デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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諸注意。
今回は、超展開のラッシュです。
繰り返します、超展開のラッシュです。

あれ?原作ってデート・ア・ライブだよな?
レベルの事が平然と起きます。

良いですね?本当に、良いですね?


PEEDの証

うぅうううううううううううううう☆!!!

 

 

 

「うっ、く……」

大音量で鳴り響く、空間震警報の音でエレンが目を覚ました。

自身の状況を確認しようと、周囲を見るとそこは何処かの家の庭の木の上。

どうやら、〈ハーミット〉のパペットの一撃でここまで殴り飛ばされたらしい。

油断してたことにより、リアライザの使用をしなかった事も原因だろうが、それでも好ましい状況ではない。いや、100人中100人がパペットの攻撃を防御する為に、バリアを張る事は無いのだろうが……

痛む体(場所によっては骨折している部分もあるかもしれない)をなんとか木の上で動かす。

 

「精霊……ですか、こん、な、時に……」

空間震警報という事はそうなのだろうと、強引に自身の心の仕事スイッチを入れる。

〈ウィッチ〉もそうだが、これから出現するであろう精霊の対処も必要だ。

木から降りた時、体に痛みが走ると同時にポケットの携帯が鳴る。

 

ピりりりりりり!

 

「こんな、時に?」

 

『エレンママ!大変です!!今、そっちにマードック一派が送った人工衛星が落下を始めています!!』

 

「はぁ?」

エレンは一瞬相手が何を言っているか分からなかった。

しどろもどろになる、電話の相手からゆっくりと情報を引き出していく。

要約すると――

①マードック達、幹部数人が前回の一件を根に持ち、今回クーデターを決行した。

②クーデターの内容は、DEM社が廃棄した人工衛星を改造した物を直接この町に落とすという計画。

 

「な、んて、事を――!!」

湧き上がる怒りはエレンから、一瞬全身の痛みを忘れさせるほどだった。

こんな事はしてられない。一刻も早く、うぇすちゃまを迎えに行ってここからなるべく遠くに逃げなくてはいけない。

 

「早く――」

 

「エレンさん!?」

体を引きずり、ワイヤリングスーツを展開しようとするとき、聞きなれた声がエレンの鼓膜を揺らす。

その声の主は――

 

「と、殿町君!?」

 

「一体どうしたんですか!?ボロボロじゃないですか!!

ああ、もう……こんな土壇場で、事故にでも?

ええい、話はあとにしましょう。俺、近くのシェルターまで負ぶってきますから!!

ほら、背中に乗ってください!!」

殿町が、エレンを背負おうと体をしゃがめる。

 

「殿町君……その足……は?」

殿町の右足には包帯が巻かれ、ギプスで固定されていた。

傍らには松葉杖が見える。おそらく殆ど人が避難した状態でここにいたのも、逃げ遅れたからなのだろう。

 

「ちょっと、校舎から飛び降りただけです。

日本の医者は大げさなんですよ。こんなの、ただの飾りです――っ!」

エレンの見ている前で、殿町はギプスを外し、松葉杖すら捨てて見せた。

 

「さ、おぶさってください」

明らかな強がりに、エレンが固まった。

 

正直な話、殿町のしている事は無謀だった。

足を骨折した殿町がエレンを背負ってシェルターに行けるかどうかすら怪しいし、エレン本人は体の痛みをリアライザで誤魔化して、ワイヤリングスーツを使えば避難など簡単に出来る。

何よりこの警報はDEMの重役たちが、人々に落下する人工衛星に気づかせない為に偽装した物だ。

巨大な重量の前に地下のシェルターが耐えきれる可能性は限りなく低いだろう。

要するに、彼の行為は何一つ意味をなさないのだ。

ここで、エレンがと取るべき最も正しい行為は、殿町を見捨てて自力でウェスコットを回収してなるべく遠くまで避難する。それが、ベストな答えだ。

 

「さ、エレンさん早く」

急かす殿町の後ろで、エレンがワイヤリングスーツを身に纏う。

スラスターを使ってこのまま、ウェスコットを迎えに行く。

無論、通りすがりの少年など無視して。

 

(さよなら、殿町くん)

心の中で、別れを告げる。

今日、この後この少年は死ぬだろう。

ウェスコットを狙う、計画の犠牲になって。

この町を再度襲った、悲劇の大勢いる犠牲者の中の一人になるのだろう。

まぁ、慰霊碑が立った暁には、線香の一つも出してあげてもいいだろう。

そんなことを考えて、エレンが脱出しようとするが、体がうごかない。

 

なぜ?

〈ハーミット〉のダメージが体に残ってる?

あまりの痛みに、体がリアライザを使えるほど回復していない?

それともマードック派の人間がエレンの知らない間に、細工をしたのか。

 

どうしようかと、悩んだ時、自然に()()()()()()()

 

「殿町君にげて!!ここは、もうすぐ大変なことになるわ!!」

突如エレンの体が動き、殿町を抱き上げる。

ウェスコットは?状況の説明は?非難のタイムリミットは?

そんな疑問が一瞬だけ湧くが、そんな物すべてが消えてしまった。

さっきまでの硬直が嘘の様に、エレンは殿町を抱いて空を駆ける。

 

「エレンさん……?」

 

「ごめん、殿町君……今は、今だけは何も聞かないで……おねがいだから……」

殿町が当然の疑問を投げかける。いろいろ聞きたいことが有るだろう。

だが、今はそんな時間すら惜しいのだ。

 

「困ったな……エレンさんほどの美人にお願いされたちゃ……何も聞けないや」

絶望が迫る中、ほんのりと明るい未来を夢見て二人は飛び出した。

殿町は、華奢なエレンの体が震えているのが分かると、安心させるように抱きしめた。

 

 

 

 

 

最早聞きなれ、日常の一部となった空間震警報がペドーの耳にも届いた。

だが、そんな事実さえ、気にならないほどペドーの心の内を満たす、()()()な知らせがあった。

 

「落ちてくるのか?この町に……」

フラクシナスもほぼ同時期に、人工衛星の落下の知らせを受けていた。

周囲の人間がシェルターへと逃げる中、絶望が落ちてくるであろう空を見上げた。

そして、一瞬呆けた後、すべきことを思い出し走り始めた。

 

 

 

 

「チぃ!!一体どうなってるのよ!?なんなのこれは……!!

常軌を逸してるとか、イカレてるなんて言葉じゃ足りないレベルよ!!」

苛立たし気に、椅子を殴る琴里は〈フラクシナス〉のメインモニターに出たあり得ない画像を見る。

 

「距離およそ200!速度尚も加速しています!!」

メンバーの言葉が示す様に、今この町に向かって、廃棄された人工衛星を改造したものがこちらに向かっているのだ。

巨大な人工物に、どこかバンダースナッチを思わせる装置がドッキングしてこちらに向かっている。

 

「……フラクシナスのリアライザ2~4番までを臨界点まで回して!!

全エネルギーを持ってして、あの人工衛星を――」

 

「司令、お待ちください」

琴里の命令を珍しく神無月が止めうる。

苛立たし気に琴里が口を開く前に、再度神無月が口を開いた。

 

「あの装置、おそらく巨大なバンダースナッチでしょう。

奴の特性として、『リアライザを扱う』というものがあります。

そして、人工衛星が普通は大気圏突入のショックで殆どが燃え尽きる物。

あの、バンダースナッチ()()()には、あらゆる衝撃から自身を防御する目的が有るんでしょう……

無駄、とまでは言えませんがあまり、攻撃は賢い手段では……」

 

「だったらどうするって――」

半場やけになる、琴里を遮る様に一人にオペレーターが立ち上がった。

 

「し、司令!!その、人工衛星が……」

 

「なによ?いきなり、自然消滅でもした?」

 

「え、いえ……あの、なんといえば良いのか……」

言い淀む彼女のうしろで、メインモニターは他の人工衛星までが一斉に一つの場所に向けて集まりだした光景を映し出した。

 

 

 

「おーい!!七罪!!七罪ぃ!!聞こえるかぁ!!

聞こえたら今すぐ避難しろぉ!!人工衛星が降ってくるらしいぞぉ!!」

殆ど人のいなくなった町をペドーが走る。

この危険な土壇場で、ペドーが思ったのはやはり七罪の事だった。

まだ傷は完治してないし、この攻撃はシェルターに居てもダメらしい。

ならば、彼女本人に逃げてもらうしかなかった。

 

なんども、なんども声が枯れるほど七罪に呼びかける。

その時、何かを思い出したのか、ペドーがインカムに通信を入れる。

 

「なぁ、琴里、四糸乃達は無事なんだよな?」

 

『ええ、無事よ。フラクシナスが回収したわ……

ねぇ、貴方まさか今、外に居ないわよね?』

ペドーはギクリとした。ペドーが七罪を探しているのは琴里達には秘密だった。

もし、知られれば半分強制的に回収されることになるのは目にみえていたからだ。

 

「い、いる訳ないじゃないかー。琴里はバカだなぁ……あは、あはははは」

 

『インカムばっちりレーダーに映ってるわよ?

帰ってきなさい、回収するから。

幼女が好きなのはわかるけど、一番大事なのはあなたの命よ』

 

「うーん、けどさー、もし幼女がいたら大変じゃない?

人工衛星そ衝撃に地下のシェルター耐えれるかわかんないし……

少なくとも、シェルターには幼女居るよね?

じゃあさ。

なんとか、しないとダメじゃない?」

 

『――ッ!バカ!!あんたね!!自分の命の順序が低すぎるのよ!!

避難しなさい!!助かる命だけでも――』

琴里の言葉を聞きながら、ペドーがインカムを耳から外す。

 

「琴里、聞いてくれ。愛してる」

 

『!!――!!――、――!』

何かを言ってるが、残念ながら耳から外したせいで分かりはしない。

収音マイクで、こちらの声だけは聞こえているだろうが……

 

「四糸乃や、くるみ、シェリちゃんに伝えてくれ。

俺が明日を連れてくるって」

そこまで言って、ペドーはインカムを投げすてた。

そして、フラクシナスに回収されない様に、屋根のある商店街の中へと入りこんだ。

 

 

 

そう、人工衛星が落ちてくると決まった時から、ペドーの心の内は決まっていた。

自身の持つ力を使って、衛星を壊すのだ。

琴里の言う様に、自身の命はもちろん惜しい。

だが、シェルターの中にも、たくさんの幼女がいる。

まだ見ぬ幼女の為、ここでじっとしてる訳にはいかなかった。

 

「ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!!」

 

 

 

 

ペドーが決意を固める中、遠く離れたDEM社の重役室では、マードックがとある機械を触っていた。

複数のボタンやメーター、そして手の中には銃の持ち手を思わせるスイッチがあった。

スイッチの頂点、そこのクリアのパーツが開き、中にあった如何にも『危険』と言いたげな赤いボタンが現れる。

 

「諸君、見たまへ。これが、わが社を去った伝説の兵器製造者の最高傑作を目覚めさせるボタンだ。今から、これを使って――

()()を始めようじゃないか」

役員たちはもはや何も言わなかった。

すでに計画は始まている。

もう戻ることのできる地点はとうに過ぎている。

 

「目覚めよ――機々械々重機(キキカイ・カイジュウキ)『キングカタストロォ』!!」

そう言って、絶望が始まった。

 

 

 

 

 

「司令!!人工衛星が……」

 

「なによ、コレ……」

フラクシナスメンバー全員の目の前で、地上に落下しようとしていた人工衛星が突如変形した。

バンダースナッチもどきの顔を中心に、足が構築されていく。

バランスを取るための尻尾に、遅れてきた第2期が胴体へ、第3期組は頭と両腕へと。

シルバーの体に、怪獣の様な尻尾、だが背中に背負うのは、丸鋸やハンマーなど明らかな人工物。生物を機械でうまく表現しようとした結果、失敗した芸術作品みたいだ。

まるで怪獣映画の様な光景だった。

 

巨大ロボ、いや、機械の獣だろうか?

兎に角目の前に、あり得ない物が立っていた。

 

『キシャぁあああああ!!』

 

「し、司令!!」

 

「こんなの、想定できるわけないじゃない!!

だ、脱出よ!!」

琴里の言葉によって、フラクシナスが脱出しようとする時――

怪獣の口から閃光が走った!

その光線はビルをなぎ倒し、周囲を火の海に変えた。

 

「な、何なのよ……何なのよぉ!!」

琴里が、絶望に打ちひしがれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジかよ……えー、ナニコレふざけて設定だけ作った的な奴……

なぁ?おかしいと思うよな、()()

ペドーが、七罪の名を呼びながら、胸ポケットのチュッパタップスを撫でる。

 

「いや、最初は逃げられたと思ったんだけどさ?

アメからずーっと、七罪のにおいするのもおかしいじゃん?

っていうか、琴里が落とす訳ないし、更に言うと七罪が触るタイミングもなかったしな?」

そう言って、ペドーがポケットからチュッパタップスを取り出す。

 

「…………」

当然だが、アメは何も答えはしない。

当たり前だろう。

すると、ペドーは

 

「お?だんまりかな?

あ!いや、急に自信が無くなってきたな~、こわいな~、困ったな~。

とりあえず、アメをぺろぺろして落ち着くかな?

ひっひっひ、全身をペドーさんのベロでぺろぺろしてあげようねぇ……

少しづつ舐めて、溶かして俺の体の一部にしてあげようねぇ……

いっただきまー……」

 

「やめんかい!!」

突如アメが、ボンとコミカルに爆ぜて七罪が姿を見せた。

ペドーの確信通り、化けていた様だ。

 

「ナッツミン!ちぃ~っす!」

 

「あんたねぇ!!わかってたんなら、逃げれば――」

 

「助けてくれ。俺じゃ、シェルターのみんなを救えない。

この通りだ」

怒る七罪に対して、ペドーが土下座を慣行する。

全くの躊躇もない、ただの懇願だった。

 

「あ、あんた!?いや、私なんかに……」

 

「協力してくれ。今回協力してくれれば、それで良いんだ」

しどろもどろになる、七罪を説得するように、ペドーが顔を上げる。

 

「わ、分かったわよ……あなたに、協力するわ……

その……この町、無くなると困るし……」

七罪が、絞り出すように言った。

 

 

 

「は~な~せ~よ!!コレ、俺のだぞ!!」

 

「うるさい!!変われよ!!」

 

「年功序列だろ!!俺にやらせろ!!」

DEM社の重役室はてんやわんやだった。

巨大ロボという、子供心をくすぐれれるアイテムに、すっかり童心に帰った重役たちがコントローラーを取り合っている。

それはまさに、新発売のゲームを取り合う子供の様だった。

 

そんな、中で――

 

「「「「は?」」」」

全員が、目の前の光景に同じ言葉を発した。

それは遠く離れた、日本で敵対組織である、フラクシナスのメンバーも同じで――

 

「は?」

 

「え?」

 

「なに?」

違う場所で、皆が同じ様な言葉を発して、固まる。

それは、それほどまでに衝撃的な光景だった。

神無月だけが、なぜか冷静に……

 

「ほう、光の巨人……ペドトラマンとでも言いましょうか……」

 

 

遡ること、30秒。

 

「七罪さん!!幼女の力!!!お借りします!!!」

ペドーが、七罪の変化した天使を掲げる。

そして、天使は光を放ち、ペドーを巨大化させる。

体は赤と銀色の肌で、目は大きく複眼の様に、そして胸にはお約束のカラータイマー。

 

『ペドォア!!』

光の巨人が、怪獣の目の前に立ち上がった。

 

『キシャぁあああ!?』

 

『トォア!!』

怪獣の頭に手をつき、アクロバティックな動きで、攻撃を回避する。

 

『ロリャ!!』

頭に、手をつくとそこから、半円上のピンクの光が出て怪獣が火花を上げる。

 

『きやぁあああ!!』

負けじと怪獣は、口から再度光線を吐く!!

だが、ペドトラマンはピンクのバリヤーを張って、ガードする。

しかし、怪獣の攻撃は止まらない!!ついには、バリヤーが破られペドトラマンがビルを壊す。

 

ぺドーン!ぺドーン!ぺドーン!

 

突如ペドトラマンの胸のタイマーが鳴る。

ペドトラマンは、ペドーの中にある幼女成分によって戦っている。

しかし、巨大な姿では幼女と触れ合えず、さみしくなってしまう為、ペドトラマンが巨大な姿で戦えるのは、3分が限度なのだ。

制限時間を過ぎると約8時間程度、幼女と触れ合ってからしか再度の変身は出来ないのだ!!

 

(くそぉ!!幼女をぺろぺろしたくなってきた!!はやく、怪獣倒さなアカン!!)

ペドトラマンの中で、ペドーが幼女不足に苦しみだした。

 

『ロリャぁアアああああ……』

ペドトラマンの両腕に、エネルギーが迸る!!

右手を地面の垂直のLの字に立てる。そして、左手はその肘に指先が付くように添える。

右手には、幼女と穏やかに楽しく見守って過ごしたいという、正の欲求を。

左手には、無垢な幼女を多少強引に襲ってしまいたいという、負の欲求を。

 

『ペドォ!!』

その二つの、欲求をショートさせる!

この光線は072万度にも達する、エネルギー!!通称「LO-prpr光線」だ!!

右手から発される、エネルギーが怪物に直撃する!!!

 

『きっしゃぁ……ああああ!!』

怪物は断末魔を上げて、爆発四散した。

 

『ロリィ!!』

ペドトラマンはその様子を見て、空の彼方へ飛んでいった。

 

 

 

「……え?なにこれ……」

琴里が目の前の、現実が未だに理解できずに、固まる。

 

「司令……ペドーさんを発見しまし……た」

メンバーの言葉通り、フラクシナスの下にはペドーがやり切った顔をして、七罪を連れて手を振っていた。




キャラ紹介!!

謎のヒーロー ペドトラマン。
遥か銀河の彼方、LO―10星雲からやってきた正義の宇宙人。
幼女の笑顔のために、侵略者と戦ってくれる。
弱点は地上では3分の制限時間が有る事。

仲間に「ペドい露出魔」の通り名を持つ『ペッドマン』がいる。
『ペッドファイト!!』の掛け声が聞こえたら、逃げるべし。

決して、正体を探ってはいけない。

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