投稿だぁあああ!!
待ってた皆さんすいませんでしたぁあああ!!
街中を歩くペドーと折紙の二人、目的地へ向かわせるべくペドーが僅かに先に歩もうと、折紙の前に出た。
その瞬間、折紙がタイミング悪く転んでしまう
「きゃっ!」
「折紙大丈夫か!?」
ペドーはとっさに折紙を抱きかかえ、自身の身で受け止めた。
「あ、ペドー君ごめん、すーっ、私。すーっ、ついうっかり、すーっ、してて、すーっ」
ごめんと謝りながら、折紙は自身の鼻をペドーにくっつけ何度も深呼吸を始める。
「あ、ああ、気にするなよ……」
「っはっふはっふはっふ……」
最早言葉も無く、ペドーの匂いを嗅ぎ続ける折紙。
理解できるか?コレ、初デートなんだぜ?
事の始まりは、もうずっと最初からだったのかもしれない。
怪しい薬の店、服屋、レストラン。
様々な出来事の中で見ていた折紙の奇行……
その奇行のタガがダンダンと外れかかっている様な。
(良い事……なのか?前の折紙に近づくって事は、俺に対しての好感度が上がるって事だけど……)
ちらりと折紙を見ると、紙コップで出るタイプの自販機でジュースを買い、そのジュースの中に怪しげな白い粉を混ぜるのが見えた。
「食われそう……」
ペドーが冷や汗を流した。
秋の空に星が浮かぶ頃。
ペドーは折紙を連れて町の高台に来ていた。
この高台はペドー達の住む町が一望でき、更には星まで見えるとう絶好のデートスポットだった。
何時もはいちゃつくカップルがいるが、フラクシナスのメンバーがあらかじめ人払いをしてくれたのか、二人以外に誰も人がいなかった。
「わぁ、綺麗……だけど、少し寒いかも……はぁー、はぁー……」
折紙の吐く息が白く染まり、指先に吹きかける。
「まぁ、秋だしな。夜近くになると肌寒いのも分かるよ」
ペドーも息を吐くが、その息は白濁することなく空へ消えていく。
「なんか、指先が寒いなぁ」
ちらちらと折紙がペドーを見る。
「…………」
周囲を見回すと、自動販売機なんてものは無い。
当然「温かい飲み物を用意したよ」なんて回避手段は使用出来ない。
吐き出す白い折紙の息は興奮し体温が上がっている証拠。
周囲に人はいない。そんなタイミングでもし折紙の手を掴もうものなら、暗がりに引きずり込まれて(性的に)食べられてしまう可能性は十分に想像できる。
「指先寒いなぁ……」
ここでまさかの、追撃!
『ペドー何しているのよ?女の子が寒いって言ってるんだからやる事は一つでしょ?』
インカムから琴里の指示が飛ぶ。
こっちの司令官は、やる事をしたら逆に折紙にヤられてしまう可能性に、気が付いていないのだろうか?
『シン、彼女の好感度は十分なのだが、まだ封印には一押し足りないんだ。
この計器の波長からして、彼女は何か不安を抱えているのかもしれない。
その解消のためにも、してくれないだろうか?』
更に繰り返される追撃に、ペドーはついに折れた。
「ん」
無言で折紙の両手を自身の手で包む。
「んふ、ペドー君は優しいね」
折紙は満足したように、笑みを浮かべた。
その笑みは本当に、不安を抱えているのが疑問になるほどすっきりした物だった。
「私ね、ペドー君に言わなくちゃいけない事が有るんだ」
「言わなくちゃいけない事?」
ペドーは折紙が「子供の名前何にする?」なんて言いながらケダモノに変身するのではと身構えた。
「ペドー君は私がASTにいた事知ってるでしょ?
それでね、私少し前から、貧血で意識を失う様になって――
あ、いや、これも原因の一つなんだけど、なんだかんだあってASTやめちゃったんだよね……」
誤魔化すように折紙が視線を外して見せた。
「懲戒処分じゃなくて?」
「もう!ひどいなぁ、そんなワケ無いじゃない」
前の世界でのASTをやめる理由を知っているペドーが思わず漏らした。
だが折紙はそれを笑って、否定した。
だが、その笑みも一瞬。
折紙は再度まじめな顔を作り口を開いた。
「私ね、私、なんで精霊を殺さなくちゃいけないか、わからなくなっちゃったの……
勿論、町に被害を及ぼすのは分かってる。
危険な生き物なのも知ってる。
それに、ペドー君にとってはお兄さんの仇でもあるんだよね?
けど、それでも精霊を殺す事に疑問を持っちゃったんだ……
それからかな、なんだか精霊を殺そうと思えなくなって……」
不安そうに折紙が震える。
「良いんじゃないか、それでも。
確かに兄貴は死んだ(死んでない)けど、やりたいことをやった結果だ。
折紙はの考え方は自分のやりたいことなんだろ?じゃあ、それを貫けばいい」
いろんな意味で自身のやりたいことをやりまくっているペドーが、その言葉を吐く。
「うん、そうだね……ペドー君ありがとう」
折紙が再度笑うと同時に、インカムからファンファーレが響いてくる。
どうやら、封印条件が解放された様だった。
『さぁ、ペドー封印よ!』
琴里の声が聞こえてくる。
そうだ、今回の目的はデートではない。
デートの先にある最悪の精霊『デビル』の封印だった。
「くゅん!」
折紙が小さくくしゃみをした。
それと同時に、冷えた風が吹いてきた。
「あー、思ったより冷えて来たな……よし!焚火で暖を取ろう」
「焚火?」
ペドーの言葉に折紙が首をひねる。
折紙の視線の先、ペドーは適当に足で落ち葉を集め……
「ほい!〈カマエル〉!」
指先から炎を出して、落ち葉を燃やし始めた。
「あ、え、ペドー君が炎?トリック……トリックだよね?」
折紙が苦々しい顔をする。
「ん?延焼が不安か?ダイジョウブ。
ペドーさん消火もキチンと出来るから。
はぁ~い〈ザドキエル〉~」
今度は手から氷を出してお手玉する。
なるほど、確かに火の中に氷を投げ込めば消火は可能だ。
可能、可能なのだが……
問題はそれよりも――
「――――精霊…………?」
「え、そうだけど?」
折紙がつぶやくと同時に、ペドーの耳につけるインカムから大音量の音が流れた。
さっきのファンファーレとは違う。それは危険を知らせる警告音だった。
『バカ!!なんて事するのよ!相手を誰だと思ってるの!?
相手は
琴里の声を聴いて思い出した。
そうだ、この世界における精霊折紙の与えられた二つ名は『精霊狩り』だ。
精霊の力を見せたのなら、デビルは容赦なくこちらを狩ろうとする。
そんな当たり前の事を、ペドーは折紙から発された衝撃波を受けながら、今更思い出した。
だが、今更思い出しても事態が最悪の方向へ向かったのは変わらなかった。
それとほぼ同時期。
ペドー達のいる高台から離れた場所、精霊ズマンションの部屋で、一人の少女が身震いをする。
「んな!?この感覚……!」
少女、シェリ・ムジーカが飲もうとしたスポーツドリンクを手から取りこぼした。
「どうしたんですか?」
『なにかあったのかなぁ~?』
四糸乃、よしのんの両名がシェリの異変に気が付く。
「ボクの勘違い……」
「というわけではありませんわ。わたくしも、かんじましたもの……
すごく、こわい、このかんじを……」
シェリの言葉をくるみが遮る。
「え、なに、みんなして『今の気は何だ?』的な事を言っちゃう実力者ごっこ?
そういうの、私も誘って欲しい言っていうか……」
七罪が疎外感を受けながら話す。
だが、シェリもくるみもその表情は真剣そのものだった。
「ちがいますわ!なにか……」
「良くないモノが動きだした感じだ……
多分、他の精霊も強弱あると思うけど、みんな感じてるハズだ!
ボクちょっと見てくる!!」
シェリが窓を開けると、夜の暗闇に向かって身を投げ出した。
そして、マンションを伝い、他の3人を置いて走り出した。
「ちょっと、ここ5階――うわぁ、すげぇ……」
マンションを抜け出し、身軽に走るシェリを見て七罪が、驚き3割引き6割羨望1割の視線を向ける。
「わ、私もい、行きます!」
四糸乃もベランダから出ようとして、下を向いて顔を青くして飛び降りるのを諦め、玄関に向かって走り出した。
「あ、あ~私も行った方が良い空気?」
「せんとうのうりょくがひくいのならのう、やめたほうがいいですわね。
おそらくたたかいになりますわ、あしでまといになりかのうせいがたかいなら……
それにきっとほかのせいれいたちも、むかっているかもしれませんわ」
「そ、そうだよね?黄な粉ジャンキーとか、血気盛んな双子は絶対向かうよね?」
七罪が同意を得る様に聞いた。
一方その頃の十香は――
「すーっ、すーっ……ふぅあ……キモチいい……」
鼻から丸めた紙を使い、きなこを吸引してトリップしていた。
「みんな、はやく、育つ、のだ、ぞ?」
なんだか歪んでくる視界の先、トロンとした目で押入れで隠す様に栽培しているきなこの植木鉢をぼおっと見ていた。
十香――きなこによるトリップで気が付かず!!
一方隣の部屋。耶倶矢、夕弦二人は同じ部屋で、ゲームに熱中していた。
「フン!!ふんっ!あーっ!なんで、当たんないのよ!!当たり判定おかしいじゃない!!」
がちゃがちゃとコントローラーを壊さんばかりに、ガチャガチャと動かす。
「嘲笑。それは耶倶矢のコントロールが悪いからです」
耶倶矢の攻撃を余裕で躱しながら、夕弦が勝ち誇る。
「むっきーぃいいい!!もう本気なんだから!リミッター解除!!解除!!」
「疑問。リミッターを2回解除しました。2度目は逆にかけた事に成りませんか?」
ぷぷぷと笑いながら尚も耶倶矢を煽る夕弦。
耶倶矢&夕弦――ゲームに夢中で気が付かず!!
更に隣の部屋。
無人だと間違ってしまいそうな位、部屋が暗い。
小さな電気スタンドに辛うじて灯がともり、部屋を照らしている。
部屋の中には殆ど何もない。
化粧棚と、衣装ケース。
そして、壁一面のペドーの写真。
「だーりん、だーりんすき……だーりん好き……愛して、私を愛して……
オナホの代わりで良いから、お金目あてでもいいです、私を利用してください……
私に存在意義を下さい……だーりん、だーりん好き……だーりん……」
美九――精神崩壊中につき、気が付かず!!
結果!!非幼女精霊全滅!!
更に時を同じくして、空中艦〈フラクシナス〉内部ではけたたましいアラームの音が鳴り響いていた。
『霊力値カテゴリーE!精霊鳶一折紙の「反転」を確認!』
『くっ、精霊を見た瞬間に反転するなんて……令音の予想は当たっていたって事ね……』
苦々しい顔をして、琴里がチュッパトップスをかみ砕く。
途中まで上手くいっていたデートは、自身の兄が精霊を力を見せた瞬間、崩れ去った。
正気をなくしたのか、折紙はついさっきまで自分が好きだった人間を殺しにかかっている。
『ペドー!こっちで回収するから、すぐに逃げなさ――ペドー!?』
メインモニターに映ったペドーを見て、琴里が素っ頓狂な声を上げる。
「あー、琴里?悪いけど、また、後にして、くれる、かな!?っと、と、と」
モニターの中のペドーは折紙の攻撃を躱している最中だった。
インカムから来る音に時折返信しつつ、折紙に近づこうとしている。
思い出しているのは、前の世界で出会った〈魔王〉となった十香の事。
(あの時の十香は、霊力の再封印で元の状態にまで戻せた……
そんで、今回の折紙は一応、封印可能レベルまで攻略は出来てる!
なら、イチかバチか!封印してみる他ないよな!!)
そんな事を考えつつ、今しがた自分を殺そうとする少女の前に、身を躍らせる。
「折紙!俺だ!!正気を取りもどせ!!」
ペドーが折紙に話しかけるが、反応と言える反応は無い。
ただ、目の前の『
「…………」
折紙が幾重に重なるレーザーを発射するが、ペドーはそれをすれすれで回避していく。
数発のレーザーが肩に当たり、激しい痛みと共に焦げる嫌な臭いがする。
どれもこれも辛うじて致命傷ではない。だが、致命傷でないだけで痛みは無視できる物ではない。
「けど、止まってやらねーよ!」
脇腹、腿、手のひら等々。
致命傷にならない部分にペドーはレーザーを受ける。
跳びそうになる意識を、キズの痛みで無理やり覚醒させ、負った傷は〈カマエル〉を使い修復する。
「運が悪かったな折紙!!俺は……俺は日常的にシェリちゃんにセクハラしまくってて、そのお仕置きレーザーを食らってるから、レーザーの軌道を読むのには慣れているんだよん!!ギャオ!?」
最後は受け損ない、ペドーが割と大きなダメージを股間に頭に食らう。
「何すんだ!?将来ハゲたらどうすんだ!!」
ペドーの言葉に折紙はひたすら無反応だった。
そこが失敗だった。頭部に受けた傷を気にしてペドーに一瞬の隙が出来た。
その瞬間、折紙が数本のレーザーを束ねてペドーに向かって射出した。
(やば、コレ逃げられ……死んだ――)
『その心意気だけは認めてあげましょうか、バカロリコン!!』
ペドーに向かっていたレーザーは上空から放たれる、極太の別のレーザーによってかき消された!
「琴里……か?」
『そうよ、まさかこんな事に成るなんて……けどね、安心しなさい。
手加減してあげるから、思う存分当たりなさい!!』
空を割り、巨大な影がその姿を現す。
空中艦〈フラクシナス〉がレーザーの光を讃え、悠然と姿を見せる。
先ほどの折紙の攻撃を消したのは、フラクシナスの超精密攻撃に寄るものだった様だ。
『ペドー!デビルに今から攻撃を加えるわ!さっきも言ったように威力は調整するからデビルがひるんだ隙に懐に入って――』
琴里の説明を聞いている最中、折紙が『羽』の様な物を〈フラクシナス〉に向かって飛ばす。
そしてそれは音もなく、〈フラクシナス〉を囲み――
「あー、琴里……?
出来るならで良いんだけど……逃げた方が良いぞ?」
『へ?ぎゃぁあああああああ!!!』
ペドーの言葉が終わるか終わらないかの内に、折紙の放った『羽』が瞬き〈フラクシナス〉を打ち据えた。
響く琴里の声、バックで聞こえるのはクルーの騒ぎ声、曰くメイン動力炉損傷、飛行機能72%低下、非常用動力炉作動など等だ。
「うーん……速攻やられたな……この無駄の無い無駄な登場……あ、いや、一発レーザー防御してくれたけど……
まぁ、神無月さんが居れば脱出位は出来るだろるから、心配は要らないけど……」
内心もう少し、働いてほしかったななんて思いながらペドーがため息をつく。
「…………」
折紙はそんなペドーの思いなど関係ない。
自身の羽に命令をす。
それ命令を受けた羽は、忠実に仕事をこなす。
「はっ!!がっ!?」
再度放たれる一条のレーザー。
それは今度こそ、何物にも邪魔されず目標の口の中に吸い込まれていった。
ドさっ!
僅かな土埃を立てて、目の前の男が倒れる。
びくんびくんと数度痙攣する。
そしてその痙攣も弱くなっていき、最後には――
「アレ!?なんかこれ甘い……甘い?甘……千歳飴だコレ!!」
ぽきんと咥えていた千歳飴を割る。
「うンまい!?ナニコレ?」
驚き更に、2口、3口と食べるペドー。
その目前に小さな影たちが踊りだした。
「ナニコレじゃないわよ!!こっちがそう言いたいわよ!!!」
七罪が怒りながら、
「オマエ!!いきなり死にかけてたんだぞ!!」
シェリが怒号を飛ばし、
「ぺドーさん、大丈夫……ですか?」
『いんやぁ~、すごい人がいるねぇ』
四糸乃、よしのんが心配する。
「みんな!来てくれたのか!」
「わたしもわすれちゃだめですわ」
ペドーに後ろから姿を現したくるみが声をかける。
「うっ……」
折紙の脳裏に頭痛が走った。
目の前には新手。
男にくわえて、4人の幼い少女。
男と4人の幼女。到底強力な戦力とは言えないハズのこの布陣。
だが、『折紙』はこのメンバーが揃うと何か大きな事が起きる気がしていた。
「よぉし!みんなが来てくれたなら……俺はムラム――じゃなくて勇気100倍だぜ!!」
ペドーがガッツポーズを取る。
(うわぁ……今『ムラムラする』って言いそうになってた……)
(コイツ、こんな状況でもかよ……マジに死なないかな?)
(ペドーさん……)
(ぺどーさん、ゆがみねぇなってやつですわ)
力あふれるロリコンと、ドン引きした目で見る幼女たちがそこに居た。
幼女が出て来た瞬間このザマ……伝統と安定のロリコンクオリティ。
やっぱりデートするなら幼女だよね!!