捏造設定、独自解釈、オリキャラなどが入る可能性があります。
それでも構わないという心の広い方のみ、先へとお進み下さい。
無理!という方にはブラウザバックを推奨致します。
それは、稲妻の様な切っ先だった。
心臓を串刺しにせんと繰り出される槍の穂先。
躱そうとする試みは無意味だろう。
それが稲妻である以上、人の目では捉えられない。
死にたくない、死んで、いいはずがない。
兄さん、兄さんーー私は、まだ。
死ね、ない。
その思考を最後に、我が身は百舌鳥の早贄よろしく貫かれるのかと。
身を強張らせた。
加速した思考が、ゆっくり、ゆっくりと迫る槍を認識して。
だが、身体はそれを回避できるだけの動きはできず。
ただ、必死に考えに考えた。
何かを、聞いて、答えた様な気がした。
そして、稲妻はとうとう私の身体をーーーー、
だが。
この身を貫こうとする稲妻は、
稲妻以上の速度を持った紅い暴風に吹き散らされた。
ズシン、と言う重い足音。
目の前の敵が踏み鳴らした踏み込みよりなお重く、速い。
我が身を襲った稲妻と、奇しくも同じく長い柄を持つ「槍」と呼ばれるその武器は。
紅く、暗く…そして、何より余りに恐ろしかった。
「問おう、貴様が俺のマスターか。」
巨大な黒い影が喋った。
紅く、暗いその凶器を構えたまま。
「え?あ、え?」
混乱の極みにある私の頭はまともな答えを返せず。
目の前に立つ存在が私に語りかけていると理解するまでに暫しの間を必要とした。
「…ちっ、ハッキリしやがれお前が俺のマスターか、と聞いている。」
気怠そうに、しかし眼は相手の動きの一端すら、視界から外さない。
「小僧、貴様が何者かは知らんがな…この儂を前に余所見とは良い度胸じゃ!」
こちらが悠長に会話するのをいつまでも待ってくれる筈も無く、槍を構えた赤い影は苛立ちを含んだ声で叫んで来た。
ジャッ!
と風切り音を立て、鈍色の鋼が再び稲妻の様な速度で迫る。
今度は目の前の…紅い暴風の主に。
「は、しゃらくせぇ!」
ガイン!
と激しく音を立て、鋼が打ち合う音が暗い土蔵の中に響いた。
「まあ、いい…その手に宿る令呪…お前が俺のマスターで間違いはなさそうだ。」
不敵な笑み。
まるで牙の様にずらりと並ぶ尖った歯。
三日月の様に歪めた口元を隠しもせず、眼前の敵を見据える、漆黒の立ち姿。
フードに半ば隠れた顔は野性味あふれ、両耳には長い水晶の様なイヤリング。
両脚は黒い、まるで捻れた角の様に見える無数の棘に覆われた生物じみた装甲に鎧われている。
腰から伸びるのは…尻尾???
まるで巨大な百足にも見える尻尾がゆらゆらと揺れていた。
紅い月が輝く空が。
土蔵の窓から怖いくらいの赤光を差しいれている。
私はーー
初めて、誰かに「畏怖」と「憧れ」を同時に抱いた。
という訳でプロローグのみです。
流石に冒頭の相手が兄貴同士ではいけないのでランサーは差し替えが起こりましたw
うん、バレバレかもしれない☆4ランサーなあの方です。
また、バーサーカーなオルタニキが主人公と契約したため、アインツベルンの枠も変わります。
また、この作品途中から本気で原作を逸脱します。
オリキャラもいくらか入りますので、そのあたりご了承下さい。
それではーー次回更新でお会いしましょう!
2016.5.21 Pixivにて初稿up、8月28日、ハーメルンにて加筆修正後、投稿。