔立ち。
視線が下にいくにつれ、その豊満な胸が強調されて見えてしまう。
逸らそう、と思いながらもつい見てしまうのは男の性が。
「桜より…あ、いやそうじゃない大丈夫か、あんた?」
白い、何処かの高校のブレザーの様な服装。
いや、年格好からして実際に高校の制服なのだろう。
「あ?この娘…確か…」
そうだ、昨日の転校生じゃないか。
記憶を辿れば、つい先日見たばかりの服装。
顔立ちまではあまりハッキリ記憶していなかったが確か一年に転校生が来ただかで人だかりができていた、その中心に居た人物だ。
******
もうすぐ、予鈴の鐘が鳴る。
ホームルームまで間がない、急がなければ。
「やばいな、つい修理に夢中になっちまった。」
朝も早くから、生徒会から頼まれた備品を修理していたのだが意外に手間がかかる作業につい、時間を忘れて没頭してしまってこの有様だ。
足早に一年の教室の前を通り抜けようとした時、目の前に人だかりがあるのが見えた。
どうやら女子生徒と男子生徒がなにがしか口論をしているようだった。
「ね、君今日から来るって聞いていた転校生だよな、なかなか可愛いじゃん、どう、良かったら弓道部に見学に来ない?朝練は終わったけどさ、夕方にでも見に来いよ、ボクの美しい立ち姿を見せてあげるからさ?」
…時間も無いし、関わり合いになっている場合では無いのだが。
「あの、先輩…私弓道に興味はありませんし…あと、転入手続きがあるから忙しいんです…申し訳ありませんがどいてもらえませんか?」
「は!照れるのは仕方ないけどさぁ、この僕が誘ってるんだ、後から後悔しちゃうぜ?」
「何このワカメ…うz」
「は?何だって?聞こえ無いんだけど。」
渦中の人物、片方は良く知った顔だった。
文武両道、学問も部活もそつなくこなす秀才…何だが、どうも他者との関わりの持ち方に問題がある友人であった。
「はぁ、仕方ない…おい、慎二。」
「あぁ?衛宮ぁ?」
「もうすぐ予鈴鳴るぞ、お前も2年なんだから早く行かないと藤姉…っと、いや藤村センセに怒られちまうぞ?」
「…ちっ、腹立たしいけど確かにね…まぁ、一応感謝するよ衛宮。」
「はは、感謝なんかいいさお前とは友達だからな、さ、行こう。」
******
そう、そのまま教室に向かって…完全に置き去りにする形で放置してしまったのが確か。
この娘だったはずだ。
すやすやと硬い土蔵の床で眠る姿はもはや堂々とすらしている、が。
このままにもできまい。
「おい、起きなよ、おーい?」
つん、つんと頬を突くが、一向に起きない。
「ん〜むにゃ、兄さん…エッチな本の隠し場所はもうすこし考えなよ…ふにゃ。」
…なんだこの寝言。
仕方ない。
「よい、しょっ…とぉ。」
すこし躊躇したが、やはりこのままにも出来ないな、と彼女を抱き上げ、和室の一角に運ぼうと歩き出す。
…所謂お姫様抱っこだ。
藤姉や桜に見つかる前に早いところ運ばないと。
「ふ、ふふふもう食べられませんよ…、、ヤん。」
「な、なっ!?」
なんだ、偶然か?
今、衛宮んって言わなかったか?
いや…ハッキリ聞こえたわけじゃないしなにか別の単語かもしれない。
なごやん、とか。
「はぁ、まあいいや…とりあえず…」
和室の戸を足で開け、中に入る。
「布団、をーー」
「おぅ、小僧…布団これでいいか?」
何故か。
先回りする形で上半身半裸、フードを被って下半身はジーンズ姿の野性味溢れる筋肉質の男が布団を引いてその前に佇んでいた。
「は…?」
「おぅ。」
「な、なんだお前ーーーーっ!?」
衛宮士郎。
穂群原学園2年生。
こうして、彼を巻きこんで私と、バーサーカーの冒険譚は幕を開けたのでした。
と言うわけで第二回です。
士郎にはこういう形でサブ主人公として登場して貰いました。
因みにサーヴァントは未召喚です。
本来なら士郎がたどるはずだったランサーとアーチャーの対決シーンを目撃したのはぐだ子さんこと九重 朔弥(ここのえ さくや)。
彼女は曲がりなりにも魔術師であった為からくもランサーの追撃を逃れて逃げた先が衛宮家土蔵だった、という訳でした。
ランサーが入れ替わり、中華なランサーに。
バーサーカーがセイバーの代わりに召喚された事で、他にも改変される歴史が出てきますがそこは今後ゆっくり明かしていきたいと思います。
皆さまの応援があれば続きます!
戦闘とか入らなくてすいません。
原作にある程度そう形で話を進行しますのでまったりとお待ちくださいませ。
それでは、また次回があればお会いしましょう!
2016.5.22 携帯より某所にて初稿投稿。