槍が示すは殺意ーー美しき槍兵、推参。
新ランサー、新バーサーカー参戦。
これはFate/staynight、及びFate/GrandOrderの二次創作です。
捏造設定、独自解釈、オリキャラなどが入る可能性があります。
それでも構わないという心の広い方のみ、先へとお進み下さい。
無理!という方にはブラウザバックを推奨致します。
☆【現在判明している正史との相違点。 】
◆ 衛宮士郎が実戦レベルの魔術を使える。
◇ 切嗣は死が確定しておらず、行方不明。
◆ アインツベルン陣営はセイバーを召喚。
◇ ランサーが近代中国の英霊。
◆ バーサーカーはクー・フーリン・オルタ
◇ 聖杯により(?)
◆ 更に7騎の英霊が追加召喚される。
◇ 間桐慎二と英雄王が組まない。
◆ 大聖杯のある空洞内に謎の結晶。
ぐだ子はカルデアでの事は覚えていませんし、そもそも並行世界の同一存在です。
しかし、同じ人間ではありますから…何かはある、かもしれません?
、と言ってましたが段々それも怪しくなってまいりました、果たして…真実は?
ぐだ男は………。
それではどうぞ、拙い作品ではありますがお楽しみ下さい。
「ありえないわ…何なのこれは…」
大聖杯がある大空洞にほど近い、円蔵山中腹にある柳洞寺。
その境内で一人の女サーヴァントが立ち尽くしていた。
紫のフードを目深に被り、手には水晶球を持つ立ち姿。
足元には術式の施された円陣が描かれており、今尚仄かに光を発している。
何某かの儀式の片手間に何かを探っていた様だ。
「ーーどうした、キャスター?」
彼女こそは「魔術師」のサーヴァント。
コルキスの魔女…メディア。
そのキャスターに声をかけたのは現在のマスター、葛木宗一郎。
士郎や凛も通う穂群原学園の教師であり、数奇な運命から一度はマスターを失ったキャスターと契約を交わした魔術師では無い男。
「宗一郎様…聖杯が蠢動しています…まだ戦いは序盤だと言うのに、何故…?」
「さてな、魔術師でない私には検討もつかないがーー敵を倒す、どうあれそれで方が付くのだろう?」
「ーー確かに…誰がいかな小細工を弄したところで聖杯そのものさえ押さえてしまえば他に意味は無いーー」
「そら、ならば勝てばいい。」
「本当に貴方は不思議なマスターですこと…何の根拠もないそんな言葉を信じてしまいたくなります。」
ふふ、と柄にもなく笑みをこぼし。
キャスターは再び作業に戻る。
強く、強く、強くなる為にーーーー。
************
「さて、シンジ。」
「ーーお前、馴れ馴れしいんだよ…!」
街の外れ、10年前の大災害の余波で崩れかけたスポーツジム跡。
その一室ーー埃に塗れた椅子を払い、胡座をかいて座る女。
「そう邪険にしなさんな、あんたは私を知らないだろうがねーー私は、あんたを知ってる。」
そう、間桐慎二。
私はこいつを知っている、いやーーこいつと同じ名と姿をした無垢な魂を知っている。
だからだろうか。
マスターも無く、ささやかな魔力だけを与えられて現界したその耳朶に聞こえた声は。
聞き慣れた、あの子供じみた、すぐヒステリックに叫び散らす馬鹿に。
とてもとても似ていたから。
「はぁ?真逆とは思うがお前、爺の差し金か?」
「爺…あぁマキリ・ゾォルケンか、違うね、聞いただけではあるがあんな奇人変人大賞にかかずらわる気はさらっさら無いね。」
「奇人変じ…ぶっ!」
あのマキリ・ゾォルケンに奇人変人とは痛快極まりない。
恐ろしく、決して逆らえない存在だと思っていたあの化け物を随分と面白可笑しく言ってくれる。
「ふ、まあ聞きなよ…あたしはあんたじゃないあんたを知っている、平行世界と言えばいいのかね…あんたはそこじゃ、あたしのマスターだったのさ、シンジ。」
「僕が?たいした魔力も魔術回路も無い凡人の僕がか?」
「ーーそうさ、その聖杯戦争じゃあマナやオドは必要無かった、ただ度胸と才覚があればマスター足り得たのさ。」
「だから僕を選ぶのか、でも生憎僕には魔術回路はないしーー疑臣の書も焼けちまった…この世界じゃあ令呪すら無い僕と再契約なんて土台不可能だ、他を当たれよ。」
「大丈夫さーー魔力、令呪に関してなら心配無いね…なんせーー」
そう言ってドレイクは慎二の手を取り、自らの胸元に引き寄せた。
「は、ちょ、な、何?」
暖かく柔らかな柔肉の感触に慌てる慎二。
だが、次の瞬間その表情が固まった。
「ーーこ、コレーー」
引き抜かれた自身の手に感じる莫大な魔力。
そして、慎二の手のひらに具現したその形は。
金色の盃ーーそれは、まるで。
「なんだこれ…まるで聖杯みたいな形しやがって…しかも尋常じゃない魔力っ!?」
「ああ、あたしが受け継いだお宝ーー聖杯、ホーリーグレイル・オブ・オケアノスさ。」
「は、はーーーー!?」
ジムの中、慎二の絶叫が響き渡った。
当たり前である、こんなことを聞いたら間違い無く全聖杯戦争関係者が白目を剥くだろう。
「ーー、な、なんで最初から聖杯戦争の勝利者の景品持ってるんだ、お前ぇぇっ!?」
「ハハッ、なんでだろうねぇ?」
「な、あ、えぇ〜〜〜???」
「く、ハハッ、ハッハハ、ひー可笑しい…あぁ、言っておくがこいつは願望機としての性能は失ってるからね?」
「な、あ、あ、え??」
最早慎二の理解をはるかに超えた事態に、口も頭も追いつかず、ただただ驚くしかない。
「ーーこいつはね、最早聖杯を巡るだけの争いじゃあ無くなってるのさ。」
「お、おまっ、おまっ…え」
「ーーああ、そういやあまだ名乗って無かったねぇ…悪い悪いシンジだと思ったらつい、ね。」
「い、いやそうじゃな…」
「ーー私はフランシス・ドレイク…史実じゃあ男扱いされちゃいるけどね事実はこんなもんさ…絶世の美女が海賊ーーどうだい、痺れるだろう?」
パチン、とウィンクして悪戯っぽく笑うその顔は、まるで子供みたいな心底満足気な笑み。
強さの中に純粋さを併せ持った、世界史上、二番目に世界を一周した人物は。
本当に子供の様な一面を要していると見える。
「ーーさて、そろそろ馴染んだかい?」
「あ、えっ?」
一瞬見惚れていた慎二が腑抜けた声を出し、自らの手の甲を見つめると。
そこには帆船を模した形状の令呪が三画。
青い刺青の様に現われてーーいた。
***********
「ーー全く、
パリッとノリがかかった仕立ての良い、それでいて運動を前提に仕立て上げられたスーツに身を包んだ、短く切り揃えたショートカット、手にはレザーグローブをし傍らには大きなバッグを置いた男装の麗人ーー、と言うよりは動きやすい格好を追い求めた結果として男装の様になっただけなのだが。
バゼット・フラガ・マクレミッツ。
魔術協会の虎の子である
通常の魔術師には捕縛、或いは殺害が不可能な封印指定を受けた異能者、実力者を抹殺、無力化するために存在する所謂
中でも彼女は突出した実力をもつ最終兵器。
そんな彼女を投入しながら下された命令は沙汰あるまでの待機。
「解せぬ、と言う顔だねえ…レディがその様な顔をするものではないよ、バゼット。」
無意識に顰め面をしていたバゼットの前に長い金髪をふぁさ、っとなびかせて歩み寄るのは、ランサー、フィン・マックール。
フィオナ騎士団の長にして「
その槍は堕ちたる神霊をも屠ったと言われ、クー・フーリンからすれば同じくケルトに連なる同郷人ーー言うなれば後輩にあたる人物。
「ランサー…私としては貴方が召喚された事態がそもそも解せないのです…全サーヴァントは召喚されて私は出遅れた筈だったーーそこへマスター不在の貴方がふらりと現れて…」
『宜しければ私と契約してくれませんか、お嬢さん?』と来た。
「私としても僥倖だった、ルーンを扱い…まさか現代まで我が時代の神秘を受け継ぐ者とーー何よりこの様に美しいマスターと巡り会えたのだからね!」
ランサー曰く、自分の他にも六騎の英霊が僅かな魔力とリミッターが外れたスペックを持って召喚されたと言う。
自分がそうであり、また状況や召喚された際の周囲の魔力密度からもまず間違いが無いと。
如何なる手段でその様な情報を得たかと問えば。
「今知ったのだよ。」
と何故か親指を口に咥えて答えを返された。
ーー後から聞いた話では彼の親指にはかつて師であるフィネガスに教えられ、焼いて食べようとした智慧の鮭「フィンタン」の脂が跳ねてかかった際に熱さのあまり口に含んだーーが染み込んでおり、それは舐める事で彼の中の知識を元に、その思考速度を跳ね上げ、更には周囲の情報を知識として感じ取り、演算し、予測する…恐るべき智慧の宝具なのだ。
(赤ん坊の指しゃぶりみたいだ、などと空気を読まずに茶々を入れては…いけませんよね…しかし、気になる……。)
「ーーともあれ、貴方は伝承通りに智慧に溢れた御仁である様だ。」
とりあえず褒めておこう、実際には憧れのフィオナ騎士団の長たる人物がこうも軽薄だとは想像すらしなかったが。
いや、しかし女難で身を滅ぼし騎士団を瓦解させるきっかけになっていた筈だしあながち間違いでも無いのだろうか。
「はっはっはっ、そうであろうとも!いつ、如何なる時も輝いてしまうのが私と言う男だからな!」
この軽いノリが無ければ文句なしに強く美しい英霊なのだが。
「ーー兎に角情報だけでも探らねばなりませんからね…脚を使うしか無いでしょう、使い魔だけではいささか不安だ。」
「ーーさて、残念だねバゼット…静観せよ、と言う話だがどうやら静かに潜ませてはくれない様だよ?」
ーー指、離そうか大英雄、と…そうでは無い。
「どう言う事です、ランサー?」
「うん、お客さんの様だよ。」
スウ、と立ち上がると手を翳すフィン。
その手には光と共に槍が現れる。
その刃は諸刃、柄には紫の蔦が絡まる意匠が施されている。
彼の持つ伝承の結晶、神霊殺しの無敗の槍が顕現する。
バゼットはその槍を見た途端に引き込まれる様な感覚を覚え、アタマを振る。
「ーーあまり見つめない方がいいよ?」
神霊の祟りが怖いからね、などと冗談とも本気ともつかない台詞を吐くランサー。
槍から感じられたのは途方も無い殺気。
窓から吹き込む風が、彼等が待機していたマンションの一室に生温い感触を持ち込む。
冬だと言うのに、だ。
「カハァ…」
窓枠に手をかけ、顔をのぞかせたのはーー。
短く刈りそろえられた灰褐色の髪、爛々と輝く両の眼をこちらに向ける、金の肩当、同じく金の手甲、赤いマントを羽織りサンダルを履いた男。
「ーーその理性が蒸発した眼ーーバーサーカーか…こんな狭い場所で狂戦士の相手とはまた、骨が折れるな。」
軽口を叩きながら隙の無い所作で槍を構え、腰を落とす。
「ーー敵、ハーー殺す、コロスコロス、ロー、敵、コロスコロスコロス、殺スゥ!!」
両手を広げ、羽撃くようなポーズから、獣じみた動きで飛び掛かる男、バーサーカー。
「ーーは、私と素手で渡り合う気かね、流石バーサーカー…頭が沸騰しているんじゃないかね、そらっ!」
飛び掛かるバーサーカーに対しランサーの容赦ない槍捌きが襲う。
怒涛の突きに怯む何処か、更に距離を詰め、体中を傷だらけにしながらも全て直撃を避けたバーサーカーは信じられない行動に出た。
「顔がーーがら空きだぞ!」
突き入れられた槍の穂先をーー
ガチン!!
歯で、噛み付いて止めたのだ。
「な、何ぃ!?」
慌てたランサーの隙を突き、刃を顔ごと振って逸らすと一瞬にして懐に潜り込む。
ズドン!
鈍い音と共にバーサーカーの膝がランサーの鳩尾にめり込んだ。
「ガハッ!?」
血反吐を吐き散らしながら一瞬宙に浮いた後、バーサーカーの拳が更に追い打ちをかける。
嵐のような拳打がフィンの美しい顔を捉えた。
「ーーッ!」
たたらを踏み、しかし踏みとどまると槍を引き戻し、バーサーカーへと怒りを向ける。
「やって、くれたなっ蛮夫めがっ!!」
槍を構えたかと思えば、次の瞬間にはまるで針のような無数の煌めきがバーサーカーに降り注ぐ。
本来の宝具開帳の数万分の一の力ではあるが、水の勢いは分厚いコンクリートにも穴を穿つ程だ。
「ーーガァア!!」
身体に無数に刺さる水の針に怯んだバーサーカー。
そこを見逃す
「一対一ではありませんよ、サーヴァント!」
肉体強化の魔術により瞬間的にはサーヴァントにも迫る速度でロケット砲の様に飛び出し、その拳がバーサーカーの鳩尾を捉えた。
たまらず吹き飛ばされ、壁に激突してめり込むバーサーカー。
「ーーランサーの痛み…お返ししましたよ。」
硬化のルーンが施されたレザーグローブによる近接打撃。
更にはルーンによる肉体強化、本人の類稀なる戦闘技能。
それらを持ってして彼女は真にサーヴァント並みの戦闘技能を有している。
それが魔術協会のジョーカー、封印指定執行者ーーバゼット・フラガ・マクレミッツ。
「おいおい、私の立場が無いではないか」
苦笑いのランサー。
それはそうだろうまさか英霊、しかもバーサーカーと殴り合える人間がいようとは。
「まるで
「はしたないと思いますか、ランサー?」
「いいや?最高の女性だよ、君は!」
笑顔で槍を構え直し、バゼットと並ぶランサー。
唸り声を上げて立ち上がるバーサーカーを、二人の視線が、射抜いた。
はい、皆様こんばんは、こんにちわ、おはようございます、ギルスです。
今回もまた新サーヴァントとマスターが登場。
本編Fate/staynightでは麻婆神父に騙され、片手ごと令呪とクー・フーリンの兄貴を奪われた失意の人、バゼット・フラガ・マクレミッツ。
続編にあたるホロウ・アタラクシアではアベンジャー、
詳細は語られず仕舞いなので全て直接戦闘かどうかはわかりませんけど、多分ダメットさんなら肉体言語で退けたに違いない、俺は信じているぞ!(何がだ
そしてランサーはやはり兄貴を二人出すわけにはいかないので…
智慧の宝具、
槍兵ーーフィン・マックールさんと相成りました。
バーサーカーは…FGOにもいる人です。
まあ新バーサーカーは次回あたり真名バレするかも。
駆け足になりそうですが、新規サーヴァントとマスターを早めに出していく予定です。
また、既存のキャスターとアサシンは多分原作そのままです。
多分、だけどw
それでは、また次回更新でお会いしましょう!
しーゆー!!
H28 8月16日 21:45 自室にて某所に初稿投稿。