「わあ、見てください!カラフルでかわいい鳥さんですよっ!」
「おお、かわいいな。全部買い占めたい」
僕たちは広場の北側の道を進むとたどり着く商業エリアに来て買い物を楽しんでいる。
決闘?そんなものは買い物のついでだ。
ちなみに、店は一応営業中なので、ルドルフに「売り切れ」と書かれた札を首にかけて留守番をさせている。
あいつには後で土産でも買って行ってやらないとな。
「あ、そういえば。サンタ、何が欲しいんだ?剣か?斧か?」
ラストが思い出したように切り出す。
「そうだな。んー、武器っつてもなあ」
スマホでステータスを見ながら武器をながめる。僕の武器熟練度は素手を覗いて全ての武器が最低のFランクを突き抜けてZランクを叩き出している。
何を持ったってろくに扱える気がしない。
「僕、武器の扱いはからっきしダメだから、もう素手でいいかなー」
「危ないですよ!それじゃあ攻撃を受け止めることもできないですっ!」
確かにその通りだ。まだこの世界ではスライムの打撃と鞘の一発しか受けてないから、血が出たことはない。
魔法とか使えればいいんだが、あいにく日本人には素質がないのか、レベルは上がってるのにステータスのMPは0のままだ。
30歳まで独りだったら覚えられるだろうか。うん、下らないな。
ん、まてよ?
ふと思い出してステータスをもう一度見直す。
一番下の素手の熟練度の更に下、そこには確かに、かつて見たあの文字が書いてあった。
『武器に分類されないものは素手の熟練度の補正がかかります。』
忘れていた。
これならいける!
「よし、武器は止めだ。マイ、この街で一番いい工作材料が売ってる店に連れて行ってくれ」
「わあ、いいですね!道具も古くなってきてたし、新しいのを買いたいですっ!是非行きましょう!」
「おいサンタ、なんでそんなとこなんだ?武器なんてないだろ。防具だって、ほら、そこの店にあるぜ」
「いや、防具じゃないんだ。あと、赤くないものは着られないんだよ」
なんとなくだが、世界は変わってもサンタのイメージだけは変えてはいけない気がする。
あ、今思いついたわけじゃないからな?
「じゃあ、何しに行くんだよ?」
「武器を買いに行くんだよ。武器を使えない僕にとって最強の武器、それは-----」
右手にぶら下げていた白い袋を背負い直して胸をはる。
「----角材、だよ。」
「えっ」
「え…」
賑やかなこの商業エリアなのに、2人の言葉が、いやに響いて僕の耳にこだました気がした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。