メビライブ!サンシャイン!!〜無限の輝き〜   作:ブルー人

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視点の関係で思ったより短くなったので1話でまとめました。
大晦日にこの話を投稿するのは少し運命感じますね(笑)


第88話 星空に祈る

大晦日の夜、高海家。

 

普段は家にいない千歌の母も、年末には帰ってくる。

 

そして居間に集まる人数も————今年はちょっとばかし多くて、例年よりも賑やかだ。

 

「ありがとね未来くん。料理作りすぎちゃって、困ってるところだったのよ〜」

 

「あ、いえ!こちらこそお誘いありがとうございます!」

 

「ステラちゃんも、おかわり遠慮しなくていいのよ」

 

「そのつもりです」

 

「あらいい食べっぷり、お母さんはりきっちゃうぞ〜!」

 

「作りすぎて困ってたのでは……?」

 

志満や美渡、千歌の他に未来とステラも加わりテーブルを囲んでいる。

 

『未来くん、いつもは千歌ちゃん()で過ごしてなかったのかい?』

 

(え?ああ……そういや今年が初めてだな……)

 

どうして今まで来てなかったんだっけ、と何気なく思い出す。

 

思えば父さんと母さんがいなくなってからは、ずっと一人で年を越していた。

 

いつもは明るく振舞っていても、心の奥底で両親の死を引きずっていた過去の自分。

 

家族の団欒とか、そういった賑やかな雰囲気が怖くて自然と避けていた。

 

(……こうしていられるのはたぶん、メビウスのおかげだ)

 

『え?』

 

(なんでもない!)

 

頭のなかの会話を無理やり終わらせ、素直にこの時間を楽しもうとする未来。

 

「あっ!もうすぐ日付変わるよ!」

 

テレビから流れるカウントダウンがゼロになった瞬間、その場にいたみんなは見計らったようにお辞儀をした。

 

————あけまして、おめでとうございます。

 

 

◉◉◉

 

 

お正月でもAqoursの練習は休みではない。

 

昼頃には学校のグラウンドに集まり、ラブライブ決勝に向けた特訓を始める予定だ。

 

「それに……今日はSaint Snowの二人も付き合ってくれるんだろ?」

 

「そうみたいね」

 

北海道からはるばるやってきてくれた聖良と理亞の姉妹が、千歌達の練習を見てくれるというのだ。

 

彼女達にとってこれ以上のコーチはいないだろう。

 

ステラと横並びで歩き、学校の校門前までやってくると————

 

「あ、二人とも!」

 

「あけましておめでとヨーソロー!」

 

晴れ着姿で集まっているAqoursの面々と、制服に身を包んだSaint Snowの二人が立っていた。

 

「これから練習……するんだよな?」

 

「そうだよ!」

 

「そんな格好でできるわけないでしょ!さっさと着替えてきなさい」

 

「え〜……」

 

ステラに言われて渋々着替えに向かう九人を見て、そばでその様子を見ていた理亞が呆れた顔で尋ねてくる。

 

「いつもこんな調子なの?」

 

「わりと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習着に着替えた千歌達がグラウンドに集合し、ついにSaint Snow特別コーチ二人による特訓が始まろうとしていた。

 

浦の星学院を見渡した聖良がふとつぶやく。

 

「いい学校ですね。私達と同じ、丘の上なんですね」

 

「うん!海も見えるし!」

 

「でも、なくなっちゃうんだけどね!」

 

「「えっ……?」」

 

曜の言葉を聞いて目を見開く理亞と聖良。彼女達は廃校の件を知らないので、驚くのも無理もない。

 

「今年の春、統廃合になるの。だから……ここは三月でジ・エンド」

 

「そうなの……!?」

 

「でも、ラブライブで頑張って生徒が集まれば……」

 

「……ですよね。私達もずっとそう思ってきたんですけど」

 

笑みを浮かべつつ、どこかもの哀しいグラウンドを見つめる千歌。

 

お互いに顔を見合わせ、悔いはないと言うかのように微笑む。

 

「……そうだったんですか」

 

「あ、でもね!学校のみんなが言ってくれたんだ!ラブライブで優勝して、この学校の名前を残して欲しいって!」

 

「浦の星学院のスクールアイドルが、ラブライブで優勝したって。そんな学校がここにあったんだって」

 

果たせなかった望みのなかで見つけた、新たな光。

 

それを聞いた聖良は、あてられたように瞳を輝かせた。

 

「最高の仲間じゃないですか!……素敵です」

 

「……じゃあ、遠慮しないよ」

 

腰に手を当て、低い声でそう言った理亞からもまた、今回の練習においては手を抜くことができないという覚悟が見えた。

 

「ラブライブで優勝するために、妥協しないで徹底的に特訓してあげる」

 

「……マジ?」

 

「マジ」

 

「マジずら?」

 

「マジずら!」

 

「マジですか……?」

 

「だからマジだって!」

 

経験が浅い未来とステラからしても聖良達の協力は頼もしい。

 

色々な人の応援を背に、千歌達は憧れの舞台へ挑もうとしているのだ。

 

「……こうして時って、進んでいくんだね」

 

不意に鞠莉がこぼした言葉が耳に滑り込む。

 

どこか寂しそうに聞こえるそれは、胸に引っかかる重い何かが秘めていた。

 

 

◉◉◉

 

 

「はあっ……はあ……!」

 

「お正月ですからねえ、皆さん」

 

鈍りきった身体が突然の運動に悲鳴を上げている。

 

息を切らして地に手をつく千歌達のなかで唯一平気そうなのは果南くらいのものだ。

 

「身体を、一度起こさないとダメですね。校門まで坂道ダッシュして、校舎を三週してきてくれますか?」

 

「「「えええっ!?」」」

 

「さっき言ったよ、遠慮しないって」

 

「はいっスタートです!」

 

聖良の合図で疲れ切った身体を引きずりながら再び走り出す千歌達。

 

その今にも倒れそうな後ろ姿に苦笑しながら、未来はおそるおそる二人に尋ねた。

 

「Saint Snowのお二人は……いつもこんな練習を?」

 

「ええ、わりと」

 

「さすが全国レベルのスクールアイドルね」

 

感心するようにそう言ったステラに、聖良は静かに補足の言葉を加えた。

 

「それはAqoursの皆さんも同じですよ。……彼女達がいったい、どこまでいけるのか、今から楽しみです」

 

そう微笑む彼女の横顔を見て未来は思う。

 

……そうだ、学校のみんなだけじゃない。

 

千歌達九人は、敗退したスクールアイドル達の想いも背負って決勝に臨むんだ。

 

「さあ、私達も!」

 

「よしきた!」

 

理亞が飛び出したのを皮切りに、未来達も共に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関前で腰を下ろし、少しの間休憩を挟む。

 

「こんな調子で決勝なんて……本当に大丈夫なのかな……?」

 

息継ぎをしながら不安げに言う梨子。

 

「いけると思いますよ」

 

「本当!?」

 

「ステージって、不思議とメンバーの気持ちが……お客さんに伝わるものだと思うんです。今の皆さんの気持ちが、自然に伝われば……きっと、素晴らしいステージになると思います」

 

「……はい!」

 

努力した分、それは実力としてステージ上に現れる。

 

千歌達ならば大丈夫だ。きっと————見たこともないような輝きを見せてくれるはず。

 

「鞠莉ちゃんは?」

 

「……あれ?」

 

いつの間にか鞠莉の姿が見えないことに気がついたルビィが周囲を確認する。

 

「ああ、何かご両親からお電話だったみたいですが……」

 

「もしかして、統廃合中止ずら!?」

 

「いやいやいや、さすがにそれは——」

 

「みんな!」

 

横から飛んできた声に反応して皆の視線が流れていく。

 

何かを隠すように後ろで手を組んだ鞠莉がそこに立っていた。

 

「お話は済みましたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって学校の体育館。

 

ステージ前に集まったみんなは、鞠莉からの話に耳を傾ける。

 

「理事?」

 

「オフコース!統合先の、学校の理事に就任して欲しいって。ほら、浦の星から生徒もたくさん行くことになるし、私がいたほうが……みんなも安心できるだろうからって」

 

「理事……って?」

 

「鞠莉ちゃん、浦の星の理事長さんでもあるの」

 

「ええっ!?」

 

理亞が驚くのも無理もない。当初はダイヤでさえも信じられなかったのだから。

 

「じゃあ、春からも鞠莉ちゃん一緒に学校に!?Aqoursも続けられる!?」

 

「いや、それ留年したみたいだし」

 

「理事長がメンバーになったらスクールアイドルじゃないだろ……」

 

「大丈夫、断ったから」

 

あっさりとそう告げる鞠莉に「ええっ!?」と驚愕の声が浴びせられた。

 

「理事にはならないよ。私ね、この学校卒業したら、パパが薦めるイタリアの大学に通うの。……だから、あと三ヶ月。ここに居られるのも」

 

 

◉◉◉

 

 

「では」

 

まとめた荷物を持って去ろうとしている聖良と理亞を駅前まで見送る。

 

「もう少しゆっくりしていけばいいのに」

 

「ちょっと、他にも寄る予定があるので」

 

「予定?」

 

「ルビィ知ってるよ!二人で遊園地行くんだって!」

 

「言わなくていい!」

 

照れ隠しのために声を荒げる理亞は、気を取り直して一枚のメモをステラに手渡す。

 

「これ、姉様と二人で考えた練習メニュー」

 

「ありがとう」

 

「どれどれ……って、またすごい量だなこれは……」

 

思わず苦い表情になるみんなを見て、理亞は最後の檄を飛ばした。

 

「ラブライブで優勝するんでしょ?そのくらいやらなきゃ」

 

「ただの思い出作りじゃないはずですよ」

 

「必ず優勝して。……信じてる」

 

再び支えられていることを自覚し、千歌は力強く首を縦に振った。

 

「うん!」

 

「がんばルビィ!」

 

「……なにそれ?」

 

「ルビィちゃんの必殺技ずら〜」

 

「ピギィ……」

 

「技だったの!?」

 

ルビィを中心に巻き起こる笑いが響く。

 

 

 

正月の夕暮れ。賑やかな時間が————終わろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イタリアかあ……」

 

「そうね、きっとそうなるのかもなあってどこかでは思ってたけど……」

 

「実際、本当になるとね」

 

沈みかけた太陽が世界をオレンジ色に染める。

 

海岸付近で足を止めた二年生五人は、しばらく遠くの海を見つめていた。

 

「……あと三ヶ月もないんだよね」

 

「ラブライブが終わったら……すぐ卒業式で」

 

「鞠莉ちゃんだけじゃないわ。ダイヤさんも、果南ちゃんも……」

 

「春になったら、一気に周りの環境が変わっちゃうな」

 

今のメンバーで一緒に登下校することもなくなり、バス停で手を振り合うこともしなくなる。

 

統廃合先の制服に変わり、教室だって別々になるかもしれない。

 

不意に駆け出した千歌は、砂浜の上に木の棒で文字を描き始めた。

 

始まりの名前、「Aqours」

 

「Aqoursは……どうなるの?」

 

「三年生、卒業したら……」

 

「わかんない。……ほんとに考えてない」

 

一点を見つめた千歌は、こちらに背を向けたまま口にした。

 

「なんかね、ラブライブが終わるまでは……決勝で結果が出るまでは————そこから先のことは、考えちゃいけない気がするんだ」

 

「それは……みんなのために、か?」

 

未来の問いに静かに頷く千歌。

 

「全身全霊、すべての想いをかけて、ラブライブ決勝に出て優勝して……ずっと探していた輝きを見つけて!それが……学校のみんなと、卒業する鞠莉ちゃん、果南ちゃん、ダイヤさんに対する礼儀だと思う」

 

その言葉を聞いた梨子は、言葉に出す前に一歩踏み出していた。

 

千歌の頬を両手で挟み、柔らかに笑う。

 

「むっ……なに?」

 

「賛成」

 

「大賛成!」

 

浜辺の上で身を寄せ合う三人を眺めつつ、未来は隣に立つステラに何気なく聞いた。

 

「……お前は、いつ地球を出るんだ?」

 

「予定では明日の朝ね。沼津の方でジャックと落ち合うの」

 

『ジャック兄さんと一緒の任務かあ。いいなあ…………。ヒカリ、僕からもよろしく伝えといてくれないか?』

 

『ああ、請け負った』

 

五人の影が砂に映る。

 

穏やかな日常の一ページは————そう長くは続かないかもしれない。

 

 

◉◉◉

 

 

————みーらいくーーーーん!!

 

「うえっ!?」

 

すっかり暗くなった頃。

 

だらだらと何も考えずに正月の余韻に浸っていると、外の方から大声で名前を呼ばれた。

 

慌ててベランダに出てみれば、なぜだか全員集合した千歌達が視界に入る。

 

「どうしたんだーーーー!?」

 

「ちょっと一緒に、ドライブしない?」

 

「ドライブ……?」

 

玄関前で止まっている白とピンクカラーのワーゲンバスに目が留まる。

 

いったい何の気まぐれなのやら、と思いつつも上着を羽織って外へ飛び出した。

 

「……これ乗れるの?」

 

「乗れるの?じゃなくて乗るのよ」

 

左右から挟まれて辛そうにしているステラが呻くように声を出す。

 

既に定員オーバー気味の車内に無理やりねじ込むようにして、未来も席に腰を下ろした。

 

「準備はいいデスか、未来?」

 

「……ってあれ!?鞠莉さん!?」

 

「ハーイ」

 

さも当然かのように運転席に座っている金髪の少女に目を見開き、未来は一気に胸の中にあった不安を爆発させた。

 

「免許取ったの……?」

 

「後々必要になるからね」

 

話によれば海外で留学する際にも使うとのことで、誕生日を迎えた時に取ったそうだ。

 

今はもうすっかり慣れてるから大丈夫、と念を押されても不安感は拭いきれない。

 

「しかもMTって……すごいな鞠莉さん!」

 

「もっと褒めてくれてもいいのよ〜?」

 

と言いながらバスを発進。直後に車体が上下に揺れ、乗っていたみんなが悲鳴をあげた。

 

「……大丈夫?」

 

「お、オーライ……」

 

(いざとなったら……な?メビウス)

 

『う、うん。意識しておく』

 

 

 

なんだかんだで走っているうちに安定したのか、道路を走行中の時は危なっかしい事は起きなかった。

 

「ちなみにこれ、どこに向かってるの?」

 

「星を探しに、らしいよ?」

 

「星……」

 

果南に言われて窓の外を見上げるが、空は雨雲に覆われていて星なんか一つも見えっこない。

 

「わあ、見て……!船の光かな?」

 

窓から見える点々とした海の輝きを見つけ、ふと曜がこぼす。

 

「綺麗ね……」

 

「なんか、ワクワクするね!」

 

「うん!考えてみれば、こんな風に何も決めないでみんなで遊びに行くなんて、初めてかも!」

 

「だからみんなで来たかった」

 

梨子の言葉に応えるように、運転席の鞠莉が前を見ながらそう言った。

 

「本当は、三人だけの予定だったんだけど……」

 

「十一人がいいって」

 

「……うん」

 

静かな空間で満たされた車内。

 

数秒後、千歌は弾かれたように空を見上た。

 

「あっ星!」

 

「えっ!?どこですの!?」

 

「鞠莉ちゃん!」

 

「オーライ!」

 

ガコン、とギアを切り替えて進んでいた道路を曲がる鞠莉。

 

方向からして西伊豆スカイラインへと向かうつもりなのだろう。

 

(でも……まだ雨は……)

 

未だ空は晴れることなく冷たい雫を降らし続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をお祈りするつもりだった?」

 

山の上までやってきて車を止めた鞠莉は、虚しそうに流星の絵が描かれた星座早見盤を手に取る。

 

「……決まってるよ」

 

「“ずっと一緒にいられますように”?」

 

「これから離れ離れになるのに?」

 

鞠莉がイタリアへ留学に行くように……ダイヤは東京の大学へ、果南も海外でダイビングのインストラクターの資格を取るために。

 

三年生はそれぞれの道を歩みに、この先バラバラになってしまう。

 

「だからだよ、だからお祈りしておくの。いつか必ず……また一緒になれるようにって!……でも」

 

表情を曇らせた鞠莉は、目に涙を浮かべて口にした。

 

「……無理なのかな?」

 

「なれるよ!」

 

沈んだ雰囲気を一気に引き上げる千歌の声音が車内に響く。

 

「絶対一緒になれるって、信じてる!鞠莉ちゃん、それいい?」

 

「え?」

 

「千歌?」

 

鞠莉から星座早見盤を受け取った千歌は外に飛び出すと、天高くそれを掲げた。

 

「この雨だって、全部流れ落ちたら……必ず、星が見えるよ!」

 

「…………」

 

雨に打たれながらそう語る千歌を見て、未来とステラは顔を見合わせる。

 

お互いにうっすらと笑みを浮かべていることを確認し、二人同時に外へ駆け出した。

 

「だから晴れるまで、もっと……!もっと遊ぼう!」

 

「それまで待ってたら風邪ひいちゃうぞ?」

 

「え?」

 

不意に発せられた声に反応して、千歌がこちらを向く。

 

「……メビウス、いいよな?」

 

『今回だけだよ、他の人に見られたら大変だからね』

 

「まったく甘いわね」

 

『君も同じことを考えていたみたいだがな、ステラ』

 

「どういうこと?」

 

四人のやり取りに首を傾ける千歌。

 

バスを降りた他のメンバーも集まったところで、未来とステラは腕に手を添え————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————うわぁ〜!!

 

赤と青の巨人。その手のひらに乗った九人の少女達は、雲の上の景色に感嘆の声を上げた。

 

真下に広がる雨雲と、頭上に散らばる星の海。

 

「すごい!すっごい綺麗!!」

 

『しっかり掴まっててね』

 

(あんまり顔を出すと、地上に真っ逆さまよ)

 

ウルトラマンの手に乗り、先ほどまで雲に隠れて見えなかった光景を堪能する千歌達。

 

彼女達の笑顔を見て、未来はメビウスとヒカリに感謝しきれないほどの想いを言葉に乗せて伝えた。

 

(ありがとうメビウス、ヒカリ。二人のおかげで、みんなの願いが叶った!)

 

『どういたしまして、だ』

 

『ステラが言うなら仕方がない』

 

(あなたも素直じゃないわね)

 

忘れることができないであろう、夢のような景色。

 

空に輝く星達のなかに、一筋の流星が見えた。

 

「あっ!流れ星!」

 

「ほんとだ!」

 

次々に流れていく星の雨。

 

先のような光を阻むものではなく、千歌達を激励するような美しい雨だ。

 

「……見つかりますように」

 

星々に向かって、千歌は祈った。

 

「輝きが……。私達だけの輝きが、見つかりますように!」

 

 

◉◉◉

 

 

「準備は完了しましたね」

 

暗闇に浮かぶ怪獣の軍勢と向き合い、メフィラス星人は言う。

 

地球に侵攻する準備は整った。あとは————

 

「最後に一度だけ、私からの挑戦状を叩きつけるとしましょうか」

 

 





ついにメフィラスとの戦い……。
今回狙われる者は……!?

ここにきて未来についての余談を語っていきます。

中性的というにはほんの少しだけ幼い雰囲気の少年で、本人も知らないところで千歌や曜に依存気味というなんとも男らしくない設定でしたが……。
メビウスと出会ってここまで戦い続け、やがて内面的にも変化が訪れました。
ただ恋愛に関してはトコトン苦手で……?
次回は久しぶりに恋愛要素タグが仕事をするかもしれません。

今日中にもう1話だけ投稿しようと思います。

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