最近モチベが上がらないからなのか一話一話の内容が薄くって……泣
本当にすいません。
1
「……っ」
ひんやりとした風が頬を撫でた。そうして彼女は重たい瞼をゆっくりと持ち上げる。
最初に目に入ったのは、刑務所でよく見られる鉄格子だった。そして気付かされる。その鉄格子の内側に、自分がいることに。
「ここは……!?てか私どうしてこんな所に……」
御坂美琴は思い返す。どうして自分がこんな状況に置かれているのか。頭に手を当て、記憶を巡る。
「確か……茶髪のチャラい男にナンパされて……それから……」
と、目の焦点が一点に定まらず、瞳を右往左往させていた時だった。
「ご名答。よく思い出せました」
少年の低い声が響いた。カツ、カツ、と。わざとらしく足音をたてながら少年は御坂の目の前に現れる。黒に近い赤色のジャケットを羽織り、ポケットに手を入れながら参上した彼は、まるで歌舞伎町にいるホストを思わせるかのような容姿であった。
そんな長身のホストは床に座り込む御坂に視線を合わせるかのごとくその場でしゃがむ。
「牢屋に閉じ込められるってのはどんな気分だ?」
「あんた……女子中学生を監禁して……!!ただじゃ済まされないからね!!」
バチバチ!!御坂の髪の毛から弾ける音と共に火花が散る。
「おぉ怖い怖い。最近の中学生ってのはみんなこーなのか?血の気が多くて困ったもんだ」
へっ、と少年の口角が上がる。だが、目は笑っていなかった。
「こんな鉄格子……すぐにでも壊してやる!!」
御坂がスカートのポケットからコインを取り出そうとした。だが、
「やめておけ。お前の得意技でもその鉄格子は壊せない。むしろ、跳ね返ってくるかもしんねぇぞ」
その手が、一瞬止まった。
「ハッタリのつもり?」
「ハッタリだと思うのか?」
「生憎、ホストみたいな格好した胡散臭い野郎の言う事を簡単に信じられるほど優しくはないわ」
「ほんと、生意気だな。俺の優しさを踏みにじるなんて」
ゴミでも見るかのような視線が、御坂の心を突き刺す。少年は、御坂美琴のことを女子中学生でもなく超電磁砲の使い手でもなく、ただ、
(なんなの……コイツ。私が第三位であることは分かっているのよね……?なのに、なんなのこの余裕っぷり。そして私を人間としても見ていない冷たい目……)
「怖いのか、俺が」
少年の一言に、御坂は目を丸くする。
「体、震えてんぞ」
言われるまで気づかなかった。御坂の体は知らず知らずのうちに震えていた。目の前の得体の知れない少年の存在に。言動に。ただただ震えるしかなかった。
「そうだなぁ。じゃあ、こう言えば信じてくれんのかねぇ」
長身の少年は立ち上がり、震える少女を見下ろしながら、こう吐き捨てた。
「俺は学園都市第二位、垣根帝督。能力名は『
2
九月五日、昼。
「おい、ナナシ。ナナシちゃーん?」
「はいはーい!なにかね!」
「これ、なんか、闇雲に学園都市中歩いてる感あるけど、あてってあったりするの??」
「あるっちゃあるよ。でも、候補がたっくさんあって……」
「あー、もしかして片っ端から行かなきゃダメなやーつ……?」
「そうなの……これ見て」
そう言ってナナシはどこからか携帯端末を取り出すと、指で操作し学園都市の地図を表示する。その地図の中には、赤い丸が山ほどマークされていた。
「え、もしやこの赤いマークって」
「はい、全部候補」
「嘘でしょ……」
「でも大丈夫!ミサカネットワークを駆使して、たくさんの『妹達』に手伝ってもらうから、私達が回るところは限られてくるよ!」
ふぅ、なら良かった、やっぱ人海戦術ってすげぇ……と心の底から思う皐月であった。
「あ、すぐ近くに候補の場所が!!ほら!!行くよ!!」
「お、おう!」
ここから夕方……そして夜にまで捜索が続くことを、今の皐月はまだ知らない。