風速5センチメートル   作:三浦

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てかこいつ、ヘタクソじゃね?(笑)


罪の記憶

 

 

001

 

 

 

新しく烏森に派遣された春日 夜未とかいう裏会の人と仲良くなったのだが、爆速で茶に薬を盛られた。なんなんだよあの女、なんなんだよ俺も。

「あいつの前で父さんの話しないでやってください(キリッ)」じゃねえよアホ。絶対心の中で笑われてたじゃん。なんかもう、死ねよ世界。

 

やっぱり俺裏会嫌いだわ、名前からして裏切りフェチか陰湿忍者しかいなそうだし。忍者汚い。

 

「......てかここ、鬼の中だよな」

 

手中が一番安心なのはまあ分かるけど、こんなロープで縛るだけなんてあの女、完全にバカだろ。

 

おまけに揺れや音で近くに時音がいることもわかる。苦戦するだろうな、相性あんま良くないし。

ていうかなにより、こんな女に騙されて好きな人の窮地を黙って見てるなんて、それこそ本物の大バカ野郎に他ならない。

 

「殺すか、結」

 

話は変わるが、結界というのは小さければ小さい程安定して力を込めやすく、強度を高めるのもやりやすい。

つまり、極限まで小さく作った結界を多重に固めて、それを思いっきり上下に伸ばすと、

 

「グガッ!イダイ!」

 

「ッ!ヨキッ!!」

 

まるで焼き鳥のように串刺しにすることができる。

鳥っていうか鬼だけど。

後は小さな結界でロープを破壊し、鬼の背中をぶち抜けば脱出完了である。

 

「ヨ゛ミ゛ッ、イ゛タ゛イ゛!!」

 

「ヨキッ!ヨキィ!ああっ......」

 

「いきなり出てきて容赦なく結界生やしてくヨッシー、バイオレンスだぜぇ......」

 

「無駄だよ。足まで宙に浮かしたそいつじゃ踏ん張りもきかないし、一発目の時にすぐ壊すように命令しなかった時点であんたの負けだ。結界で関節を固定した。もうそいつはまともに動けない」

 

逆に5本も体の要所をぶっ刺されてピンピンしてたら、それはもう俺ではどうしようもない。

 

「ていうか良守、鬼......」

 

「?鬼はあいつだ。夜未さん、悪いが時音を殺そうとした以上そこの鬼は絶対に殺す。これは確定事項だから、恨みたきゃ好きなだけ俺を恨め」

 

「ゴ、オァア、ヨ......ミ......」

 

「いや、いやっ!ヨキ!死んじゃダメッ!私の命令が聞けないのっ!?ねぇ!ヨ」

 

「滅」

 

「グガァァァアアアアアアアア!!!!!」

 

「鬼だ......」

 

「いやあああああああああああああッ!!!!!」

 

「よし」

 

「クール&バイオレンスだぜ、ヨッシー......」

 

 

 

002

 

 

 

その後精神崩壊したヨミさんは「貴方にはもう、逆らいません......」としか言わなくなったのだが、ちょっと頑張って亡骸から小さなヨキを転生させたら、泣いて喜ばれた上に「良守様は神です....ッ」と小ヨキを慈しみながら感謝されてしまった。なんだか大きくマッチポンプと書かれたドリルを、尻にぶち込まれたような気分になってしまった。

 

昨日は結局裏会のハゲ1とハゲ2に引き取られたが、あの穏やかそうな顔を見る限り彼女はもう平気だろう。

だが色々な聴取によって睡眠時間を削られた俺は、とうとう最後の授業で少し寝てしまった、無念だ。

 

ついでに放課後まで寝ていたのでlineに反応できず、とうとう時音の説教電話に起こされてしまった。ちょっと嬉しい。

 

「ねえ、良守」

 

「なに」

 

「あたし、知らなかった」

 

「......なにがさ」

 

「多重結界も、引き伸ばして刺すのも、昨日のあんたの全部、なんにも知らなかった」

 

「......」

 

「あんたが強いのは知ってる。言うなって言われてるけど、良守の実力とか才能はおばあちゃんも認めてるくらいだから」

 

「お、おう」

 

「でもあたし、嫌なの。あんたに守られるだけの女に、なりたくない!だから、えと、その、あたし....」

 

顔が赤いな......まさかっ!!告白か!?二人で支え合って生きていこうってことなのか!?そうなのか!!?おい!どうなんだ解読班!!(錯乱)

 

「だから......」

 

いいよ、時音いつでも来い。俺だってお前が大好きなんだからな......。

 

「だから!あたしの修行に付き合って!」

 

「ああ、俺もお前と......え?」

 

「いや、だから......修行に付き合ってって言ってるの!何度も言わせないでよもう!」

 

............修行?修行ってなんだっけ?.....シュギョウ。しゅぎょう。SYUGYOU。...................ああ....なるほどね.......修行ね.........だよね..............なにがいつでも来いだよ................俺さむ..................百回死んで栗に生まれ変わりたい.......................。

 

「あ、ああ。よろこんで.........」

 

「ほんと!?よかった〜。ありがと良守!」

 

「おお......」

 

今頃ロマンチックなキスしてるはずじゃなかったのかよ......。嫌じゃないけど、いやむしろ嬉しいけど、現実は左手を両手で握りこまれただけだ。

 

「じゃ、じゃあまた明日!」

 

「あ、うん、じゃあな」

 

......はー、なんか、疲れたな。

 

「ただいま」

 

「おかえりーってどしたの良兄ぃ、好きな人からの告白だと思ったら全くかすってもいない用事でガッカリしたけど、これはこれでまあいいかって思った男子中学生みたいな顔になってるよ?」

 

「エスパーかお前は。いやまあ全然違うけど。全然違うけどちょっと寝るから、しばらく誰も俺の部屋いれんなよ」

 

「?わかったー」

 

利守の驚異的洞察をくぐり抜けた俺は歩調を早めた。

部屋に戻った俺は即刻左手で2回シコって寝た。夢に時音が出てきたと思ったら夜未さんに変化して襲われて起きた。

なんだか胸が苦しい。

 

「これが、罪の記憶ってやつか......」

 

なんか違うような気もするけど、まあいいや。もっかいシコって寝......!?

 

「誰かいる?」

 

「......あ、よ、良守?」

 

「なんだ父さんか、どうした?」

 

「あ、いや、もうちょっとしたらご飯できるからねって言おうと思って」

 

っぶねーーー!シコる前に気付いて本当によかった...。

 

「ん、そっかありがと」

 

「う、うん......じゃ、後でね!」

 

?父さん急いでる?って夕飯前だしそりゃそっか。

 

「良守......母さんみたいになんでも一人で溜め込まないでくれ......」

 

結局、オナネタに思いを馳せていた俺には父さんの呟きは届かなかった。

 

 

 




結界は小さければ小さい程云々は独自設定かもしれません。読みこみが足りず曖昧で申し訳ないです。ぼくのかんがえたよしもりの成長の犠牲にしてごめん、ヨキ.....。

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