ハンターズギルドは今日もブラック【未完】   作:Y=

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変態オジサン回。

今夜は二話投稿。


コミュニケーション、大事、絶対。

 鱗の少ない腹部へと、操虫棍の幅広の刃がサクッと吸い込まれるように入った。

 引き裂かれる柔らかな腹肉から鮮血が吹き出し、痛みに思わずのけぞった“紫毒姫リオレイア”の右目へと、飛来してきた三本の矢がこれ以上ないほど正確にこの突き刺さる。

 脳髄に届かんとする鏃の、眼窩を抉る強烈な痛みに、警戒が疎かになった彼女の背中へ、崖の上から降りてきた彗星が直撃した。

 延髄か、脊髄か、一級ガンランスに背中を文字通り砕かれたリオレイアは、悲痛な声を上げながら、どうと地面に倒れ込み、あっさりと息絶えた。

 

 手分けして捜索していた討伐対象のうち、最後の一頭だろう十三体目を手際よく殺し終えた三人は、特に言葉を交わすでもなく、汗を拭くでもなく、ラファエラを先頭にして、レオンハルトのもとへ向かった。

 

 

 百メートルほど離れた岩の陰で見守っていたレオンハルトであるが、目印も出していないのに、ラファエラ達がこちらに向かってきているのを見つけた。

 それについては、もう何も言う気はない。

 【白姫】の嗅覚は、モンスターを凌ぐレベルに研ぎ澄まされているのは、G級ハンターの間では有名な話。

 消臭玉を使っても、ニオイを辿られるのだ。

 色々思うところはあったが、潔く諦めた。

 『ニオイが……』と呟かれた二十代後半の男性は、なけなしのプライドを砕かれる前に引き下がったのである。

 合流できればそれでよし。

 のろしを上げる手間が省ける。

 加齢臭を気にするのは、まだ先の話なのだ。

 

 

 

 

「……お疲れ。一人?」

 

 砥石でギター状の狩猟笛、“巨獣弦琴”を整備しながら、日陰になった岩場の向こうから姿を現したアナスタシアに声をかけた。

 弦楽器なのに笛とは、これいかに。

 

「お疲れ様です、師匠。ララさんとナッシェちゃんは水浴び、私は先に報告です」

 

 頭防具を脱いだアナスタシアが、ふぅぅと深いため息をつく。

 顎のラインで綺麗に切りそろえられた亜麻色のボブカットを揺らしながら、ガチャガチャと音を立てて俺の隣に座り込んだ。

 上気した頬を、つつ、と透明な汗が伝った。

 ほんのりと、芳しい乙女の香りが漂ってきた気がするが、それは口にしてはいけない。

 静かに鼻の神経を集中させるのみである。

 

「……アナ、大分疲れてるね」

 

「それは、まあ、二つ名持ちのリオレイアを七頭も連続で討伐していたら、疲れもします。彼女たち、絆の強い大きな家族だったんでしょう、コッチが縄張りに踏み込んだ瞬間、囲んで襲ってきましたから」

 

「ああ、俺の方もそんな感じだったかな。最初の二頭のうちの、俺が受け持った一頭を倒したら、一度にやってきた五頭の紫毒姫に囲まれちゃってさ。息ピッタリに連携したサマーソルトでしばかれまくったり、放火魔の如くブレスを放たれたり……足の踏み場もないくらいに燃えて燃えて、危うく死にかけたよ」

 

「むしろどうやって生き残ったんですか、それ……」

 

「よく分かんないけど、俺、モンスターを引き寄せる才能はあるみたいなんだよね」

 

「答えになっていないんですが、それは……」

 

「いや、真面目に答えると、落陽草の根を口に含みながら、姫の背中に乗ったんだ」

 

「……は?」

 

 あれ、おかしいな。

 武勇伝を披露したら、アナスタシアに喋るゴミを見る目で見られたぞ?

 純真無垢の形容に相応しい日焼けした童顔、クリッとした瞳、そこから放たれる侮蔑の視線がこれほど胸に突き刺さるとは……。

 生物学的な本能で鳥肌とか乳首とか勃っちまったぞ……。

 

「……ああ、あれは中々刺激的だった。チクチクしたけど、楽しい空中遊泳だったよ。アナも一度、死なない程度にやってみるといい。棍使いとして、良い経験になると思うぞ」

 

「……そのままふり落とされて一回死ねば、師匠のアホさ加減も治っていたのでは?」

 

「なんてことを言う弟子なんだ……」

 

 だが、それがいい……。

 ……なんて、決して思っていない。

 興奮してなどいない。

 レオンハルトさんのレオンハルトさんは未だ沈黙を保っているのがその証拠。

 よし、いい子だ息子よ。そのまま家までステイ!

 

「別に、()()()()()を本当に師匠だと思ったことは一度もないですし。師弟関係は箔付けと建て前のためだって、モミジさんも言ってたじゃないですか」

 

 アナスタシアはそう言いながら、脚防具のブーツを脱ぎ始めた。

 カチ、カチと留め具が外され、長時間防具の中で蒸された長い脚が、スルスルと姿を現した。

 マイサンもスルスルと隆起した。

 アナスタシアの美脚には勝てなかったよ……。

 ブーツから解放されたおかげだろう、鼻腔をくすぐるアナスタシアの汗の香りが一段と強くなった。

 湿っぽく熱っぽいこのニオイ、ツンと鼻の奥をつく汗の強い香り、だが悪くない。

 香水をつけているワケでもなかろうに、オスの本能を刺激するかのような、尖った薫香が近くにいるだけで俺の肺を満たしていく。

 

「そ、そうか……」

 

 クニクニと動く足の指、しなやかな筋肉にふっくらと覆われているひざ下、滑らかな関節のラインを描く膝、太いはずなのに細身に引き締まったふともも、黄金の腰防具。

 黄金の防具君。

 いつも可愛いアナスタシアの大事な腰回りを守ってくれてありがとう。

 でも、邪魔だからそこをどいてくれないかい?

 ちらりズムは難しい概念だ、完全に見えなくては意味がないのだよッ!!

 

 ……ふぅ、よし、俺、落ち着け。

 これも、レオンハルト工房特製の強走薬グレートと、戦闘後の高ぶりのせいだ。

 ご存知だろうか。

 ふくらはぎの語源は、『()()()としているひざ下()()』からきているのだそうだ。

 大丈夫、俺は視線をそっと外せる紳士。

 

「…………先輩、視線が中年のエロ親父みたいですよ」

 

 アナスタシアが低いトーンでそう言った。

 むむ、どうやら俺の目は言うことを聞いてくれなかったようだ。

 ここはスマートに紳士らしく、大人な対応で釈明をしなければ。

 

「そそそそ、そんなワケがないこれは違う俺は中年違う。アナスタシア君の師匠だ、君の大切な脚腰に怪我がないかを確認していただけだ。冤罪だ、俺は何もしていない」

 

 あれ?

 

「悪いことした人に限ってそういう言い訳をするんですよ……」

 

 どうやら、弁明に失敗してしまったようだ。

 アナスタシアの視線の温度がさらに下がった。

 対照的に、彼女の頬に先ほどまでの赤みとは異なった朱が乗り、瞳の奥にギラリとした光が宿った。

 マズい、これはマズい傾向だ。

 

「……ま、まあ、俺はそんな感じだったかな。アナたちはどうだった?」

 

 仕上げのコーティングをかけながら、話題転換のために何気なく尋ねたレオンハルトであったが、

 

「…………それ聞きます? 当然、最悪に大変でしたけど、何か……」

 

 急な話題転換を非難することすらしないまま、必要以上に目の中から輝きが消えたアナスタシアの様子を見て、レオンハルトは色々と察した。

 

「あ、だよねー……」

 

 頬や額の汗をタオルで拭き取りながら、アナスタシアはどんよりとした表情で呟いた。

 

「……師匠がいないと、あの人達の手綱を握るのはかなりの重労働ですからね……。ナッシェちゃんは途中で『先生のトコに戻る』とか言い出すし。ララさんはララさんで、私たち二人に狩りをさせて、自分はあまり手を出さないし……」

 

「え、ファーラがそんな、狩りの指導みたいなことを……?」

 

「ええ、必要なところでサクッとトドメさしてくれたりしましたけど、基本的には立ち回りとかを教えてもらいました。私たち二人が一頭と戦っている間、残りのリオレイアたちを留めてもらいましたし……」

 

「そっか。あの子も成長したなぁ……」

 

 昔、初めて見たときは“目があったヤツから殺す”みたいな雰囲気さえあったのに、人は変わるものである。

 

 感慨深さに一人感じ入りながら、“巨獣弦琴”の弦を調整し終えた。

 本当は愛笛の“清純の乙女(フロイライン)”――正式名称は“憂悶ナル笛星ディエヴ”――を担いできたかったのだが、アナが『真面目にやれ』と言うので巨獣弦琴を担いできたのだ。

 フロイライン嬢は、蒼く魅力的なボディーに、天使の翼のような音響管が素敵な狩猟笛だ。

 オストガロアの素材から作った笛で、今では“コトノハ”と並ぶ愛笛になっている。

 が、武器としては“巨獣弦琴”の方が取り回しやすく、残念ながら今回はワルツの相手に選ぶことが出来なかった。

 最近、アナがオカンみたいに思える。

 家事が出来れば完璧なのになぁ……。

 

 チラッと隣を見やると、艶やかな唇を尖らせながら、嬉しそうに笑うアナスタシアの横顔が目に入った。

 日焼けして汗に濡れた首もとが、何とも妖しげな感じである。

 ……くっ、これでは先ほどの二の舞だ。

 

「……そうだ、ファーラの狩りから少しは盗めたものあった?」

 

「……アレは、通常の人間が真似を出来る領域ではないと思うんです。どうして二十メートルくらい上の崖から飛び降りてモンスターを仕留めようとするんでしょうか。あんなん真似したら体が一発で砕けますよ」

 

「…………ま、まあ、そうだね」

 

「あ、でも、リオレイアを何頭も自分に引きつけるあのヘイト管理は流石でしたし、私は操虫棍しか使えませんけど、守りの堅いモンスターの関節をどう攻撃するのか、モンスターにどう動いてもらうかとか……考えることはいっぱいありました」

 

 嬉しそうに話すアナスタシアに、崖から飛び降りて、勢いをつけてモンスターをぶっ殺すのは昔からある殺し方だよ、と言ってやりたかった。

 少なくとも俺は、結構な頻度でヤっている。

 

「……うん、アナが真面目な子になってくれて、本当に助かっているよ」

 

「…………な、なんですか、藪から棒に」

 

「いや、うちのパーティーは、自分で言うのもおかしいけれども、ストッパーになりうる人材がアナ以外にはいないからね。本当に助かっているよ」

 

「いや、まぁ、えへへ……」

 

 頭に手を当てて照れるアナスタシア。

 彼女は基本的に、素直でいい子だ。

 

「そうだな、今日の狩りでは、他に学べたことはあったか? 連携とか、攻めの引き際とか」

 

「え、ああ、他には――」

 

「どーん!」

 

 さらに話そうとしたアナスタシアが吹っ飛んだ。

 

「へぶっ」

 

 アナスタシアを後ろから突き飛ばしたのは、足音もなく忍び寄っていたナッシェだった。

 こやつ、また無駄にハイクオリティーな技術を身につけおって……。

 顔面から綺麗に地面へ突っ込んだアナスタシアには見向きもせず、俺の隣にナッシェが座り込んだ。

 

 女性用の“白疾風シリーズ”に身を包むナッシェは、小柄で“控えめ”な体躯であるが、大胆に露出した腹部から腰回りにかけてが妙に艶めかしい。

 小さなおへその穴を見ると、指を突っ込みたくなる衝動に駆られる。

 ナッシェは最近、この肌色面積が妙に広い防具を好んでいる。

 動きやすいのならば、それで良いだろう。

 俺も白疾風シリーズは大好きだ。

 

「先生、お疲れ様です」

 

「え、ああ、うん、お疲れ?」

 

 先生はお疲れだから、ちょっと目の保養で忙しいんだよね。

 

「先ほどは、私の妹弟子がとんだご無礼を。水浴びもせず、汗を拭きながら先生の隣に座るなんて、本当にアホな妹弟子です。乙女力マイナスですね。教育が行き届いていなくて、本当にごめんなさい」

 

「え、あ、いや、大丈夫だから。全然気にしなくて良いよ? ホントに。むしろ、体を綺麗にする前に報告に来てくれるなんて、ありがたいくらいだよ。安心できたし」

 

 決して、汗の芳しき()()()に惑わされてなどいない。

 

「…………先生、アナの臭いに興奮してたりとか、してませんよね?」

 

「してないよ?」

 

 にっこりと笑って即答した。

 

「そんなワケないじゃん。そんな変態みたいなことを、俺がするワケナイジャンアハハハハハ」

 

「…………そうですよね。あんなじゃじゃ馬の雌臭いニオイに興奮するワケないですよね」

 

「もちろんさ!」

 

 爽やかに答えた俺の膝に、ごく自然に乗っかってきたナッシェは、俺と向き合う形で座って、じっと俺の顔をのぞき込んできた。

 思わずピクリと体が動く。

 嘘かどうかを見られてる気がする。

 首の後ろに回された手が、どうにも恐ろしい。

 汗のニオイは感じない、代わりに、最近ナッシェが好んで使っている香水の微かな香りか鼻を突いた。ご褒美ごちそうさまです。

 良い匂いに意識を向けながら、精一杯誠意のこもった笑顔を作って対応する。

 

「…………もし、あの発情猫のニオイに興奮したりなんかしたら……」

 

 青い目を逸らさないナッシェが、視線を一ミリも動かさずに言葉を漏らす。

 精緻に作り込まれた人形のように動かない、美しい顔の少女に見つめられて、思わずゴクリと喉が鳴った。

 

「……私が一日中履いた靴下のニオイで興奮するようになるまで、先生を()()しますから」

 

「なぜ……」

 

 愛らしい弟子よ、それは訓練ではなく、調教と言うのだよ。

 それに、俺は訓練されるまでもなく、すでにナッシェのニオイに興奮できている一流のハンターだ、舐めないで欲しい。

 絶対に言わないが。

 

 ナッシェはペロリと唇を舐めながら、どこで学んできたのか問いただしたいほど巧みな上目遣いで、

 

「まあ、良いんです。あの発情期の雌猫のことは忘れて――」

 

「おい」

 

 ぐわしと、ナッシェの頭が鷲掴みにされた。

 

「おや、どうしたのです妹弟子アナよ。私は今ちょっと先生とのむつみ合いで忙し」

 

 彼女の小さな頭を掴んだ手が、グッとナッシェの体を引き上げて、俺の膝の上から無理やり剥がした。

 アナスタシアに片手で持ち上げられるナッシェは、その激痛に顔色をせわしなく変化させている。

 ギリギリとナッシェの頭蓋骨を圧迫する細い指には、少女一人分を持ち上げるのに必要な握力が込められているのだ。

 こうして見ると、アナスタシアとナッシェの身長差は大きい。四十センチくらい違うんじゃないか。

 

「痛い痛い痛い痛いっ!! 髪の毛!!」

 

 空中で手足をばたつかせながら悲鳴を上げるナッシェの顔を、アナスタシアが無表情でのぞき込んだ。

 

「一体誰が、発情期の雌猫ですって?」

 

 その言葉に、ナッシェがアナスタシアの方から目をそらしながら、引きつった余裕の笑みで、

 

「あ、あら、自覚があるんじゃないの? アナ、貴女は私の妹弟子なんだから、少しは先輩に対する態度とか敬い方を――」

 

 ゴッ!!

 

 問答無用で近くの岩に額を打ち付けられたナッシェが、両手をだらんと降ろして完全に沈黙した。

 あれは落ちた。

 気絶した金髪少女の首根っこを掴んで引きずって行くアナスタシアの背中に、一応声をかけておく。

 

「……おい、アナ、やりすぎるなよ?」

 

「大丈夫です。立場というものを分からせてやるだけですから。まずはアナ先輩と呼ばせるところからですよ。それから敬語」

 

 回復薬グレートの瓶を振りながら返事をするアナスタシアに、ひとまず安堵の息を吐く。

 彼女は激怒しているが、キチンと越えてはいけない一線を弁えている。

 なんだかんだ言って、根は優しい子なのだ。

 

「――ハルぅ」

 

 と、安心している間に、このパーティー一番の問題児が帰ってきた。

 両手に大きな袋を持ったラファエラが、ゆっくりと踊るようなステップで歩み寄ってきた。

 

「ファーラ、お疲れ様」

 

「疲れてないよ?」

 

「ですよねー、知ってた」

 

 ラファエラをファーラと呼ぶのは、俺が彼女の手による“訓練”を受けた賜物だ。

 決して、淀まずにファーラと呼べるようになるまで無言でボコボコにされ続けたワケではない。

 そんな記憶はなかった。

 

「それより、その袋は?」

 

「熱帯イチゴの実」

 

「おいちょっと待て」

 

「何を?」

 

 彼女は今、何と言った? 

 リオレイアの頭が入りそうな袋二つ分にいっぱいに詰めたものが、手のひらの上で転がせるほど小さい熱帯イチゴの実だと?

 

「…………全部?」

 

「あたりまえー、あたりまえー」

 

 謎の旋律を口ずさみつつ、ラファエラが袋の中から一粒取り出した。

 太陽の光をいっぱいに浴びて育った真っ赤な熱帯イチゴは、“荒野のルビー”と賞賛されるほどに美しく、甘くて美味しい。

 これが、リオレイアの頭二個ぶんか。

 

「嘘だろ……」

 

「ほんとだよ?」

 

「ですよね……」

 

 思わず天を仰いだ。

 彼女は、だいたいいつもそうだが、こと採集において手加減というものを知らない。

 一度、十個だけでいい深層シメジを百個くらい回収してきてしまったときは、さすがに絶望感を覚えた。

 ギルドにばれないよう、キャンプで焼いて食べたのだが、アレは本当に辛い体験だった。

 数日の間、キノコで腹を破裂させる悪夢を見る羽目になるくらい辛かった。

 

「…………ファーラ、採集はこの袋のぶんだけだと、狩りに行く前にも言っただろ? 聞いてなかったのか?」

 

 レオンハルトは、ポーチから取り出した小さな袋の穴を広げて、白髪の美しいハンターに講義を始めた。

 

「聞いてないよ?」

 

「……そっか…………」

 

 十秒経たずに絶望した。

 いつも通りだもんね。

 

「…………良いかい? 次からはこの袋に入れなさい」

 

「分かった。じゃあ食べよ?」

 

 そう言って、ラファエラは無邪気に笑いながら、熱帯イチゴがはちきれそうなほど詰められた袋を掲げた。

 今、真剣な注意をサラッと流された気がする。

 …………この子、もしかして、多めにとってくればたくさん食べられるとか思っていないだろうか……。

 

 今日は旧砂漠で夜営して、明日の朝は然るべき場所で排便しよう。

 少しは、熱帯イチゴも実を結んだかいがあったようにしなくては……。

 

 

 

 自分で言うのもなんだが、このパーティーは、現在G級で最も戦力の整った集まりである。

 そして、幸か不幸か、G級の中では()()()()()()()人間が揃ったパーティーなのだ。

 

 




主人公の爆発フラグ建造が止まらない……

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