三匹目の猫   作:AstrAl 4π

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今回会話が多いです。面目無い…


十三話

十三話

 

急いで携帯電話を空間を繋げて持ってきて、時間を見るとまだ五十七分。良かった…と思いつつ電話を掛ける。

 

「……あれ、コールしっぱなしだ。まあ待ってればいいけど。って寒いな!よく考えれば私服着てないし。うーん、お風呂ですればいいや。防水の魔法ってあったよな…どこだったっけ?」

 

ついでに魔導書も持ってきて一緒に防水の魔法を掛ける。手早く体を洗い、湯船の中で魔法を作っているとコール音が止まり『あ〜、もしもし〜』と、ようやくフリードが電話に出た。

 

「お、やっと出た。もしも〜し。昼に会ったウタだよ。」

 

『おんやぁ昼の奴か!いや〜、マナーモードだったから俺っち気付かなかったよ〜。なんせ俺っちエリートだから今から仕事なんすよ。』

 

そう言われよく聞いてみると、どこかに向かっているようで、複数人の足音が聞こえる。

 

「えー、神父ってこの時間からなんの仕事があんの?宗教勧誘とか?」

 

『えー、俺っちがそんな真面目ちゃんに見えちゃう?まっさか〜。悪魔の信者にお仕置きをしに行くんだよ〜。あ、アーシアちゃん結界よろしく〜。』

 

「え、アーシアもいるの?」

 

『ちょ、アーシアちゃんに危険は無いって!結界を張ってもらうだけだから!』

 

アーシアを危険な場所に連れて行くと言うあまりの爆弾発言に、つい電話越しでも感じるくらい強い殺気を放ってしまったウタ。

 

「あー、ごめんごめん。ならいいけど…そっちの喋りが元なの?そっちのが聞きやすいんだけど。」

 

『いや〜、僕ちんは元からこんな感じよー?』

 

「……一人称変わってるんだけど。まあいっか、それよりも本題に行こう。ちょっと髪洗うから声大きめでお願い。」

 

そう言うとウタは風呂から立ち上がり、シャワーを出して髪を濡らし始める。

 

『…お?サービスですか?いやー、いいね〜!』

 

「なんのサービスよ…それで、何を企んでるの?」

 

『…誰にも言うなよ?明日、クソ堕天使どもがアーシアの神器を抜き取る。』

 

「…因みに、どうやって止めるつもりなの?」

 

『…止め「誰だ?なんだその光ってるガハッ!」』

 

フリードの声は誰かの断末魔によってかき消される。

 

「ちょ、今の物騒な声は何?何言ってるか聞こえなかったんだけど。」

 

『あー、くそ!テンション乗らねぇ。だから止めないって言ってんだろ!』

 

何故かキレるフリードに臆することなく、ウタは感じた疑念をぶつける。

 

「仕事って殺人なんだ…でもその人って人間だよね?もっと他のやり方とか…」

 

『………そんなん殺したかったからに決まってんだろうが!!なんでお前にとやかく言われなきゃいけないんだよ?』

 

「なんでってそりゃ辛そうな声を出してるし。快楽殺人者の声じゃないよそれ。」

 

『……』

 

図星だったのか黙りこんでしまうフリード。会話が続かないのでウタから「まあ」と静かに語り出す。

 

「詮索するつもりはないけどね。フリードにも理由はあるだろうし。邪魔はするけど。」

 

『…おい、電話切るぞ?ここからが本番だってのに雰囲気壊れるだろ。』

 

「今度はやたらと冷静だね…あ、そうそう、この辺の悪魔ははぐれ以外殺すのNGね。」

 

『はぁ!?冗談もいい加減にしないとキレ「そのかわり!」…なんだよ。』

 

「殺人願望に満ち溢れてるフリードが、もしこの約束を守ってくれるなら、フリードの目的を達成するためなら、出来るだけ力を貸すよ。どう?まあダメならフリードが消えるけど。」

 

『 …チッ!すっぽかしたりしたらマジでぶっ殺してやるからな?あ〜だるいだるい!まったく、注文が多いと困りますなぁ。』

 

機嫌を直したのか、ふざけた喋りに戻ってきたフリード。ウタもその事に安心したのか、いつの間にか止まっていた髪を洗うのを再開する。

 

「ふふっ、ちゃんと守るから大丈夫だって。それに殺したり腕とか斬り落としたりしなければ、攻撃してもいいよ?流石に黙って殴られろとかは言わないからね。」

 

『…ククッ、アヒャヒャヒャヒャヒャ!いいねぇいいねぇ!僕ちんそう言う縛りプレイとか燃えてきちゃう!』

 

「うん、じゃあ仕事頑張ってね。」

 

『ばいびー』

 

そう言って切られた電話はそのままに髪を洗い続け、急いでお風呂から上がるウタ。バスタオル一枚体に巻くと、そのまま仙術でフリードの位置を探す。

 

「うーん、どこにいるのかな〜。あれ、イッセーの気を感じる。イッセーを追っていけば辿り着きそうだな…」

 

イッセーを感知したウタは気で補足しつつ魔導書を開く。

 

「あー、空間を繋いだまま、切れ目を動かせたら楽なんだけど。或いは向こうからこっちだけに通れるとか。ま、直接見れないのは残念だけど気を使えば大体のことはわかるからいいんだけど。なんかこう言う時に良さそうな魔法ないかな…」

 

テキトーにパラパラとめくっているととある一ページで手が止まる。

 

「お、これなんだろ…『ビデオカメラ付きの飛行物体を生成して自分の思い通りに動かせる!そのボディは闇に紛れ、そのプロペラはいかなる軌道も実現可能!』だって。隠密性と機動力重視なのかな。魔法の名前も『ドローン』って書いてあるし。確かに忍者っぽい説明だけどそのネーミングセンスはね…」

 

多少文句を言いながらもドローンを三機出し、試しに動かしてみると、流石に同時に別々の動きはできなかった。

 

「ま、こんなもんか。一応室内だとバレそうだから不可視と防音の魔法だけかけといて、イッセーの所に送りつけてっと。………よし、映像もオッケーだから仙術は解除しとこ。」

 

昼の二の舞にならないよう注意を払い、ウタの準備は完了した。




次回は久しぶりの戦闘シーン…の予定です。



そしてお詫び

相変わらず投稿が遅い&話が全然進めれてなくて申し訳ないです。

ちょこちょこ絵の練習もしてはいますがまだまだ見せられるような状態になりません…

それでももっと絵が上達したら投稿できたらいいなぁと思っています。

誤字脱字、感想等ありましたら待ってます。

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