ソードアート・オンライン ~闇と光の交叉~   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 初めての投稿で連続投稿を敢行する莫迦な黒ヶ谷・ユーリ・メリディエスです。色々と足りないのでしてしまうのです、人に読んで貰いたくてしてしまうのです。

 後悔はしていない、反省もしていない。

 今話はプロローグより短いです。何せあらすじなので。全て転生主人公こと和人視点です。

 では《SAO篇》第一章どうぞ。


An Incanating Radius ~創世の調べ~
第一章 ~《桐ヶ谷和人》としての第二の人生~


                  第一章 

          ~《桐ヶ谷和人》としての第二の人生~

 

 龍神に見送られて俺の意識が薄まった次の瞬間、俺は赤子として新たな生を授かった。母親に与えられた名前は《桐ヶ谷和人》。予想通り、あの小説の主人公に転生したのだ。

 俺は赤子だった為、動いたり喋ったりはまともに出来なかった。しかし物事を理解する能力はそのままだ。俺は端から見れば、とても聞き分けの良い育てやすい子供だっただろう。

 そんな俺が二歳くらいになった時、夜の山を車で移動中に車のブレーキが壊れて崖下に落ちてしまった。それで運転していた父親は即死、母親も少しずつ体から血が流れて目の前で死んでいく。

 この状況、原作で両親が死ぬ状況だ。俺はまだ二歳のためまともに喋れないし、叫んだとしてもここは真夜中の山奥。しかも運の悪い事に雨まで降っている。だんだん目が虚ろになっていく母親を見て、俺は気が狂いそうだった。人の死を、俺の目の前で死んでいくのを見るのはもう沢山だ。しかし、所詮二歳児の体の俺には何も出来なかった。

 結局、俺達が見つけられたのは午前八時。事故が起きたのが午後十一時、九時間近くも雨に晒されていたのだ。出血多量で母親も死に、俺は天涯孤独の身――にはならなかたった。

 俺の母親――――《桐ヶ谷蒼(あおい)》の妹、《桐ヶ谷翠》の夫妻が俺を引き取ったのだ。そしてその夫妻には、何故か原作と違って俺の一つ上の一人娘《桐ヶ谷直葉》がいた。

 原作では一つ下なのだが、なぜか姉になっていた。多分龍神が何かしたんだろうが大した違いではないし、俺はあまり気にしていない。そもそも精神年齢で言ったら、俺はこの時点で十六歳だからな。妹に変わりは無い、精神的に。

 俺はそのまま平穏無事に成長した。ただし、俺は前世の記憶がある上、前世では弱冠十四歳で高度な研究すらしていた男だ。それを活かさない手はなく、今世でも同じ事をするつもりでいた。

 小学生の頃からテストは満点、スポーツは身体能力を上昇してもらっている上、そもそも俺はライフルすら見切って内乱を一人で停めた男。子供のスポーツでは簡単に頭角を表す。

 ちなみに、俺の容姿は頼んだとおりにGGOの容姿だ。そのせいで俺を女と勘違いする者も多いが、それは丁寧に俺が男だと教えている。懇切丁寧に、な……

 俺がこの容姿を選んだのも実はわけ合ってのこと。要は目立つ為にこの容姿にしたのだ。前世は銀の長髪だった俺、いきなり短い黒髪になっても落ち着かない。

 だったらいっその事、リアルも長髪にすればいいのだ。まだ子供でも長髪の少年、というのは目立つ。そしてこれは『五大企業』を立ち上げる為にも必要な事なのだ。なぜなら俺はアメリカに留学するつもりなのだから。

 なぜか? それは茅場晶彦と関わりを持つ為に必要な手段。アメリカに行って企業を立ち上げ、天才と呼ばれている茅場晶彦と並ぶ。そのためにはアメリカで色々する必要があるのだ。

 だから目が止まりやすいようにわざとこの姿にしたのだ。テスト全てを満点を取るのも、アメリカへ留学するための布石の一つ。余程の秀才でなければ飛び級や留学など夢のまた夢。

 だから俺は保育所の頃から猛勉強した。特に政治経済と情報処理、それと数学に英語を。前二つは前世と違う可能性があるからだ。いざやろう、と言う時になって慌てるのでは色々と計画が台無しになる。

 後ろ二つは単純に必要だと思ったからだ。前世でも世界有数の難関校をたった一年で飛び級をしまくって主席で卒業してはいた。日本に戻ると義務教育があるため学校に行っていたのはそのためだ。

 ちなみに、保育所に通うような子供がそんな勉強をするなんて言うのは、かなり異様に取られて敬遠される。その為俺には友人といえる者は一人もいなかった。いつも直葉と一緒にいて遊んでいた。いつもはスグ姉(ねぇ)と呼んでいるが。だから俺が途轍もない『秀才』、いや『天才』という風に言われても、直葉は俺を嫌わず、むしろ誇らしそうにしてくれていた。

 そして俺が小学校三年の時、留学の推薦が来た。とある高名なアメリカの教授から名指しがあったらしい。

 それを待っていた俺は、一も二も無く当然のように受けようとした。

 しかし、当時小学四年生だった直葉は、俺が留学し、短くても三年はいなくなるだろう事を聞いた途端学校で大泣きし、『行かないで!』と俺を引き止めた。

 俺が行かなければ、SAOの死者は確実に増える。情報が有るのと無いとでは歴然とした差が出る。俺は行かなければならなかったし、行くつもりだった。

 しかし、直葉の大泣きする姿は、前世で最期の時に見た和葉の慟哭を想起させた。俺は酷く迷い、そのまま一週間寝込んでしまった。

 幸い、留学の話はまだ一ヶ月先の事で返事は二週間後の金曜までにすれば良かった為、一週間寝込んだ後も留学の選択はあった。

 両親(育ての、だが)は俺の意思を尊重したいが直葉の意思も無視したくない様子。直葉は俺の留学に断固反対。本当に困った、詰みと言っても良い。

 それを打開したのがアメリカの教授本人だった。俺が倒れ、その理由を小学校の校長から聞いて、直葉を説得する為に駆けつけたらしい。その教授は流暢な日本語で直葉の説得を試みた。

 

「直葉君。私はね、キミの弟さんを取ろうと言うのでは無いのだ。ただ、彼の行動の、未来の手助けをしようと思っているのだ。少なくとも、私は本気でそう思っている」

「手助け……?」

「そう。彼が留学に賛成の意を示した理由を、直葉君は知っているかい?」

「いいえ……知りません」

「そうか、だったら仕方が無いかもしれないね。キミの弟くんはね、家族を護るために、少しでも多くの人達の助けとなるために、とても幼い頃から頑張って勉強していたんだ。彼はジュニアの世界の剣道大会でも、全国模試でも、常にトップを誇っている。その理由を、私は個人的に聞いたのだ。そして、その答えがそれらだった。だから私は彼にアメリカ留学を薦めたのだ」

「……本当なの?」

「……ああ、本当だよ。俺はずっと昔から、それこそ、保育所に入るずっと前から……多くの人の助けになるって、決めてたんだ……」

 

 俺の返答に直葉は顔を俯け。そのまま数分が経過してやっと顔を上げた時には晴れやかな顔をしていた。

 

「和人、だったら約束。あたしが中学に上がるまでには、帰って来てね」

「……ははっ。難しい事を言うなぁ……でもま、努力して帰ってくるよ、直姉」

「絶対の絶対に、約束だからね」

「ああ。約束は破らない。破らないよう、努力はするさ」

 

 そのまま俺達は抱き合い、直葉はまたも大泣き、俺も泣きはしなかったが小さく嗚咽を漏らした。

 その二週間後、俺は羽田空港からアメリカに留学。教授が講師をしている世界最難関の学校に、若干九歳という異例の最年少として編入。そこでありとあらゆる学問をし、大図書館の書物を読み漁って全て読み、たった一年で主席卒業を果たして日本へ帰国した。

 その間に前世と同じ企業を立ち上げ、約半年で『五大企業』とされるまでに至った。流石に人型自律機動兵器等は開発していないが、太平洋沖に人工島を造ってそこに移住する計画などを国会で話すなど、小学生の範疇を軽く越えまくった。前世でもしていない大事業だ。

 当然、帰国するとメディア関係の人間でごったかえしていた。

 その時に茅場晶彦と対面、ナーヴギアとSAO製作の協力が来たのでそれを受ける。【アーガス】と技術提携及び協力してゲーム開発にあたることも、しばらく後になって茅場晶彦が大々的に発表した。

 これで目的の半分以上は達成したことになる。生活は相変わらず忙しいが、前世と大して変わらないので慣れたもの。一年ぶりに家に帰ると、直葉が泣きながらタックル――――もとい、抱きついて来て驚いた。もう小学五年生になるのに全く弟離れが出来ていない。俺は内心

 

――――どうしよう。SAOに二年囚われたら、直姉は一体どうなるんだろう?

 

という、微妙に論点がずれている気がする焦りを浮かべていた。

 ちなみに、俺はこの時から既に自分だけのVRMMOを作成し、ナーヴギアの基礎理論を搭載したヘッドギアを使い、そこで様々な訓練をしていた。ライフル弾の連射を見切ったり、剣を振って技を自作したり。

 リアルでも剣道を再開。アメリカに行っている間、剣道はしていなかったので前世のクセが出てしまい、祖父に怒られてしまった。直葉にも呆れられた。

 前世のクセ、というのは剣を片手に持ち、右手と左手と持ち替えながら戦うクセだ。他にも剣を肩に乗せたり、片手で回したり、同じ長さの剣を二本構える二刀流などもある。二刀流があるので、それらのクセを矯正するのは骨が折れた。

 それから一年後、西暦2022年11月7日。運命の日がやってくる。

 

 

 




 はい、第一章終了です。

 SAOに入ってないしこれもプロローグで良いんじゃないかと思いはしたんですが、まあ良いかとそのまま投稿。ぶっちゃけると書き直すのが面倒だっただけです。

 そしてこの話で分かったと思いますが、直葉は姉です。家族構成は原作とほぼ変わっていませんが、姉です。今話の弟離れ出来ていない直葉でも、姉です。今作の和人は原作和人を二歳引き下げたので、直葉が上がった訳ではありません。

 ちなみに言うと何人か年齢が上がっていたりします。この作品の主人公和人は、原作での綾野珪子ことシリカと同年齢の立ち位置になりますので、誕生日も絡めると実は作中のメインキャラクターで何気に最年少となります。

 が、それを感じさせないように最初は振る舞うので、暫くこの年齢設定は直葉が姉という部分以外は忘れて頂いて結構です。後々に物凄く関わりますが、今は大丈夫です。

 和人が興した《五大企業》、これ、後々重要なので頭の片隅にでも置いておいて下さい。あ、そんなの作れるくらいチートだったね、程度で。

 ではこれで。次話はついにSAO入りです。ただし、原作が若干崩壊します。
 それと、和人の誕生日は《11月7日》という設定にしています。結構作中でも関係してくるので憶えておいて頂きたいです。

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