ソードアート・オンライン ~闇と光の交叉~   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 どうも、おはこんばんにちは、黒ヶ谷・ユーリ・メリディエスです。

 今話もタイトル通りですね、原作を読んでいる方や本作を読んで下さっている方々なら、キリトが誰と戦うかすぐに分かります。

 前半はキリトとユウキ視点、後半はアスナ視点です。


 ではどうぞ。



第九章 ~蒼と紅の殺意~

第九章 ~蒼と紅の殺意~

 

 《笑う棺桶》掃討戦から一月が過ぎた。俺とユウキが復帰したので、攻略速度もそれなりになった。いや、戻ってきたと言うべきか。最初期のペースになったのだ。

 しかし、俺はここ最近、どこか剣の精彩を欠いている。それも当然だろう。仕方ないとは言え、人を殺したのだ。

 勿論、それを後悔している訳ではない。

 ただ、どうしても思い出してしまうのだ。俺はまた人を殺した。それが、かつての仲間――――ケイタの最期を思い出させる。

 

 

 

『薄汚いビーターのお前なんかに、僕達と関わる資格なんて無かったんだ』

 

 

 

 その言葉は、今でも俺の夢に出てくるほど、俺を縛っている。誰かの為に二刀を振るうことを、俺に躊躇わせる。トラウマを押しての五十層ボス戦、そしてラフコフ掃討戦での、PoHの殺害。

 その反動が来ているから、今の俺は、七十四層迷宮区攻略……最前線での戦闘において二刀を使っていない。

 それがどれだけ愚かな事か、理解しているのに……

 

「キリトさん、そろそろお昼にしない?」

 

 タッグを組んでいるユウキの言葉に、俺は視界右上の時計を見た。確かにいい時間だ。

 

「そうだな……そうしようか」

 

 俺がそれに頷くと、ユウキは俺の手を引いて安全地帯の大きな柱まで走る。目的地は、ボス部屋の少し手前に位置する安全地帯だ。そこの柱の根元に腰を下ろす。

 

「えへへ……今日のお弁当は、ジャーン! サンドウィッチだよ!」

 

 そう言って物質化した籐の籠を俺に渡すユウキ。俺の分の弁当らしい。

 それを開けて見ると、中身はとても美味しそうなサンドウィッチだった。メンチカツサンド、フルーツサンドやベジタブルサンドなど、他にも色々ある。種々様々なサンドウィッチを作ったらしい。明らかにプレイヤーメイド、ユウキのテンションからしても彼女作なのは当然だろう。

 まぁ、アインクラッドの料理は見た目と味が釣り合わないのが普通なのでもどきなのだろうが、それを踏まえても見た目や匂いがもどきを否定する。

 いただきますと言ってからその一つを取り出して齧り付くと、素材の味が染み込んできた。思わず頬を緩ませつつ舌鼓を打つ。俺を見ていたユウキは、それに満足げに微笑み、自分の分のサンドウィッチを食べ始める。

 お互いに肩を寄せ合っての食事は、自然とそうなったものだった。そのまま無言で食べていき、完食し終えたので、手を合わせる。

 

「ご馳走様」

「はい、お粗末様でした……で、どうだった?」

 

 わくわく、きらきらと瞳を煌かせながら期待の目を向けてくるユウキ。俺が作る事が多かったから、少し不安なのだろう。ホームに居る時は別だが、迷宮区で食べる弁当を作るのは専ら俺の役目だったから、彼女はほぼ初めてなのだ。不安になるのは当然だ。

 俺は彼女の不安を察して少しだけ高い位置にある頭に手をやり、緩やかに撫でながら言う。

 

「ああ……これは、俺の料理とはまた違ったベクトルの美味さだ……シンプルな料理では、もう俺も勝てないかもしれないな……」

「え、本当?!」

 

 ユウキが満面の笑みで喜ぶ。相当嬉しいらしい。

 

「えへへ……じゃあさ、リアルに戻ってからもお弁当、作ってあげようか?」

「本当か? それは楽しみだな……でもSAOとリアルじゃ料理の仕方が違うけど、その辺はどうするんだ?」

「頑張るよ、逆行して練習したから、家事全般そこそこイケるし。目標はキリトさんかな」

「ン、そうか……楽しみにしてる」

 

 そう話していると、乾いた音が断続的に響いてきた。恐らく甲冑だ。

 西洋甲冑は金属鎧が殆どなので、これは和装の甲冑だろう。そして俺が知る中で、最前線を和装で進む集団は一つしか知らない。

 俺の予測通り、俺とユウキが来た道とは別の道から、その集団が現れた。赤を基調とした和風甲冑に、カタナや槍など和風で武具を固めたプレイヤー達。《風林火山》だ。そのリーダー、大人の中でも一番の親友となっている、腐れ縁のカタナ使いクライン。彼は暫く疲れからか俯いて歩いていたが、顔を上げて俺と目が合うと、すぐに人懐っこい笑みを浮かべた。

 彼は人懐っこい性格であるが、キチンと踏み込んではならない部分への線引きができる大人だ。そして気配りも出来る。それによって救われたプレイヤーも結構いるらしく、俺もその一人だろう。

 

「ユウキ、それにキリトじゃねぇか! 迷宮区で顔を合わせるのは随分と久し振りだな!」

「そもそも最近まで出てなかったからな……クライン達は迷宮区でも変わらず元気そうだな」

「当ったり前ぇよ! このデスゲームをクリアするまでに死ぬわけにはいかねぇかんな!」

 

 クラインの威勢の良い胴間声に、俺は苦笑する。昔から元気の塊だと分かっているが、どうにも最近、その元気は更に膨れ上がっている気がする。何か良い事でもあったのだろうか?

 そのまま団欒を続けていると、クライン達が来た道から軍がやって来た。人数は十二人だ。六人二パーティーによる構成らしい。その内の一人が他のメンバーを休ませ、俺達の方に来た。

それを見て、一応でも無くこの場の最高権限を持つ俺が代表で前へ出た。クラインは確かに《風林火山》のリーダーだが、攻略組という面で考えれば俺が最高権限者である。ヒースクリフが居る時は目の会話でどちらが対応するか決めるが。

 

「私は《アインクラッド解放軍》中佐のコーバッツだ」

「《十六夜騎士団》団長のキリトだ」

「副団長のユウキです」

 

 ユウキが敬語を使うのは結構珍しいのだが、どうも副団長として振舞うなら敬語の方が良いかも、と思い至ったかららしい。まぁ、威厳を考えれば必要なのかも知れない。

 

「うむ……諸君等は、この先のマッピングも終えているのか?」

「いや、まだだ。昼食を摂った後、つまり今から俺とユウキは再開しようとしていた。あんた達はどうするんだ? 腹、減ってるんじゃないか?」

「……いや、貴君の心遣いには痛み入る。しかし我等はこのまま進む。では、失礼する」

 

 そう言って踵を返し、軍は二列縦隊で行ってしまった。ボス部屋があるだろう方向へと。俺の記憶違いで無ければあのまま進めばボス部屋に辿り着く筈である。

 

「……キリトさん。今の、どう思う?」

 

 ユウキの問いはコーバッツの態度ではなく、彼がどうしてここにいるのか、という事だ。

 しかも軍は基本的にディアベルが率先して最前線に出ているのだが、その彼がいないというのも妙な話だった。俺が知る人員では無いため、彼がリーダーとなって攻略に来るのは少々妙なのだ。

 

「妙だな……ディアベルやキバオウの管轄外なのか? 休憩を挟まず行くなんて……何か不安だ、俺達も行こう」

「待ったキリト、俺達も行くぜ。マッピングもしねぇといけねぇんだからとにかく戦力が要るだろ?」

 

 そう言って不敵に笑うクラインは、俺が何を言っても絶対に引かないだろうことが容易に分かった。まぁ、俺もユウキもなんだが。お人好し、ここに極まれり。

 何度かリザードマンの群れに遭遇したため蹴散らしつつ軍の後を急いで追いかけていると、丁度ボス部屋が見えた辺りで悲鳴が聞こえてきた。

 

「うわあぁぁぁぁ……ッ?!」

「ッ! 間に合わなかったか!」

 

 俺は悪態を付き、更に加速する。俺とステータスを共有しているユウキはともかく、クライン達は完全に置いてきている形だが、今は四の五の言ってはいられない。

 ボス部屋の入り口で止まると、中は地獄絵図だった。既に軍の戦線は崩壊している。そして中に居る人数を数えれば十人――――さっき見た時より、二人足りない!

 

「おい! 早く転移結晶を使って避難しやがれ!」

「くっ……ダメなんだ! 結晶が使えない!」

 

 中で戦っていたのは軍だけではなく、イチゴ達もだった。おそらく俺達よりも早く辿り着いていたのだろう。

 そのイチゴの怒鳴り声に、軍のメンバーの一人が声を返した。

 俺とユウキは逆行含めて知っているから良いが、知らなかったイチゴ達は息を呑む。結晶アイテムが回復手段の主流になっている現在、回復ポーションを持っているのは《十六夜騎士団》含めても少ないからな……!

 

「おいキリト、コリャア一体……?!」

「ボス部屋が結晶無効化空間らしい……」

「ンだとッ……?!」

 

 クラインの愕然とした声を聞きつつ、俺は考えた。ここで助けに出るのは簡単だ。しかし、二刀を満足に振れない俺が、果たして助けられるか。そして生き残れるか。

 俺の答えは結局、出せなかった。

 

「この……やらせる、かぁぁぁぁあああああああああああッ!!!」

「ユウキ?! ――――ク……ッ!!!」

 

 恐らくは、ヒースクリフに俺が殺される場面を幻視したのだろう、いつもなら決して突貫などしないのにユウキはたった一人で剣を抜き払いながら突貫した。

 俺も慌ててそれを追い掛け、ボス部屋に入った。。

 

「あ、おいキリト?! ちッ……どうとでもなりやがれェッ!!!」

 

 俺に続いてクライン達も中に入る。

 ユウキは二刀を抜いてボス《ザ・グリームアイズ》の背中に、《二刀流》十五連撃の中位ソードスキル《シャイン・サーキュラー》を叩き込んだ。空中でソードスキルを放った場合、それが突進系で無い場合はその場で滞空したまま攻撃を続ける為、全撃的確にボスの背中に入った。

 しかしボスは僅かによろけただけで、空中にいるユウキを殴り飛ばし、ユウキは地面を転がって隙を晒した。そして右手に持っている大剣でトドメを刺そうと、それを振り上げる。

 その瞬間、俺は全ての迷いを捨てた。ここでユウキを失うくらいなら俺の迷いを捨てて助けた方が、絶対的にマシだったから。

 

「やらせるかァ……ッ!!!」

 

 メニューを開いて【クイックチェンジ】を押し、装備変換しつつ走る。そして背中に両手を回し、丁度物質化された二刀の柄を握り、一気に抜き払う。

 振り下ろされた大剣を、二刀を交差させて防ぐ。《二刀流》武器防御スキル《クロス・ブロック》で大剣を押さえ、そして弾き返す。それによって出来た隙に入り込み、ソードスキルを発動した。

 俺限定の、本当の意味での『奥の手』を。この二刀に最初から付与されていて、今までほぼ使わなかったスキルを。

 

「《神魔剣》――――《エターナル・セッション》ッ!!!」

 

 右に闇、左に光を宿した二刀で、神速の速さを以て百連撃スキルを叩き込む。光と闇が乱舞し、二刀は残像すら目に映らない速さ。俺の目にも、最早闇と光の軌跡しか見えない。圧倒的な斬撃数の前に、流石のフロアボスも耐え切れないようだ。

 しかしそこは腐ってもボス、圧倒されつつも俺に攻撃を加えてくる。俺のHPは一撃を受ける度にガリガリと確かな量が削られていった。

 俺の装備は金属鎧はおろか、革鎧すら無いためユウキより身軽ではあるが、部分的に受けるダメージ倍率は彼女より高い。そのため一撃のダメージははるかに大きかった。

 もう、どちらが死ぬかわからない。そんな戦いだ。

 

「――――ォォォォォオオオオオオオオッ!!!」

『――――ゴアアァァァァァァァァッ!!!』

 

 いつしか、俺の咆哮とボスの咆哮が同時に轟いていて、どちらが俺の咆哮か分からなくなっていた。

 そして百連撃の最後。二刀の振り抜きが綺麗に入り、ボスはその姿を青い粒子へと変貌させた。

 目の前にLAボーナス取得とリザルトウィンドウが表示されるも、それすら意識せずに二刀を背中の鞘に収め、両手を膝に当てて荒く呼吸を繰り返す。

 今のスキルだけで相当疲れたのは、精神的なものもあるからだな……

 

「ハァ……ハァ…………」

「キリトさん……その、ごめん……大丈夫……?」

「たっく、二人とも無茶しすぎだぜ……オイキリト、大丈夫か」

 

 肩で荒く息をしていると、俺の背中と肩に軽く手を置く人物が二人。ユウキとクラインが、厳しい表情でありながらも穏やかな笑みを浮かべていた。

 

「ハァ……ハァ……何人、死んだんだ?」

「軍が二人だ…………イチゴ達も止めたらしいが、コーバッツが聞かなかったらしい」

 

 そう言って俺がイチゴ達に目を向けると、済まなそうにしていた。後ろにはアスナ、リズベット、シリカ、フィリア、ナツがいた。どうやら六人で攻略していたようだ。隊長格で構成されているから、相当な戦力である。

 続いてコーバッツに目を向けると、彼は肩を震わせていた。仲間の死を悼んでいるのか、己を恥じているのか……

 すると、彼は俺に足音荒く近づいてきた。俺も息を整えてコーバッツに向き直る。

 

「どうして突っ込んだ? 死者を出さないよう綿密な戦略を練るのがボス戦の常識だ。どうしてイチゴ達の忠告を聞かなかった。そのせいで、軍所属のプレイヤー二人が亡くなっただぞ」

「そんな事より、なぜ我等の邪魔をした!」

「……はぁ?」

 

 いきなり返された言葉の内容に、俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。俺だけが反応していて、他の皆は驚愕やら信じられないといった表情を浮かべて固まっていたから反応が無かったらしい。

 それにしても、この男……まさか俺は名も知らないプレイヤー二人の上司なのに、リーダーなのに、死を悼んでいないのか……?

 

「貴君が助けに来なくても、我等は勝てていた! 貴君がボスのLAを横取りした責任はどう取るつもりだ!」

「な……何それ……?!」

「テメェ……?!」

 

 コーバッツの物言いに、ユウキとクラインは勿論、イチゴ達も怒りを感じているらしい。それを抑えつつ、段々イライラしてきた俺が答える。

 

「二人も死者が出てて、しかも殆どが注意域のイエローになってたのに助けないなんて選択肢は、俺には無かった。それは不義……ギルドの掟にも、俺の信条にも反するから。目の前で死ぬかも知れない命を俺は放っておくなんて出来ないんだ」

「だが! LAを横取りしたのは事実だろう! それに最後に見せたスキルもそうだ! アレは一体なんだ!」

「……お前、人が死んだのにその態度なのかよ」

「最低だな、あんた」

 

 イチゴとナツの言葉にうろたえもせず、尚も熱くなるコーバッツ。

 

「そもそも、黒の剣士はPoHを殺した殺人快楽者、とやかく言われる筋合いは無い!」

 

 ***

 

 コーバッツの物言いにイライラしていたけど、目の前で放たれた言葉に、ボクの思考は一瞬真っ白になった。

 殺人快楽者……? キリトさんが…………?

 

「キリトさんは、好き好んで人を殺したりはしてない……」

 

 ボク自身でも驚くほど低い声に、他の皆も驚いた風でボクを見た。

 

「なに……?」

「キリトさんはリアルに戻ってからの事も考えてた。PoHはリアルに戻ってからでも、何かしらの手段で殺人を続けるだろうって。だから、誰にも手を汚させないよう、自分が汚れ役を負った。あの地獄を見てもないお前が、キリトさんの懊悩を知りもしないお前が、知った風な口を叩くなッ!!!」

「なッ……私を侮辱するか!」

「侮辱したのはそっちだッ!!!」

 

 剣を向けてきたコーバッツに怒鳴り返しつつ、鞘に収めていた黒剣【ルナティーク】を抜き払い、コーバッツの片手剣を破壊する。最近ようやく《武器破壊》が出来るようになったのだ。

 いきなり剣を叩き折られたコーバッツは一瞬呆けた表情をし、それもすぐに怒りのそれとなる。

 更に斬り合いに発展しかけたボクと新しく剣を取り出したコーバッツを止めたのは、キリトさんだった。ボクの黒剣を翡翠色の剣で押さえ込み、コーバッツの剣を漆黒色の剣で地面に切っ先をつけて押さえていた。

 

「そこまでだ二人とも。ユウキ、これ以上はギルド間の問題になる。コーバッツもだ。勝手にボスに挑んだ挙句、部隊員を二名死なせたんだ、それ相応の処罰はあるだろう」

 

 キリトさんの言葉にハッとして剣を収め、コーバッツは青い表情となった。処罰という部分で嫌な想像をしたのだろう。

 

「……イチゴ達は悪いが、コーバッツ達を頼む。俺とユウキはアクティベート後に、今回の話し合いをディアベル、シンカー、キバオウとしなくちゃならない」

「……わかった」

 

 イチゴ達は深く頷いた後、項垂れているコーバッツを連れて先に上がって行った。

 転移結晶で一層へ直接行くと言っていたが、それなら部屋を出れば良かったのでは……

 残ったのはボクとキリトさん、《風林火山》のクライン達のみ。

 

「……えー…………あー、キリト? 話は変わるんだけどよ……お前ぇが放ったスキルは何なんだありゃ? あんなの見た事も聞いたことも無ぇぞ。《二刀流》とも違うよな?」

「うん……ボクも使ったことはおろか、見た事が無い技だったよ」

「アレか……エクストラスキルだよ。《神魔剣》」

「またかよ?! 出現条件は……わかる訳無ェよな」

「わかる。俺のこの二刀だ」

 

 クラインは分かるわけもないと思っていたらしいが、キリトさんの答えに一瞬呆けた後、物凄く食い付いた。

 

「ンだとぉッ?! 一体どういう事だ?!」

 

 クラインが驚愕の声を上げたのは理由が分かっているからではなく、武器にスキルが付与されているという事実だと思う。

 今まで種々様々な武具を見てきたけど、ステータス強化は付与されててもスキル付与は無かったのだ。つまり、それだけ異質であるということ。

 まぁ、聞いた話だとキリトさんのその二刀は、転生特典と前々回で鍛え上げた武具の融合によって生まれた二刀らしいので、異質どころでは無い。

 

「《二刀流》を所持した上でこの二刀……【魔神剣エンリュミオン】と【神聖剣リンベルサー】を装備した時のみ、そのスキルを習得、使用可能となるらしい」

「つーことはだ、キリト専用って事か?」

「だな。《二刀流》はユウキも指輪の効果で習得してるけど、この二刀はバインド属性があって他人に渡せないし」

 

 バインド属性というのは、誰にも奪われないが譲渡も売却も不可の属性だ。ユニークスキルの道具版と思ってくれれば良いか。まぁ、バインド属性があってもレア度が低ければ何個でも手に入るものもある。

 当然キリトさんの二刀はレア度最高だから二つと無い。そもそもベースとなる二刀が無いから無理なのだけど。

 

「バインド付きじゃあ、ユウキが使えないのも確かだな。なんだかキリトばっか良い思いしてるよなぁ、ユニークスキルを二つも持てるなんて羨ましい限りだぜ」

「逆に言えば、一番死ぬ確率が高くなるんだけどな。死地に行かないといけないんだから」

 

 キリトさんの返しに、クラインは自身の無責任な発言に気付いたらしく謝罪していた。

 この後だが、予定通りにアクティベートを済ませて軍と問題を話し合った。結果、コーバッツは除隊、監獄行きとなった。コーバッツは軍が後手に回るのを、そしてPoHを殺したキリトさんが目立つのを良しとせず、軍が台頭できる理由を作ろうとでしゃばったらしい。キリトさんを見下していたわけだ。

 この会議の後、ボクとキリトさんはホームに帰って休息を取る。

 その時だった。アスナから助けを求められたのは。

 

 ***

 

 私の所にそのメールが来たのは、キリト君達がコーバッツの問題を片付けた後の夜だった。そのメールが届いた時、ちょうど寝ようと考えていた時だった。しかしそのメールを見て、またかと思うと同時、困ったとも思った。

 どう返事をすれば良いか悩む内容だったため、私は夜中にも拘らずキリト君とユウキに助けを求める事にした。

 

「えーとなになに……『再三しているが、戦力調整の為にアスナ君を我がギルド《血盟騎士団》の副団長として勧誘したい。アスナ君が認めないのならば、団長のキリト君に話を通してくれたまえ』……普通、俺の方に先に送るべきだろう……」

「だよねぇ……」

 

 二人はその感想を漏らした後、キリト君がヒースクリフにメールを返した。数秒後、そのメールの返信があった。ヒースクリフ団長、タイピングが異常に速いわね……

 

「お、返ってきたな。えっと……『それならば決闘でどうだろうか。最初期の頃から勧誘し続けているが、お互いの主張は平行線。ならば最強となった者が望みを叶える。私が勝てばアスナ君を引き抜き、君が勝てばこの話は今後一切しない。どうかな?』…………一応聞くけど、アスナはギルド転属したくないんだよな?」

「うん」

 

 幼馴染として最初期からこのギルドに居るし、キリト君達には恩もあれば義理もある。それにここには私が信頼する人達も多く居て、ずっと前から親しい子達も居る。今更ギルドを変えるだなんて事はしたくない。

 別に《血盟騎士団》が嫌という訳では無いが、やはり幼馴染と一緒に居る方が私としては過ごしやすいのだ。キリト君やユウキは当然として、イチゴ君やリズ、シリカちゃん、ナツ君達と一緒に居ると落ち着くのである。

 それに《血盟騎士団》には、しつこく勧誘してくる粘着質な人も居る。痩せ、細っている大剣使い、確か《クラディール》とか言う人だ、あの人から受ける視線は酷く警鐘を鳴らさせるものだった。

 まぁ、勧誘がしつこいという辺りは《血盟騎士団》団長のヒースクリフも同じなのだけど……それにしても、いきなりデュエルを申し込むほどだなんて一体どうしたのだろうかと思う。あの人、そこまで好戦的ではないと思っていたのだけど……

 

「……仕方ない。いずれはしなきゃいけなかったんだ、むしろ好都合だな……」

「……え…………キリトさん、まさか……?!」

「ああ、受けて立とう。とはいえ、アスナを渡すつもりなんてサラサラ無いけどな。他のギルドならともかく、《血盟騎士団》には絶対に」

 

 彼のその物言いに若干の違和感を覚えつつ、最終的には彼の宣言どおり、決闘をすることになった。時刻は明日の午後一時、第七十五層主街区【コリニア】闘技場。

 決闘のルールは次のようになった。

 

 

 

 ・デュエルモードは《初撃決着》モード。

 ・アイテムは全て使用禁止。装備の回復効果はあり。

 ・ヒースクリフが勝てばアスナは《血盟騎士団》入り。

 ・キリトが勝てばアスナはそのまま。以降《血盟騎士団》は《十六夜騎士団》メンバーを勧誘しない。

 ・ドローの場合は、勝負が着くまで再戦。何度でもすること。ただし、その際は各自回復などを万全に行っておくこと。

 ・武器の換装は無し。戦えなくなった時点で敗北とする。《武器破壊(アームブラスト)》は禁止とする。

 

 

 

 この五つが決められた事だ。ドローの場合の事も決めておくとは、キリト君も抜け目が無い。

 キリト君に迷惑を掛けることを謝罪すると、逆に良い機会だからと礼を言われた。何を考えているのかイマイチ分からないけど、後は彼次第。是非、勝って欲しい。

 私はこのギルドに居続けたいのだ。

 

 *

 

 

 

――――火吹きコーン二十コル、黒エールは十コルだよ!

 

 

 

――――寄ってらっしゃい! こちらは【黒の剣士】なりきりグッズだ! 二刀は勿論、黒コートや指貫手袋、何とウィッグまであるぞ! しかもそこそこ強いという実用も兼ね備えた代物だ! さぁ、買った買った!

 

 

 

――――こっちでは入場チケットを売ってるよ! 最前列は勿論、早く買わないと中にも入れなくなるよ! さぁさぁ、早く買って行きな!

 

 

 

「これは、一体……」

「まぁ、娯楽に餓えてるこの世界のプレイヤーじゃこうなるよねぇ……」

 

 私の呆然とした呟きに、ユウキが苦笑して応えた。後ろにいるリズやシリカ達も、流石の展開に付いて行けてない。いや、キリト君が決闘するって言うんだから、もうそこからかもしれない。

 キリト君は既に控え室の方に行ってるらしいので、彼と話す事は出来ない。集中してるだろうからメールも控えた方が良いと考えて、大人しく飲み物などを買って、闘技場の観客席に向かう。クラインさん達が席取りをしてくれていたから、最前列に座れた。

 

「クラインさんはどっちが勝つと思います?」

「オリャア勿論キリトだな! ヒースクリフの防御も異常だが、昨日のアイツや今までの戦いぶりからしてそれ以上だからなぁ。第一層の時より強くなってるのは当たり前だけどよ、今のキリトに勝てるヤツは、それこそGM以外にはいないと思うぜ」

「でしょうね。キリトさんに勝てる人なんてそうそう居る筈無いですよ、最年少でもSAO最強プレイヤー筆頭なんですから」

「確かに。ずっとボス戦で見てるけどさ、あいつだけは他の皆と動きが違うからね。まず負けないと思う」

「俺もだな。キリトの速さには正直、付いていける気がしねぇ」

「俺も」

 

 クライン、シリカ、リズベット、イチゴ君、ナツ君の順に予想と理由を述べていく。

 しかしユウキだけは違った。彼女は眉根を寄せ、険しい表情で首を横に振る。

 

「ボクは……負けはしないだろうけど、勝ちもしないと思う……」

「? どういうこと?」

「…………ゴメン……まだ、話せない……」

『?』

 

 ユウキの妙な態度に、私たちは全員首を傾げた。一体どうしたのだろう?

 そう思っていると、コロシアムにヒースクリフとキリト君が出てきた。すぐに実況が入る。

 

『さぁ出てきました! 選手の入場です! まずは東リングから! 紅の鎧に白のマント! 真紅の十字架を染め上げた十字剣に盾! 攻略組最強の盾! 《血盟騎士団》団長! 【聖騎士】ヒースクリフ!!!』

 

 その紹介を受け、ヒースクリフは周囲を見渡して右手を軽く振る。左手には十字剣を収めている十字盾を携えていた。

 

『続いて西リング! 上下黒のシャツにレザーパンツ! 黒の指貫手袋に鋲付きブーツ! ロングコートも黒と黒尽くめ! 背に吊るは最早代名詞となる二刀! 攻略組最年少にして最強の矛! 《二刀流》と《神魔剣》の使い手! 《十六夜騎士団》団長、【黒の剣士】キリト!!!』

 

 続く紹介。その途中で既に闘技場は大歓声に呑まれた。キリト君は苦笑しつつ、彼は左手を軽く振ってそれに応えた。

 そしてヒースクリフに向き直る。

 

『ここまで人が来るとは流石に予想してなかった。手が早いな、ヒースクリフ?』

 

 どうやら拡声器かなにか、そういったアイテムをキリト君は使っているらしい。実況と同じ声量が闘技場に響いた。返すヒースクリフも同じなようだ。

 コロシアム観客席の十六四方それぞれにホロウィンドウがあり、そこに二人の映像があるため表情の読み取りにも困らない。

 

『確かに情報屋に流しはしたが、私も驚いているよ。SAO最強を決める決闘に皆、興味津々のようだ』

 

 ちなみに、朝一番の新聞には『【黒の剣士】、二つ目のユニークスキル習得! 軍を壊滅させた悪魔を怒涛の百連撃でソロ討伐!』とあった。壊滅はともかく、連撃数は正しいらしいので、本当にチートだと思う。

 今朝から情報屋や剣士が見せてくれと言って訪ねてきたので、ユウキは彼と一緒にいる時間が短かったからか機嫌が悪い。彼はそれを見て苦笑していたけれど。

 

『……最強とかどうでもいい。俺のギルドメンバーのアスナは渡さない。彼女には《血盟騎士団》に入る意思は無い。だから全力で――――勝たせてもらう』

『私としては、彼女の戦闘力は目を見張るものがあるから是非とも迎え入れたい。故に全力で――――勝たせてもらおう』

『おーっと、戦う前から既に一触即発! それではそろそろ参りましょう! お二方、準備はよろしいですか? よろしければデュエル申請をヒースクリフ殿から!』

 

 その後、ヒースクリフがキリト君に申請をし、それを受けた直後、二人の頭上に大きなウィンドウが出た。デュエル申請が受諾された証だ。待

 ち時間が六十秒あったが、それが刻一刻と消えていく。二人は各々の得物を構え、戦場が張り詰めていく気配がした。

 少しずつ時間が減っていき――――ゼロとなった瞬間。キリト君が動いた。

 彼は左の剣で突きを放ち、それをヒースクリフは十字盾の中心で受け止める。《ジャストブロッキング》の効果によってノーダメージかつノックバックも受けなかったヒースクリフは、剣を止められた勢いで浮いているキリト君に十字剣を振るう。

 それを器用に右回転して黒剣で払いのけた彼は、地面に足が付いた直後から連撃を開始した。

 

『おぉ!!! キリト殿の十八番、二刀連撃が始まった! 鼠情報によりますと、彼の二刀連撃によって沈んだボスは数知れず! 全力で放たれた時は剣のブレすら見えないとの事! それを見せてくれるのか?!』

 

 実況の声で盛り上がりだした観客達。二人の高度な戦いぶりに圧倒されていたのだ。

 ヒースクリフが一瞬だけ盾を前に出して前進し、視界を遮られたキリト君に突きを放った。それを後ろに飛びながら防いで距離を取ったキリト君に、ヒースクリフは駆け寄った。

 盾で剣を見せないように近づき、瞬間、なんと盾でキリト君を殴ろうとした。

 

『ぬんっ!』

『はぁっ!』

 

 流石の反射神経でそれを避けたキリト君は、少し離れた直後、血色の閃光とジェットエンジンのような甲高い音を立てつつ、黒剣で突進突きを放った。アレは《ヴォーパル・ストライク》だろう。

 それを盾で滑らせながらヒースクリフはいなし、通り過ぎたキリト君は技の終了と共に振り向く。

 

『流石の反応速度だな』

『あんたこそ、流石に硬すぎる』

 

 ふっと不敵に笑むヒースクリフと、それに獰猛な笑みを返すキリト君。目つきや口調が普段の戦闘時とは違っている。

 

『堅牢防御、猪突猛攻! 相反する究極の極地点にいる二人のぶつかり合いはまだまだ先が知れません! どちらが勝つのでしょう! さあ、前座は終わり。いよいよ、全力と全力がぶつかり合う!』

 

 実況が終わってから一秒後、二人の姿が消え、そして中央に現れた。キリト君の黒剣を、ヒースフリフも十字剣で受け止めて止まっていた。

 直後、ビリビリと衝撃波が観客席まで飛んできた。それに観客は興奮し、更に歓声を上げる。

 

「おいおい……キリトもそうだが、ヒースクリフもあそこまで強かったのか」

「ダメージディーラー超特化のキリトなら分かるけど、タンク超特化のヒースクリフがあそこまで互角になれるなんて、かなりおかしくない?」

「それとも、キリトさんよりもプレイヤースキルが上ってことでしょうか……ですがそんな事、あり得るんですかね……」

 

 クライン、フィリア、シリカが困惑したように呟く。その間にも、二人は高速で刃を交えていた。

 しかし、一進一退を繰り返す攻防も、時間が経つにつれてキリト君が優勢になり始めた。段々加速してきて、ヒースクリフが掲げる十字盾に無数の斬撃が入りだしたのだ。

 攻防ともに盾が使えるとは言え、基本はタンクであるヒースクリフはカウンター主体。しかし既に彼は剣をも防御に回して二刀を防ぐしかないほど、防御一辺倒になっていた。それほどキリト君の猛攻は速く激しいものになっているのだ。

 

『ッ! セラァァァアアアアアアアッ!!!』

「ああっ?! ダメだよキリトさんッ?!」

『おおぉッ?! この試合始まって以来の大技! 【黒の剣士】の代名詞とも言える《二刀流》! 《スターバースト・ストリーム》です! 蒼の閃光を宿した二刀が、次々と【聖騎士】の十字盾に叩き込まれてゆく! 速度は当然重さも半端では無いらしく、受けるのもやっとの様子です!!!』

 

 ユウキが若干の悲鳴を上げたが、どうしたのだろうか。確かに代名詞だから先読みされるかもしれないが、使ってはダメとは言い切れない筈。

 現にキリト君は十五撃目で盾を弾き、十六撃目の左直突きを入れようと――――

 

 

 

 ――――した瞬間、信じられない事が起こった。

 

 

 

 弾かれた直後の筈の十字盾が、一瞬で元の防御姿勢として構えられ、刺突を防いだのだ。

 致命的な隙を出したキリト君に、ヒースクリフは長剣を振りかぶる。

 

『う、ぉお……ッ!』

『何……?!』

 

 しかし、十字剣はキリト君の黒剣で払いのけられた。青い光を宿した回転斬り《ホリゾンタル》を放ったのである。ヒースクリフが驚いた隙に、すぐさまキリト君は距離を取った。

 モニターに表示されている二人の顔は対照的で、笑みを浮かべるキリト君と、驚愕の表情のヒースクリフが映し出されていた。

 

『……まさか、今のにすら反応してみせるとは…………』

『伊達に【ビーター】だとか最強だとか言われてないんだ。それに、剣の一番の弟子であり、最愛の妻であるユウキも、娘達も、団員達も見に来てる。無様な戦いは出来ないさ』

『愛故に為せる業……という事かね?』

『かもな……さっきのあんたの超反応には驚いたが、反応できなくもない……――――行くぞッ!!!』

 

 再び彼は突進して二刀を振り続ける。それを限界まで防ぎ切るヒースクリフ。意地と意地の鬩ぎ合いだった。

 その後は同じ展開が、とはいっても超高速で繰り広げられる剣劇の応酬が為されたので、試合は最高潮の盛り上がりを見せて終わった。

 勝利者はキリト。ヒースクリフは残りHPが五割を割る手前で粘り続け、キリト君は決定打を与えられずに九割強を残し、時間切れで勝ったのだ。五割を割る直前からし始めた超反応を、どうしても破れなかったのだ。

 それでも惜しい場面は幾つもあった。キリト君は途中から、とんでもない行動をし始めたのだ。

 それは、左右の片手剣で、交互にソードスキルを叩き込む、である。《スターバースト・ストリーム》を防がれた直後にしたあの回避も、それだったのだ。

 試合中の彼の言葉では、『最上位システム外スキル《スキルコネクト》』との事。ユウキでも出来ない、彼の奥の手の一つらしい。ユウキはどうしてか、それを見て心底といった風に頭を抱えていた。

 いきなり放たれ、しかも繋げられるスキルは片手剣の何か分からない。そんな緊張感は闘技場にも伝わり、それからは歓声が上がる事も実況が入る事も無かった。《神魔剣》スキルを最後まで使わなかったのは、観客の唯一の不満だろう。

 システム外スキルを構築し、システムの常識の埒外を行くキリト君。

 あくまでシステムに則って、自らの能力を頼りにするヒースクリフ。

 ここまで面白いほど対極の存在は無いだろうと思う。まるで、相対するのが決まっているかのような組み合わせだと、私は《十六夜騎士団》に居続けられる喜びを噛み締めながら思うのだった。

 




 はい、如何でしたでしょうか?

 この平行SAOでは第五十層で既に《二刀流》を解禁していますので、第七十四層ではずっと前から書かれてはいても使われていなかったスキル《神魔剣》の一つを出しました。

 名前から分かる通り、《神聖剣》とは対にしています。

 《神聖剣》は原作や本作の設定、キャラ視点からも分かる通り、カウンターを主体とするタンクの特性を大きく上げる防御力に長けたスキルです。

 攻撃力も全てのプレイヤーが使える《片手剣》や《細剣》などのコモンスキル、条件を満たすと出現するエクストラスキルの《刀》や《大剣》よりあるでしょうが、防御面寄りに特化していると私は考えています。《ジャストブロッキング》を出したのはそれを印象付ける為です。

 なので、対にするには攻撃に特化したスキルだろうと思いました。

 しかし《二刀流》が既に攻撃に特化していますので、それだと被ってしまいます。

 なのでこの《神魔剣》は、《二刀流》を前提とした派生のユニークスキル、という位置付けにし、更に攻撃に特化させました。つまり《ザ・グリームアイズ》の攻撃を防いだ《二刀流》防御技《クロス・ブロック》すら無く、更にスキルの一つ一つの連撃数が多大なものになっているという訳です。それは百連撃からも分かるでしょう。

 スキル発動中は完全無防備、これは《二刀流》も同じです。なのでそれを更に顕著にし、攻撃に特化させたのが《神魔剣》となりました。

 私のイメージとして《神》は邪悪な魔の存在にもなるし、神聖というように聖にも傾く存在です。

 という訳で、聖なる存在と魔の存在の対を表す為に《神聖剣》の対として《神魔剣》という名前にしました。当初は《魔神剣》だったのですが、それだと装備の名前と被るし対の名前として合わないので、こうなっています。

 敵である魔王が《聖》とはこれ如何にと思っていたので、本当なら逆も考えたんですがね、《聖騎士》というイメージがありましたのでそのままです。

 人々を救う勇者の役割を持つプレイヤーのスキルが《魔》とはこれ如何に(笑)

 ちなみに《エターナル》とは永遠の、悠久の、《セッション》というのは交わる、組み合わさるという意味を持たせています。二刀の交わりと二人の交わりを掛けていますが、センスはありませんね。

 ちなみに名前の元ネタは《キングダムハーツ2》の主人公と親友二人の協力技からです。アビリティ欄を見ると《エターナル》が付いていますが、コマンドでは《セッション》だけなんですね。


 ではそろそろ、次回予告です。


 スリークォーターを前に図らずしもデュエルによって士気が向上した攻略組。第百層攻略までの最後の難関となる第七十五層攻略に、一同は挑む。

 調査隊十人の犠牲から撤退不可能である事が周知の事実となった為、考え得るだけの最大戦力で向かう事となった。


 次話。第十章 対決 《ザ・スカルリーパー》


 次回は本日午後六時に投稿予定です。六千字程度なので今話の半分程度です。

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