ALDNOAH.ZERO -Earth At Our Backs- 作:神倉棐
5/1 「掘り出し物と勲章と」
【日本 北九州海軍補給基地 11月20日 20時24分】
〈Japan Naval Station Kitakyushu 2024hrs. Nov 20, 2014〉
ビームサーベルらしき浪漫兵器を使うジ・●モドキの火星カタフラクトを撃退してから少しして。現地を確保していた一帆達即席の撃退班を含む
「会長ー、腕部のH12-359のパーツって何処にありますか?」
「えーと、そこの右角手前から2つ目のコンテナの中だね」
「うぃーす。起助、そこの木箱先に持ってっといてくれ」
「りょーかい、ソッチは頼んだ」
カームと起助にパーツ場所を指示しつつ一帆も練習機の修理と
「でもまぁ……多少ガタが来てるとはいえ、元が軍用なだけあって学生用の練習機より遥かに機能が充実しててあれが1番手に馴染むって言うか乗り易いんだけどねぇ」
しかし乗りやすさでいうならばただの
「なんの話?」
「ん?ああ、俺の専用機みたいになってる軍からお下がりのスレイプニールの話。アレが乗りやすいって話だよ」
「え?アレってカズ兄の専用機じゃないの?」
「え?」
「え?」
一帆の独り言を聞いてか、備蓄物資目録とコンテナヤード地図を照らし合わせて睨めっこしていた伊奈帆がフォークリフトを側に停めた一帆に対しそう訊ねる。それに「自分の専用機
───ん?なんか互いの認識に食い違いがあるようだが……いや、冷静になれ。冷静になるんだ八朔一帆、伊達に30年近く生きてないんだからな。よし……
何か致命的とはいかずともかなりの大問題に発展しそうな気配のする真実に気付きかけた一帆は内心そう言い聞かせ一度深呼吸をする。なんとか
「えっと……、アレ俺の専用機なの?」
「うん……、1年では専らの噂だったよ?あの機体は会長専用機なんだって」
「誰が言ってたの?」
「ユキ姉と鞠戸大尉」
「なにやってんですかユキさんと大尉ぃっ⁉︎」
夜のコンテナヤードに一帆の絶叫じみた悲鳴が響き渡る。
───うん、駄目だわ。一学生に扱いの難しい複座型の練習機とはいえ、腐っても軍の管轄下にある所有物なのに勝手に専用機扱いって完全に職権乱用……いや、それ以上に軍法会議ものの奴じゃないですかヤダー
火急の事態であったとはいえ勝手に持ち出した一帆たちが言えたことではないが、扱える人が居ないから結果的に専用機化しているのだとしてもそれを教官たちが公言するのはどうなのか。もしかしたら「
「これ……発覚したらどうなるんだろ?」
「戦争のせいで有耶無耶になるんじゃない?それにカズ兄曰く結果的にそうなってただけみたいだし、ちゃんと戦果は残してるからバレてもあんまり怒られないと思うよ?」
「いや……そうだろうか?あーでもユキさんはともかく鞠戸大尉は怒られそうだな。マグバレッジ艦長に、それはもう恐ろしいくらい」
「……ノーコメントで」
ふと、仲良く溜め息を吐いた2人の脳裏に土下座した鞠戸大尉の頭をヒールで足蹴にしつつ、静かにブチ切れるマグバレッジ艦長の姿を幻視してしまったのは多分きっと仕方ないことなのだ。そう多分、maybe。あの人の日頃の行いが悪いのが悪い。
「まぁ……それは一旦置いといて、だ」
ただ、本当に今一番に一帆を悩ませているのはTKG-6Bの損傷具合の酷さにあった。
「
合流したわだつみの整備兵に点検と精密検査をして貰ったところ、なんと41箇所も異常をきたしていたのだから火星のアルドノアドライブ搭載機が地球製の通常機と比べてどれほど隔絶した性能を誇るのかは素人であれ嫌というほど分かるというもの。
「もういっそ、乗り換えた方が良いんじゃないかな?」
「乗り換えか……」
伊奈帆はあっさりと「搭乗機の乗り換え」を推してくるがそれでも意図しないところで専用機と化していた、それも実戦2回を共にしたこの機体に一帆は既に一種の信頼と愛着を抱いており、心情的にはできればまだ乗り続けてやりたかった。
───それに結局「VF-25」はいつ手に入るんだ?
そして一帆も今までほぼほぼ忘れかけていたが「
「まあそれも考えの内のひとつにしておくよ、取り敢えず整備の人曰く「部品があれば最低でもまだ1回は乗れるようにはなる」らしいからそれからかな?それで無理ならニコイチ用の部品取りにして
また機体の損傷の重軽度ならば箇所の割にフレームは比較的軽度であり、フレームは無理でもスキンや関節部の部品は交換可能だ。それに
「まあ、その辺りの判断はカズ兄に任せるよ。それにそれで問題があるようなら整備の人とかユキ姉やマグバレッジ艦長たちから指摘が入るだろうし」
確かに言われてみれば素人の一帆が考えるよりも、それで飯を食っている整備士や軍人といったその道のプロたちがより合理的かつ最善な方法や選択でも考えてくれるだろう。それにマグバレッジ艦長であるならば、ある程度合理的かつ正論らしい要望であるならばこそだがそこそこ我儘でも応えてくれそうな信頼があった。
「で、今鹵獲中の例の「ビームサーベル」のことだけど」
話は変わって、今度は例のジ・●モドキの火星機が戦場に残して行った仮称「ビームサーベル」の話に移る。
「ああ、アレな。放棄したのか回収し忘れたのか……なんとなく後者っぽい気もするが、柄の部分が丸々無傷で鹵獲できそうらしい」
先の「Shadow Master」作戦の際、別働隊第二班であった韻子とソラの
「あれだけやって得られたものが柄だけ……か、そういえばあのエネルギー刀身部は?」
「さあ?エネルギー切れか、それか地面に落ちた際に安全装置でも働いたのかもうビームは出てないらしい」
しかしいくらアルドノアドライブ搭載型とはいえ敵機1機に対し、カタフラクト9機に歩兵1名*1で掛かって得られた戦果らしい戦果がいくら価値はあれどビームサーベルの柄1本とは割に合わないと伊奈帆は言外に言う。
───まあ、な。言いたいことは分かるよ。言いたいことはな……
ただ伊奈帆が言いたいことが分かっても、一帆はそこについて同意することもさらに言及するつもりもない。何故なら戦果らしい戦果は少なくとも、それでも一帆が抱く目下の最大目標であり一連の作戦目的である「身内や後輩・共犯者やその関係者たち全員の無事な生存」は一応ながら達成されており、それ以上のこと──敵機の撃破や本体の鹵獲までもを望むのは高望み過ぎて死に急ぐようなもの。死を厭わないのはともかく死に急ぐのは禁物だ、何よりまだ一帆には守るべき対象が残っている。
「…………」
「…………」
「会長会長!凄いもん見つけましたよ!」
「……凄いもの?」
そんな一帆と伊奈帆の間に短くもなければ長くもない、しかし海辺故の陸から海に向かって吹き抜けて行く夜風以外に何もない沈黙を破るように、先程カタフラクトの部品探しにコンテナの山を片っ端からひっくり返していたはずのカームが2人の側まで走って来る。
「カーム、凄いものって?」
「とにかく凄いもんだよ!とにかく見に来てください!こっちっス」
そして何故か興奮した様子のカームにやや強引に連れられて向かわさせられたのはコンテナヤードの奥、港湾沿いに建ち並ぶ倉庫らしき建物の一角だった。
「軍の兵器庫?それとも格納庫か?」
「カーム?オコジョと部品探しに行ったんじゃなかったの?」
伊奈帆が一帆も思っていた至極真っ当な疑問を口にする。
「おう、そのつもりだったんだがな。どうしてもコンテナの中からR2-397の部品が見つからなくてな」
疑問符を頭上に浮かべる一帆と伊奈帆を引き連れて、何棟もが建ち並ぶ倉庫──おそらく軍のカタフラクト専用格納庫のその内のひとつに入ったカームはやや薄暗い
「そこでオコジョと相談したんだが、その時ふと閃いてな!コンテナに予備が無いなら軍の格納庫で今回持ち出さない機体からチョチョイと拝借しちまえば良いことに気付いて格納庫に行ってみたんだ」
その間に話された話の内容から何となく何故カームたちがコンテナヤードからこんな格納庫くんだりまで足を伸ばしていたのかは理解できた一帆と伊奈帆、しかしまだそこで彼らがわざわざ2人を呼び寄せた肝心の理由についてが分からない。その呼び寄せられた意図について読み解こうと頭を捻っていた2人だったが、結局読み解く前に先頭を歩いていたカームが立ち止まっていた。どうやら目的地に着いたらしい。
「で、見つけたのがコイツって訳よ‼︎」
そしてカームが振り向くと同時に格納庫内の
「へぇ」
「ふーん」
照らし出した照明の下にあったのは、装甲が外され内部フレームの大部分が露出した見覚えのない──だが何故か何処かで見たような面影のあるヒト型機動兵器。
「見たところ軍の試作カタフラクト……か?」
いつも授業や戦場で乗り回しているKG-6やTKG-6Bと比べてやや背丈の低いスリムなサイズと、正気を疑うほどに大量に据え付けられたバーニアが目を引くやたらヒロイックな
「なになに──YKG-X07
サラッとだが資料を読む限りありていにいえばこの機体、装甲を犠牲に機動力とカッコよさによる戦意の喚起に特化したトンデモ機体らしい。
───え"、ヤバくね?コレ冗談抜きでヤバい機体なんじゃ……
一帆は兵器に関しては素人なので装甲値やスラスター値などの数値だけを見て性能が測れる訳ではないが、パイロットとしては特典を含めて直感で分かる。ヤバい奴である、コンペでアレイオンに負けたのもある意味当然といえよう。機動力や推力には
「かなり分解されているようだが?」
特典込みで乗れなくはないが、できれば乗るのは勘弁して欲しい一帆が乗らなくて済むようにそれとなく諦めるようカームに向かってそう問いかける。
「コンテナに一式揃ってますし、スキンとかフレームの部品はともかく大半の部品の規格はアレイオンとも互換性があるみたいです」
しかしその思いも虚しく、カームは寧ろウッキウキで同じ倉庫に鎮座する予備パーツ込みでパーツ一式が詰められたコンテナを指差して一帆の退路を無意識に潰しに掛かる。その後もあーでもないこーでもないとそれとなく拒否し続けた一帆だが、ただでさえ賛成派のカームに起助の1対2と不利だったに加えて伊奈帆まで再び「乗り換え」を勧め始めたために1対3とさらに不利になる。
「……てことで会長の2代目専用機にでもしません?せっかく見つけたのにもったいないし」
そんな十数分もの押し問答の末、いい加減こんな場所で言い争っている暇もなくなった一帆が出した結論とは。
「取り敢えずユキさんとか大尉とか艦長に連絡、許可を貰ってから考える」
全判断をより高位の意思決定権保有者へとぶん投げることであった。なお、ユキ経由で鞠戸大尉に報告したところほぼ大尉の独断で接収が決まり「それでエエんか?ホンマに?」と天を仰ぐ一帆を尻目にウッキウキでカームたち発見者組がわだつみまで搬入した一方、やはり大尉の独断が搬入後に発覚しマグバレッジ艦長を巻き込んでなんやかんやと色々な
【日本近海 太平洋洋上 11月21日 9時12分】
〈Exclusive Economic Zone of Japan 0912hrs. Nov 21, 2014〉
北九州海軍補給基地から強襲揚陸艦が出港しておよそ13時間後の翌朝9時12分頃、わだつみ内の食堂で朝食を食べてからマグバレッジ艦長直々に自室である艦長室に呼び出された一帆と伊奈帆、そして付き添いで勝手について来た韻子とソラのいつもの4人組は艦長室からの帰り道に艦内廊下を歩いていた。
「勲章ねぇ?」
てっきり昨夜補給基地から半ば事後報告に近い形で持ち出してきた例の機体についての
「凄いじゃないですか!勲章ですよ勲章!しかもマグバレッジ艦長直々の推薦でですよ」
ただ、付き添いで来た韻子は特にそんなこともないようで「勲章」と聞いて自分が貰う訳でもないというのに興奮している。それは余り顔や声に出さないが同じく付き添いで来たソラの方も同じらしく、ちょくちょく伊奈帆に絡みに行っていた。
「凄い……のかな?」
「そりゃ凄いでしょ?貰ってる人なんて滅多にいないし」
そして絡まれる伊奈帆だが、こちらの方は勲章の凄さというかありがたみがイマイチ実感が湧かないらしく絡んできたソラや韻子に逆に「凄いの?」と聞き返すほどである。
「……それもまぁ1999年の「大陸紛争」と「内惑星戦争」……今じゃ第一次内惑星戦争か、それ以降の近年ではほとんど実戦がなかったからな」
そんな4人の有り様を見かねたのか、4人の背後からは学校ではユキに次いで見知ったとある不良教官の声が届く。
「「「「鞠戸
水密扉に手を付いてそんな4人組を見つめて苦笑いをしていたのは芦原高校の誇る不良教官鞠戸大尉その人だった。
「おう、まあココは学校じゃないんだぞ?網文と八朔妹に界塚弟。あと八朔はいつも通りだが」
「スンマセンでした、鞠戸大尉」
大尉のそんなごもっともな指摘に伊奈帆は口調はともかく謝罪と頭を下げる。確かにいつもの平和な日常であった学校の中で大尉を呼ぶならば「教官」と呼ぶのは間違ってはいないが、今は戦時下のしかも軍艦の中。いくら軍人らしくない不良軍人であるとはいえ、なんというか……そう酔っ払っていても軍人なのであり敬意を持って
───でもまぁ……俺たちまだ正式には動員されてないし、大尉の日頃の行いもあるしなぁ
だがそれも普通の一般人と軍人の間の話。鞠戸大尉に関していえば本当は割と時間にキッチリしていたり事務処理能力も高い方なのだが、学校で見せていたのは万年飲酒とだらけ切った姿のみであり本人の気さくで親しみやすい性格なせいか生徒との距離が近過ぎて本来の階級呼びよりも「教官」と読んだ方が呼ぶ方も……何気に呼ばれる方もしっくりくるのである。
と、まあ話が逸れた。
「まあ話を戻せば、今の連合にはそれくらいしか配れるものがないからね」
一帆は元の話、勲章についての話に話を戻す。それにまだ一帆たちの身分はあくまで民兵か義勇兵もどきの学生なのだ、敗走続きの地球連合政府や軍隊としても対
「そういうこった。八朔が言った通り、これからは勲章も珍しくなくなるぞ。なんせ戦時下だ、今の連合には名誉ぐらいしか出せる褒美がないからな」
火星本星の承諾なしに軌道騎士独断で行われた宣戦布告なしでの市街地やエリア首都圏に向けた揚陸城を弾体に見立てた戦術核級の破壊力の弾道弾攻撃に衛星軌道からの隕石爆撃と、初っ端から火星側の南極条約違反のオンパレードで始まった第二次内惑星間戦争だが連合側で把握できている被害だけでもワシントンD.C.やロンドン・パリ・ベルリン・モスクワ・北京・東京等のエリア首都を筆頭にニューオリンズやモザンビーク・パナマ・スエズ・ハワイなどの大規模軍事拠点・情報通信や交通の要所となる19地点への降下攻撃を確認、軍用および民間の通信衛星の破壊ならびに海底ケーブルが切断されており指揮系統は大混乱となっている。分かりやすく今の連合を人の肉体に例えるならば、目と耳を奪われた上に脳と神経が潰されたことで麻痺した手足が個々で判断し行動せねばならない状況に陥っている状態である。諸々目的や規模こそ違うが火星側がやったことは「コロニー落とし」と同等、あるいは「マイルドコロニー落とし」と言ったところだろう。
「ま、名誉のために死ぬのも悪くない。惨めに生き残るのも……遺されるのも辛いからな」
素面なのかはたまた何かに酔っているのか、若干の私情が含まれた悪意のようなもしかすれば懺悔のような鞠戸大尉の言葉に伊奈帆や韻子たちは押し黙る。
「ですが大尉、身構えている時に死神は来ないものです」
だがそれでも口を開いたのは一帆だった。確か何処かの映画か、それか書籍か何かで見聞きした台詞だが実に正鵠を射ている。「死」がやって来るのは手や気を抜いた怠惰な時、怯えていようが恐怖していようが緊張し懸命である時に「死」は来ないのだ。
───そう、死神は来ないはずなんだ。身構えている時……生きることに懸命に生きている時には
己の前世の死因を一帆は思いながらそう考える。確かに人並みに幸福で充実していたと前世を思う、だが今世に比べ前世の己は懸命に生きていたと言い切れるだろうか?真面目に「生きたい」と願っていただろうか?答えは……まだ出ていない。
「それに死んでしまったら呪うことも後悔すらできない、例えそれが呪いでも生き遺った者は生き遺った者なりに生きなきゃならないんです」
だが答えは出ずともなすべきことは分かり切っている。何であれ生きている者は生きねばならない、生きているからこそ遺志から呪いだの後悔だの見出して悩めるのであって死んじまってはそんな贅沢すら許されない。死者を想い弔えるのは生者だけであり死者は何も語れずなせることもない、つまり生きていなくては何の意味も無い。転生がなければそんな単純なことにも気付けずに、かつてそんな代物を
「……そうか」
そしてそんな遺して逝ってしまった側の一帆の思いが通じたのか、遺された側の大尉はそう呟いて鋼鉄に覆われた天を仰ぎ目を閉じる。しばらく天を仰いでいた大尉だったが、そんな大尉を探していたらしい耶賀頼先生に医務室へと連行されて行った。
「名誉のためか……そんな御大層なもののために戦ってる訳じゃないんだけどな」
廊下に残された4人の中で、ふと伊奈帆がそう呟く。
「そもそも戦いたくて戦ってる訳じゃないし」
そんな呟きに応えるように韻子がそう溢すと、今度はソラが「寧ろ襲われてるから反撃しているだけであって正当防衛だよね?」と首を傾げ、それを見た一帆は爆笑した。
「確かに!なーんで非軍人の一般学生が最前線で戦ってるんだろね?俺ら?」
一帆の笑いに釣られて韻子やソラ、さらにはあの伊奈帆ですら控えめでも笑い出す。いつもの日常を唐突に汚染した「戦争」という非日常、戦う理由もその覚悟さえもそんなご大層なモノでなくとも戦わねばならない非現実じみた現実が今ここにある。だからこそ、今の一帆たちにはそうやって現実を笑い飛ばす他にできることなどなかった。
地球連合軍の次期主力機としてかつて日本の三蔆重工で試作設計されていたKG-6 スレイプニールの試作後継機にして、クールジャパンの悪い癖が詰まったゲテモノ浪漫機体。パイロットの人員不足に喘ぐ地球連合軍極東方面軍上層部が三日三晩どころか5年間考え続けた結果、何をトチ狂ったか「見た目で人を釣ればいい」と思い立ったが末に生まれたもはや正気じゃない上層部肝入りの装甲を犠牲に機動力とカッコよさによる戦意の喚起に特化した浪漫てんこ盛りのワンオフ機である。
なお残念だが当然次期主力機として制式採用されたのは堅実な設計のアメリカのノース・アメリカン・グランダーI.G.社製のYKG-7 アレイオンであったが、それでも機体は一応の完成の目処が立っていたためにさらなる次世代機の開発のデータ取りのために実験施設への輸送の途中に装備一式と共にコンテナに格納されて北九州海軍補給基地のコンテナヤードに一時保管された時点で第二次星間戦争が再燃。それにより港に放棄されたものを丁度乗機の損傷が酷く物資補給に訪れた八朔たちに代わりの乗機として勝手に接収されることとなるが……
開発コードは「