帝国で斬る!   作:通りすがりの床屋

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こういう世界線欲しいざんしょ?
お兄さんは欲しい(迫真


分岐点を斬る!

千年の栄華を極めた帝国

栄華とは必ず途絶えるもの

それが外からか内からかの違いでしかない

帝国も決して例外ではない

寧ろ、千年も途絶えることがなかったことを称賛するべきだろう

今や大臣オネストというたった一人の欲望の塊に腐敗させられた帝国にかつての栄華は見る影もない

民に重税を課し

人身売買を是とし

人殺しを娯楽とし

悪政を止めるものはなく

綺麗事を唱える者は粛正され

悪行が正義として罷り通る帝国に救いはない

選択の余地なく人生を縛られ家畜のように死んでいく人間が溢れかえる千年帝国

その少女は選ぶだけの力を有していた

だが選べるというのは必ずしも幸いなこととは限らない

選ぶというのは一つを拾い一つを捨てることだからだ

少女の前にある別れ道

 

「私と共に来いアカメ!この腐りきった帝国を我々の手で変えるんだ!」

 

帝国を無謀にも妥当せんとする、しかし、多くの弱者を魅せる道

それは紛れもない万人が讃える本物の正義であろう

 

「嘘だよねお姉ちゃん?私達を裏切ったりしないよね……?」

 

世界でたった一人の妹のすがる声

最愛の妹を見捨てることはアカメの心が忌避する

多くの罪なき骸を積み上げ妹を取る荊の道

 

どちらも血塗られた修羅の道となることだろう

アカメは二つの選択を前に意識が朦朧とする

選ぶことなど出来ない

無辜の民を外道共から救いたい

それためには己の命よりも大切な妹を捨てなければならない

吐き気がする

クロメは帝国に囚われている

薬がなければ生き長らえない

洗脳を解かねば帝国から離れることは叶わない

逃げることは許されない

目を背けることは出来ない

選択を他者に委ねることは叶わない

手を差し伸べるナジェンダ

手を伸ばすクロメ

二人の間でアカメは沈黙を続ける

時間だけが過ぎていく

やがてアカメは無意識で足を動かせる

革命軍の道に

たった一歩

それなのにナジェンダの手はすぐそこだ

 

「私より知らない人達を取るのお姉ちゃん……?」

 

夢遊病の患者のように歩むアカメは妹の涙に意識を引き戻される

そうだ今更光の道など歩めるわけがない

この手は正義を志した者の血に、仲間の血に、濡れているのだ

他の誰が許してもアカメがそれを許さない

 

「私は……そちらにはいけない」

 

アカメは選んだ

最愛の妹

ただ一人を取る道を

 

「そうか……残念だよアカメ」

 

ナジェンダは『浪漫砲台パンプキン』の引き金を引く

アカメは安堵のクロメを抱き抱え離脱する

もう迷うことはない

 

「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!大好きだよ!」

 

「私もだよクロメ」

 

自分の胸の中に愛しい者がいるのだから

アカメは帝国に残り最愛の妹を守るために生きる覚悟を決めた

この覚悟は、もう揺るぐことはないだろう

 




この後、ナジェンダ達、革命軍からの愛の逃避行を書きたくありましたがアカメがどのタイミングで革命軍入りしたかはわからないんでカットで
少なくともマイン加入より早いと思うんですよね

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