帝国で斬る!   作:通りすがりの床屋

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前回のあらすじ

まとめな奴がいねぇ!



アカメが斬る!原作完結しましたね
まぁ、想定内の内容でしたし、プロットの変更はな……零の方がアレでしたわー
オールベルグ思ってたよりアカメに関わってきましたわー
アカメのファーストキスの相手がクロメとか本当にありがとうございます
セカンドキスはメラ様だ
流石すぎる

メラ様、ロリデスを押し倒してたとかシナズより圧倒的に大物じゃないか
新生オールベルグの格落ち感が凄まじい……
百合的な意味合いで


拉致を斬る!

――――事の始まりはウェイブの土産で皆で食事した事か

"あの"エスデス将軍が「恋をしてみたい」と理解不能の謎言語を発した事か

クロメがアカメと親し気なセリューに殺気を当て姉に窘められた事か

覆面の大男、ボルスの素顔が割と普通だった事か

エスデスが回収し、適格者が見つかっていない鎧の帝具、インクルシオを使える人材を探す『余興』都民武芸試合を開催することと相成った

腕試しのためだったり、賞金目当てだったり、目的は人それぞれだったが結構な人数が集まった

 

「キエエエエエ!!」

 

「シャアアアア!!」

 

始まってみれば欠伸が出るほど退屈な試合ばかりで、Dr.スタイリッシュやアカメクロメは警備という名目で早々にどこか消えてしまった

エスデス自身も冷めた目で消化試合を眺める

エスデスも分かってはいたが、インクルシオほどの帝具を使いこなせそうな人間など容易く見つかるものではなかった

さて、どうしたものかと考えに耽っていると試合も最後の組み合わせとなっていた

東方からは肉屋のカルビ、あれは人間ではないだろう

西方から出てきた少年、鍛冶屋のタツミ

鍛冶屋というのは嘘だがエスデスがそれを知るよしもない

肉屋は態度がデカいがそれは自信に裏付けられたものだ

普通に強い

だが、注目するほどの魅力はなかった

対する少年は肉屋の威圧をどこ吹く風と流していた

試合が始まる

肉屋が先制で仕掛ける

その拳の威力はリングを砕くほどの威力があった

少年はそれに脅威を感じることなく適切に対処する

少年の回し蹴りが肉屋の顔を捉えた

肉屋の意識は途切れた

体格差のある相手を圧倒して倒してみせた少年は観客からの声援に嬉しそうに無垢な笑顔を見せた

これを見てエスデスは胸に滾るものを感じた

ああ、これを探していたのだ

焦がれていたのだ

 

「見つけたぞ」

 

そこからの展開は早かった

その怒涛の展開に着いていけた人間はどれほどいただろうか

 

「今から……私のものにしてやろう」

 

「……え?」

 

試合が終わったリングに降りて、エスデスは褒美と言ってタツミに首輪を付けた

その上、所有物になれと言って抵抗するタツミの意識を狩り、宮殿に持ち帰った

エスデスの行動は、あり大抵に言えば拉致だった

 

 

何がどうなっているんだ――――!!?

 

 

観客席で事の顛末を見届けたラバックの叫びに答えをくれる者はいなかった

 

 

※ ※ ※

 

「という訳でイェーガーズの補欠となったタツミだ」

 

どういう訳だと声高々ツッコミたいところだが、蹴りが返ってきそうなのでウェイブは黙っておいた

タツミは首輪をつけられ、椅子に縛り付けられている

被告人(エスデス)は"愛しくなったから、無意識にカチャリと"と供述している

ランにペットと恋人の違いを出すために外されてはと提案されて、タツミは解放された

 

「そういえば、このメンバーの中に恋人がいたり、結婚している者はいるか?」

 

「ええええええええええええええええ!!?」

 

手を挙げたのはボルスとクロメ

ボルスが手を挙げたということにウェイブとセリューが驚きを見せる

アカメはクロメが手を挙げていることに気づき、小刻みに震えている

 

「クロメに彼氏……?そんな、何時の間に……?クロメ、私に紹介してくれないか?クロメに相応しい男か斬り合って……」

 

「落ち着けってアカメ!物騒だぞ!?」

 

「私は落ち着いている。クロメが世界で一番可愛いのは分かっている。下劣な男がクロメを放っておくはずがない。だが、私より弱い男にクロメを任せるつもりはない」

 

やっぱり、アカメとクロメは姉妹なんだなとウェイブは思った

ヤバい目をしていやがる

村雨の刃も心なしか、いつもより妖しく光っている

 

「危ないのでここで村雨を抜かないでください」

 

ランはさりげなく距離をおいていた

 

「やだなぁお姉ちゃんってば。私の恋人はお姉ちゃんに決まってるじゃん」

 

アカメがヤバいことになっていると思ったら、クロメはもっとヤバいことを言い始めた

目が笑っていないというか

底が見えない

覗けば最後引きずり込まれそうな闇を宿している

やだこの姉妹怖い

 

「戯言は放っておくとしてだ。ボルス」

 

流石、エスデス将軍

いかれた姉妹を見ても小揺るぎもせんわ

 

「はい……結婚六年目です!もうよく出来た人で私には勿体ないくらいで!」

 

覆面で顔が隠れているのに乙女な表情をしているのが分かる

外見と内面のギャップが凄い

 

和やかな会話が続く中、タツミの内心は穏やかではなかった

隙を見て、逃げ出さなければという理性と、兄貴を殺したエスデスに対する殺意が鬩ぎ合っていた

 

「……」

 

スタイリッシュとアカメは何も言わない

 

「さて、早速だがお前にプレゼントだタツミ」

 

「これ……は……?」

 

「帝具『インクルシオ』だ。タツミなら使いこなせると信じているぞ」

 

タツミはエスデスに手渡された剣に顔を落とす

市民である少年がいきなり宮殿に連れてこられただけで大変なことなのに、その上に帝具を渡されたとあったら戸惑うのも無理はない

ウェイブはそこはかとなく親近感を覚えた

 

「隊長が悪を処刑して手に入れたんですよ」

 

「……」

 

セリューの声が聞こえいているのかいないのか

俯いているせいでタツミの表情は見えない

勝ち組になれる歓喜か

希少な武具をポンと渡された困惑か

震える声音でタツミは帝具に呼び掛ける

 

「来い、インクルシオ……!」

 

屋内に一陣の風が吹いた

どこからか突如現れた鎧がタツミの体を覆われていく

帝具は理を越える法外の武装

今更驚くことでもないが、千年経った今でも帝具を越える武具は産み出されていない

鎧はタツミの体に合わせて形を変えていく

 

「おお!」

 

「あら、大当たり」

 

ウェイブとスタイリッシュが感嘆の声を漏らすのに対してエスデスは当然だとばかりに見守っていた

 

「……これがインクルシオ」

 

装着が完了した

常人なら身に纏っただけで絶命する

タツミは調子を確かめるように手を閉じて開く

この様子ならタツミはインクルシオに適合したとみて良さそうだ

 

「気分はどうだタツミ?」

 

「あぁ、ーーー!!」

 

タツミはエスデスをインクルシオで増強された力の限りを尽くして打撃した

殺ったと確信した

完璧な不意打ちだったと自負している

殺気もギリギリまで出さなかった

だが

 

「いい拳だ」

 

タツミの拳が捉えたのは氷の壁だ

帝国最強には届かなかった

エスデスはタツミの殺意に気付いた訳ではない

ただ、戦士の勘が防御せよと告げた

それだけだ

 

「それでこそ染め甲斐があるというものだ」

 

 




原作と違ってクールではいられなかったタツミん
やっちゃったZE☆
イェーガーズ結成までいけたし、ここからは開き直ってオリジナル展開をぶちこみまくると致しましょう

タツミ一人でイェーガーズに喧嘩売るのは無謀過ぎよ!
こんままじゃ、また椅子に縛り付けれちゃう!
次回!タツミ、気絶!
デュエルスタンバイ!

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