東方project × ONE PIECE ~狂気の吸血鬼と鮮血の記憶~   作:すずひら

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前回のまとめ

・ルミニアの重い過去


恐竜の島と死闘の代償

 

 

うわぁ、すごい。

目の前の光景を見て出てくるのはそんな感想だった。

小学生並の感想だった。

いや、きょうびの小学生でももう少しまともな感想を言うだろう。

 

でも、そのくらいすごかったのだ。

言葉が出なくなるくらい。

 

なにせ、私の目の前では恐竜が闊歩していた。

 

「すごいね、生きてる恐竜を見たのは初めてだよ」

 

「アレらは恐竜というのですか?」

 

「私が知ってるのと同じならね」

 

ナヴィが尋ねてくるけど、私は半ば生返事のように答えていた。

 

私たちのサンタマリア号が出航してから実に一年。

今日辿り着いた島には恐竜が闊歩していた。

見た感じティラノサウルスっぽいのやらトリケラトプスっぽいの、プテラノドンっぽいのも飛んでいる。

 

「みんな、一応私から離れないでおいてね。あれ、結構強いよ」

 

私の言葉にクルーは返事を返してくるけど、その声は震えていたりする。

当然だ、私もちょっと怖い。

 

いや、私は戦えば負けないと思う。

素手でも殺せるし、スペルカードや魔法を使うならまとめて瞬殺もできるくらいの実力差はある。

うぬぼれじゃないとは思う。

 

だけど、なんというか前世の記憶が邪魔するのか根源的な恐怖を感じる。

幻想の存在が目の前にいるというのも拍車をかけているのだろうか。

 

 

それにしても恐竜とは。

人間が生きている時期と同年代にいるということは、この世界は本格的に地球ではなさそうだ。

まぁレッドラインやカームベルトといった不思議な環境や海王類といった不思議生物がいる時点で今更ではあるのだけど。

というかそもそも人間のように見える彼らだって覇気といった不思議パワーを使えたりする時点で私の知る人間とは厳密には違うのだろう。

 

「どうしようかなぁ」

 

「この島の調査をするのは骨が折れそうですね」

 

「そうだねぇ、でも植生とかもかなり違うみたいだしなぁ」

 

正直なところ、私は恐竜がナマで見れただけで結構満足しているのだけど、この航海の目的から言ってここで帰るのはなんか違うんだよね。

かといってクルーの皆を危険にさらすのは船長としてどうなのっていう。

草食恐竜はともかく、あのティラノっぽいのはクルーの中で一番強いマロンが挑んでも返り討ちだと思う。

 

とと、そんな事を考えていたら一体の恐竜に目を付けられてしまった。

ティラノっぽい恐竜がマロンに攻撃してきたので、私は仕方なく腕を振るった。

当然、耐えられるはずもない。

恐竜は破裂した肉片入り血袋と化した。

 

「うおう……流石船長……」

 

「いや、これは結構グロ……」

 

「うっ……」

 

ああ、ちょっと手段を間違えたかも。

ルミャなんか吐きそうな顔色をしてる。

ああ、こんなところも吸血鬼になって感性が変わっちゃってるなぁ。

私はむしろ飛び散る綺麗な赤色に興奮すら覚えているのに。

 

というかちょっと恐竜の血を飲んでみたい。

どんな味がするんだろう。

 

「――キャプテン、何体か他にも向かってきますぜ」

 

「血の臭いに寄ってきたのでしょうか。船長、どうしますか?」

 

ちょっと悩む。

この島の生態系を壊すのは少し躊躇する。

ただまぁ、向かってきたのは向こうからだし。吸血鬼である私が恐竜の絶滅を心配してあげる謂れもない、か。

そうだね、絶滅したら博物館に化石で飾って、「フランドール・スカーレットに絶滅させられた」って説明文でもつけてあげよう。

 

「よし、刃向かうものは殲滅! “禁忌『恋の迷路』”」

 

スペルカードを発動させる。

途端に周囲に妖力でできた壁が構築されていく。

恐竜の体当たり程度ではびくともしない壁だ。

恐竜たちは次々分断されていき、臆病な恐竜は逃げ始めた。

とりあえず、目の前には一体の肉食っぽい大型恐竜が残った。

その眼には恐怖もあるけどそれよりも強い敵意と食欲が浮かんでいる。

 

普段は大型の草食恐竜を食べているだろうし、なんで小さくて食べごたえもなさそうな私たちに食欲を向けるんだろう、と不思議だったけど、よくよく恐竜を見てその疑問は氷解した。

この恐竜、わずかだけど妖力――覇気を纏っている。

なるほど、覇気とはつまり生命エネルギー。

覇気を感じ取れるならそこらの恐竜よりも私やマロンの方が食べごたえがあるように感じるだろう。

ん、でも私は普段妖力を体の内にしまっているので感知できてないのかな。

さっきもマロンに襲い掛かってたし。

 

「とりあえず何事も経験。20人全員でその恐竜を倒すこと。やれる?」

 

「やります、キャプテン!」とウェン。

 

「任せとけって、ボス!」とラン。

 

「応ともさ、お頭!」とカープ。

 

「無論だ、船長」とクック。

 

「ふええええ」と情けない声を出しているのはルミャ。

 

ルミャ以外からは力強い返事が返ってくる。

まぁヤミヤミの実は直接戦闘むきの能力じゃないからね。

ヤミヤミの実は物理攻撃を受け流せるという強みのあるロギアに属しているくせに、その(じつ)まったく受け流せないという悲しい能力を持っている。

それどころか実を食べる前と比べて、攻撃が何倍も痛いらしい。

これは多分相手の攻撃の衝撃とかを必要以上に吸い込んじゃってるんだろうね。

“痛み”まで吸い込んでるから激痛が走る。

一応ロギアの特性は失われていないから体に傷はつかないみたいだけどね。

 

まーそれ以上にルミャが闘いたくないのは精神的なものが大きいと思うけど。

もともと戦闘要員で連れてきたわけじゃないからそこはいいんだけどさ。

 

「危なくなったら呼んでね。死んでなかったら助けてあげる」

 

まぁそれは死んでしまったら諦めるということでもある。

最悪船を動かせる人数残ったら大丈夫だしね。

 

さて、私は未知の体験――恐竜への吸血行為を始めてみよう。

 

 

 

 

船長が去った後、残された俺たちは目の前の恐竜という大型陸上生物と死闘を繰り広げた。

 

まず、俺の剣だが、そのままでは頑丈な表皮を削り取るのも困難で、覇気を纏わせないと斬るのは難しかった。

俺一人だったならばかなりの長期戦を強いられた相手だろう。

加えてこの巨体での一撃を喰らえば一発でダウンしてしまう可能性は非常に高い。

勝つのは困難といえるだろう。

 

しかし、俺には頼れる仲間がいた。

 

ウェンはヒエヒエの実で相手の素早い移動を阻害してくれるし、ランの覇気を纏った槍は確実にダメージを与えている。

威力の点で最も大きいのはクックの一撃だ。

覇気を纏った拳は表皮を貫き体の内部で威力を爆発させる。

浸透勁というんだったか。

俺も教えてもらったがなかなかできるようにはならない。

とにかく、その一撃が入った時には恐竜もよろけて呻いていた。

 

勿論こちらの被害もゼロではない。

一番のピンチだったのは巨大な咆哮で皆の動きが止められてしまったことだ。

あれは覇王色の覇気にとてもよく似ていた。

フラン様の物ほどではないため、皆気絶まではしなかったが、一瞬体が硬直してしまった。

そしてその隙の爪での攻撃で二人やられた。

重傷だったため後方に下げて、船医が治療を施している。

他にも牙を躱しきれずに一人、振動に足を取られてその隙にやられたのが一人、ロギアだからと油断してやられたのが一人。

相手が薄くとはいえ覇気を纏っていることに気づかなかったのだろう。

これは情報を皆に共有しなかった副船長の俺のミスでもある。

そうして船医と戦えないルミャを含めてすでにメンバーの三分の一、七人が戦線を離脱している。

 

当然、その分残った者にかかる負担は大きい。

くそ、フラン様が軽く屠った相手に20人がかりで手こずるってのは情けねえ。

 

言い訳がましいが、せめて俺の愛剣があれば――。

今の剣も悪くはないのだが、やはり愛着があって長年使っていた剣と比べると覇気の(とお)りが全然違う。

 

「GYAAAAAA!」

 

だが、相手もかなりの血を流して激昂している。

動きも鈍ってきているし、このまま押し切れば行ける。

 

……そう、油断したのが悪かった。

意識をそらしたのは一瞬。

だが、致命的だ。

気が付けば俺の目の前には相手の尾が。

今までの戦闘で一度も振るわれなかったそれは、思考の埒外にあった。

避けられない距離、まずいと思う余裕すらない刹那の猶予。

俺は死を覚悟した。

フラン様を呼ぶことさえ思いつかなかった。

 

「マロンさんっ!」

 

その刹那に飛び込んできたのは、いままで戦闘には参加しないで後方支援に徹していたルミャだった。

彼女の事情についてはフラン様からクルー全員に伝えられている。

能力の暴走で家族と隣人を精神的に殺してしまった悲運の少女。

その事件によって優しい家族も巫女としての輝かしい未来もすべてを失った。

 

生来の性格とその事件により他者を傷つけることを恐れる少女をフラン様も俺たちクルーも無理に戦闘に参加させようとはしなかった。

そもそも自ら立候補してクルーになったわけでもないのだから。

 

加えて、屈強な体を持つ男である俺たちクルーと違って、彼女は酷く華奢だ。

強く抱きしめれば折れてしまいそうなほどの体。

もちろんフラン様もそうだが、フラン様はその身からあふれ出る存在感がそうは見せない。

ルミャは違う。

彼女は、根本的に戦う者の体ではない。

 

だから、この戦闘でも彼女が戦いに参加しないことを責めるクルーはいなかった。

むしろ、目の前の巨大な敵の恐怖に耐えてけが人の治療にあたっている姿を賞賛すらしていた。

 

ゆえに、咄嗟に飛び出して俺をかばったことにその場の全員が驚愕した。

 

ルミャが恐竜の一撃を受けて吹き飛ばされる。

小さな体がボールのように軽々と吹き飛び、周囲にあった木に激突した。

死んでいてもおかしくない。

強力な一撃をもろに全身で受け止めたのだ。

彼女は自然系(ロギア)の能力者ではあるが、今の一撃は相手も覇気をまとっており、まごうことなき直撃。

 

「――ルミャ!!」

 

俺は叫び、彼女のもとに走り出そうとする体を必死に引き留めた。

ここで俺が行って何になるというのか。

自分の身すら守れず、幼い少女に身を挺して庇わせる無能の俺が。

今俺に出来ることは、ただ、目の前の害獣を倒すことのみ――!

 

顔が熱かった。

いや、顔だけではない。

頭が、そして次第に全身が熱を放ち始めた。

頭に血が上っているわけではない。

彼女が殺されたかもしれないということには激昂しているが、同時にひどく冷静で、冷淡な思考も持ち合わせている。

単純に、今までにない力が溢れてきているのだろうか。

――今なら、()れる!

否! 殺らなければならない!

 

「ウェン、ラン、クック、10秒足止めを頼む!」

 

俺の唐突な言葉にも、彼ら三人はいち早くルミャがやられた衝撃から立ち直って行動に移してくれた。

他のクルーはまだ硬直が抜けきっていない。

 

三人が決死の足止めをしている間、俺は目を閉じただひたすらに集中していた。

借りていた剣は申し訳ないが捨て置く。

馴染まぬ剣よりも、今は。

 

思い出すのは、フラン様が行っていた覇気の物質化。

形状と、質感と、色彩と――現実にソレがあるかのように頭の中で思い描く。

目を開ければ、今まで成功する気配を微塵も見せなかったが、予感通りこの土壇場で、一発で成功した。

原因は、ルミャが目の前で俺をかばってやられた事だろう。

なぜそれで俺の覇気の操作技術が上がるのかはわからないが――仇をとれと、言われている気がした。

 

「うおおおおおおお!」

 

叫び、全力の刺突を恐竜に叩き込まんと地を駆ける。

三人は俺の指示通り敵の足止めに徹してくれていた。

クックの一撃が足に入り、奴がふらついた。

好機――やれる、全力の一撃を!

 

だが、そこで恐竜はぐっと両足に力を込めた。

それはこの戦闘のさなか何度も見ている動作。

あの動きの後には筋肉のばねを使った跳躍が来る。

今まではそれを避けるだけで良かった。

だが、今動かれては練り上げた決死の一撃が躱されてしまう!

くそ、あんな体勢からでも跳べるのか――。

 

内心で激しい焦燥を感じながらも、俺の足は既に止めることのできない速度になっていた。

躱されればそれこそカウンターで殺される。

チャンスに(はや)った。

物質化した覇気を長時間は維持できない、そこまでの技量は俺にない。

それに焦って軽率な行動をした報いか。

一度ならず二度までも失態を犯そうとしている自分に嫌気がさす。

 

だが、そこで再び奇跡が起こった。

足に力を入れた恐竜は踏ん張りがきかなくなったかのように地面に崩れ落ちたのだ。

否、奇跡ではない。

それは、明確な人間の、強靭な意思の発露だった。

 

恐竜の右足には黒い靄が絡みついていた。

それは、吹き飛ばされたはずの、彼女の力。

重力負荷をかけ恐竜を転倒させた、ヤミヤミの実の力だった。

 

彼女はまだ、生きている。

 

それが分かっただけで、俺の手に持つ覇気の剣はさらに強固になった気がした。

 

「せやあああァァァッッッ!」

 

ドンッ!!!

 

俺の剣は見事に恐竜の首を断ち切り、敵は大量の血を吹き出しながら動かなくなった。

俺はそれを見届け、すぐさま彼女の下に向かった。

 

すでに船医が看てくれていたようで、怪我をしている部分には包帯が巻かれていた。

だが、包帯の白の下からはすぐさま赤が浸食してきている。

声をかけるが、意識はもうろうとしているようで明確な返事は返ってこない。

――この状態で能力の遠隔発動をして、二度にわたって俺を助けてくれたのか。

 

船医に尋ねるも、首を横に振るだけだった。

曰く、処置はしたが傷がふさがらず、このままでは出血多量で危ないという。

 

それを聞き、俺は全力で、島中に響き渡るような大声で叫んだ。

 

 

「フラン様ぁぁぁああああああアアア!!」

 

「――どうしたの?」

 

俺の呼びかけに、転移魔法が使えるフラン様は一秒と掛からず応えてくれた。

恐らくは、俺がピンチに陥ったあの時にも叫べば助けてくれたのだろう。

この方は、そう言う方だった。

 

「ルミャが、傷がふさがらないんです、助けてやってください!」

 

俺は普段と違い、敬語でフラン様に懇願した。

今は、サンタマリア号の船長ではなく、ラフテルの神フランドール・スカーレット様こそが必要だった。

 

「いいよ。――ん、ただ、この状態は普通の治癒魔法じゃ治らないね」

 

ルミャに手を当てたフラン様は数秒してそう言った。

俺にはそれが絶望的な宣告に聞こえた。

 

「治らないんですか」

 

「生命力が漏れ出しすぎてる。普通の治癒魔法じゃもたないね。一つ治す方法はあるけど、それをやるとルミャはちょっと人間じゃなくなっちゃうかな。本人の了承なしに人間やめさせちゃうのはちょっと「お願いします! 責任は俺がとります!」

 

俺はフラン様の言葉に被せるように叫んだ。

不敬だなんだと考えていられる余裕はなかった。

俺の腕の中の少女は今も刻一刻と冷たくなっている。

俺を二度も救った少女の命の灯は消えかけていた。

 

「……ん、わかった。一生責任とってあげてね」

 

そう言うとフラン様はルミャの首筋に噛みついた。

なぜここで吸血を?

そう思ったが、疑問はすぐに解消された。

吸血とは逆にフラン様の妖力が噛み跡からルミャに流れ込んでいるのを感じる。

覇気とは生命エネルギー。

それも、フラン様の妖力ともなれば人間の覇気とは全く性質の異なる高純度の物だ。

なるほど、これなら確かに失った血や生気を補って余りあるだろう。

 

――同時に、思い至る。

フラン様の妖力が流れていくということはこぁ様と同じような眷属化ではないか。

人間ではないものになる、というのはそういうことか……。

 

治療は一分ほどで終わった。

フラン様がルミャの首筋から口を離したときには、すでにルミャの体温や血の気は元に戻っており、正常な呼吸をしていた。

船医が看たところによれば傷跡すら治っていたそうだ。

 

フラン様は他の重傷者たちにも治療を施した後、また迷路の外へと飛び去って行った。

 

俺には力が足りない。

大切な仲間たちも守れずに、何がロマンだ。

俺の命を二度も救ったルミャに、返せる恩は。

 

 

 

 

「あー結構おいしかった」

 

フランがマロンたちクルーの元へ戻ってきたのは日が暮れてからだった。

 

「なにか収穫はありましたか、船長」

 

ナヴィの言葉に、フランは満面の笑みで答える。

 

「いやー、動物の血も試したことはあるんだけど、獣臭がひどくてとても飲めたものじゃなかったんだよね。でも、恐竜はかなりいい味してた。人間のと比べるとコクが違うね。やっぱり歴史の積み重ねが味にも影響するのかな」

 

そう語るフランはとても楽しそうだった。

 

「抵抗した恐竜は全部殲滅したから、今日は船の中で休んで、明日はこの島を探検してみることにしよう。ざっと見た感じやっぱりこの島は他の島から隔絶されて時代の進みが極端に遅いみたいだね。面白い発見もありそうだよ」

 

「とりあえず明日の事は副船長や皆に伝えておきます。……それで、船長、ルミャの事ですが」

 

「うん、どうかした?」

 

「体調には問題ないのですが、こぁ様のように悪魔になるのでしょうか」

 

「んー、いや、多分それはないかな」

 

「ふむ?」

 

「こぁの時は加減が分からなくて間違って眷属化しちゃったんだよね。でも今回はちゃんと調整したから眷属ってまではいかないかな。翼が生えたりとか見た目が極端に変わることもないと思うよ。送る妖力もルミャの存在を上書きしない程度にとどめたから、せいぜい体が頑丈になるとか、寿命が延びるとかくらいかな。まぁ、確実に人間は辞めちゃうね」

 

「そうですか、わかりました。そのことも副船長には伝えておきましょう」

 

 

 

 

いやぁ、この島はほんとにわくわくさせてくれるね。

私は恐竜が棲む太古の島を探検しながらそんな事を思った。

 

昨日はクルーにも経験と思って恐竜との闘いをさせてみたけど、犠牲者は誰も出なくてよかったよかった。

 

今日は動ける人たち全員でこの島の探索。

昨日怪我をして動けない人たちは船においてきた。

この戦いにはついてこれそうもない――って別に戦わないけどね。

暴れる恐竜は昨日大体駆逐したから、今残っているのは草食のと、肉食の中でも慎重な奴らだけ。

まぁサンタ・マリア号なら恐竜に噛まれても傷一つつかないし、安全面に関しては完璧。

 

でもってこの島だよ。

恐竜がいるだけでもびっくりだけど、植生とかもよくわからないなりにジュラ紀とかそんなイメージをさせる。

周囲の島と完全に孤立した地理環境でガラパゴス諸島みたいになってるのかな。

ガラパゴス諸島の正式名称はコロン諸島。

名前の由来は私たちの船サンタ・マリアに乗っていたコロンブスが語源なわけで、そう考えると色々と運命めいたものを感じる。

 

あれ、でもガラパゴス諸島は別に進化に取り残された島じゃないっけ。

ダーウィンの進化論の発想の元になったのは覚えてるんだけど。

単に外界と別の進化を遂げた島だっけ?

 

まぁそんなのはどうでもいいや、重要なことじゃない。

私のお粗末な知識を披露してどうするのって話だよね。

あーあ、この世界にインターネットでもあれば私も国づくりに苦労したりはしなかっただろうに。

 

でもよく考えると私って記憶力めちゃくちゃいいよね。

なにせ前世のことなんてもう700年以上前のことだし、よく覚えてるなって感じ。

吸血鬼になって記憶の劣化がストップしてるのかな。

 

ありそう。

吸血鬼は長命種だし記憶力は人間の比じゃないよね。

だって100歳超えたらボケてくる吸血鬼とか……うん、カリスマが足りてない。

 

 

そんなどうでもいいことを考えながら島を探索する。

一番役に立っているのはマロンだ。

 

マロンは昨日ルミャが怪我したことでかなり落ち込んでいたけど、一晩寝て大分復活したみたい。

植物に詳しいという特技でもってこの島の未知の植物を片っ端から採取している。

彼の詳しいというのは自慢でも何でもなくてほんとに詳しい。

植物学者の師匠から教えてもらったって言ってたけど、本人も植物学者を名乗れるくらいには知識がある。

まぁ本人は名乗るなら植物学者じゃなくてロマンを求める探検家って名乗るだろうけど。

 

さてさて、他にはどんな新発見があるだろう。

未知の探索って言うわくわくがとまらない。

マロンじゃないけど、ほんとロマンがある。

ああ、航海に出てよかった――。

 






恐竜
原作のX・ドレークがゾオンの古代種大型肉食恐竜の悪魔の実の能力者っぽいので、ワンピース世界にも恐竜っていたんだなという発想から。覇気を使うのももちろん彼のリスペクト。来歴含めカッコいいですよね、彼。ドジっ子だし(ぇ
追記:そういえば原作でもブロギーとドリーのところで恐竜でてましたね。

一年後
この作品は原作前が5000年もあるのでバンバン飛びます。その間もロマンあふれる冒険はずっとあったということで脳内補完してください。次話でまた10年飛びます

覇気の物質化
原作でもそのうちやるんじゃないかと思っている。そこまでいかなくても覇気を使って物質化したロギアとか

ルミャ負傷
過去話が出てきたらだいたい死亡フラグ。無事回収。なおフランのおかげで死亡はしていない模様

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