ハンターズギルドは今日もブラック【未完】   作:Y=

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エピローグ

 古代林へと向かう熱気球から地上を見下ろせば、深山幽谷の向こう側に深い緑色の帯が見え始めていた。

 

 あそこにディノバルド(×2)がいるのか。

 

 確かに、長年のぼっち生活である程度の生命力は持っているつもりだが、それでもディノバルドである。二体同時狩猟である。

 

 気球の籠でも余裕で眠れるが、少しくらい家で寝かせてくれても良いんじゃないだろうか。

 

 どうでもいいが、マイホームに最後に帰ったのは今から二ヶ月前だ。

 

 いつもああやって、最後は自分の意志でこの道を選んでしまう。

 

 罪悪感、贖罪意識、期待されることの喜び、ハンターとしてのごく僅かな使命感。

 

 客観的に考えて、“責任”というのはどう考えても賠償責任的な意味の責任だ。

 

 それを断ったらどうなるか。

 

 か弱い人気受付嬢、現在の龍歴院内で最高ランクの腕を持つハンター、さらにコミュ障&ぼっちという根暗キャラ。

 

 ここから導き出される解は。

 

『私、レオンハルトさんに手込めにされていたんです! 話したら殺すと脅されていて…………』

 

『なんだと!? あのコミュ障根暗クソ野郎め!』

 

『我らがモミジさんに何てことを!! 許せない!』

 

『ぼっちでコミュ障で何しでかすか分かったもんじゃないと思っていたが、あんなヤツがここにいるのはもう耐えられない!』

 

『ぶっ殺せ!!』

 

 レオンハルトさんの社会的生命が一気に死ぬ。

 

 ついでに物理的に殺される。

 

 もちろんレオンハルトのレオンハルトは股間がヒュンッとなる事態不可避。

 

 

 やれあれが欲しいだの、やれあのクエストをこなして欲しいだの、ここに行きたい、これを食べたい、最初はビクビク怯えながらこなしていた償いだったが、思い返せば、最近はホイホイとモミジさんの財布をこなしている自分がいる。

 

 ふえぇ、レオンハルトくんの財布の口がガバガバだよぉ…………。

 

 しかしながら、『もしかしたら』と言う期待を性懲りもなく感じてしまう自分がいて、その一縷の望みに縋ってしまうのだ。

 

 ぼっちは人と関わってきた経験の少なさが(たた)ってすぐに勘違いをするアホの子だし、ちょっとでも褒められたり、否定しきれない可能性があったりすると勝手に舞い上がってはしゃぎ回るチョロインだし、なんなら勝手に奈落の底へ自分の身を突き落とすまでが一セットまである。

 

 これだからコミュ障ぼっちは手が着けられない、自意識過剰過ぎるんだ。

 

 自分が自分を縛りつけてきて、ろくな身動きもとれやしない。

 

 でも、それも悪くないと思ってしまったりもするのだ。

 

 慣れって怖い。

 

 

 ああ、ハンターズギルドは今日もブラックだ。

 

 …………自業自得? 知ってた。

 

 

 

 

 


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