カールスラントの魔術師はISと翔る(かける) 作:ミヤフジヨシカ
IS学園、整備室
書類仕事の合間をぬって、ISの訓練を行っているこの数日間。
退屈な授業を聞き流し、セシリアと仲直り(でいいのかはわからないが)した箒と三人でいることが多かった。
そして今日、いつもなら書類を書いている放課後の時間だが、私とセシリア、箒の三人は整備室に来ていた。
実は今日、ついにセシリアと箒のストライカーユニットがロールアウトされたのだ。
そのせいか、セシリアも箒も昨日からそわそわと心ここにあらずといった様子で、今日も最後の授業が終わった瞬間にはもう荷物を纏めて整備室までダッシュで行ってしまった。
かくいう私も新型機というのは気になってしまい、ふたり程ではないにしても少しはや歩きで二人の後を追ったのだ。
因みに、この時の最後の授業をおこなっていた山田先生は、二人のその行動を目にして自分の授業はそんなにつまらなかったのですか………と涙目になっており、教室の角に佇んでいた織斑千冬はため息とともに、つい頭に手を当てていたそうだ。
そうして現在、整備室にてストライカーユニットが格納されているコンテナの前に私とセシリア、そして箒の三人はたたずんでいる。
「「この中に、私のストライカーユニットが!!」」
………息ぴったりだな。
しかも、尻尾があったならはち切れんばかりに振っているぐらい嬉しそうに……
そんな二人の態度に私は、つい苦笑を隠せないでいた。
「それじゃあ、コンテナを開けるぞ?」
聞いているのかいないのかわからない二人を横目にうつし、コンテナの横に設置されている開閉用のスイッチを押した。
ガコォォン!
という重々しい金属音を発したコンテナはゆっくりと、まるでセシリアと箒を焦らすかのように開いていく。
扉が全て開いた中にあったのは、台座にそっと置かれている二機のストライカーユニットだった。
「「こ……これが私達の…………」」
興奮冷め止まぬセシリアと箒の二人は、そのストライカーユニットを食い入るように見つめていた。
一機は蒼い………青よりも更に深く透き通った空の様な蒼いストライカーユニット。
一機は深緑の……まるで命を生み育てる巨大な森の様な深緑のストライカーユニット。
セシリアと箒はまるではじめから自分のストライカーユニットがわかるかのように、それぞれ別々のストライカーユニットに近づいていった。
セシリアは蒼色のストライカーユニットに
箒は深緑色のストライカーユニットに
二人は今までの興奮が嘘のように、優しくストライカーユニットに触れていた。
「説明するぞ。
今セシリアが触っているのは『ウルトラマリン スピットファイアMkⅤ ブルーティアーズver』。
魔導エンジンはロールスロイスマーリン 45過給機付きV型12気筒魔導エンジンを搭載。
最高速度 時速605km/h
武装にはブローニングMk2 7.7ミリ機関銃1丁、イスパノ・スイザMkⅡ 20ミリ機関砲一門が専用で用意されている。
箒のは『カワタキ キ61 飛燕一型乙』。
魔導エンジンはハ40 液冷12気筒魔導エンジン。
こいつのエンジンは私が使っているストライカーユニットのエンジンの一世代前のモデルが元に制作されている。
最高速度 時速590km/h
武装には一式12.7ミリ機関銃1丁だけだが、必要に応じて250kg爆弾を装備することができるそうだ。」
それぞれのストライカーユニットの性能を説明した。
スピットファイアは主人たるセシリアに答えるように蒼い機体をより蒼く輝かせた様に見えた。
飛燕は箒を主人足り得ると決めたかのように、その深緑の機体に描かれた雷光のマークを震わせた様に見えた。
セシリアと箒もそれにしても答えるかのように、目を閉じて機体に触れていた。
「………まるで話し合ってるみたいだな。」
つい、私はそう声に出してしまった。
幸い二人には聞こえていないようだ。
「ISコアには意識があると束さんがいっていたな。
二人のストライカーユニットにはISにするためコアが接続されている。
もしかしたら、無意識にストライカーユニットの声を感じ取ったのかもな………」
本当は、この後早速訓練でもさせようかと思ったのだが、二人の姿を見ているとつい時間を忘れてしまい日が暮れてしまっていた。
訓練は明日からに持ち越すとして、今は二人を連れて食堂にいかなければ………
さすがに数時間放置された私でも腹が減る!
………トゥルーデ姉さん自家製ブルストとジャガイモが食いたい。
セシリアと箒のストライカーユニットはスピットファイアと飛燕に決めました。
WTにて飛燕は最近使っていて楽しいです。
正直、ホ-5よりも九九式を積んでほしいですが……