「…むにゃむにゃ」
ウタは休日、大体十時ぐらいまで寝ている。とは言ったものの、別に休日に寝だめしている訳ではなく、バイトも午後からでする事もないので寝ているだけである。
と、不意に外から「にゃー」という猫の鳴き声と壁をカリカリひっかく音が耳に入る。
「う〜、ちょっと待ってよ〜」
急に起こされたのでまだ少し眠いのか、ベッドに入ったまま手を振り降ろす。すると外にいた猫が空間の裂け目からウタの胸の上に着地した。
「にゃー!」
猫は着地が痛かったのか不満そうに鳴く。
「なによ、君も私をツルペタっていうわけ!?」
「フーッ!」
「よしその喧嘩買ってやる!」
猫に胸のことを言われたウタは、完璧に目が覚め、起きて早々猫に飛びかかるのだった。
「くっ、猫にも負けるなんて…なんて屈辱なの……」
三分後、猫に負けてしまったウタは、orzな形になりながら猫の報告を聞いていた。
「はぁ。それで、何か解った?」
「にゃー」
「ふんふん、イッセーが朝早くから着替えて何処かに出掛けたんだ……しかもニヤニヤしながらって、相変わらず変態ね。」
「にゃ〜?」
「私はどうするか?って言われても…って私は緑詩って名前でツルペタじゃないっ!…私そろそろ泣くよ?」
と若干涙声になりながら反論するウタ。
「にゃー、にゃー」
「うぅ…猫に慰められるってもうおしまいだぁ。どーせ私は猫よりもツルペタだよ…グスッ」
結局猫が十分ほどかけてウタをなだめると、少し機嫌がよくなったのか、
「…ありがと。もう大丈夫…だと思う。今日はバイトがあるからイッセーの監視しといて。夕方にはバイトも終わるから。」
と伝え、再び空間を切り裂く。今度はちゃんと猫の足元ではなく、隣に作ったので、猫はそこに飛び込んで、すぐに他の猫達のもとへ向かった。
ーーはぁ…朝から疲れたな。取り敢えずバイトに行こう。
とリュックにいつものコートを詰め、バイトへと向かうのであった。
ーーーバイトやっと終わった〜。じゃあこのまま散歩に行こうかな〜。
のんびりとバイト先を出たウタは路地裏に行き、コートを出す。そしていつものように腕を消したところで今朝の猫が走ってくる。
「あれ?どうかしたの?そんな慌てて。」
「にゃ、にゃー!」
バイトにいっていたウタはイッセーの事をすっかり忘れていたようで、
「あ、そうだった。いや〜、すっかり忘れてたよ。ごめんごめん。…ちょっと、爪を出しながら来ないでよね?痛いのはやだから。」
と、猫に向かってペコペコ謝っていた。
「それで、どうなったの?イッセーがいかがわしいお店の並ぶ所に誘拐とかしたの?相手の子は襲われてない?」
「にゃー」
「え、相手の子が襲おうとしてるって?そんな冗談よしてよ〜。だってあのイッセーだよ?あんな性欲が具現化したようなやつが襲われるって、それこそ天と地がひっくり返った拍子にしかおきなさそうなことじゃん。」
「にゃあ、にゃー!」
一向に信じないウタに腹をたてのか、猫は爪を出したまま飛びかかった。
「痛い痛い!!!そんな引っ掻かないでよ!!コート破けちゃうし、ほっぺに傷が出来ちゃったじゃん!!……え、何?相手の子は実は堕天使だったの?それでイッセーの命を狙ってるかもしれない?それならそうと先に言ってよね、もう……堕天使か。アイツらは嫌いなんだよな。訳のわからない事を言って偶に襲ってくるし。しかもアイツら揃いも揃って『此奴は違う!本物はこんなまな板じゃない!』とか言ってくるし。あぁ、もう!思い出したら腹が立ってきた!!場所は!すぐに八つ裂きにしてやる!!」
場所を聞いたウタはその猫に礼を言い、手をもう一度出して空間を切り裂く。ふと、さっき猫に引っ掻かれた頬を撫でると、傷は跡形もなく消えていた。
ーーー待ってろよ堕天使め。あんたの所為で出来たこのほっぺの傷の借りをきっちり返してやる!
そう決意し、ウタは切れ目をくぐっていった。
文章量ってもっと多くした方がいいですかね?
あまり文才がないので多少グダグダになってしまうかもしれないですが(既にグダグダしてるかもですが)さすがに少なすぎるとは思っているので、もう少し増やせるよう努力していきたいです。
感想とか色々書いてくれると凄く嬉しいです!