最弱無敗の神装機竜~紫の機竜使い~   作:無勝の最弱

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本編開始です。

とりあえず、ここで主人公の天宮蓮君の自己紹介をば

天宮 蓮 

現在17歳の少年。中学校からの帰り道でトラック事故に巻き込まれ、目を覚ますと異世界に転生していた。
切り替えが良く、いじるときはいじり、締めるところはきちんと締めることができる。
だが、逆にいじられるのには弱かったりする。ちなみに彼女いない歴=年齢(おい!それは言わなくていいわ!)。
趣味は読書ともう一つありますが、そちらは本編内の所々に出していきますので見つけてください。
所持している装甲機竜は《ヴリトラ》。


第1話

 

「はあ、何で俺がこんなところに……」

 

銀髪の少年――ルクス・アーカディアと出会ってから4年が経ち、この世界の生活にもだいぶなじんだ。

あのあと俺――天宮蓮――はなぜか知らないが、ルクスに連れられて王宮に連れていかれた。

 

そこで知ったのは三つで、他のことはルクスが教えてくれた。

 

この世界は俺が以前住んでいた世界ではないこと。

今いるここはアティスマータ新王国であるということ。

俺の出会った《ヴリトラ》は『遺跡』と呼ばれる古代遺跡から発掘された古代兵器、装甲機竜であり、なおかつ装甲機竜の中でも希少種である『神装機竜』だということ。

 

まあ当然、根掘り葉掘り聞かれたわけだが、しばらく監視を付けることにはなったがとりあえずは信じてくれたようだった。

加えて王宮で《ヴリトラ》を渡すように言われたが、「我に触れるな」と受け取りに来た宰相さんを威圧してしまい一悶着。結局《ヴリトラ》は俺の手元に残り、俺自身はルクスとしばらく一緒に過ごすということになった。

 

最初の内はルクスにこの世界のことを教えてもらったりしながら過ごした。そんで馴れてきたころにはこの世界の脅威についても知ることになり、ルクスに頼み込んで(無茶を言って)《ヴリトラ》と向き合うことにした。

 

今ではルクスとは別々のところで暮らしているが、ルクスが咎人と言う立場でただ働きしている傍らで、俺もまたいろんな仕事の手伝いを転々としながら機竜の訓練を続けている。

 

さて、ここで話は最初に戻る。

俺が今いるのは城塞都市(クロスフィード)にある王立士官学園(アカデミー)。装甲機竜の使い手である機竜使いを育てるのが目的の学園、その待合室。今日はルクスがここの学園長(昔からの知り合いらしい)に呼ばれて、俺はその仕事の手伝いをルクスに頼まれてここに居るわけだ。

 

「……まだ終わらないのかよ」

 

 

 

「お久しぶりです。レリィさん」

「ええ、久しぶりね。ルクス君」

 

ルクスは蓮を待合室に待たせて王立士官学園(アカデミー)の学長室に来ていた。

そのルクスを待っていたのはこの学園の学園長で昔からの知り合いであるレリィ一人だった。

 

「それにしてもいいんですか?僕は男ですよ?」

「構わないわ。機竜使いの不足は深刻なのよ。ただでさえ少ないのに、指導をできる機竜使いとなるとほんとに少ないの、だからこの学園でも時々、王都から男性の機竜使いを呼んだりしないといけないのよ」

「まあ、そうですよね」

「そういうことよ」

 

そこにコンコンと扉をノックする音が聞こえ、一人の女生徒が入ってくる。

 

「学園長。頼まれていた資料ができたぞ。――む、なぜ男がここに居るんだ?」

 

入ってきてすぐに、レリィの前で話していたルクスを見つけた少女はレリィに尋ねる。

 

「ありがとう、リーズシャルテさん。彼はルクス・アーカディア。今回は建前上、機竜格納庫での手伝いに呼んだけど、本音はあなたたちに指導してもらうためよ」

「アーカディア……。旧帝国の、だと」

「レリィさん。今、建前って言いましたよね」

 

リーズシャルテと呼ばれた少女は何か驚いたようだが、今はそれよりレリィの言ったことの方が問題だ。

 

「レリィさん、どうして僕が指導をするんですか?」

「そうだぞ、学園長!なぜ、咎人の男を呼んだのだ!」

 

ルクスは静かに抗議するが、リーズシャルテは激しく抗議する。

 

「まあまあ落ち着いて、リーズシャルテさん。それより、かの『無敗の最弱』ともあろうものが随分謙遜するのね?」

「昔の――」

「それにこの学園で屈指の実力者であるリーズシャルテさんにも劣らない実力でしょう?決して場違いじゃないと思うけど?」

「……ほう」

 

レリィの挑発ともとれる言い方にリーズシャルテが反応する。

 

「レリィさん。やっぱり辞た―――」

「さっきも言ったけど人手が足りないのよ。クーデターで装甲機竜に関わりがあった人の大半は死んじゃったから」

「はあ、わかりました。お手伝いさせていただきます……」

 

これ以上何を言っても無駄だと判断したルクスは白旗を上げる。もう少しで話が纏まると思ったが、そこにリーズシャルテが割り込む。

 

「学園長。少しいいか?」

「なにかしら?」

「話は分かった。だが、私たちはまだこの男を認めたわけではないぞ?」

 

もっともなことを言っているはずなのに彼女の雰囲気は殺伐としていた。

 

「なら、どうすれば認めてくれるのかしら?」

 

レリィがリーズシャルテを煽る。

この瞬間、ルクスが思ったことはたった一つ。

 

(レリィさん。恨みますよ……)

 

「決闘だ、ルクス・アーカディア!もし私に勝てばお前を認めてやる。だが、負けたら学園から出ていってもらう!」

 

廊下からざわめきが聞こえる。どうやら、男性のルクスが学園にいたことがきっかけで、盗み聞きしていたのがいたようだ。

そして彼女は学長室を出ていく。

 

「あの、レリィさん。彼女は?」

「彼女はこの国の第一王女、リーズシャルテ・アティスマータ。クーデターを主導したアティスマータ伯の娘さんよ」

「え!?……はあ、アイリにばれたらまた怒られるよ……」

「じゃあ、ルクス君。そういうことでね」

「はあ……」

 

レリィの締めの言葉にため息をこぼすしかなかったルクスであった。

 

 

 

「お、やっと終わったか。で、俺達はどこに行けって?」

「あ~…えっと、それなんだけど……」

 

やっと戻ってきたルクスに声をかけると何とも「困った」という様子で、しどろもどろの答えが返ってきた。

 

「?」

「ちょっと…一緒に来てくれないかな?」

「まあ、いいけど」

 

そうして連れていかれたのは学園長室だった。

入るとそこには邪気のない笑顔を浮かべた人物がいた。

 

「なあ、ルクス。あの人は?」

 

嫌な予感がするんだけど、という言葉は呑み込んだ。

 

「はじめまして、私はレリィ・アイングラム。この学園の学園長をしているわ。ルクス君とは昔からの知り合いよ」

「ど、どうも。天宮蓮です…」

 

ルクスに頼んだはずなのにレリィさんの方が先に挨拶してきた。見たところそんなに悪そうな人じゃなさそうだけど…笑顔が黒く感じるのは俺だけだろうか?

 

「ふふ、そんなに縮こまらなくていいのよ?もっと楽にしてくれていいからね」

「は、はあ…。と、ところで、自分に何か用でしょうか?」

「あなたの話は聞いているわ」

「……どうお思いで?」

 

王立の施設の長を務めているくらいだ、国の上の方につながりがあってもおかしくはない。むしろここからが肝心と気を引き締める。が、それはあまり意味のないものだった。

 

「確かに到底信じられない話だけどね……。ルクス君が『信頼できる』って言うから信じてみようと思うの。それで話なんだけど…この学園に入学してみない?」

「ですよね――へ?」

 

入学?この学園に?

身構えているところに来た奇襲(?)に思わず聞き返してしまう。

崩れたのはルクスも同じだった。

 

「ちょ、ちょっとレリィさん!?」

「別にいいじゃない。ここは女の子ばかりだし、それにルクス君が決闘に勝ってこの学園に入学してくれれば問題ないでしょ?」

「「いやいやちょっと待ってください!!」」

 

なんて爆弾発言してんですか!?女の子ばかりって自分で言ったよね!?いや、それに決闘って何!?

 

「実はね機竜適性は女性の方が男性よりも高いの。だからこの学園にいるのは貴族のお嬢様ばかりなのよ。でも教官の数が足りないの。それで凄腕の機竜使いであるルクス君にお願いしたのだけれども、ちょっとあってね」

 

淡々と話すレリィさん、けれども顔はニコニコ笑っている。

ああ、これは反論する意味がないかもしれない……。

 

「ああ、そうそう。蓮君の入学に関してはほとんど決定的なの」

 

そう言いながら右手の人差し指を立てて上下に動かすレリィさん。

ああ、お国の方で決められちゃったのか……。

俺に決定権は…そうだ、俺は一応この国で預かってもらっている身だった。とはいえ、こういう場に入れてもらえるぐらいには信頼されたってことか?

 

「というわけで、決闘がんばってね。ルクス君」

「……はい」

 

ルクスの答えに力はなかった。

 

 

 

 

レリィさんに会わせたい人がいると言われて通されたのは学園の応接室。

そこには二人の少女がいた。一人はジト目でルクスを見つめ、もう一人はその隣にただちょこんと立っているように見えた。

 

「まったく兄さんは、なんでこう次から次へとトラブルを引っ張ってくるんですか?」

「今回はレリィさんのせいだと言いたいよ。アイリ」

「まあ、そうとも言えますけど……。まったく兄さんは…。彼女は女子寮での私の同居人です。名前はお願いできますか?」

「Yes, 一年のノクト・リーフレットと申します」

「こっちこそよろしく」

 

ルクスと少女たちが軽くあいさつを交わしたところで、アイリと呼ばれた少女が俺の方を向く。

 

「アイリ・アーカディアです。兄さんとはどういった関係で?」

「俺は天宮蓮って言うんだ。君の兄さんに倒れているところを助けてもらってね。それ以来、いろいろ世話になっているよ」

 

明らかにできない部分は、事実を使って、もっともらしい経緯をでっちあげて説明する。

 

「そうですか。兄さんが迷惑をかけたりしてませんか?今回のように」

「ア、アイリ!?」

「まあ、今回ばかりはレリィさんのせいですけど、自分がトラブルを寄せ付ける体質だってこと解ってます?」

「ア、アイリ?それはちょっと言い過ぎじゃないかな?」

「今まで私がどれほど苦労したかわかってます?」

 

再びジト目で見つめられるルクス。

非常にできた妹だった。

 

「兄妹仲のいいことで」

「Yes,私もそう思います」

「それでノクトさんはやっぱり《ヴリトラ(コイツ)》が気になりますか?」

「…!気づかれてましたか」

 

ま、仕方ないよな。男の俺が機攻殻剣を持っているのだから。

ノクトさん本人は気づかれたことに驚いていたが、チラチラしていたのは確かなようだ。

 

「コイツは早いうちに説明することになると思う。なんとなくだけど」

「…。そうですか」

「フフン、これで私の百二連勝ですね。私が兄さんに負かされる日はいつ来るのでしょう?」

 

俺とノクトさんが話している傍らでは口喧嘩をしていたようだ。というかルクス…妹に敗戦続きで恥ずかし――学習しないのか。

そして満足げな笑顔のアイリちゃんがルクスを手招きする。

 

「兄さん、模擬戦前の機竜チェックのために機竜格納庫に行きましょう。リーズシャルテ様の対策も教えます。だから、勝ってくださいね」

 

悪意のない純粋な笑顔でプレッシャーをかけてから出ていく妹を追ってルクスも慌てて応接室を出ていく。

残された俺とノクトさんはただただ苦笑を浮かべるだけだった。

 

 





本編開始です。
前に書いたものからは大きく変えていません(手抜きとか言わないでください)。

この作品は基本的に原作沿いです。一応、ある程度進んだらオリストを考えていこうとは思っていますが、案が全く出てこないので暫くは原作沿いです。

とりあえず、毎週土日のどちらかで次話を更新していく予定です。

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