「おかしいわね…」
真っ白で広々とした部屋に黒髪をなびかせて1人の少女が呟く。
「昨夜から魔女の反応が異常なほど増えているわ…」
紫色に強く美しく輝く彼女自身の命でもあるソウルジェムを握りしめたまま外を見る暁美ほむら。
「これはさすがに大成にも動いてもらうしかないわね…」
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「あれからどうなんだ?杏子」
「んぁ?」
昨日ほむらの家で話をした2人は教会に戻り、これからの話をしながら晩飯を食べていた。
「さやかの事だよ。お前がどうにかするって言ってたろ?」
「あぁ、それなら心配いらねーさ。」
丁度食べ終え、かちゃっと箸を置き席を立ち、ビシッと大成に指をさしたまま杏子は話を続ける。
「あいつはあたしがみっちりと稽古してやった!思ったよかあいつは心が強いみたいだからよ。なんか、好きな奴をとられちまったって凹んでたわりにはもう立ち直って戦いの訓練してるよ。」
あ〜あ、追い越されちまったらやだな〜と言いながら杏子はロッキーを取り出し食べ始める。
「そうか…さやかは…。ってお前!食後にお菓子食うな!!」
さやかの安否にひと安心した大成。の元に急にテレパシーが入る。
『大成、杏子、巴マミ、美樹さやか、聞こえるかしら?』
「んぉ⁉︎なんだ⁉︎頭に直接喋りかけてくる…!」
「なに厨二っぽく言ってんだ。ほむらのテレパシーだろーが。」
『もしもーし。聞こえてるけどー?なんの用だよ〜』
『転校生ー?あたし今新しい技試してるんだけどー!』
『佐倉さんに美樹さんも…こんなにまとめて話ってなにかあったの?暁美さん。』
どうやら只事ではないようだ。大成は会話にはあえて入らないもののしっかりと意識を向ける。
『その様子だとまだ動けそうね。悪いけど、魔女結界が見滝原だけでも同時に4つも発生したわ。このまま放置すれば一晩で何人もの人が危ないわ。』
『なっ⁉︎4つ⁉︎そんなこと今まであったかよ!』
『全員で手分けして撃破をお願いするわ。幸いな事に場所は近いわ。それぞれ臨機応変に動いて頂戴。』
「…とりあえず向かうぞ、杏子。」
「これもワルプルギスの夜が近づいている影響ってことか…胸糞悪いな。」
大成はそう考察する杏子の話とは裏腹に何か胸につっかえるものを抱えながら見滝原へと向かう。
「あたしはここだ。大成はどーすんだ?」
「俺は少し寄るところがある。杏子は負けないと思うから、いいだろ?」
「ったりめーだ!余計な心配するんじゃねぇよ!」
ドヤ顔かまして仁王立ちする杏子を見て大丈夫だなと悟った大成はその場を去る。
sideさやか
「あたしはここだね…」
さやかは見滝原の東の外れの結界へとたどり着き、結界の中へと入っていく。
中は真っ黒と真っ白。まるで影のような世界となっていた。
「うっわ…気味悪いな…ってあたし自身も黒いし!!」
出てくる使い魔も歩く道も自分さえも真っ黒で気味が悪い。さやかはそそくさと奥へと進む。
「あんた達じゃこのさやか様は止められないぞぉ!!どけどけ〜!!」
なぜかご機嫌(?)なさやかは使い魔に擦り傷一つ受けることなく最深部へとたどり着いた。
「…あいつが魔女ね…」
黒い道の奥には太陽のような、それこそようやく黒と白以外の色でそびえ立つ太陽のようなもの。そこの下で太陽を拝むように固まる真っ黒な女の形をした魔女。
「…先手必勝ってやっちゃっていいのかな…?」
さやかは疑問に思いつつも先に攻撃されては意味がないと思って自身が作り出した魔法陣に飛び乗り、蹴り跳ねて斬りこむ。
「やぁあ!!……って!いない⁉︎」
先ほどまで確かに前にいた魔女が瞬きの瞬間に消えてしまった
「…どこ…⁉︎……いた!!あんな遠くに…!!」
さやかから100m程遠くに魔女が現れ、直様魔女は見た目では分からないが木のようなものを生やしてその先端をさやかに突き刺してくる。
「あたしには効かないよ!!まずは新技その1!タイフーン!!」
さやかは自身を高速回転させ!竜巻を作り出す、それを襲いかかる影に放ちたちまち消滅させた。
「杏子から教えてもらったから悪いけど速攻で勝たせてもらうよ!」
影を消され、魔女の次の攻撃までに一気に懐に飛び込んださやかは回転しながら魔女の首めがけて斬り込みに行く。
「いっけぇぇぇ!!!ぐっ⁉︎」
その途端さやかの腹部に激痛が走る。魔女はとっさにさやかの腹部めがけて影を出し突き刺したのだ。そのまま影を伸ばしてさやかと距離をとろうとする。
「こ…んの……ぉお!!」
さやかは両手に持っていた剣を投げつける。が、魔女はそれを難なくかわしてしまう。
「………チェックメイトだよ。」
『!!』
魔女が気づいた時はもう既に遅い。さやかの外した剣はブーメランのように帰ってきて魔女の頭から首を離すことに成功した。
「…ってて…やっぱ治癒の魔法は役にたつなぁ…、っと…他のみんなのところにいかないと…!!」
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マミside
「…ここね…」
マミもまた街のはずれ。さやかとは正反対の方向にあるグリーフシードを発見した。
「速攻で片付けるわよ!」
素早く魔女結界へと進入したマミはどんどん使い魔を消し去り奥へと進む。さやかとは違い、一匹一匹確実に仕留めている。さすがはベテランといった腕前だ。
「それにしても不気味な所ね…前に戦ったお菓子の魔女の時とは大違いね…気持ちの悪い人形もたくさんいるし…」
まるでアートのような人形が次々も襲ってくる。それでもマミにはどうってことはないが、清楚で可憐な彼女には少し見た目がアウトのようだ。
「ついたわね。」
扉を開けるとそこは東京ドームのような広い円状の広場。そこの真ん中にそびえ立つ大きな銀色の門。
「あれが魔女…と考えてもいいわよね…」
とりあえず様子見に自身の生み出したマスケット銃を放ち攻撃してみる。
「…!!弾かれた⁉︎なにかバリヤのようなものがあるのかしら?」
明らかに門には当たらずそのギリギリの所で見えない壁のようなもので防がれてしまった。
「…使い魔も呼び出してきたわね…でも、それだけじゃあたしは…っ!!」
その途端門の魔女は浮き上がり、急降下して地震を起こしてくる。何度か繰り返しているうちにマミの方に地割れができ始める。
「下に落とそうって考えかしら…でも、そうはいかないわよ…!」
マミは魔法でリボンを作り、足場を作ろうとする…が、大量に発生する使い魔に邪魔され、思うようにリボンを生成できない。
「…集中できないわ!!…きゃあ!!」
ついに地面が割れ、マミはその地割れに落とされてしまう。使い魔もそのまま巻き添えをくらい、その絵はまさに地獄に落とされる者達を見ているかのような光景である。
…がしかし、巴マミにはそのような手は通じない。
「残念ね…私はかえってこういう状況の方が慣れてるのよ!!」
マミは使い魔に邪魔されることもないため、リボンを展開、自分の足場をリボンで作り、下から魔女を見上げる。
「…悪いけどみんなの所にもいかないといけないから…一気に決めさせてもらうわよ!!」
マミは素早くリボンを魔女の足元から発生させ、門の両側を固定、リボンに拘束された魔女は油断ができたのかバリアのようなものを展開していない。
「今ね!!…よっ!!」
自分の乗っていたリボンをトランポリンのように扱い急ジャンプしたマミは一瞬で魔女の前に飛ぶ。そのまま自身最強の技をお見舞いする。
「ティロ・フィナーレ!!」
魔女に直撃し、大きな爆発を起こす。
門が壊れるもなにも、強力な一撃に跡形もなく消し飛んでしまう。
「ふぅ…最後まで油断してはいけないって大成君が教えてくれたものね。今回は完勝ね♪さて、美樹さんはもう終わったみたいだし、私も向かうわ!」
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杏子side
「気味わりーな。さっさと片付けさせてもらうぜ。」
杏子の入った結界は宇宙のような空間。真っ暗な空間に星のようなものが浮いている。この空間は奥に進めない。上に行かないといけないようだ。
「…でっけぇ本みたいなのが落ちてきてるな…これを繋いで登り続けろってことか…」
下は暗闇、そこに落ち続ける大きな本を渡り登りしながら進む杏子。
「…ったく…すこしは骨のある魔女なんだろうな…」
杏子は喋りながらでも難なく上に上に進んでいく。
あっという間に最上階へと辿り着いた杏子の前には鳥かごがポツンと宙に浮いている。
「…なんだありゃ…まぁ、さっさとやらせてもらうぜ!」
助走をつけ、杏子は自身の生み出した槍を鳥かごの魔女めがけて投げつける。
が、鳥かごから現れた人間のような形をした鳥が現れ、槍を素手で掴んでしまう。
「…まぁそう簡単にはいかないわな…ってうぉっ⁉︎」
使い魔が槍を投げ返してきたのだが、なんとも強烈な腕力をもっているらしく、あまりの速い投げ返しに杏子は頬に掠めてしまう。
「てんめぇ…よくもやってくれやがったな…!なら今度はこれならどうだ!」
先ほどと同じく槍を投げつける。が、数は多い、数十の数の槍を投げつける。
「これならいったろ…!!……ってマジかよ⁉︎」
目には目を、数には数を、といったように槍と同じ数だけ使い魔が現れ、すべて止められてしまう。
「…クソ!今度は当たると思うなよ!!………!!」
杏子は少しもどかしそうにしながらも時間が無いことに押され、切り札を使う。
「ロ…ロッソファンタズマ!!」
その途端杏子の分身が何十人も現れる。突如の事に魔女も使い魔も錯乱し、槍を投げ返すのをためらう。
「…やべぇ…ちょっと作りすぎたか…魔力がまぁまぁ減ってやがる…これで決めさせてもらうよ。」
使い魔が槍を投げ返し、分身を攻撃している隙にその一番後ろで杏子は手を地面につけ、魔力を注ぎ出す。
「はぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
その途端杏子の足場から超巨大な槍が現れる。大きさではバス2台分に及ぶほどの大きさ。その真ん中に乗った杏子は魔女めがけて自分ごと槍を飛ばす。
「いっけええええええええ!!!」
使い魔が守ろうと束を作るが簡単に弾き飛ばされる。魔女も抵抗できず鳥かごの真ん中から槍に突き破られ、消滅する。
「っし!グリーフシードっと!!」
クスクス…
「だれだ⁉︎」
杏子な笑い声が聞こえて振り向く。そこにはマミとさやかが立っていた。
「ぷくく…杏子…ロッソファンタズマ!!って…ふふふ…あーだめだ!堪えれない!!あっはっはっはっは!!」
「佐倉さん…私が昔教えた技…今でも使ってくれてたのね…嬉しい…」
「な…な…てめぇらどこから見てやがった…」
「佐倉さんがロッソファンタズマ!って言うところからよ?」
ぷるぷると震える杏子に笑いながらさやかが肩に手を置く
「ぷくく…杏子大丈夫だって!誰にも言わないから!ロッソww」
「てめーらころしてやるーー!!!!!!!」
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「どうやら全員片付いたようね。」
あれから杏子達は三人でほむらの元へと向かったが、そこには大成とほむらが待っていた。
「あれ?お前らもう倒してたのかよ。」
「あぁ、ほむらは時間停止の魔法が使えるからな。一瞬だった。」
「んだよずりーなー」
大成は杏子の頭に手を置いて話をする。
「みんなの戦いは気を読んでみていたけど、凄かったな!特にさやか!魔法少女見習いとはいえない強さだったな!」
「えへへ〜魔法少女さやかちゃんには敵う敵などいないのだ!!」
「杏子もマミさんも相変わらず見事な戦いだった!」
「当たり前だろ〜が…って早く手をどけやがれ///」
「羨ましいわ佐倉さん…」ボソッ
そんなこんなで魔女戦を終えた五人は賑やかなムードになるが、そこに切って入ったのはほむら。
「…賑やかな所悪いけど、大事な話をするわ。」
「(ついにか、ほむら…)」
魔法少女達にほむらから残酷な話を聞かされることになる。
中途ですが終わります。
魔女連戦ってよりはそれぞれの戦いですねw
ほむら戦はご察しの通り、時間停止→ロケランで終わっちゃいますので、省かせてもらいます。
次回から大成の戦闘がメインとなります!
コラボして欲しいアニメがありましたら知ってる内容しかできませんが、お願いします!
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進撃の巨人
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