カールスラントの魔術師はISと翔る(かける)   作:ミヤフジヨシカ

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ヘンシェルHs-129B-3で戦闘機落としていたらフレンドから変態扱いされました。


4翔

…………もっとだ、もっと速く!

両足に装着している『メッサーシャルフ Bf-109/G-6』ストライカーユニットを駆りながら、『メッサーシャルフ Bf-109/G-6』に搭載されているDB-605型魔導エンジンに思いっきりの魔力をのせて、速力をどんどん上げていく。

アリーナの地面や壁ギリギリを這うように飛んで、イチカはセシリアのISをどう攻略しようかと考える。

 

 

『蒼き雫(ブルー・ティアーズ)』

 

 

セシリア・オルコットが駆るそのISは、ISとしては初めてビーム系の兵器やビット兵器の運用を前提として作られた機体だ。

ビーム系兵器、ビット兵器自体、イギリスが開発トップに躍り出ており、アメリカ等は未だ試験段階を迎えたばかりの新技術。

実弾よりも遥かに速い速度で飛んでくる光の帯は、正しく見て避けるのは難しい代物だ。

いくらイチカが『あの世界』でビームを撃ってくる怪物と戦っていたとしても、何処からともなくビットから放たれるビームやレーザーをよけるのは簡単ではない。

いやまぁ、簡単ではないと言うだけで普通に避けるのがイチカなのだが。

 

 

「なかなか、すばしっこいですわね!」

 

 

アリーナの真ん中で悪態をつくセシリア。

いくらISでの戦闘をある程度経験しているセシリアでも、ストライカーユニット型との戦闘はこれが初である。

イチカ自身の『エースとしての腕』やストライカーユニットの性能もあわさって、上手く狙撃出来ないのだ。

また、此処で『ブルー・ティアーズ』の目立たなかった弱点が露呈してしまう。

いくらビーム系兵器、ビット兵器がイギリスの独壇場とはいえ、未だ兵器として使うには継戦能力に難があるのだ。

例えば、セシリアのビーム狙撃銃(レーザーだったかな?)『スターライト・ブレイカーMk2』は使用者のISエネルギーを使って砲撃している。

ブルー・ティアーズは一対多を目的とした軽装甲高機動型ISのため実はISエネルギーの容量が少ないのである。

なので、むやみやたらに撃っていては直ぐにエネルギー切れを起こしてしまう。

もしこれが重装甲大火力型のISならば、ISエネルギーの容量も多く、特に問題がは無かったかもしれないのだが、今までセシリアの狙撃能力が一級品だった事もあり、この欠点が特に目立たなかったのだ。

 

 

(これ以上はエネルギーに余裕がありません

まさかこれほどまでに戦い難いとは!)

 

 

エネルギー切れを起こしたビットに再度エネルギーを充填しつつ、セシリアは焦っていた。

自分の腕を驕った事はない。

毎日とはいかずとも訓練はキチンとこなして来たし、同じ候補生の中ではトップクラスだと自負している。

殆どの試合で数発の狙撃で終わらせてきたセシリアにとって、持久戦というのは初めての事だった。

別に想定してい無かった訳ではない、だがそれを初めて、しかも土壇場で実践出来るほど経験が有るわけでも無かった。

 

 

イチカはAISMG42機関銃の7.92mm弾でセシリアに対し牽制弾幕を張りながら上手く壁や地面スレスレを這うように飛び回る。

その地面や壁との距離は5mも無いだろう。

地面や壁が近ければ、その方向からは撃たれる心配が無い。

実質、180°の盾がある様なものだ。

それが余計セシリアを焦らせ攻撃の命中率が下がる悪循環。

 

 

 

(例えお互い被弾していなくても、エネルギーを使って攻撃している分、いつかエネルギーが切れる私が不利なのは間違いありませんわね。)

 

 

このままジリジリとエネルギーを削って行くべきか、それとも…………

 

 

(迷う…………何て、私らしくもありませんわね。)

 

 

狙撃手とは一瞬の判断が命取りになるのが当たり前、何を私は悩んでいたんだろうか。

 

 

「やる事を決めたら直ぐに実行する、ですわ。」

 

 

スターライト・ブレイカーMk2をバススロットにしまい、エネルギーを補充したばかりのビットもブルー・ティアーズに格納するセシリア。

攻撃を急に中断するセシリアを、イチカは訝しむように見た。

 

 

「どうしたセシリア?

いきなり攻撃を辞めるとは、撃ってくれと言っているようなものだぞ?」

 

 

そこで撃たない辺り、やはりイチカはどこかセシリアに優しいのだろう。

これが織斑秋十相手だったら問答無用だが…………

イチカも回避運動を辞めて再度セシリアに相対する。

 

 

「いえ、このまま続けていてもエネルギーを使い過ぎて自爆するのは目に見えていますわ。

それに、」

 

 

そう続けながらセシリアは新しくバススロットから武器を取り出す。

 

 

「実弾兵器はイチカさんの専売特許ではありませんのよ!」

 

 

セシリアが取り出したのは12.7mm重機関銃。

スターライト・ブレイカーやブルー・ティアーズ(ビットの名前)が使えなくなった状況下での緊急用に装備していた物だ。

 

 

「さてと、イチカさん?

再度私と円舞曲(ワルツ)を踊る気はありまして!」

 

 

「生憎、踊りは苦手なんですけどね。

格闘戦(ドッグファイト)なら負けませんよ!」

 

 

お互い、一気に相手に突っ込んで行く。

セシリアが放つ12.7mm、イチカが放つ7.92mm機関銃の曳光弾がアリーナを彩り、機関銃の放つ銃撃音が木霊する。

観客のボルテージは最高潮に達した。

 

 

 

 

 

 

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(流石は代表候補生、と言ったところでしょうか。)

自身の後ろをピッタリとついてくるセシリアをチラリと見つつ、イチカは内心そう思う。

急上昇、急降下、急旋回、どれも試しても、セシリアはピッタリ後ろを追いかけ、的確に銃撃を放ってくる。

 

 

(今までのセシリアさんの戦い方ではなく、ストライカーユニットの戦い方に近いですね。

しかも旋回はPICでやっているみたいなのでストライカーユニット同士の戦い方じゃタイミングが掴めない

!)

 

 

でもこれならば!

 

 

一瞬だけ振り返り、イチカは『収納』していた物をセシリアの前に投げる。

次の瞬間には瞬く間にセシリアの前方を煙幕が展開される。

煙幕の効果時間が短い代わりに、一瞬で展開できる束さん特製のスモークグレネードだ。

 

 

「無駄ですのよイチカさん!」

 

ブルー・ティアーズを一気に加速させ、煙幕を突っ切るセシリア。

別に、煙幕で撒けるとは思っていない。

イチカの本当の目的は

 

 

「残念でした!」

 

 

 

煙幕を一気に突っ切ってきたセシリアの目の前から、イチカは一瞬にして消えた。

煙幕を焚いたその瞬間に、かなりの急角度で上昇し失速しないギリギリを見極めつつ左にロールしながら斜めに小さな楕円を描き一瞬でセシリアの背後をとった。

本来ならば、戦闘機の、しかもレシプロ機において用いられた超高難易度の空戦技術

みる人が見れば『左捻り込み』と答える機動だった。

一瞬でセシリアの背後をとったイチカはその背中に向けて、新しく出した武器で『砲撃』した。

 

 

「きゃぁぁ!?」

 

 

命中した砲弾の衝撃に悲鳴を上げてしまうセシリア。

イチカが煙幕を張った本当の目的は自身の武装を変更する事だった。

ピッタリとイチカの後ろにいたセシリアに武装を変えている所を見られれば対策を取られてしまう。

そこで、一瞬だけ煙幕を張ってセシリアの視界を隠してしまう。

自身が後ろを取って有利だと思っていたセシリアはまんまと煙幕を突っ切ってイチカの後を追ってきた。

後は先程の通り、煙幕を展開した瞬間武装を変えたイチカはそのまま急上昇しつつ煙幕を突っ切って来たセシリアを砲撃したのだ。

 

 

「AISMk108。

口径30mm、薄殻榴弾(ミーネンゲショス)32発の一斉射撃は如何だセシリア?」

 

 

「えぇ、かなり効きましたわ。

しかし、30mm砲弾をそんなに連射して腕は大丈夫ですの?」

 

 

砲撃を受けてから自身の失策を悟ったセシリアは、イチカに素直に応じつつも質問して来る。

なかなか根性すわってらぁ…………

 

 

「ん?あぁ、平気だ。

保護魔法も効いているしな。」

 

 

「保護…………魔法、ですの?」

 

 

「まぁ、おいおい教えよう。

それより、はやくこの試合の決着をつけようか。」

 

 

とイチカはアリーナに設置されているスクリーンを見る。

セシリアのブルー・ティアーズはもう残り数%もエネルギーが無い。

対していうは12.7mmを数発掠った程度なので殆ど減っていない。

最早勝負は決まっていた。

 

 

「えぇ、そうですわね。

しかしストライカーユニット…………ますます気になりましたわ。

先程の事も気になりましたし、。

イチカさん、後でキチンと教えて頂きますからね。」

 

 

仕切り直した時と同様、嫌それより激しいお互い激突上等のヘッドオン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勝者、イチカ・ハルトマン!』

 

 

 

 

 





WTのAB BR6.0戦場にて、零戦二一型で飛んでいて、フレンドに舐めてんのか?といわれました。
4キル0デスしてたらフレンドに気味悪がられました。

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