誠に勝手ながら、本来ならここまで持っていく予定だったので、この話を十一・五話とさせて頂き、原作一巻か二巻が終わったら十一話に纏めようと考えています。
今後出来る限り、この様な処置を取らない様に心掛けて行く所存です。
こんなグダグダな作品ですが、これからも応援して頂けると幸いです。
時は少し遡って、授業の終わった小猫は急いで部室へと駆けて行った。
「(何か妙な胸騒ぎがします…今先輩の家に行けば先輩について少し掴める気がします…!)…部長!部長は居ますか!?」
「あらあら、小猫さん?部長はまだ来ていませんよ?」
バン!と勢いよく扉を開け、部屋の中に飛び込むように入って来た小猫はしかし、 自分らしからぬ行動を少し恥ずかしく思っていた。
「なんなら私が、部長に伝えておきますよ?」
「…そう、ですね。緑野先輩の家に行くと伝えてください。先輩風邪引いてるんで。」
「はい、解りましたわ。」
朱乃の許可も降りたのでウタから貰ったブレスレットを使い、ウタの家にテレポートした。と、丁度そのすぐ後にリアスが入ってくる。
「朱乃、まだ貴女しか来てない?」
「いえ、たった今小猫さんがウタさんの家に向かいましたよ?なんでもウタさんが風邪を引いたのだとか…」
そう聞いたリアスはホッと安心した様に溜め息をつく。
「そう、わかったわ。…あの子には感謝しないといけないわね。」
「と、言いますと?」
「小猫のことよ。まだウタと会ってから数日程度の付き合いだけれど、ウタが来てから小猫は前よりも少しだけよく喋る様になったわ。随分とウタの事が気になっているようだし、このまま良い方向に向かってくれるといいのだけれど。」
「ええ、そうですわね。ウタさんとも仲良くしていきたいですわ。」
そんな会話をしながら、部活を始めるのだった。
ウタの家に来た小猫は何か違和感に気がついた。物が散らかっているし、多数の視線を感じた。
「なんか気味が悪いですね…緑野先輩はどこにいるのでしょうか。」
鞄に入れていた地図を取り出し、なるべく視線から逃れるように探索を始めた。
「先輩の部屋にはいなかったし、何処に行ったんですかね?まさかあんな体で出掛けたりする筈無いですし…それにしても、明らかにさっきよりも視線が多いですね。」
害意はないが舐め回すようにネットリとした視線が小猫に向けられる。しつこいので先にこっちを見ている方を片付けようと接近を試みても、尻尾も掴めず逃げられてしまう。
「しつこいですね。あと一箇所を除いて全部見ましたが…はぁ、昨日酷い目に遭った気がするので行きたくないですが…」
勿論小猫の行きたくない場所とは書斎の事である。鮮明には覚えていないが悪魔でしかも
「しかし他の場所はもう見ましたし……………仕方ないですね。見に行きますか。」
渋々と歩き出すと先程まで感じていた視線がまるで慌てているかの様にまばらになり始めた。不審に思った小猫が警戒していると、とても小さな音だが何かが走る音が聞こえる。
「これは…当たりみたいですね。結構時間もかかっているので急ぎますか。」
足音を立てないよう注意しつつ、小走りで書斎に向かうと、椅子に座って本に向かうウタの姿。しかしその姿には普段ない筈の猫耳が生えていた。
「えっ…先輩?…」
「!!!?!?!!??!?」
小猫の声に、表現出来ない様な奇声をあげながら振り向くウタ。
「その猫耳は一体…」
何ですか、と続けようとしたがその口が動く事は無かったーーーー