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「大丈夫かい?」
赤毛の少年がそう言った。
「お前、は......」
誰なんだ。
そう言おうとしたが、エルザがもう一本のククリナイフを懐から出して、追撃をして来たため、その言葉は遮られた。
「黒髪に黒い装束。そして、くの字に折れた北国独特の刀剣。君は、『腸狩り』だね」
エルザの攻撃を受け流しながら、赤毛の少年はそう言った。
腸狩り....?
なんだよその物騒な二つ名は......。
赤毛の少年は、エルザを見据えた。
その視線にエルザは身じろぎし、
「貴方は......その赤毛。そして、アストレア家の装束。『剣聖』ラインハルト...!素晴らしいわ!こんなにも楽しい相手ばかり!依頼主には、感謝しなきゃねぇ!」
剣聖?
それが、どれだけすごい二つ名なのかは分からなかったが、相当強いという事と、彼の名前が、ラインハルトだという事はわかった。
「いろいろ聞きたいこともある。投降をお勧めしますが」
「するとでも思ってるのかしら?」
そんな言葉を放ち、エルザは再び動いた。
ククリナイフをラインハルトの首目掛けて一閃。
「女性相手では、あまり乱暴はしたくないんですが......」
そんな言葉を言って、ラインハルトも動いた。
「失礼」
エルザに、回し蹴りがクリーンヒットした。
単なる回し蹴りのはずだったが、エルザに当たった瞬間、爆風とともにエルザを吹き飛ばした。
「な....⁉︎」
俺は絶句した。
いくら何でも、規格外すぎる。
「その剣は使わないのかしら?伝説の切れ味、見てみたいのだけど」
体制を立て直したエルザがそう言った。
「この剣は、抜くべき時以外、抜けないようになっています。刀身が見えないということは、その時ではないという事です。....ですからーー」
ラインハルトが、一瞬、俺の方....いや、<鏖殺公>を見て、何かを確認した後、盗品蔵の外へと出てしまっていた両手剣を手に取り、
「これでお相手をします」
そう言った。
何故<鏖殺公>を見たのかは分からないが、気にする事でもないだろう。
ラインハルトの強さを見て、安心したのか、急に意識が遠くなっていく......。
<鏖殺公>が消えていくのを見て、ラインハルトが、「後は任せて」と言った後、俺の意識が暗転した。
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目覚めると、まだ盗品蔵の外だった。
辺りを見回してみると、スバルが倒れていた。
どうやらエミリアに治癒魔法をかけてもらっているようだ。
しばらく茫然としていると、ラインハルトが俺の方にきた。
「改めて、僕の名は、ラインハルトだ」
「あ、ああ。俺は、五河士道だ」
いきなり自己紹介をしてきたから、自分も自己紹介をした。
「ラインハルト。あの後、どうなったんだ?」
「君が気絶した後は、僕が腸狩りの相手をしたよ。腸狩りは、逃亡した。最後に、スバルを斬りつけてからね」
「それで、エミリアに治癒魔法をかけてもらっているのか。大丈夫なのか?」
「ああ。峠は越えたよ」
よかった。
これで死にました、なんて、本当にシャレにならないしな。
「シドウ。君が持っていたあの大剣......」
「<鏖殺公>の事か?」
「君がそう呼ぶならそうなんだろう。その、サンダルフォンなんだけど、僕が持っているこの、竜剣レイドと同じ雰囲気がしたんだ」
ラインハルトは、自身が持っている剣を持って、そう言った。
「抜くべき時以外というところは違うけど、使う相手は決めているのかもしれないな。この剣と同じで」
「使う相手を?」
「ああ。シドウが持っていたあの、サンダルフォンという大剣は、僕にも扱える気がしなかったし、それを見ている時は、僕の竜剣レイドも、うずうずしていたしね。いつか、君があの剣を使いこなせるようになった時に、手合わせ願いたいよ」
そう言った後、ラインハルトはエミリアとしばし話して、盗品蔵を後にしていった。
「シドウ。わたしは、スバルをわたしが住んでるところに連れて行くけど、シドウはどうするの?」
スバルに俺の名前を聞いたらしいエミリアが、俺にそう聞いてきた。
俺は、未だに倒れているスバルに目を向けて、その後、
「俺もお邪魔するよ」
そう、エミリアに伝えた。