東方project × ONE PIECE ~狂気の吸血鬼と鮮血の記憶~   作:すずひら

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前回のまとめ

・クルー選び
・自己紹介
・レッドラインの名前付けとか


航海の開始と覇気のあれこれ

 

 

出航式は華やかだった。

特に、ラフテル中の有名な船大工が協力して作った船はとても立派で皆を驚かせた。

名前はフラン様が名付けた『サンタ・マリア号』。

かつてコロンブスが乗ってジパングを目指した有名な帆船、ということだがよくわからん。

サンタ・マリア号にはフラン様が作った辞書が積み込まれているのであとで調べてみよう。

 

 

「マロンさん! 訓練しようぜ!」

 

「おう、いいぞ。今日もたっぷりしごいてやる、ラン」

 

「のぞむところだぜ!」

 

 

航海は穏やかに進んでいた。

クルーはルミャちゃん以外皆しっかりとした航海技術を事前に学んでいたし、副船長の俺の指示にもしっかり従ってくれる。

航海士のナヴィの腕もかなりのもので、俺も安心して船の針路を預けることができた。

 

フラン様は当初皆に混じって船に関わろうとしていた。

皆は内心フラン様の手を煩わせるのもどうかと思っていたが、もともとフラン様の暇つぶしもかねて計画された航海なのだからと誰も何も言わなかった。

しかし、実際のところフラン様に船の知識はほとんどなく、できることと言えば副船長の俺の指示に従って帆を張ったりすることくらい。

さすがの膂力でクルー数人がかりで動かすものを片手で操作していたのは凄いのだが……。

 

まぁ、それも当然である。

かつての古の地との往復ではフラン様はもっぱら空を飛びナビゲートに徹していたらしいし、そもそもフラン様は船に乗って移動することすらこれが初めてだった。

なにせ空を飛べば船など比べ物にならないくらい速く快適に移動できるのだから。

船の操作など覚えるだけ無意味である。

 

よってフラン様は基本的に船の操作など専門的な事には関わらず、料理人であるクックの手伝いや、船の掃除、見張り台での監視など細々とした雑用をすることになった。

 

 

これに悲鳴を上げたのはもともと雑用係として入ったルミャちゃんだ。

フラン様にさすがにそんなことをさせるわけにはいかない、と。

 

……まぁ色々悶着はあったのだが、最終的にはやはりフラン様の自由に過ごしてもらうことに決まった。

当たり前だ。ラフテルの住人に、フラン様に意見することはできても、フラン様の決定を覆すことはできない。

ルミャちゃんにできるのはフラン様がなにもせずともいいよう先回りして全ての仕事を片付けることくらいだった。

 

 

航海が始まって一か月もすると船の雰囲気は非常に和やかで穏やかなものになった。

今では俺を含めフラン様に敬語を使うものも少ない。

もともと誰にでも敬語で話していた者くらいだろう。

 

船の上という狭い空間でずっと寝食を共にしていれば、初めはフラン様に畏れや遠慮のあったものたちも、フラン様のお人柄に惹かれて親しくなっていった。

なにより、フラン様に敬語など畏まった態度で接すると少しだけ悲しそうな顔をするのだ。

あの顔に耐えられる奴はラフテルにはいない。

 

 

航海も順調だった。

時折現れるはぐれ海王類などはクルー皆がこぞって始末してしまう。

なにせこの船のクルーは料理人から船大工に至るまでみな手練れである。

小型の海王類などちょっとした暇つぶしの余興である。

船の針路も初めは古の地に寄る予定なので、そこまでは既に先人たちによって既存の航海ルートが築かれている。

実に安定した船旅だった。

 

俺たちは皆、クックの美味しい料理を楽しみながら、時には宴会をして、時には一発芸大会をして、時にはフラン様の昔話という名の神話を聞き、時には船員同士の喧嘩をした。

おっと、喧嘩って言っても深刻なものじゃない。

俺の獲物を勝手に仕留めやがって、なんだとお前がうすのろなのが悪いんだろうが、ああんてめえやるのかコラ、みたいなじゃれあいである。

フラン様も笑顔できゃっきゃきゃっきゃと手をたたいて楽しんでいた。

 

途中で物資の補給のために島に立ち寄ることもあった。

だが、ラフテルから古の地までの航海ルートにある島はすべて先人たちの手によって調査が入っている。

特に問題はなかった。

 

そうして俺たちは数か月かけて親交を深めながら古の地へとやってきた。

船を下りた俺たちを古の地の人々は歓迎の宴会を開いてもてなしてくれた。

まぁ、フラン様が古の地を訪れるのも久しぶりだからな、当然だろう。

フラン様が彼らに航海の事などを話し、数日の宴会を楽しんでから船旅を再開した。

勿論物資は必要十分なだけわけてもらい、準備も万端である。

 

 

そこからは未知の連続である。

なんともロマンだった。

訪れる島はいずれも奇妙なものであり、新しい発見が次々とあった。

巨大な魔獣との闘いなども心が躍った。

だが、いずれも危機と呼ぶほどのものはなく実に楽しく穏やかな航海が続く。

最近では船の上で船員たちに修行を付けてやることがマイブームだ。

特に俺は槍使いのランに懐かれていてよく特訓を申し込まれる。

今も剣を振り、ランをしごいているわけだが、まだまだだな。

隙が多すぎる。

 

勿論俺も修行をしている。

相手はフラン様だ。

修行の事を話すとフラン様は楽しそうに二つ返事で引き受けてくれた。

フラン様は剣技のことは分からないとのことなので、まずは徹底的に覇気の使い方を叩き込まれた。

フラン様が操るところの覇気は妖力と言って俺たち人間が使う覇気とは少しばかり性質が違うようなのだが、大本は同じ力。

フラン様の覇気の操作は熟達していて、可視化して覇気で造形・着色、それを物質化するなどということまでやってのける。

体からもやのように引き出すことがせいぜいの俺とは雲泥の差である。

 

ちなみに、サンタ・マリア号はすでにフラン様の覇気によって超強化してあるので船の上で俺たち如きがいくら暴れたところで傷一つつかない。

出航前は海王類に壊される心配をしていたが、無用のものだった。

もっとも、カームベルトは帆船であるこの船では進むことはできないから特に変わりもないのだが。

副次効果としてフラン様の強化を得たサンタマリア号は見た目が真っ黒になってしまった。

フラン様は慌てて部分部分の覇気の色を変えて元の装飾を再現したが、それでも船は全体的に黒っぽくなってしまった。

「これじゃあペリーの黒船だよ……」とつぶやいていたが、ペリーとはなんだろうか?

 

なお、この船の強化で船大工のカープが無職になってしまった。

なにせフラン様の強化した船を壊せるのはフラン様だけだ。

一度試しにと俺が全力で船を斬りつける実験をしたのだが、結果は俺の剣が折れた。

傷一つなかった。

俺は泣いた。

カープも泣いた。

 

 

そんなわけで俺は今クルーの一人が予備として持ってきていた剣を仕方なく借りている。

カープは無職になってしまったので、その腕を生かして船の備品を色々作ったりしている。

最近は鍛冶を覚え始めたらしい。

鍛冶師に転向、というよりは鍛冶師も兼業できるようになるのだと息巻いている。

彼が鍛冶をできるようになったら俺の剣を打ってもらおう。

 

ちなみに、船の上で鍛冶などする場所があるのか、と思うかもしれないが、結論から言えばある。

サンタ・マリア号にはフラン様を含め21人のクルーがいるが、本来ならば寝るための船室や食堂、倉庫などだけで手いっぱいである。

しかし、実のところクルーには一人一人かなり広い一人部屋が与えられているし、娯楽のための部屋や、のびのびとくつろげる談話室、果ては屋内プールや大浴場まで用意してある。

これはフラン様が用いる神の御業、悪魔の法、すなわち“魔法”というものによる。

その理論はすさまじく難解で、フラン様によれば魔法に使う魔力は覇気を少し工夫すれば代用できるから誰にでも扱える、とのことだが、この船で一番頭のいいナヴィすらその魔法理論の初歩の初歩で理解不能だという。

 

ともかく、その魔法によってサンタ・マリア号の中は空間が拡張されていて、見た目の数十倍の空間が内部に広がっているのである。

さすがはフラン様だ。

普通ならば狭い船内で長時間過ごしていれば、精神的にくるものもあるだろう。

しかし、船内でマラソンすらできる環境とあってはそんな心配もいらない。

船の内部が快適過ぎて陸におりるのが面倒くさいと冗談交じりに話すクルーもいるほどだ。

この航海の目的は未知の世界の調査探検なので、冗談だと分かっていてもそんなことを言ったクルーは俺がたっぷりとしごいてやったが。

 

そんなわけで拡張された一室を鍛冶に耐えるように改造され、船大工はそこで色々と頑張っている。

なお、倉庫にもこれでもかと物資が詰まっているので無補給でも数年は活動できる。

鍛冶に使う鉄などもそこに収められている。

それほど詰め込めば重さも相当なはずだが、そこも重量軽減の魔法でサンタ・マリア号は見た目よりもむしろ軽くなっているそうだ。

 

なお、無補給でいいというのは言葉通りの意味だ。

収められている物資には保存魔法がかけられてあり、肉や魚なども獲れたて新鮮なまま数十年でももつという。

俺たちクルーはその説明を船内で受け、船の中に広がる広大な空間と共に唖然としたものだ。

流石は我らが神。

なんでもありである。

 

そんなわけで俺たちの航海は順調に……順調すぎるほどにすすんでいる。

未知の島や海域、不思議な気象、面白い動植物……俺たちの航海の先にはまだ見ぬロマンが詰まっている。

ああ、やはり俺はフラン様についてきて正解だった。

ラフテルに生まれてよかった。

これほどの体験ができるなど、ああフラン様には感謝しかない。

この世界は――ロマンだぜ。

 

 

 

 

本日モ快晴ナリ。

太陽め、死に晒せ。

 

とまぁ恨み言を呟いてもしょうがない。

洋上における太陽というのは地上の太陽とはまた違った鬱陶しさがあるのだ。

実際に太陽に死んでもらったらこの世界が終わってしまうので困ってしまうのだけど。

 

うだるような暑さ、ギラギラ光る太陽の下、私を乗せて船は順調に航海を続けていた。

ほんと、ルミャを連れてきてよかった。

 

私の船の名前はサンタ・マリア号。

かの有名なコロンブスが黄金の国ジパングを云々の船である。

世界でもっとも有名な帆船の名前かもしれない。

多分広義の船の名前としてもタイタニックの次くらいには有名なんじゃないかな。

流石に沈没したらいやだからタイタニックとは名付けないけど。

 

まぁサンタ・マリアも意味は「聖母マリア」なわけで、吸血鬼の私が乗る船としてはどうなの、って感じだよね。

キリスト教なんてないこの世界では疑問に持つ人はいないだろうけどさ。

――もっとも、この世界で宗教と言えば私が神様なわけで、明確にナントカ教とは呼ばれて無いけどラフテルの住民は皆フランドール教の狂信者な気もする。

まぁ、目の前に本物じゃなくても神様がいれば宗教観も違うものになるよね。

 

さてさて、そんなことより船旅だ。

航海は順調そのもので、あらゆる困難を想定した準備をした甲斐があったといえるだろう。

 

まず船には壊れないように妖力――この世界では覇気と呼んだ方がいいのかな――で強化を施した。

見た目はちょっと黒っぽくなっちゃったけどまぁ、吸血鬼の乗る船としてはこっちの方が見た目的にもカッコいいかもしれない。

一瞬、真紅に染め上げるという案も頭の片隅によぎったけど、流石にセンスがひどすぎると思ったので却下した。

というかなんでそんなことを思いついたのだろう。

悪魔の王の乗る紅い船……紅魔艦とでも呼ばれそう。

 

まぁこれで海王類に襲われても心配は丸呑みくらいで壊れることはないと思う。

そして、中身の方も色々改造した。

この時ほど魔法の研究を続けて来て良かったと思ったことはない。

空間拡張に始まり、重量軽減、船が転覆しないように重心の安定化、材質が劣化しないように保存魔法、加えて倉庫の物資にも保存魔法をかけ、船酔いをする人が出ないように揺れが発生しないようにもした。

さしずめ「私の考えた最高の船」ってところ。

暇つぶしなのにわざわざ不便な船旅をする気はないしね。

 

さすがにここまで大規模な魔法を連発したので賢者の石を一個消費した。

ちなみにこの船には賢者の石が100個ほど積み込まれているので万が一魔力暴走すると周囲一帯の海域が塵も残さず消し飛ぶんだけどね。

みんなにはヒ・ミ・ツ。

 

 

そしてクルーたちとの仲も良好。

ほとんどの人たちと主従関係じゃない“いい関係”を築けている。

いままでの700年の生の中でも一番楽しい時間だ。友達、というよりは“仲間”、って感じかな。

長時間同じ空間で同じ目的のために共に過ごす、というのは絆を深めるには一番いい方法だと思う。

 

流石にフラン、と呼び捨てにしてくれる人はいないけど、代わりに船長、キャプテン、ボス、お頭、と役職名で気軽に呼んでくれるし、そのおかげか敬語を使う人も減ってきている。

キャプテンと呼ぶようにという私のお願いは非常にいい判断だったと自画自賛してみる。

 

 

本当に、船旅をするという選択は正しかった。

仲間で仲良く料理を食べ、バカ騒ぎをして、時にはちょっとした喧嘩をして、未知の島を探検して、釣りで釣果を競ったり、屋内プールで遊んだり、戦闘訓練をしてみたり。

本当に、毎日が楽しい。

 

 

今まではやはりどこかこの世界の人々と距離を置いていた。

吸血鬼と人間、神と人間、私と漫画の世界の住人。

私とこの世界の人々は目に見えない薄い壁を隔てていたんだと思う。

だけど、この航海を通して私はそんな壁が本当はないことを知った。

 

彼らは物語の住人なんかじゃなくて、目の前で生きている人間だった。

私は吸血鬼で彼らは人間だけど、そんなことは関係なく仲間になる事が出来た。

確かに種族の差による配慮は必要だろう。

例えば私が彼らの冗談に全力で突っ込みチョップを入れれば彼らは消し飛んでしまう。

だけどそれは、彼らに対して距離を置く必要性にはならない。

言葉だけで突っ込みを入れてもいいし、頭をはたくなら見た目相応の人間の幼女の筋力レベルまで力を抑えればいい。

そうすればいかに全力で叩いたところで彼らを殺してしまうことはない。

 

私は今、この世界で初めて“生きている実感”を感じていた。

 

 

 

 

「さて、じゃあ実験を始めてみよっか」

 

「はい!」

 

今船内の一室――訓練場と呼ばれている頑丈で広い空間にクルーが全員集合していた。

船の操作と見張りは一時的に私が自分自身と使い魔を召喚して操っている。

 

 

禁忌『フォーオブアカインド』

 

 

私自身が4人に分身する技だ。

魔法ではなく、吸血鬼――というより“フランドール・スカーレット”の固有能力(スペルカード)と言えばいいだろうか。

レーヴァテインと同じようなものだ。

本体である私をそのままに分身であるフランを3人生み出す能力で、私は分身と意識を共有できる。

とても便利だけど長時間使っていると頭が痛くなってくるので精々3時間くらいが持続時間だ。

無理すれば消費妖力量的に丸一日くらいはいけそうな気もするけど。

 

 

さて、そんなものまで使ってなぜ皆を集めているかと言えば、実験のためである。

実験内容は覇気と悪魔の実の能力の関係性について。

クルーたちは常日頃訓練を欠かしていないのだけれど、最近覇気と悪魔の実の能力について色々とわかってきたことがあるので、そのフィードバックをみんなにしつつ、新しく何かわからないかと実験を行おうという集まりだ。

 

 

「まずは最近の発見からだね。ナヴィ」

 

「はい、船長。まず前提としてラフテルでは覇気の存在について広まってはいませんでした。覇気は人間が誰しももっている力ですが、これに気が付き操ることができるのは一部の強者のみだったからですね。翻ってサンタマリアのクルーの中には覇気を十全に扱える船長に加え、ある程度操る事の出来る副船長と料理長、最近目覚めたウェンディゴ君とラン君がいます。そこで最近になって様々な事実が判明してきました。資料をご覧ください」

 

といってナヴィは手に持っていた紙を皆に配る。

ナヴィはペラペラの実の紙人間なので紙を自由自在に操ることができる。

いちいち手渡しではなく全員の元にふわっと紙が配られる。

というかこんなしっかり準備してくれてたんだね、真面目だなぁ。

 

紙には以下のように要点がまとめられていた。

お、思ったより長い。

 

 

・覇気とは誰もが体の中に持っている力で生命力と似たようなもの。よって使い過ぎれば命に関わる。

 

・覇気は無色無形の力で身に纏ったり武器に纏わせることで効果を発揮する。ただし船長ほどの使い手になれば覇気自体の可視化や具現化も可能。この点に関しては妖力と覇気の違いもあるので研究中。

 

・覇気はイメージによってその性質を変化させる。特に無形無色なため形と色の想像は大きな違いをもたらす

○形

→鎧のように纏うイメージで体の防御力をあげることができる。強化した身体での直接攻撃も有効。靄のように纏うより具体的な形を想像して纏った方が効果は高い。なお、上位の使い方として身体に完全に染み込ませ一体化する技術がある。この技術に関しては非常に困難なうえ一歩間違えれば生命の危険があるので修得は船長の立会いの下行うこと。

→矛のようなイメージで近距離攻撃に用いることも可能。ただし、実際に武器を用意しそれに纏わせる方がはるかに簡単で効率的。これは無形の覇気を物質化することが困難なため。副船長の空を飛ぶ斬撃は覇気そのものを飛ばしているわけではなく、剣に纏わせた風属性の覇気を用いて真空刃を出している模様。

→弓矢のように覇気を固めて飛ばすことは可能だが非常に困難。また、物質化が完全でない場合は威力も低い。

○色

→黒なら硬さ、赤なら熱さ、青なら冷たさ、など色のイメージにより覇気の性質をある程度変化させることが可能。船長のレベルともなれば実際に覇気を炎として具現化させることも可能。

→個人で感じる色への感覚の違いが覇気に与える影響については調査中。

 

・覇気は生命力のようなものであるため、覇気を感知することで離れた相手の気配を感じることが可能。また、より詳しく感じることでその者がどんな行動をとろうとしているかの先読みが可能。船長レベルになれば相手の思考や記憶を読み取ることも可能。

 

・覇気を感じられる精度・距離に関しても訓練次第で伸ばすことが可能。船長の全力で半径100キロほどの円の範囲らしい。参考までに、副船長の実力は現在半径5メートル。

 

・覇気は覇気で相殺でき、より強い覇気によって上書きされる。覇気使い同士の殴り合いになった場合、より強い覇気を纏う方に軍配が上がる

→また、覇気は生命力なので自身の所持する覇気より強い覇気をぶつけられると昏倒する。ただし覇気を周囲に発散するのは非常に難しく感覚的なため才能が必要。また、無形のまま発散した場合、多少の実力差では昏倒しない。

○参考実験:副船長(全力)→ラン(覇気若干覚醒済み時)=気絶まではしないが衰弱

      副船長(全力)→ウェンディゴ(覇気未覚醒時)=気絶

      船長(手抜き)→副船長(全力覇気防御時)=気絶

 

・覇気は悪魔の実の能力者を実体化させる。例:メラメラの実で炎状態の相手に覇気を纏った拳で殴って攻撃が可能。

→ただし覇気を纏った攻撃自体を回避された場合当然効果はない。

 

・なお、以上より覇気の種類をおおまかに3種類に分類する。攻防に関する覇気を「武装色の覇気」、気配察知に関する覇気を「見聞色の覇気」、使用者が限定される発散できる覇気を「覇王色の覇気」と仮称する。

 

 

ほえー。

結構長かった。

私含めみんなが数分かけて読み終えたのを見計らってナヴィが続ける。

 

 

「以上がこれまでの覇気について分かっていることです。何か質問は。――ないようですね。では本題に入りましょう。本日はこれらのことを踏まえたうえで悪魔の実の能力について色々と調査・実験を行おうという集まりです。覇気の方はまだ扱える人間が船長を除き20人中4人と少ないですが、悪魔の実の能力者は20人中17人ですから、より様々なデータが集まればよいと思っています」

 

「あー補足しておくけど、この先の航海で覇気を使える相手が障害になった時に悪魔の実の能力に頼りきりだと危ないから私からこの集まりを提案したんだよね。だからまぁ興味なくても協力してね」

 

私の言葉に、口々に「船長に協力するなんて当たり前っすよ」「船長なんだからもっとばーんと命令してくれよな!」みたいな反応が返ってくる。

んー、やっぱり気の置けない関係っていいね。

 

「とりあえず今のところ覇気に目覚めているのがウェンを除いてみんな非能力者。だから悪魔の実の能力者は覇気に目覚めにくいのかなって仮説を立ててるんだよね。実際覇気で悪魔の実の力を一部無効化できるってことはなんらかの相反する効果がありそうだし」

 

というわけで色々と実験。

サンタマリアのクルーは選考基準的に悪魔の実の能力者がとても多い。

というか非能力者は副船長のマロン、料理長のクック、槍使い平船員のランの3人だけだ。

一方能力者はロギアが6人、パラミシアが7人、ゾオンが4人いる。

 

まずは覇気が能力に与える効果の検証。

覇気の強弱を操ってみたり色々と試すことは多い。

それが終わったら次は能力者同士の能力の相互干渉。

これで覇気と同じような現象が起こったら、覇気と悪魔の実の能力は本質的に同じものと考えてもいいかもしれない。

あとやっぱり唯一能力者で覇気を目覚めさせているウェンがどうなるかだよね。

ただ、ヒエヒエの実はロギアだけど氷の性質上他のロギアのように物理攻撃を受け流せないっていう違いがあるからどうなんだろうね。

そこら辺を含めてやっぱり調査あるのみ、かなぁ。

 

 

 





・覇気チート。このための覇気≒妖力設定
・魔法チート。フランが魔法少女である設定を生かしている二次創作ってあまり見ない。今作では悪魔の妹でない分魔法少女設定が幅を利かせる
・唐突な紅魔館の外観ディスり。けっこう、紅魔艦にするかは悩んだ。艦というほど船が発達していないので諦めました
・覇気の設定垂れ流し。正直なところ武装色、見聞色、覇王色の名前の由来はこじつけられなかったので適当


ところでクルーの名前の由来。ちょっとでも覚えやすくなってもらえれば。

マロン → もちろんロマンとかけて。あと栗の家系の始祖。
ウェンディゴ → インディアンに伝わる精霊。ヒエヒエの実の能力者なので。
クック → コックから。料理人なので。
カープ → カーペンターから。船大工(失業)なので
ナヴィ → ナビゲーターから。航海士なので。
ラン → ランスから。槍使いなので。
ルミニア → もちろんルーミアから。ヤミヤミの実の能力者といえば。
他にも医者とか音楽家とか乗ってると思うけど多分出てきません。なんて適当な名前付けなんだろう。

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