転生したけど、海賊でも海軍でもなく賞金稼ぎになります 作:ミカヅキ
意外とサクサク書けたので、ホットなうちにアップします。
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今回、あの人と初対面の主人公です。
ターニャは予想を超えてきた事態に、内心頭を抱えていた。
あれから嵐の中、船を走らせる事約1時間。無事に“白ひげ”の縄張りに
結果的に言えば男は助かった。海に落ちた事で体温は下がってはいたものの、すぐに引き上げて止血したのが良かったらしく、島に着いた時には出血もほとんど止まっており、朝には目を覚ますだろうとも言われている。
しかし、そこからの騒ぎは大変なものだった。
だからこそ気が付かなかったのだ。
――――――――――助けた相手が、“白ひげ海賊団”の4番隊隊長だった事に。
“白ひげ海賊団”4番隊隊長‐サッチ。“原作”において
“原作”の大まかな知識はまだ記憶に残っている。
その為、この男‐サッチの事もその存在は覚えていたし、手配書で顔を確認する位の事はしていた。しかし、それは別にこの男を助けて戦争を止めよう、という
“頂上戦争”に介入する
しかし、黙って何もしないつもりも無かった。
ターニャと“
ターニャは幼い頃からフーシャ村とマリンフォードを行き来しており、ルフィも7歳からはほぼコルボ山で過ごしていた。お
ターニャは“原作知識”の他に、ルフィの口から直接エースともう1人の
ターニャ自身はエースに対して何の感情も
だが、ルフィは違う。
エースが死ねばルフィは悲しむ。消えない心の傷を負う事になるだろう。
離れていた期間が長かったが、ルフィはターニャの大切な兄である。
ルフィの為に、エースを見殺しにする訳にはいかなかった。
エースを
どこまでも自分本位な考えである事は理解しているが、ターニャも
エースを確実に助ける為には、戦争を起こさせない事が1番確実である。
その為にターニャが考えていたのは、“黒ひげ”がエースを捕える前に、ターニャが“黒ひげ”を
1度“海賊”を自称し、
―――――――――エースよりも先に“黒ひげ”を見付けて、確実に殺す。
それが、ここ数年の間にターニャが考え付いた“対策”だった。
だからこそ、自身が17歳を迎えたこの数ヵ月の間、新聞を
見極めていたのだ。
しかし、まさかそこまでして
てっきり
当然、
(あたしの事を覚えている島民がいたのは計算外だったな…。)
以前、この島で補給した際に、“白ひげ”にケンカを売ろうとしたルーキーが暴れているのにたまたまかち合い、ぶちのめして海軍に引き渡した事があった。
1年程前の事になるが、その時の事を覚えていた島民がいたらしい。海賊を助けた事が海軍に知られるとマズい、という事は島民も充分に理解していた為、そこは心配していないが“白ひげ海賊団”への口止めはまず不可能だろう。というより、既に連絡が行っているようだった。
幸い、この島では名乗っていない為、“
既に嵐は過ぎ去り、空は晴れている。明るくなってきた為、直に夜が明けるだろう。
“白ひげ海賊団”にサッチを保護した賞金稼ぎの情報がもたらされたのが3時間程前。そして治療が終わったのはつい10分前。
ちゃんと助かったのを見届けた以上、これ以上この島に用は無い。“白ひげ海賊団”が島に戻ってくるまでにさっさとこの島を出るべきだった。恐らく早ければ後1~2時間程で戻ってくるだろう。ぐずぐずしていれば、かち合う可能性が高い。面倒臭い事になるのはゴメンだった。
(…さっさと行こう。)
そうと決まれば
「じゃ、後はよろしく。行くよ、ドゥーイ。」
「ガウッ!」
サッチの
「え?!あ、あんた一体どこに?」
突然の行動にぎょっとしている医者‐頭頂部が涼しそうな髪型の中年男に構う事なく、「あ、これ治療費。」と治療中に用意していたベリー札を押し付ける。
「治療費って…。」
「“白ひげ海賊団”から出るんだろうけど、まぁ、真夜中に叩き起こした
“億越え”も
「ちょ、ちょっと…!!!」
目を白黒させている医者を
「急ごう、ドゥーイ。お兄ちゃんとお祖父ちゃんが待ってるし。」
「ガウ。」
港に
「!あれは…。」
前方から、かなりのスピードで近付いてくる
(まさか…!)
「グルル…!」
ドゥーイも同様に気付き、警戒を始めた。
「チビの
水平線から姿を現し始めた太陽を背にしている為、そちら側からはターニャの顔が見えないのだろう。
(何でこのタイミングで会うんだか…。)
軽く溜息を
「!あいつは…?!」
「生きてるよ。間も無く目を覚ますって言ってたから、早く会いに行ってあげたら?」
「っ良かった……!!!」
サッチの生存を告げた
その様子を見て、ドゥーイも敵じゃない事を悟ったらしく、警戒を解いた。
そんなエースに構う事無く、ターニャがゆっくりと
ゆっくりと進み始めるターニャに気付いたエースが顔を上げ、声を張り上げた。
「!待てよ!!礼がしたい!もうすぐオヤジが来る!それまで待っててくれ…!!!」
「別にお礼が欲しくて助けた訳じゃないし…。急いでるから
ターニャの船が“ストライカー”に近付き、横並びになろうとした瞬間、
グンッ!と船が加速する。
「待てって!!」
“ストライカー”を抜き去る瞬間、ターニャがエースの顔を見詰め、告げた。
「じゃあね。いつか会う日が来るかもしれないけど…。」
「!お前、まさか……?!」
ゴォオッ……!!!
その瞬間、激しく吹いた追い風によって、一気にターニャの船が“ストライカー”を振り切った。
ザザザザザザザ…!!!
(どうなるかな、これから…。)
サッチを助けた事がどんな影響を生むか。
しかし、どんな状況になろうとも…。
「ルフィの
「グルルル…?」
不思議そうに見上げてくるドゥーイに軽く
意外と有名なターニャの二つ名についてはおいおい。