ソードアート・オンライン ~闇と光の交叉~ 作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス
――――これは、絶望への序曲である――――
どうも、おはこんばんにちわ、黒ヶ谷・ユーリ・メリディエスです。
えー、珍しく挨拶より先に茅場晶彦氏の名言(迷言?)を真似て、こんな事を書いてみましたが。
この一文が逆行編の全てを物語っています。
ちなみに今話から全体的に暗いです。どれくらいかと言えば、一気に明るい雰囲気なんて消え去って息をしないくらい、記憶に留まらないくらい、そもそも幸せって何だろうと考えてしまうくらい暗くなっていきます。
というかキリトが思い切り引き摺ります。私がそうしてるんですが、よくこの子自殺しないなと思うくらい精神的に病んでます。
しかし今話の最初はまだ暗くないです、嵐の前の静けさとでも思って下さい。ぶっちゃけ雑です。
ではどうぞ。
第九章 ~月命日~
あれから数ヶ月が経った。今日は11月6日。
俺は今、七十四層迷宮区十九階を攻略中。パーティーメンバーとして、これでもかというほどの強さのプレイヤーが揃っている。
俺、ユウキ、ヒースクリフ、アスナ、ディアベル、キバオウ、リーファの七人だ。
何故このパーティーなのかと言うと、それは数時間前に遡る。
俺とユウキが七十四層迷宮区攻略に出向こうとすると、どういう偶然かアスナ達とディアベル達が迷宮区前で揃っていたのだ。その上ヒースクリフが重い腰を上げての出陣、一体何事かと思った。話を聞けば、俺とユウキを待っていたらしい。
どういうことか再び聞くと、ここ最近のモンスターはアルゴリズムのパターンに変化が見られる。そんな時に単独行動が多い俺をユウキだけに任せておけない、と意見が俺の与り知らぬとこで固まったらしい。
ヒースクリフだけは、単純に俺と一緒に戦いたかっただけらしいが。
そういうちょっと軽いというか微妙な理由で、俺は皆に見張られながらの迷宮区探索に出た。
「というわけで、俺に自由はない」
「……誰に解説してるの?」
「…………いや、気にしないでくれ」
ユウキの呆れが多分にある視線に耐えられず、顔を背けて早足に進む。それを追いかけてくる仲間たち。
正直言って、ユウキとのタッグやソロが長く定着していた俺にとって、迷宮区攻略を多人数パーティーでするというのは苦痛でしかない。俺に向けられる感情が良いものであればあるほど、俺は苦しくなる。
俺はそもそも、人と触れ合う資格は無いのだ。
ならユウキとどうして前回も今回も《師弟》や結婚して《夫婦》になったという話になるのだが、結婚はともかく《師弟》の方は俺もよく分かっていない。ユウキによれば当然の事らしいのだが、俺にはよく分からないな……
とにかく、俺は一刻も早くこの状況から逃げ出す為、意識を極限まで高めて進む。後ろからの声は意識的に外し、しかし周囲への警戒は解かない。そしてキャッチした。
――――ぁぁぁああああああ……!
「ッ!!!」
「キリト君? どうかしたのかね――――キリト君?!」
「ちょっと?! キリトさん、待ってよ!」
後ろでヒースクリフとユウキの驚きの声が聞こえるが、それに構っていられない。俺の記憶・推測が正しいならば、この先では既に誰かがボスと戦っているのだから。
俺は敏捷力補正全開で疾駆、アバター強化が施されている俺だ、一気に皆を突き放して走りぬける。一分と経たない内にボス部屋へと到着した。
ボス部屋で戦っているのは複数人。
全員が黒色の鎧とバイザーを着けた装いのプレイヤー。軍だ。
「くっ! おい! とっとと逃げろ!」
「ふざけるな! ここまで来て、今更撤退なぞ出来ん! 皆の者、突撃――――っ!」
隊列が乱れたまま突進する軍。そして、それをその乱れを逃すボスではない。隙だらけの軍に、その大剣を叩きつけようとしている。
「危ない! 伏せろ!」
七十四層フロアボス《ザ・グリームアイズ》の大剣を二刀交叉で防ぐ。
その間に前衛でHPが危険な軍のプレイヤーを退かせて部屋から出すために、俺は二刀を繰り出し始める。
ソードスキルは入れないが攻防変幻自在なため、ボス戦でも十二分に通用する。
「はぁぁぁあああああああ!!!」
大剣をパリィして隙が出来た時を狙い、いっその事倒してしまおうと決断。パリィでボスの体勢を崩した一瞬を使って、一旦距離を取る。
そしてメニューを呼び出して《クイックチェンジ》を行う。前回アインクラッド最終戦時のチート装備を身に纏い、再び突進。
俺に向かって突き出される大剣の横っ腹を黒剣で弾き、隙を見せたボスのわき腹目掛けてソードスキルを放つ。
左半身を前にして銀翠の剣を上向き、右半身は後ろにして黒剣は肩に担ぐように前に構えて下を向ける。スターバースト・ストリーム十六連撃。
最後の突きをキャンセル、再びほぼ同じ構えを取る。ジ・イクリプス二十七連撃。
突きをキャンセルし、二刀を右側に構える。シャイン・サーキュラー十五連撃。
両の剣を後ろに構えて突進する。ルミナス・アンド・ダークネス百連撃。
青白い流星乱舞、太陽コロナの煌き、青黒い光を放ち、最後に黒と白の輝きを振るう。
計百五十八連撃の多重連撃スキルを《剣技連携》によって組み合わせていき、怒涛の勢いでボスのHPを削った。
しかし、HPが削れているのは自分も同じ、攻撃している間にもかなりの攻撃を受けている。
だが、俺は止まらない。否、止まれない――――!
「――――ォォォオオオオオオオオッ!!!!!」
咆哮と共に、最後の十字交叉斬りを放つ。
直後、ボスはその巨体を蒼いポリゴンに変え、部屋から消滅した。ボスだった蒼い欠片は空中を舞った後、俺の元へ集まって包み込む。
今回のアインクラッドで、どうしてかポリゴン片を俺は吸収してしまっている。前回は無かった事態だから俺にも原因が分からない。
これは一体どういう……
「――――ドウイウコトナノカナ? キリトサン?」
「ひぐっ?!」
背後から聞こえた冷たい声。戦慄しながら肩越しに振り返ると――――阿修羅がいた。
にっこり微笑み、黒剣と銀剣を構えるユウキ。穏やかに微笑んでいるが、騙されてはいけない。今現在の彼女の気迫はボス以上、最高に危険な状態だ――――!
「えっとだな……!」
俺も同じように二刀を構えて相対するも、ジリジリと距離を詰められる。
ユウキはにっこり微笑んだまま俺ににじり寄ってくる。俺にはさながら、冥王か死神にしか見えない。俺の方が若干背が低いので近いと見下ろすされる形になるから、尚更怖い……
「ボクヲ置イテマタ一人デ突ッ走ッテ、キツイオ仕置キガマタ欲シイノカナ?」
「ちょっと待て! これはアレだ! あいつらを助ける為だ!」
俺は慌てて黒剣を、離れて座りこんでいる軍に向ける。
「アイツラ…………え? 軍? どうして?」
ほっ。ユウキが元の、いつものキョトンとした顔に戻った。
他のメンバーの顔も険しいが、それも軍を見て固まる。そりゃそうだ。ディアベルとキバオウがマスターと副を務めるギルドメンバーが、なぜかボスと戦ってたのだから。
さて、コーバッツはこの事をどう説明するのかな……と考えていると、俺は蒼い光に包まれた。
光が拡散すると、深い緑の多い樹海に立っていた。見覚えのある樹海な上、覚えのある展開だ。たしか前回の七十四層ボス撃破後も、樹海に飛ばされた気がする。
俺が振り返って後ろを見ると、丁度青いポンチョを来たオレンジプレイヤーが走ってきていた。少し横にズレて避ける。
向こうも俺に気付いたようだが勢い余って足を木の幹に引っ掛ける。しかし俺がそれを支えた為に、前回のように転びはしなかった。外れたフードが外れ、顔が顕わになる。
金髪に青の瞳を持つ少女、少しだけ釣り目気味の目つきが俺の顔を捉えた。そして驚愕に見開かれる。
「なっ……あ、あんたは?!」
「大丈夫か? 一体何を焦って――――」
俺の言葉はそこで遮られた。前回同様、上方から落ちてきたのだ、アレが。
四つの赤い鎌、四つの目と割れた下顎。長い骨の胴に百足のような脚。ここで戦う最初のモンスター《ホロウ・デッドニング・リーパー》だ。レベルは93。
前回は四六時中迷宮区にいたからレベルが異常な数値になっていたが、今回はユウキと一緒に平穏な時間を過ごしているので、前回ほど異常ではない。それでも既に150ある俺にとって、このボスは敵ではない。
しかし、この少女――フィリアはそうはいかないだろう。前回は一年半くらい経っていて、フィリアのレベルは90を少し上回っていた筈。しかし、今はギリギリ一年経っていない。現時点では彼女が参戦しても戦えないだろう。
「おい、お前戦えるか? 具体的にはレベルが90以上あるかって事だが」
「ギリギリある……わたしはフィリア、よろしく」
そのまま二人で特攻。前回の経験がある俺にとって全く敵ではなく、ものの二分で倒しきった。
俺は少し掠れた記憶を頼りに、フィリアと共に樹海を歩く。途中、前回と同じようにホロウ・ミッションや適正テストが実施されるも、内容は既に知っている俺はすぐに済ませた。
自己紹介や情報交換を行いつつ先に進み、転移石に辿りつく。《管理区》に転移した。これでアインクラッドに帰れる。
「さて……ここから俺は帰るが、フィリアはどうする?」
「…………わたしはここに残るよ」
「そうか…………俺もちょくちょくここに来るよ。フレンド登録しとこう、メール飛ばせるし」
俺の言葉に嬉しそうに頷きながらフレンドを交わす。そして俺はホロウ・エリアからアインクラッド二十二層へと帰還した。
家へ帰った俺を待ち受けていたのは、仁王立ちで腕を組んだユウキだった。その表情は阿修羅と言っても良いかもしれない。
「やぁキリトさん。お帰り」
「お、おう……ただいま、ユウキ」
にっこり微笑んで出迎える彼女に少し怯えつつ、俺もそれに応える。
あの後に何があったかを話しつつ、夕食を取ることになった。そこでフィリアの名前が出ると、懐かしそうな顔をした。
「あぁ、フィリアと再会したんだ」
「ああ。前回同様の出会い方だったよ。違いと言えば、襲われなかったことくらいか?」
俺はユウキに、今回のフィリアの話をしながら、夕食の時間を過ごしたのだった。
*
夕食を摂り、心配をかけた面々に無事に帰れたという旨をメールで伝える。
ユウキはそのまま寝たが、俺はしばらく起きていた。
なぜなら、明日は俺にとって大切な日なのだ。アイツらの月命日なのだから。
ユウキが完全に熟睡したのを確認し、俺はそっと家を出た。転移門を通って第一層に転移。そのまま静かに、黒鉄宮の《生命の碑》へ向かう。
昔、今から約三年前に二人、そして数ヶ月前に四人亡くした。
一回目と二回目のアインクラッドで、同じ人を、しかも、二回目の方がより酷かった。
きっと、いや、間違いなく、アイツらは俺を憎んでいる事だろう。少なくとも一人は確実だ。アイツら幼馴染のメンバーで、ギルドを作っていたリーダーは。
俺は前回も今回も、アイツらが死んだ月命日には必ず《生命の碑》まで足を運び、花を添えていた。ただの自己満足に過ぎない上、それがアイツらに届いているかすら定かではない。ただそれをしないと、俺が俺でいられなかった。俺が関わったばっかりに、アイツらは死んだのだ。
前回のアインクラッドではケイタとテツオが死んだ。俺を狙ったPKプレイヤーに人質にされ、しかし俺に迷惑は掛けられないと言って自殺し、サチ達を俺に託した。
結局は残った三人を鍛え上げて攻略組まで押し上げたわけだが、果たしてそれが本当に正しかったのかは、今でも答えは出せない。
しかし、コレだけは言える。少なくとも、今回よりはマシな結果・経過だと。
今回は三人が死亡し、それに絶望したケイタは外周部から飛び降り自殺をした。俺に、侮蔑と憎悪の呪詛を残して。
ケイタは何を思いながら死んだだろう。いや、ケイタはまだ推し量れる。問題は残りの三人だ。最期の瞬間、一体何を思っただろうか。仲間の心配、悔しさ、後悔、それとも俺への百通りの呪詛か…………どれもそうだろうと思えてしまう。
それを知ろうとしても、その術は無い。死人に口なし、彼らは既に死んでいるのだ。それを知ることは出来はしない。
俺は月命日毎に頭に浮かぶ同じ結論を出しながら、生命の碑に辿りついた。
「テツオ、ダッカー、ササマル…………」
しばらく黙祷を捧げ、生命の碑の前に三つの花束を置く。そして俺は再び歩き出す。向かう場所は外周部テラス――ケイタが自殺で飛び降りた場所だ。
一旦転移門広場まで戻り、そこから南に向けて歩く。始まりの街は地図では南に位置する街で、外周部と隣接した立地なのだ。だからそこから自殺する者達が相次ぐ。
一つの花束を持って外周部照らすへと向かう途中、多くの軍のメンバーを見かけた。今現在、軍の一部のプレイヤーが《徴税》という体の良いカツアゲや《夜間補導》など、様々な規制を作っているらしい。当然ディアベルやキバオウ、そして縁の下の力持ち的存在のシンカーの命令ではない。一部の過激派のせいだ。
だからこの時間に歩いている俺は補導される対象なのだが、この日――――毎月七日だけ、俺は捕まらない。少なくとも、花束を持っていれば。
俺が《月夜の黒猫団》壊滅に関わり、しかし俺のせいではない事は既に周知の事実。そのあたりは攻略組メンバーやギルドがきつく言っておいたらしい、誰もそのことで俺を責めなくなった。そしてだからこそ、この日に限っては俺を邪魔しない。
テラスへ向けて歩く間、どうしても思い出してしまう。ケイタ、そしてリンド。二人は偶然だろうが、同じ言葉を俺に言っている。
『薄汚いビーターのお前なんかに、僕達に関わる資格なんて無かったんだ』
『薄汚いビーターのお前なんかに、俺達と関わる資格なんて無いんだよ!』
「っ…………!!!」
蘇る記憶。二人の言葉と顔が重なってフラッシュバックした。俺に向けて憎悪の顔を向ける二人は、よく似ていた。表情、目つき、瞳に宿す光までもが全く同じ。
俺は歯をキツく食いしばり、空いている右手をキツく握った。俺にとって永遠に忘れてはならない出来事であり、永遠に俺を縛る鎖でもある。
人殺し、ビーター、愚か者…………多くの呼び名があったが、形ある物より、俺の記憶にだけあるこれらの方が、余程俺には堪えるものだ。
「っ……俺は……何時まで経っても、変わらないな…………」
テラスを冷たい風が吹きぬけ、長い黒髪と黒コートをはためかせた。
*
それから数十分、その場所に居続けていると、足音が聞こえてきた。
俺が入り口に目を向けると、そこにいたのは赤いローブのような服を着た、『賢者』のような姿のヒースクリフだった。
「ヒースクリフ……」
「やはりここだったか、探したよ。ユウキ君が大泣きしてメールしてくるし、ギルドに押しかけてくるから、私も大慌てだ」
「メールは一応しておいたんだがなー…………」
ヒースクリフの苦情を、俺は苦笑で流す。そのまま二人そろってテラスに並び、冬の空と満月を忠実に再現した夜空に見とれる。
しばらくして、ヒースクリフが俺に顔を向けて話しかけてきた。
「……キリト君はやはり、数ヶ月前の彼らの事が……?」
それは当然の疑問であり、その応えは必然な帰結だろう。ここに俺が来る理由は、それしかないのだから。
「ああ……月命日になると、どうしても夢に出る。だから七日だけ、俺は寝ないんだ。夢にうなされて、ユウキに心配かけてしまうから…………」
そうか……と言って、ヒースクリフは黙った。再びの静寂。
「…………そろそろ帰ろうか。ゲームの中とはいえ、流石に精神的に悪いだろう」
「……そうだな」
***
深夜とも言える時間に、ユウキ君からメールが届き、本人も大泣きでやって来た。彼が行方不明だと言う。
それに心当たりがあった私は、単独で彼を探しに出かけた。とはいえ探すと言っても、今日は既に七日。つまり彼にとっての儀式の日だ。そしてこの日に彼が取る行動も決まっていた。
だから私は第一層の南にあるテラスへ向かった。予想通り、彼はそこにいた。
しばらく彼と共に夜空を眺めた。彼が何を思っているのか、それはわからない。
私は夢幻を想起した。数多の星はこの世界のプレイヤーであり、月はそれを照らし、希望を与える象徴。すなわち、キリト君とユウキ君二人だけのギルド《十六夜騎士団》。
彼ら二人は、最初期の頃からかなり奇特な行動が多かった。
それは、ともすれば、この世界自体を知っていたのでは。そう考えてしまうほどのものだった。それが本当か、または幻と同じ空想の産物なのか。それはまだ分からない。だから夢幻。
そのまま一時間ほど彼と夜空を見続けた後、さすがに冷え込んできたので、私は帰宅を提案した。彼もそれに乗った。
「……キリト君、どうしたのかね?」
隣を歩く少年が、さっきから黙り込んで足元を見て歩いているのを見て、私は少し心配になった。リアルでも彼を知っていたが、こんな状態の彼はあまり見ないのだ。リアルでは皆無だったと言える。
「…………もし、もしもだ。俺が…………」
そこで一旦言葉を止め、何かを言おうとし、しかし迷っている。
結局諦めたのか、「やっぱり、なんでもない」と言って再び黙った。
彼が何を言おうとしていたのか、それは私には分からないが、何か悪い予感がするものだった。
得体の知れない何か、それを信じるようになったのは何時からだったか…………
私はそんな事を考えながら、再び就寝するべくギルドに戻った。
はい、如何でしたでしょうか?
まず最初ら辺でユウキが壊れましたね、片言って怖いですよね(笑)
ハイライトが消えた瞳で笑みを浮かべながら笑っている子は大抵ヤンデレか精神的に追い詰められているかのどちらかです。
ちなみにユウキが前者に近く、キリトは完全後者ですね。キリトの場合は~淡い願い~を参照して下されば分かる描写をしています。ユウキは時折状況描写で地の文を出しています、そこを読めば分かると思います。
そして今回、フィリアに前回とほぼ同様のタイミングで邂逅しましたが、彼女には記憶ありません。更に今まで会った事が無い設定です。
そして分かったと思いますが、戦闘描写はおろか《ホロウ》どうこうの部分も完全に省いています。理由は前回と同じだから。
同じ事を書いても面白くないでしょう? 私も書く気力がありません。
という訳なので、《ホロウ・エリア》イベント&ストーリーは完全省略です。気付けばフィリアは《アインクラッド》に戻って来れている状態、すなわち惚れている状態という事になります。
エリア攻略はキリト、ユウキ、フィリアの三人で行ったものと考えて下さい。SAO最強タッグと一緒に、何気にソロ戦闘力とサバイバビリティがあるフィリアが組むのです、割と敵なしだと思います。
ホロウPoH? オリジナルと互角以上に戦えるキリトに加えてユウキが居ますから実力的に敵ではありません。
そもそもキリトとユウキの敵って、言われれば気付くと思いますが、モンスターなんかではありません。レベルが違いすぎますしね。
人にとって最大の敵とは、人の心であると、私は考えております。人の悪意って際限無い上に増大します、更には他人の心なんて読み取れませんからね。前回SAOでのデスゲーム宣言後のキリトがクライン達に対して言っています。
そして、既に話しているキリトとユウキですが、どう考えても普通の家庭環境ではありません、つまり普通の思考回路と精神構造でもありません。
ユウキなんて前世が生まれながらにして死を定められていた上に虐められ、更には家族から先立たれています。キリトは後に語られる出来事でトラウマがありますから……実は案外ユウキの方がトラウマは酷いのですが。
しかしキリトにはユウキに無い絶大なトラウマがあります。それが黒猫団半壊の原因という事。月命日というのはこれの事です。最早《アインクラッド》の暗黙の了解、タブーとすら化しています。
回想のリンドの台詞は~黒と聖竜の衝突~の最後、ケイタのは飛び降りる直前の台詞ですね。実はリンドの言動、今までこれを出すためだけにヘイトを上げさせてました。いやぁ、理不尽な台詞を書くのって疲れます。
さて……もうお気付きかと思いますが、この逆行編、原作キリトの行動を改悪しております。精神状態も更に悪化させております。
これはアンチではありませんが、原作キリトの場合、第二巻では何故かサチの事しか頭に無いんですよね、第一巻ではケイタについて相当参っている様子でしたが。蘇生させる相手はサチで迷いが無いようでした。相当思い入れがあったのでしょうね。同衾してればそりゃそうか。
生きていたらアスナより先にゴールインとかも……《プログレッシブ》無しで考えればあり得た未来の一つです。同衾してますし、お互いに依存し合ってましたからね。
いや、本作キリトとユウキより全然マシですが。
で、今作ではサチは生きています。そもそもキリト自身深く関わり過ぎないよう距離を調節していますので、サチが惹かれていてもキリトは一切惹かれてません、美少女奥さんを護る事に執着していますのでそんな余裕すら無いと言った方が性格です。
そして先に死んだ三人は自業自得と言えます。キリトは理解こそしていますが結構気にしてますね。描写していませんがユウキも自業自得と判断しています。なので三人についてではなく、ケイタとキリトの間にあった事が会議で問題視されたんですね。ユウキもそこにだけ焦点を当てていました。
つまり、キリトが最も気にしているのはケイタ一人です……後は分かりますね?
私なりの改悪、第一最悪パートです。ぶっちゃけ雑ですがご容赦頂きたい。
では次回予告です。
ずっと忘れていた、興味すら無かった、その効果はあり得ないと断じていた蘇生アイテムの存在。キリトが知る知識で、それは過去の者を蘇らせる力なんて無い事を知っていたが故に、彼はそれを求めず、記憶からも消し去っていた。
だがその話を再びこの世界で耳にした時、脳裏には自らを呪って雲海へと姿を消した青年の姿がよぎる。
前回はそうだった。だが今回はどうなのだろう。
ほんの少しずつ違う世界、ほんの少しずつシステムに差異があるこの世界ならば、あるいは。
希望を持ってしまった黒は、全てを捨てる覚悟でそれの入手に全力を傾ける。全てはただ贖罪の為に。
黒の傍らには、誰も居ない。
次話。逆行編SAO最終章 第十章 ~絶望の終焉~
IFの世界としてあり得たと考えられる未来です。