デートから始める異世界生活   作:シークレット/K

11 / 45
活動報告で、ヒロインについてを書きました。
どうか、コメントください。よろしくお願いします!


第十話 赤毛の少年

「大丈夫かい?」

 

赤毛の少年がそう言った。

 

「お前、は......」

 

誰なんだ。

そう言おうとしたが、エルザがもう一本のククリナイフを懐から出して、追撃をして来たため、その言葉は遮られた。

 

「黒髪に黒い装束。そして、くの字に折れた北国独特の刀剣。君は、『腸狩り』だね」

 

エルザの攻撃を受け流しながら、赤毛の少年はそう言った。

 

腸狩り....?

なんだよその物騒な二つ名は......。

 

赤毛の少年は、エルザを見据えた。

その視線にエルザは身じろぎし、

 

「貴方は......その赤毛。そして、アストレア家の装束。『剣聖』ラインハルト...!素晴らしいわ!こんなにも楽しい相手ばかり!依頼主には、感謝しなきゃねぇ!」

 

剣聖?

それが、どれだけすごい二つ名なのかは分からなかったが、相当強いという事と、彼の名前が、ラインハルトだという事はわかった。

 

「いろいろ聞きたいこともある。投降をお勧めしますが」

「するとでも思ってるのかしら?」

 

そんな言葉を放ち、エルザは再び動いた。

ククリナイフをラインハルトの首目掛けて一閃。

 

「女性相手では、あまり乱暴はしたくないんですが......」

 

そんな言葉を言って、ラインハルトも動いた。

 

「失礼」

 

エルザに、回し蹴りがクリーンヒットした。

単なる回し蹴りのはずだったが、エルザに当たった瞬間、爆風とともにエルザを吹き飛ばした。

 

「な....⁉︎」

 

俺は絶句した。

いくら何でも、規格外すぎる。

 

「その剣は使わないのかしら?伝説の切れ味、見てみたいのだけど」

 

体制を立て直したエルザがそう言った。

 

「この剣は、抜くべき時以外、抜けないようになっています。刀身が見えないということは、その時ではないという事です。....ですからーー」

 

ラインハルトが、一瞬、俺の方....いや、<鏖殺公>を見て、何かを確認した後、盗品蔵の外へと出てしまっていた両手剣を手に取り、

 

「これでお相手をします」

 

そう言った。

何故<鏖殺公>を見たのかは分からないが、気にする事でもないだろう。

 

ラインハルトの強さを見て、安心したのか、急に意識が遠くなっていく......。

<鏖殺公>が消えていくのを見て、ラインハルトが、「後は任せて」と言った後、俺の意識が暗転した。

 

===================================

 

目覚めると、まだ盗品蔵の外だった。

辺りを見回してみると、スバルが倒れていた。

どうやらエミリアに治癒魔法をかけてもらっているようだ。

 

しばらく茫然としていると、ラインハルトが俺の方にきた。

 

「改めて、僕の名は、ラインハルトだ」

「あ、ああ。俺は、五河士道だ」

 

いきなり自己紹介をしてきたから、自分も自己紹介をした。

 

「ラインハルト。あの後、どうなったんだ?」

「君が気絶した後は、僕が腸狩りの相手をしたよ。腸狩りは、逃亡した。最後に、スバルを斬りつけてからね」

「それで、エミリアに治癒魔法をかけてもらっているのか。大丈夫なのか?」

「ああ。峠は越えたよ」

 

よかった。

これで死にました、なんて、本当にシャレにならないしな。

 

「シドウ。君が持っていたあの大剣......」

「<鏖殺公>の事か?」

「君がそう呼ぶならそうなんだろう。その、サンダルフォンなんだけど、僕が持っているこの、竜剣レイドと同じ雰囲気がしたんだ」

 

ラインハルトは、自身が持っている剣を持って、そう言った。

 

「抜くべき時以外というところは違うけど、使う相手は決めているのかもしれないな。この剣と同じで」

「使う相手を?」

「ああ。シドウが持っていたあの、サンダルフォンという大剣は、僕にも扱える気がしなかったし、それを見ている時は、僕の竜剣レイドも、うずうずしていたしね。いつか、君があの剣を使いこなせるようになった時に、手合わせ願いたいよ」

 

そう言った後、ラインハルトはエミリアとしばし話して、盗品蔵を後にしていった。

 

「シドウ。わたしは、スバルをわたしが住んでるところに連れて行くけど、シドウはどうするの?」

 

スバルに俺の名前を聞いたらしいエミリアが、俺にそう聞いてきた。

俺は、未だに倒れているスバルに目を向けて、その後、

 

「俺もお邪魔するよ」

 

そう、エミリアに伝えた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。