起きると、空が真っ赤だった。
「う...?」
「おっ。起きたか、士道」
「...今何時だ?」
「お前が気絶してから、三時間四十二分くらいだな!」
俺、そんなに寝てたのかよ。
申し訳無さすぎる。
早く徽章を取り返さないといけないのに...。
「あ、起きたんだね。じゃあ、行きましょ」
「パックはどこいったんだ?」
「眠りに入ったわ」
「...そうか」
パック寝たのか。
だから、狂三はなんか物足りなそうにしてるんだな。
「そういえば、君の名前聞いてなかったよな!」
いきなり、スバルが銀髪の少女にそう言った。
対する答えは。
「......サテラ。サテラとでも呼ぶといいわ」
「そうか!わかっ...」
「違いますね?」
スバルが了解の意思を示そうとするが、鞠亜が口を挟んだ。
「どういうこと?」
「町で聞き耳を立てていたらサテラという名前が聞こえたので調べたのですが、サテラというのは、嫉妬の魔女の名前で、皆さんから恐れられる人と出てきました。それが、あなたの名前のはずはないでしょう」
「......そうね。......はぁ。わかったわ。正直に答えるわ。私は、エミリアよ」
「そうか!俺は、ナツキ・スバルだ!」
「俺は士道。五河士道だよ」
「わたくしは時崎狂三ですわ」
自己紹介を無事(?)済ませることができた。
エミリアっていうのか...。
一度で名前を明かさなかった事から、まだ俺たちの事を完全には信用しきれていないっぽいな。
まぁ、これから信用を上げていければいいな。
っていうか、鞠亜さんスペック高すぎです。
そんなこんなで、やっと着いた盗品蔵。
「なんか思ってた以上にでかいな」
「ここにあるもの全部盗品だったらすごいな」
スバル、俺の順に感想を述べた。
「じゃあ、行くわよ。盗まれたものがあるから、返してって」
「ズバッと行くんだな...」
おそらく、曲がった事が嫌いなのだろう。
根が優しいのだ。
ただ、それでは多分、いや、絶対に追い返されるだけだろう。
スバルも同じことを思ったのか、微妙な顔をしている。
「じゃあ、ここは俺に任せてみてくれ」
スバルがそう言い、盗品蔵の中へと入っていった。
「士道さん...。わたくしには、嫌な予感しかしませんわ」
「そうか?大丈夫だろ」
この時、この瞬間の俺は、甘くみすぎていた。
だから、スバルが腹を真っ二つに斬られた状態を見た時、すぐには反応ができなかった。
「スバル?」
そんなエミリアの声で、我に返った。
「スバル...?おい、一体何が...⁉︎」
「しょうがないのよ。すべては、この男が、死体を見つけちゃったから」
盗品蔵から出てきたのは、女性だった。
おそらく、スバルの血で真っ赤に染まった、女性。
やばい。こいつは。
そう、本能が言っている。
だが、逃げる暇もなく。
「だから、あなたたちも...ね」
「ッ!士道さん‼︎」
「ーーー⁉︎」
腹から腰にかけて、斬られた。
「ぐっ⁉︎」
「やってくれましたわね!おいでなさい!わたくしたち!」
俺の体が地に落ちると同時に、狂三の分身体が、無数に出てくる。
数瞬後、俺の、斬られた腹が、焔に包まれて傷が塞がっていく。
なんとか、生きてる...。
スバルは、もう絶命していた。
「ちくしょう!」
「ち...治癒魔法で......!」
「ダメだ、もう遅い......」
狂三の方を見ると、次々に分身体が殺されていた。
それを、俺は見ることしかできない。
「さあさあ、行きますわよ。
狂三の後ろに、大きな時計が現れる。
そして、呆然としている俺の方をチラッと見て。
「何やってるんですのよ、士道さん‼︎早く逃げてくださいまし!」
「あらぁ?あなたはさっき殺したはずなんだけど?」
「くっ!」
「しまっ!」
狂三は、俺の方に意識を向けてしまったのが原因で、女性に抜かれてしまった。
「今度はちゃんと殺すわ」
「くそ...。せめて...」
せめて、エミリアだけでも!
そして、俺の体から、首が、完全にはなれた。
UA2400突破&お気に入り35件突破!
ほんっとうにありがとうございます!
とりあえず、一週間に一話くらい出せたらいいな...と思っています。
これからもよろしくです。