ベルセリア・ゼスティリア転生(仮題)   作:飯妃旅立

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過去最短レベルで短いです。
いつも通り独自解釈・捏造設定です


『Mayvin』

 スレイ達が、全ての瞳石を集めきったらしい。

 そして、メーヴィンは覚悟を決めたようだ。

 

「今回もアンタは参戦しねぇの?」

 ――メーヴィンと闘う必要性は感じないね。 血族じゃないとはいえ、マギルゥの子孫のような存在に刃を向けたくないし。

「そりゃ同感だ。 だがよ、そりゃメーヴィン(あいつ)の覚悟に対して礼を欠くってもんじゃねぇ?」

 ――だからザビーダは戦うんでしょ? 流儀と誇り……今まで天族達を殺してきたように。

「だからアンタは手を出さない、ってか……誓約ではなく、個人の好みとして」

 ――そうだね。 

「……じゃ、行くぜ。 俺はあいつらの陪神だからな」

 ――うん。 

 

 刻遺の語り部(メーヴィン)の言葉に従い、導師一行はローグリンの中心に建てられた石碑に手を触れる。

 どの道、私には見えない物。

 見えなくとも知っている物。

 

 メーヴィンが文言を唱える。

 そして、6人の魂は懐かしい気配に包まれた。

 

 

 

 

 ――Hou hir suthu kao, Wnusim kao aseto. Wa boyyou fnese 『quqao』 nome.

「偉大なる大地の神よ、契約者『刻遺』に御心を示したまえ、だ」

 ――刻遺の語り部一族に伝わる言葉?

「そうだな。 初代が死ぬときに残した言葉と聞いているぜ」

 ――なるほど……言い回しが『らしい』ね。

 

 特に「偉大なる」を「彼の」と置き換える当たりが。

 

 時が経つ。

 

「……人の業か」

 ――遥か昔は憑魔を業魔と呼んでいたからね。

「とんだ世界に生まれちまったなぁ、お互いによ」

 ――そうだね。

 

 人間の彼と、ノルミンの私では……いや、言うべき事じゃないか。

 

 時が経つ。

 

「さて……そろそろ俺は、準備に取り掛かるぜ。 お前さんは戦わないんだろ?」

 ――うん。

「それを聞いてちったぁ安心したぜ。 ……死に目には来いよ?」

 ――うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 スレイの答え。

 憑魔となった天族だけでなく、憑魔にさせられたヒトも救う。

 ヘルダルフをも救う。

 それは彼の物の命を止め、戻すと言う事。

 

 その覚悟があるのか、躊躇わない覚悟があるのかと、メーヴィンは問う。

 

 そして戦いが始まった。

 誓約による長命を断ち切る方法。

 ジークフリート。 意思を剥ぐ物。

 

 人間としては強いメーヴィンだが、誓約を破った事による弱体化も手伝って、ほぼ全開状態の神依――スレイ達の前に為す術はない。

 彼は武芸者ではない。

 我流の剣術は確かに長い年月を経て見事な物に仕上がっているが、刻遺の語り部という性質上誰かに師事する事も無かったのだろう。

 

 長命の誓約が彼を守っているが、同時に牙を剥いているのだ。

 

 だから。

 

「茶番にしたいのなら終わらせてやる!! 決めさせてもらうぞ、我刀・穿光塵!」

 

 挑発するような、その笑みに。

 

「メーヴィン! これが、答えだ!」

 

 銃弾は、放たれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――私はサムサラ。 メーヴィン、あなたは?

 

 ――俺はメーヴィンだ。 聖隷サムサラ、アンタに伝言がある。

 

 ――うん。

 

 ――『今更伝える事など無いわ! 何千年も期待しおって、その顔が見られんのだけは残念じゃが……想像するだけですっきりするわい! これで因縁も賭けも貸し借りも無しじゃ。 また会おうぞ、サムサラ』……だとよ。

 

 ――……え。

 

 そんなことを……1000年も受け継いできたの?

 私に意趣返しするためだけ……あぁ、マギルゥらしいか。

 確かにちょっと期待してたなぁ……。 何を言われるのか、って。

 

 ――ふっふっふ、澄ました奴だと思っちゃいたが……普通に驚くんだな。 その声が聴けただけでも、これを受け継いできた価値はあったってもんだ。

 

 ――あの時の含み笑いはそう言う事か……確かに、賭けに勝っても得られるものがこれじゃあね。

 

 ――そういうことだ。 ……輪廻を司るノルミン。 俺は、転生しないんだろ?

 

 ――記憶が引き継がれないだけで、その魂はちゃんと戻るよ。

 

 ――人間(おれたち)にとっちゃあ、そりゃしねぇのと一緒だな。

 

 ――……ありがとう。 マギルゥの言葉を伝えてくれて。

 

 ――おう。 あいつら、見守ってやれよ? 年長者の務めって奴だ。

 

 ――おかえり、メーヴィン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、やっと起きた。 サムサラ! 始まりの村カムランに行くよ!」

 ――イズチの麓の村だね。

「……やーっぱり知ってたんだな」

 ――うん。 咎める?

「ううん。 進むよ」

 ――うん。

 

 そっか。

 




今回難産でした。
理由ですが、メーヴィンの詠唱リスニングしてたからです。

以下、多分間違っているけどフィーリング解読

偉大なる大地の神よ、契約者『刻遺』に御心を示したまえ。

音だけ聴くと
huwashasasucu wisucere asku
wabekuu fausi kuayo nemu

です。

最初の部分、 偉大なる大地の神よ、
Hou hir suthu kao
変換すると
Dio del mondo lui
イタリア語で 彼の世界の神よ

次、契約
wiusim
変換すると
promes
イタリア語で 約束


aseto
変換すると
umani
イタリア語で 人間

~たまえ
wa~
変換すると
pu~
イタリア語で~してください

示し
boeyyou
変換すると
viaggio
イタリア語で旅路・軌跡

御心
fnese
変換すると
brama
イタリア語で希望・憧憬

『刻遺』
quqao
変換すると
kokui
そのまま刻遺

で、nomeはそのまま名前。
我が名とか、恐らく『刻遺』の『』部分。

そんな感じじゃないかなぁ。
架空言語のリスニングなんてやるもんじゃないとおもいましたまる

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