異世界西遊記   作:越後屋大輔

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第13話蝙蝠女

 ある日の昼下がり馬車で快調に進んでいる、今のところ何もおきてない。安心すると腹が減る、備蓄の食料も少なくなってきたので買い出しに行くことになった。普段なら唯一空を飛べる俺の役目だが今日は街の中なのでくじ引きの結果オッサンが行くことになった。スープーがあれば宿の心配もないから道をはずれた適当な場所に停めておく、ほどなく戻ってきたが手ぶらだ…ああ、そういうこと( ̄▽ ̄;)俺は木片を1つ投げ渡す。これで彫刻を作らせる、その出来栄えは酷いものだった、如意棒で殴りつけるとオッサンの姿が背中に蝙蝠の羽を持った女に変わる、

 「チキショーお前ら捕まえて魔王様に献上すれば出世できたのにーっ‼」

 「その魔王もいずれ俺が倒す、今のうちに抜け出した方が身のためだぜ、その美貌ならいくらでもやり直せるだろ」苦虫を噛み潰した様な面で逃げる魔王の部下。 孫悟空の眼力があれば偽物を見抜く事ぐらい簡単だ、木を彫らせたのは最終確認と他の2人に証拠を見せる為だ。本物のオッサンならどんな素材も見事なモンに仕上げるからな。ディーネは驚きのあまり声もでない様だ、もう一生そうしてろ、黙ってりゃ充分いい女だから。そう言ったらトロワちゃんが膨れっ面になった。なんで?帰ってきたオッサンにそれまでの事を話したら笑われた、意味分からん。

 翌日の朝俺とオッサンとトロワちゃんが目を覚ますとディーネがいなくなっていた、と思ったらすぐそこの草むらから現れた。俺は嘆息した、トロワちゃんとオッサンも理解したようだ。

「今度は私に確認させて下さい」トロワちゃんが如意棒を構える俺に言う、まあ別にいいけど。

 「123456789+987654321=は幾つ?」計算問題か。ディーネのだした答えは、

 「1111111110」

 「正解です!偽物よ、アルブス捕まえて」手綱を外されていたアルブスが偽ディーネの首根っこを加える、俺は神様にもらった残り2つの輪っかの内の1つを頭に嵌めてやる。これは他人を騙す事が出来なくなる代物だ、当然変化の魔法も解ける、案の定昨日の蝙蝠女だった。

 「なんで、正解したのにバレたんだ?」

 「本物なら正解するはずないからです」

 「ウム、ありゃバカじゃからな」本物ならなんて答えるか予測つかないしな。ん?何か忘れてる気がする、さっきの草むらが音を立ててもぞもぞ動いている。

 「みんな酷い(ToT)助けに来てくれるどころか散々悪口言った挙げ句完全に忘れてるー」本物が縄で縛られた状態のまま葉っぱまみれで飛び出してきた。まぁこいつならどこでも水害起こしてその隙に泳いで逃げられるしな。

 蝙蝠女は見逃す事にした、輪っかが有る限り2度と悪さは出来んしな。因みにトロワちゃんがさっきだした問題をディーネに振ってみたら

 「うーんと、スゴい数!」やっぱりこいつバカだ。

 




蝙蝠女の元ネタは西遊記の白骨夫人です。
後主人公ニブチン( ̄▽ ̄;)

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