メビライブ!サンシャイン!!〜無限の輝き〜   作:ブルー人

24 / 113

アメトーク仮面ライダー芸人特集を見た感想……ほぼネタシーンしか紹介してなかったじゃないかぁ!!
面白かったですけどね。


第23話 善子らしいヨハネ

「ハァイ。伊豆のビーチから登場した待望のニューカマー、ヨハネよ!」

 

夏の日差しがジリジリと肌を焼く、浦の星学院屋上。

 

暑苦しそうなゴスロリ衣装に身を包んだ六人の少女が、各々で”堕天使ポーズ”をとって待機していた。

 

「みんなで一緒に〜……堕天しない?」

 

「「「「「しない?」」」」」

 

真ん中に立つ善子に合わせて台詞を決めるAqoursのメンバー達。

 

少し離れた所でカメラを設置し、その光景を撮影していた未来とステラは、ほんの少しの沈黙で場を満たした後、撮影終了のスイッチを押す。

 

「あー……」

 

「……こほんっ。はいオッケー」

 

わざとらしく咳をするステラに対して、未来はなんと言っていいのかわからない、といった顔で目の前の少女達を一瞥した。

 

 

◉◉◉

 

 

「やってしまった……」

 

「お、お疲れ」

 

後悔のあまり、すっかり脱力してしまっている梨子の側に寄り、とりあえず慰めてみる。梨子なら堕天使アイドルの事は反対すると思っていたが、案外すんなり付き合っていたので驚きだ。

 

「どう?」

 

「待って、今……」

 

ピコン、という音と共にスクールアイドルのランキングが更新され、一気に皆の視線がパソコンの画面へと移る。

 

「うそっ⁉︎」

 

「一気にこんなに⁉︎」

 

見てみればなんと900位台まで上がっていたのだ。偶然……というのも考えにくいので、やはり先ほどアップした動画の影響によるものだろう。

 

「じゃあ効果あったってこと?」

 

「すごいじゃないか!やったな!」

 

「コメントもたくさん!すごい!」

 

横に表示されているコメント一覧を見る。

 

そこに書き込まれていた内容は「ルビィちゃんと一緒に堕天する!」「ルビィちゃん最高!」「ルビィちゃんのミニスカートがとてもいいです」…………と、ルビィに関することがほとんどであった。

 

(こいつら…………)

 

「いやぁ〜……そんなぁ……」

 

嬉しそうに頰を染めるルビィだったが、未来はこのか弱く小さなアイドルにおかしなファンが付かないものか、と心中でハラハラしていた。

 

とその時、校内放送がかかったのか、天井のスピーカーから聞き覚えのある声が流れてくるのが聞こえた。

 

『……スクールアイドル部の部員は至急生徒会室まで来てください。……ただちに!!』

 

最後の方だけ語気を強くしたその声音は、千歌達を一瞬で凍りつかせた。

 

 

◉◉◉

 

 

「こういうものは、破廉恥というのですわ!!」

 

やはり待っていたのは生徒会長ことルビィの姉、黒澤ダイヤだった。

 

新しくアップした動画を見たのだろう、相当お怒りの様子で千歌達を呼び出したのだ。

 

「いやーそういう衣装というか……」

 

「キャラというか……」

 

「ほ、ほら、ルビィちゃんすご〜く可愛く撮れてますよ〜おねえさm」

 

ダイヤに鋭い視線を向けられて黙り込んでしまう未来。後ろからステラが「情けない」と罵っているのが聞こえたが、何も言えなかった。

 

「そもそも!私がルビィにスクールアイドル活動を許可したのは、()()()()()()自分の意志でやりたいと言ったからです!こんな恰好させて注目を浴びようなど……!」

 

「ごめんなさい、お姉ちゃん……」

 

ダイヤの言葉を聞いて申し訳なさそうな顔をするルビィが、咄嗟にそう言った。

 

「……とにかく。キャラが立ってないとか、個性が無いと人気が出ないとか、そういう狙いでこんなことをするのは頂けませんわ!」

 

「でも、一応順位は上がったし……」

 

「そんなもの一瞬に決まってるでしょう⁉︎試しに今、ランキングを見てみればいいですわ!」

 

ダイヤが机の上でパソコンを回転させながらこちらへ渡すと、曜がそれを受け取り、ゆっくりとサイトを開いていく。

 

「……あっ!」

 

最初に視界に入ったのが、大きな数字で表されているランキング。先ほどは900位台だったが、今はなんと1500位台まで落ちてしまっている。

 

「本気で目指すのならどうすればいいか……もう一度考えることですね!」

 

「……は、はい……」

 

どんよりとした空気のまま、未来達は生徒会室からぞろぞろと出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失敗したなあ……確かにダイヤさんの言う通りだよね……」

 

夕焼けを背に膝を抱えた千歌がポツリと呟く。

 

「こんなことでμ'sになろうだなんて失礼だよね……」

 

「千歌が悪いわけじゃないだろ」

 

「そうよ」

 

俯きながらそう口にする善子の方を全員が振り向いた。

 

「いけなかったのは……堕天使」

 

「え?」

 

「やっぱり、高校生にもなって、通じないよ」

 

「それは……!」

 

「なんか、すっきりした。明日から、今度こそ普通の高校生になれそう」

 

「じゃあ、スクールアイドルは?」

 

ルビィの問いに少しだけ考えるような素振りを見せた後、善子は背を向けて返答した。

 

「やめとく。迷惑かけそうだし。…………じゃあ」

 

軽く片手を振り、そのまま帰ろうとする善子。

 

どこか寂しそうに見えるその背中には……褪せた輝きが宿っているようにも感じられた。

 

「少しの間だけど、堕天使に付き合ってくれて、ありがとね。楽しかったよ」

 

 

善子が見えなくなる所まで歩くのを確認すると、梨子は不意にとある疑問を投げかけてきた。

 

「……どうして、堕天使だったんだろう」

 

「マル、わかる気がします」

 

そう言ったのは善子の幼馴染でもある花丸だ。

 

「ずっと、普通だったんだと思うんです」

 

花丸はもちろん、ルビィ、千歌、未来……全員に当てはまることだ。

 

他人の中に埋もれ、目立たない人間。そういう生活を続けてきて、ふと思う時がある。

 

「”これが本当の自分なのかな”って」

 

花丸の言葉を聞き、未来は過去のことを思い出していた。

 

ーーーー『俺に……力があればぁッ……!』

 

何もない人間でなかったら、もしも”本当の自分”とやらが存在して、それでウルトラマンのような力を発揮できたのなら、父と母は死なずにすんだのかもしれない。

 

「確かにそういう気持ち、あるかもしれないな……」

 

油断していると涙が溢れそうな気がして、未来は思わず空を見た。

 

「……幼稚園の頃の善子ちゃん、いつも言ってたんです」

 

 

 

 

ーーーー『私、本当は天使なの!いつか羽が生えて、天に還るんだ!』

 

 

 

 

 

花丸の話が終わると、全員がやるせない気持ちに包まれているのがわかった。

 

「…………やっぱりこれじゃだめだよ」

 

「千歌?」

 

「このままじゃ、ダメだよ!」

 

急に立ち上がった千歌に驚き、皆は目をパチクリさせて彼女の方を見た。

 

「スカウトを続けるよ!善子ちゃんのこと!”堕天使ヨハネ”として!」

 

 

◉◉◉

 

 

翌日の早朝。

 

千歌達スクールアイドル部は、再び善子を勧誘するために彼女の家の前へと訪れていた。

 

 

他のメンバーに気づかれないように、オレンジ色に輝く光が未来の中へと入っていく。

 

『未来くん』

 

(おっ!何かわかったのか!?)

 

『うん。昨晩ヒカリとステラちゃんと一緒に話し合って、辿り着いたことがある』

 

メビウス達は”光の予言”についてのより詳細な情報を集めるためにも活動していたのだ。

 

『やっぱり、僕の仮説は正しかった。究極の光を生み出すと言われる光の欠片……これは、人間の中にある』

 

(……そうか。それで、何個かは見つかったのか?)

 

『うん、それが……。過去にも発現した人物のケースを調べて、僕とヒカリはその欠片が埋まっているかどうかを判別できるまでに至ったよ』

 

どうやら光の国の一族にしか見分けがつかないものらしく、全部で十あると言われる光の欠片を集めるのにも、やはりメビウスとヒカリの力が必要なようだ。

 

『ひとつだけ、確実なものがある』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「堕天使ヨハネちゃん」

 

「「「「「スクールアイドルに入りませんか!?」」」」」

 

「……はあ……?」

 

マンションから出てきた善子に向かって、堕天使衣装でそう呼びかける千歌達。

 

「ううん!入ってください!Aqoursに!堕天使ヨハネとして!」

 

「何言ってるの⁉︎昨日話したでしょ⁉︎……もう」

 

「いいんだよ!堕天使で!自分が好きならそれでいいんだよ!」

 

徐々に後ろへたじろぐ善子を後押しするように、千歌は真っ直ぐな瞳で彼女のことを見据えた。

 

「……ダメよ」

 

とうとう走り出し、千歌達から逃げようとする善子。

 

「あっ!待って!」

 

「生徒会長にも怒られたでしょ〜⁉︎」

 

街中を駆けながら言い合う二人について行くAqoursの面々。

 

「うん!それは私達が悪かったんだよ!善子ちゃんはいいんだよ!そのまんまで!」

 

「どういう意味〜⁉︎」

 

一番後ろで後を追う未来は、遠くで待機しているステラにテレパシーで合図を送った。

 

(……そっち行ったぞ)

 

(りょうかい)

 

縦横無尽に街を走り回りながらも、千歌は善子の説得を続けている。

 

「私ね!μ'sがどうして伝説を作れたのか!どうしてスクールアイドルがそこまで繋がってきたのか!考えてみてわかったんだ!」

 

「もう!いい加減にして〜!!」

 

善子が曲がり角へ行こうとしたところでステラが現れ、彼女の道を遮った。

 

「はいストップ」

 

「うぇ⁉︎」

 

一体どれほど走ったのだろうか。未来とステラ以外は全員が息を荒げ、肩を上下させている。

 

 

「ステージの上で、自分の”好き”を迷わずに見せることなんだよ!」

 

立ち止まった善子がゆっくりと振り返り、太陽を背にする少女を見つめた。

 

「お客さんにどう思われるとか、人気がどうとかじゃない。自分が一番好きな姿を、輝いてる姿を見せることなんだよ!だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!自分が堕天使を好きな限り!!」

 

 

 

「…………いいの?変なこと言うわよ」

 

 

「いいよ」

 

 

「時々、儀式とかするかもよ……?」

 

 

「それくらい我慢するわ」

 

 

「リトルデーモンになれって言うかも!」

 

 

「それは……でも、やだったらやだって言う!」

 

千歌は黒い羽を片手に善子に近づくと、彼女にそれを差し出して見せた。

 

 

 

ーーーーひとつだけ確実なものがある。

 

 

 

善子は千歌の手に触れると、了承の意を込めた微笑みを浮かべた。

 

 

 

ーーーー津島善子ちゃん。

 

ーーーー彼女は一度、”六の光”を発現させているみたいだ。

 

メビウスの言葉が胸に焼き付き、気づくと未来は新しく加わった少女の顔をじっと眺めていた。

 

 




今回で善子加入回は終わりですね。キリがいい所で終わるつもりでしたが、いつもより少ない文字数に……。
次回からは書き残していたメンバー回を消化していきます。つまりオリジナルエピソードです。
予告しちゃうと、次回は花丸回となっております。

プチ解説は……カイザーダークネスについて。

皆さんご存知のウルトラマンベリアル、つまり閣下がエンペラ星人専用の武装、アーマードダークネスを身にまとった姿ですね。
前回登場したベリアルはこの状態でしたが、一体どうして彼がアーマードダークネスを……そしてなぜ四天王達と行動を共にしているのか、今後の展開をお楽しみに!(解説になってないな……)

そして最後に、活動報告でも書きましたが、次回からメビライブの更新スピードが少しゆっくり目になります。詳しい理由は活動報告をご覧ください。新作の情報も載せました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。