デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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さてさて、遂に此処まで来た「豚パラノーマル」も大分佳境です。
遂に出てくるあの姿。
本編ではシリアスバリバリですが、このギャグ次元に通常のキャラで居られるのか!?


魔・王・君・臨!!

前回の振りかえり!!

 

「俺は……シドウ・イツカだぞ……コンくらい、何でもねぇ!」

↑本当に何でも無かった。

 

 

 

 

 

「お、コレっぽいよな?」

DEM社の一角、明らかに重要そうな、強固な鉄の扉の前にペドーが立つ。

フロアの案内板に有った案内では『第三実験室』と有った。

 

「ま、精霊を閉じ込めるなら、なるべく頑丈な方が良いのは当たり前だよね?」

コンコンとシェリが扉を手の甲で叩いて見せる。

 

『う~ん、流石にこれはよしのんでも手こずるかな?』

よしのんもパペットの手を扉に正拳突きの構えで叩く。

 

「じゃあ、かーどきーのでばんですわね」

くるみが横のコンソールにカードキーを指しこみ、おそらく他の狂三が得たであろうパスワードを打ち込む。

すると、頑丈な鉄の扉は音もなく、3人を迎え入れた。

 

「お邪魔しま~す……」

律儀に挨拶をして、ペドーが第三実験室へと入って行く。

そこは、薄暗く冷ややかな鉄で出来た壁や床が、無機質な冷たさを感じさせる部屋だった。

 

「あ”!?」

ペドーが目にしたのは、ガラスの向こうでうなだれる十香だった。

嘗てフラクシナスで琴理を閉じ込め、現在では美九()が閉じ込められているハズの隔離部屋に非常によく似ていた。

様々な機械が取り付けられた、椅子に十香が座りヘッドギアと複数のチューブがつながれている。

 

「うわぁお……気まずい……すさまじく気まずいぞ……目を覚ます前に帰る――おを!?」

 

ドシン!

 

暗い部屋の中、ペドーが何かを踏んで尻餅をつく。

 

「いてて……なんだ?」

 

「赤ちゃんの……」

 

「ガラガラか?」

シェリが拾って持ってきたのは、プラスチックの筒に取っ手が付いており、ピンクの色で蝶などのキャラクターが側面に踊っている。振ると優しい音色で音が聞こえる。

そう、所謂赤ん坊の玩具であるガラガラ。

 

「なんでガラガラが……?

ハッ!?まさか!!」

場違いなアイテムの登場にペドーの脳細胞が刺激される!!

 

「そうか……きっと、この部屋は人間を若返らせる実験の部屋なんだ!!

恐らくDEM社は、精霊を若返らせ無垢な状態……ロリ精霊にして力を無力化させる実験をしていたに違いない!!おそらく十香もすぐに、四糸乃位の幼女にされてしまうに違いない!!科学のチカラってスゲー!!」

一人エキサイトするペドーを諫める様に、部屋の中に知らない声が響いた。

 

ちゅぱっ!

 

「なるほど、それは良いアイディアだね――けど、この部屋はそんな実験の為の部屋ではないよ」

他に誰かいると思っていなかったペドーが、『誰か』の声に驚く。

暗い部屋の奥、そこから声は聞こえていた。

 

ちゅぱっ!

 

「――待っていたよ。〈プリンセス〉の友人でいいのかな?

私はDEM社、社長の――ちゅぱっ!」

アッシュブロンドの髪に、猛禽を思わせる鋭い眼光。

そして、明らかに幼児用のサイズの合っていない靴下と、ピンクの涎掛けそして白い紙おむつ!!

360度何処を見ても、完全完璧なヘンタイがそこに居た!!

 

「失礼――DEM社、社長のアイザック・ウェスコットだ」

哺乳瓶を口から外し、恭しく挨拶をした。

 

「うわぁあああああ!!!変態だぁあああああああ!!!」

ペドーが珍しく大声を上げて、非常に嫌そうな顔をする。

 

「さ、作戦ターイム!!」

手でアルファベットのTを形作り、ペドーが幼女3人と作戦タイムに入った。

 

「仕方ないな……早くしてくれよ?」

作戦タイムに入った4人を見て、ウェスコットは取り外した哺乳瓶を咥えると再びちゅぱちゅぱと吸い始めた。

 

 

 

「やばいぞ、やばいぞ、やばいぞ……ここは、ラスボス的な強いウィザードが出てくると思ってたけど、あれは想定外だぞ……?」

 

「ぐす、っ……ひぐっ……」

余りに異様なモノを見せられたショックか、元来気の弱い四糸乃はすっかり泣いてしまっている。

いや、四糸乃だけではない。

くるみはショックのあまり、全てがうわの空だし、シェリは何とも言えない苦笑いを浮かべている。

 

「な、なにかのまちがいかもしれませんよ?」

 

「赤ちゃんプレイを楽しんでいたら急に攫われてって?」

首だけを動かし、ペドーが赤ちゃんプレイ野郎を見る。

 

ちゅぱちゅぱちゅぱっ!

 

無表情で、ひたすらに哺乳瓶のミルクを吸い続けているその姿。

見るモノを圧倒するというか、出来れば見たくないというか……

だが、その潔いまでの赤ちゃんプレイスタイルには、赤ちゃんプレイと長い間向き合った存在のみが纏う、一種の悟りめいた『慣れ』が存在した。

 

「だめだ、どっから見ても正真正銘のベテラン赤ちゃんだぜ!!」

その時ウェスコットの視線が、ペドーの顔を捉えた。

 

「君は……君は何者だ?まさか、いや、そんなはずは――そうか!

君がイツカ・シドー……くははは、そうか、全てはアイツの思うがままという事か……」

 

「なにか語りだしたぞ?っていうか、知り合いか?やっぱりヘンタイ同士は惹かれ合うのか?」

ジト目でシェリがペドーを見る。

 

「違うよ!!俺はあんな変態野郎知らないよ!!」

必死になってペドーが否定する。

しかし、幼女精霊たちの脳裏には、いつもの奇行を見せるペドーの姿がものの見事に思い浮かび、それどころか赤ちゃんプレイ野郎とペドーが楽しそうに肩を組んで笑い合うイメージが簡単に湧いてくる!!

赤ちゃんプレイ!!ロリコン!!ベストマッチ!!

 

「ちゅぱちゅぱちゅぱ……君の目的は分かっているよ……ちゅぱちゅぱちゅぱ!!

〈プリンセス〉の奪還の為に来たのだろ?

本当に……ちゅぱちゅぱ……惜しいのだが、天使を操る少年に非力な赤ちゃんにすぎない私が……ちゅぱちゅぱ……勝てる訳がない……ちゅぱちゅぱ……仕方ない彼女は解放しよう……ちゅぱちゅぱちゅぱ!!!ちゅぱちゅぱちゅぱ!!ちゅぱっ!」

 

「ちゅぱちゅぱうるせーよ!!ああもう!!頭おかしくなるわ!!」

 

「ぺどーさんはもともとおかしくありません?」

 

「同感だ。ペド野郎はコイツレベルで頭オカシー」

 

『四糸乃もそう思う?』

 

「えっと、可哀想なので言えません……」

ペドーの言葉に、3人が苦笑いを浮かべる。

 

「味方はゼロか!?」

その時、十香の居る部屋のカギが外れる音がした。

ペドーは聞いていなかったが、うぇすちゃまがカギを外したのだろう。

それと同時に十香が目を覚ます。

 

「ぬ……ペドー?っ!!ペドー!!迎えに来てくれたのか!!!」

 

「ああ、あああ……目覚ましちゃったし……

見なかった事にする作戦は使えないな……」

ガチャガチャと金属製を腕輪や拘束具を引きちぎりながら、十香がこちらに嬉しそうに手を振る。

 

「ハぁ――仕方ないか、とりあえず十香を助けて俺のロリハーレム+十香で探索を――」

ため息を付いてペドーが、十香の居る部屋のガラスをたたき割ろうと歩いていく。

その時、再度赤ちゃんプレイ野郎が口をひらいた。

 

「ああ、そうだ少年。そこは危険だ――死んでしまうよ?」

 

「は?」

 

ずぶッ!

 

胸に突然の衝撃。自身の胸を見るとそこから綺麗なレーザーの刃が生えていた。

始めに感じたのは『熱さ』そして次に『痛み』。

 

「ぐぁ!?」

 

「アイクに向かう剣はすべて私が折ります」

ペドーの後ろ、そこに止血を済ませたエレンがレーザーブレードを構え立っていた。

冷酷な瞳で、ペドーからブレードを引き抜いた。

 

「ま、じ……か……よ……」

歩こうとして、ペドーが十香と自身を阻むガラスに寄り掛かる。

そして一瞬の後、力なく膝から崩れ落ちた。

赤い液体が、ガラスに汚れを残す。

 

「ペドーぉ!!」

十香の目の前で、ペドーが震える手でガラスに血で文字を書く。

 

キュっ――!

 

『幼女命』

 

パたッ!

 

「ペドーぉおおお!!!」

 

キュっ――!

 

『幼女prpr』

 

パたたッ!

 

「ペドォオオオオオオ!!!!」

 

キュっ――!

 

『幼女だけの世界に行きたい』

 

「ペドォオオオオオオぉ!!そろそろ死ねぇぇええええ!!!」

十香の言葉を受け次こそ完璧にペドーが倒れた。

 

「ハッ!?ペドーが!!」

何とか状況を整理した、十香が改めて目の前でペドーが死にそうな事態に気が付く。

 

「さて、ヤトガミ・トオカ。これから君の愛しの彼をむごたらしく殺そうと思う。

ブレードで内蔵を抉りだしても良いし、足から順番に全身の骨を砕いてもいい……

けど今日の気分はそうだな……うん、斬首が良い。エレン」

 

「はい、アイク」

エレンがブレードを構え振り上げる。

圧倒的なプレッシャー、嫌重圧だけではない。

エレンが恐らくテリトリーを発しているのだろう。

いっしょに来た、四糸乃もくるみもシェリも動けない。

だが、皆必死でペドーを見て――居ない。

 

(さっき、似たようなの、ありましたよね?)

 

(てんどんですわね、おわらいようごでいう)

 

(おーし、下ろせー!そのブレードをロリコン野郎に下ろせー!

ソイツは一回死ぬくらいで丁度いいから)

3人はさっき、似た様なモノを見たからか。

それとも、頭を落とされたくらいではペドーは死なないと思っているのか、意外と気楽だった。

だが、十香は別だった。

 

「ペドォ!!ペドォオオオオ!!」

ガチャガチャと、手足にまとわりつく拘束具を破壊してガラスの壁に向かって走っていく。

腕に自身の天使〈鏖殺公(サンダルフォン)〉を召喚して、ガラスを破ろうとする。

だが、ガラスに傷は付くものの、決してひびは入らない。

何度打っても、ひびが大きくなるものの決してそのガラスは破れない。

 

(ダメだ――()()()()。天使では『足りない』)

もっと奥の、もっと『強大な力』が必要だ。

十香が自身の中の何か大きなものが胎動するのを感じた。

その『何か』がゆっくりと自身に混じっていく感覚がして――!

 

カッ――!!

 

光が瞬いた。黒い、漆黒の輝く矛盾をはらんだ光が十香を包み込む様に、爆発した。

 

それはすさまじく大きな光の、力の奔流!!!

天使をも超えた爆発的な巨大すぎる力がDEX社のビルを吹き飛ばした!!

 

 

 

 

 

「いてて……何が?」

数瞬の後ペドーが目を覚ます。

最初に目に入ってきた物は星だった。()()()()()

 

「なんだこれ……」

ペドーが周囲を見て絶句する。

さっきまでビルの一室だったのに、壁が屋根が無くなっていた。

まるで屋根を切って車を無理やりオープンカーにするごとく、力技でDEM社の一室は何とも言えない解放感溢れる空間になった。

 

「ペドーさん……無事です……か?」

 

『やっほー、よしのんは無事だよ?』

部屋の端にいた四糸乃が声をかけてくれる。

その隣には、くるみも居た。気を失っているがけがは無いようだった。

 

「シェリちゃんは!?何時かあのスパッツをマスクに加工する計画だったのに……!!」

 

「オマエー!!ボクのスパッツにナニする気だぁ!!」

 

「あ、生きてた!」

ゴロンと瓦礫の下からシェリが姿を現した。

鼻の頭を擦りむいた様で、小さな傷が出来ていた。

 

「まったく、油断も隙も無いロリコンだな……

そんな事より、アレどうする?」

シェリの指さした先、そこには十香の様な精霊とウェスコットが向き合ってた。

 

 

 

「ここは何処だ?貴様らはなんだ?」

十香本来の霊装とは違う漆黒のドレス、〈鏖殺公(サンダルフォン)〉とも違う、黒い光を発する剣、そして冷酷な感情のこもっていない冷たい瞳。

 

「素晴らしい――!!エレン!!これが【反転】だ。

ふふふ、精霊は今、魔王となった!!控えろ人類!!魔王ママの凱旋だ!!」

酷くはしゃぐ様子のウェスコット。

エレンが、十香の前に剣を構え悠然と降り立った。

 

「さぁ、エレン。この魔王を屠ってしまおう。

いや、正確には、殺さない程度に屈服させて私のママにするんだ!!

うふふ、オムツを変えてもらって、ミルクを飲ませてもらって、お風呂に入れてもらうんだ!!」

 

「はい、うぇすちゃま」

 

「な、なんだお前は!?ひどく気持ち悪いぞ!!」

魔王はうぇすちゃまのいきなりのカミングアウトに、苦虫をかみつぶしたような顔をした。

 

 

 

「なぁ、見なかった事にして帰っちゃダメかな?」

非常に、非常に真剣な顔をしてペドーが一人つぶやいた。




DEM社秘密装備

XP-01〈ダイダロス〉赤ちゃんの持つガラガラに偽装したビームブレード。
ガラガラを振る事で、内部のエネルギーが拡販されブレードの威力を変えることが可能。具体的にはよりガラガラすれば威力は上がる。
さらに、その特性上戦闘中に絶えず威力が上がり続ける。
問題点は、戦闘の始まりから終わりまで非常にガラガラとうるさい事。

XP-02〈イージス〉涎掛け型の防御アーマー。
胴体を守るのがメインだが、おしゃぶり型コントローラーで目の前にエネルギーシールドを張れる。
この盾は、展開するのも発動するのも保持するのも手を使わないという利点があり、戦いにおいては自由に出現させれて構える必要すらないという、革新的な性能を持つ。
問題点は、戦闘の始まりから終わりまで非常にちゅぱちゅぱうるさい事。

XPはいわば、ウェスコット専用装備を意味するコードである。
というか、新装備として涎掛けとおしゃぶりとガラガラ渡されたら、多分転職する。
そう言う意味でも、ウェスコットの専用装備。

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