そしてリアルが忙しく、次の更新も遅くなるだろうと思われますのでそこはご容赦を。
そういえば気がついたらUAが15000、お気に入りも100を超えていてとてもびっくりしました。
こんな拙い作品ではございますが、これからも読んでいってくれると幸いです。
ーーーあー、早くクソ悪魔くん来ねぇかなぁ!!くっ…落ち着け!目的の為にもここは鎮まるんだ!
死体の前で葛藤するフリード。本来なら逆さに磔にしてこれから来るであろう悪魔の見せしめとする予定だったが、先程の電話でついイラっとして八つ当たりしてしまったのだ。
「はぁ、流石に
珍しく真顔でそう呟いていると、インターホンの音が鳴り響き、その後、玄関の扉が開く微かな音が聞こえる。フリードは待っていましたとばかりに顔を歪めるとソファに腰掛けた。
ーーーはぁ、俺この仕事向いてないのかなぁ。変な依頼ばっかくるし、次はまともな願いだといいんだけど。
魔法陣に呼び出されたイッセーは急いで自転車で家に駆けつけたが、明かりは付いていない。インターホンを押しても反応がないので、恐る恐る扉に手をかけると鍵がかかっていなかったのでそのまま入ることにする。
「すいませーん。どなたか…なんだこれ?何か濡れて…っ!血だ!うっ…なんでだよ…?」
まっすぐ進んでリビングに来たイッセーは、もはや人なのか分からない程ぐちゃぐちゃにされた死体を発見し、吐き気を何とか堪えながら室内を見回す。
「誰がこんなことを…。っ!おい、お前がこれをやったのか?」
「悪い子にはお仕置きよ〜、って偉い人の言葉をな。俺は、クソ堕天使の下で悪魔祓いをやっているフリードセルゼン。君みたいクソ悪魔をやっつけるためにやって来たのさ〜!」
振り向きながら立ち上がり丁寧にお辞儀をしたと思いきや、急に言動が変わったフリードに不気味さを覚え尻込みするイッセー。
「…っ。この人がいったい何をしたって言うんだ!」
「ノンノン。クソ悪魔を呼び出す奴なんてみーんな人間のクズ!俺はそのゴミを片付けただけなのさ!」
「だからって殺していいわけないだろ!」
まだ反論してくるイッセーに嫌気が差したフリードはイッセーを鋭く睨みつけると、懐から光の剣を出しながら言い放つ。
「…一度悪魔に魅了された奴はもう取り返しがつかねぇ。何も知らないお前みたいなクソ悪魔が俺に口出ししてんじゃねぇ!さっさとこの剣で斬り刻まれやがれ!!」
イッセーは自分に怒鳴りながら飛びかかってくるフリードの攻撃を、横に跳んで間一髪で避ける。しかし続けざまに振るわれた攻撃は避けきれずに頬を掠める。
「いっ…掠っただけなのに全身がビリビリしやがる。」
「そりゃあクソ悪魔くんらにとって大ダメージの光の剣ですぜ?このまま消し去ってやんよ!」
更に重ねられる斬撃に全身傷だらけになるイッセー。堪らず距離を置こうと、一瞬の隙を見せたフリードに背を向けたが、左足に強い痛みが走りバランスを崩して倒れるイッセー。
「ぐっ!何だ今の…?」
振り向くとフリードはニヤニヤしながら此方に銃を向けていた。
「な、銃声なんて聞こえなかったぞ?どうなってやがる…」
「フッフッフ、悪魔祓い特製の破魔弾のお味は如何ですかな?ハイもひとつオマケにドン!!」
必死に逃れようとしたイッセーだが避け方が悪く、右膝も撃ち抜かれてしまった。
「ぐああぁぁ!!クソ!ちょー痛いぜ…
「……さ、さぁ!これで両足がオシマイ!神への懺悔は済んだぁ?」
ウヒャヒャ、と笑いながら天井に銃を撃って威嚇するフリード。バスッ、バスッ、と穴を開いていくあまりの狂気さに腰が抜けてなにも出来ないイッセーだったが、ガキン!と天井ではなく、なにやら硬いものにぶつかった音が聞こえた。
「アヒャアヒャアヒ…ん?なんだ今の音は。」
訝しげな視線を天井に送り、イッセーそっちのけで銃を乱発するが当たった感触もなく、やがて弾切れを起こしてしまった。
「アークソ!なんで当たらないんだ…あり?ありりり?…チッ、なんだ弾切れかよ!」
「いまだ!!
「んあ?がはっ!!」
イッセーはダメになった足を気合いで動かし、捨て身の一撃を繰り出すと見事に鳩尾にクリーンヒットし、フリードは壁に叩きつけられ、地面に倒れる。
「よっしゃ!…あんま殴った抵抗を感じなかったけど、もしかして俺は凄く強くなってるのか?精々後ろに倒すぐらいかと思ってたけど…っとそれよりこの状況をどうするかだな。倒したはいいけどこれ以上動けそうにないし…部長に連絡を」
「おいおい〜、もう終わったと思ってんのか?」
電話をかけようとしたイッセーに制止の声をかけたのはフリードだった。
「っ!?お前、今倒したはずだろ!」
「あれくらいで倒せるほどヤワな悪魔祓いはやってませんぜ?まあそれでも流石にさっきのはちょいと痛くてね〜。寛大な俺様でもプッツンしちゃったわけですよっ!と」
飛びかかって光剣を横に斬ってくるのを尻もちをついてなんとか回避し、上段に構えた剣を横に転がって避けようとしたが、第三者の介入によって二人の行動は中断させられる
「キャーー!!!」
ーーーこの声、まさか!?なんでこんな所に!
「おんやぁ、助手のアーシアちゃん。結構時間かかってたけど、結界はしっかりとはれました〜?」
部屋の入り口に立っていたのはアーシアだった。
「どうして…こんな酷い…」
「そう言えばアーシアちゃんはこの道のシロートでありましたな〜。いいですかい?悪魔に魅入られちゃうような救いようのない人間をお掃除するのが我々悪魔祓いの仕事。こういうことはさっさと慣れておかないと辛いですよ〜?」
随分とおどけた様に伝えたフリードだがアーシアはフリードを睨みつける。
「だからってここまでするなんて主がお許しになる筈がありません!!ちゃんと話せば分かってくれたでしょうに…」
「…あー、はいはい。お説教はこの悪魔を消した後にしてくれませんかね?」
優しそうなアーシアが本気で怒っていることに驚くが、隙を晒すわけにはいかないのでテキトーにあしらうフリード。しかしその説教はすぐに終わることになった。
「いいえ、今じゃないと…イッセーさん!?」
「ア、アーシア。これはその……」
「え?なになに?もしかしてお二人さん出来ちゃってるんですかぁ〜?悪魔とシスターなのに?うわー、マジで草生えるわ。そんじゃあ俺はその赤い糸をぶった斬るとしますか!」
喋る内容とは裏腹に目も口調もガチなフリードは光剣を振りかぶるが、アーシアがイッセーの前に立ち攻撃を妨げる。
「っ!イッセーさんを殺さないでください!!」
「……おいおい、もしかしてアーシアちゃんも悪魔の虜になっちゃった?」
「イッセーさんはいい人です!道を知らない私に途中までですが道案内してくれました!それを悪魔だからと言ってすぐに斬るなんて間違ってます!」
再び説教を始めたアーシアに俯いて黙るがすぐに顔を上げたフリード。その顔にはしっかりと怒りの表情が表れていた。
「ごちゃごちゃうっせーんだよ!俺は悪魔を斬りたいんだ!そんなにその悪魔が好きなら二人まとめてぶった斬ってやる!」
「アーシア逃げろ!」
「イッセーくんを死なせる訳にはいかないかな。」
フリードの振り下ろした光剣は、突如部屋に出現した魔法陣から出てきた木場によって『キィィィン』と甲高い音をたてて防がれる。
「お?悪魔が増えた!お前も斬り刻んでやんよ!」
鍔迫り合いを解いて互いに距離をとり、再び剣を打ち合うが木場は涼しい顔でイッセーに声をかける。
「イッセーくん、皆で助けに来たよ。」
「木場!!皆って…」
まだ残っている魔法陣から他のオカ研メンバーも続々と出てくる。
「先輩、援軍に来ました。」
「あらあら、この悪魔祓いにはお仕置きが必要ですわね。」
「イッセー大丈夫!?助けに来るのが遅くなってごめんなさいね。さっきまで結界があって気付くのが遅くなってしまったわ。」
「皆!部長!…すみません、俺、スッゲー弱くて。皆に心配かけさせて…」
「いいのよイッセー。誰だって最初は弱いもの。これから強くなっていけばいいのだから。………本当によかった。」
イッセーが無事だった事に安心したリアスがイッセーを思い切り抱きしめる。
「ぶ、部長………ぐへへ。」
「まったくもう、この子ったら…」
「…………あーつまんね!!なんでこのタイミングでいちゃいちゃし出すかね〜。それに、流石にこの数相手だと疲れるし。っつー訳で、俺様はトンズラしますわ。」
「待ちなさい!この状況で逃げられると思っているのかしら?」
フリードは手をヒラヒラとさせてイッセー達に背を向けた。リアスが呼び止めると足を止めたが、振り向きながらニヤリと笑いもう一方の手から何かを落とす。
「んじゃ、ばいびゅおあ!?」
地面に着くと同時に強烈な閃光がイッセー達を襲い、目が慣れた頃にはフリードの姿はなかった。
「……逃げたわね。随分とあっさり引いたところとか最後の謎のセリフとか、色々不可解なところはあるけど…イッセーの傷を治すために部室に戻るわよ。朱乃は魔法陣の準備を。」
「はい部長。」
リアスの指示を受けテキパキと準備を進めていくが、遠慮がちな声に中断させられる。
「あ、あのう…私はいったいどうすればいいんでしょうか…?」
「あ、アーシア…部長!この子も連れてってください!俺が生きていられたのも、アーシアのおかげなんです!」
「う〜ん、どうしようかしら。魔法陣だと私の眷属しか移動できないし…わかったわ。朱乃、魔法陣は中断して、皆で歩いて帰るわよ。アーシアさん、でいいかしら?悪魔がシスターに言うのも変だけど、一緒に来てくれないかしら。」
リアスが誘うと一瞬迷うそぶりを見せたアーシアだったが、「じゃあ、よろしくお願いします!」と笑顔で答え、部室に招かれたのだった。
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