デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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しゃあ!!投稿だ!!

そして主人公が……!!


目覚めよ!!その魂!!

「グフッ!?」

ザクとは違うのだよ!!なんてセリフが自身の口から出そうになった。

正直言って何時もの悪ふざけ的な話だ。

 

「ぺ、ペドー!!!!」

 

余りに無垢で、あまりに純粋な幼子の様な十香――

この世界の常識に疎い十香をからかって、適当な事教え込んで……

そんな事を考えていた士道の視界に入って来た十香は今にも泣きそうな顔をしていた――

 

どうした?また黄な粉が欲しいのか?好きなだけやるからもう泣くな……

 

笑みを浮かべて、安心させようと思ったがもう口が動かなかった。

手を取って、ひょっとしたら友達に成れたかも、なんて考えたがもう差し出す手は動かなかった。

ただ、ただジクジクと響く様な『熱さ』だけが体を支配していた。

体が地面に倒れる。

 

十香が叫ぶがもう何も聞こえない――

十香を見たいがもう何も見えない――

 

死神の足音だけが、静かに、確かに……

 

 

 

 

 

「やっべ、また、やっちゃった。テヘペロ」

世紀末風のアーマーを来た男が、片目をつぶりウインクする。

その様子を見て、折紙はひどくいら立った今はそんな事言っている暇はない!!

 

自分たちに気が付いた『世界を殺す災い(精霊)』がこちらに向かっていた。

 

「お前らか」

凛とした声がその場にいたASTの全員の耳に届いた。

 

まさか、と思いつつもその声の方向を向いた。

 

「お前らが、ペドーをぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「ギャッ……ハ?」

士道を誤射した、スズモトが精霊の剣によって叩き潰される!!

世紀末風、ワイヤリングスーツのお陰で即死は無いだろうが命にかかわる状況には変わりない。

 

「くッ!!」

その隙に他の隊員たちは、すぐに戦闘準備を終了させていた。

 

「かかってこい……私の、ペドーの思いを踏みにじった報いをその身に受けるがよい!!はぁああああああああ!!!」

圧倒的な光を纏った剣を精霊が振るう。

 

なぜだろうか、ASTのメンバーは無性にお母さんに会いたくなった。

 

 

 

 

 

「イェス!!」

胸に穴の開いた士道を見て、琴里がガッツポーズをする!!

妹が兄の死にざまを喜ぶという異様な光景に、クルーたちが冷めた目で琴里を眺め始める。

 

(ペドーさん、いろいろやってたから……)

ヒソヒソ……

(けど、兄なのよ?)

ヒソヒソ……

(兄だからこそ、これ以上の罪を重ねる前に――)

口々のクルーが、噂話を始める。

 

「始まったわね」

琴里の言葉に、依って画面を見たクルーが驚愕の声を上げた。

 

「あ!?」

 

「まさか!?」

 

死体となった、士道の傷を舐める様に炎が現れ傷をまるで逆再生映像の様に修復していく。

 

『ん?俺は……』

そして画面の士道が口をきいたのだった。

 

「ノーコンティニューでクリアは無理だったわね。

けど、此処まで出来たのは上出来よ。

さぁ、士道を回収して!!こんな茶番、終わらせましょう!!!」

ペッと飴の棒を吐き捨てた。

速やかに神無月が、それをひどく興奮した様子で回収したが、画面を見る琴里は気が付かなかった!!

 

 

 

 

 

「ん?俺は……」

倒れていた士道がその場で起き上がる。

制服の腹に大穴が開き、ネクタイは途中で切れ、なぜかズボンとパンツの股間部分がが消失しているが身体に一切のダメージは無かった。

 

「アレは……十香?」

視界の端、町の向こうで爆発音が聞こえてくる。

何が有ったのか、混乱気味の状況を整理する。

 

(急に弾丸が来て――そうだ、俺は当たったハズなのに!!)

バッと自身の体を見る、傷などどこにもなく服だけがダメージを受けていた。

 

「なんでだ……けど、今わかる事は――十香があそこにいる事と……

街中でズボンを脱ぐと思ったほか興奮する事位だな……」

 

おめでとう!!士道は新たな性癖『露出癖』を手に入れた!!

【今まで獲得した性癖】

ロリコン

露出癖←new!!

 

「はぁ……はぁ……この、己の内側からあふれ出るパトスを解放するには……

腰を激しく振ってダンスするしかない!!

セイセイセイセイセイセ!!!!フッフー!!!!」

己の本能の命じるままに士道は激しくダンシング!!

国境、性別、身分、差別、この激しい踊りにはそう言った世界のしがらみから解放された様な自由があった!!様な気がした、少なくとも士道には……

 

この踊りを世界のみんなが同時に踊ればきっと世界は平和になるのでは?とすら士道は思い始めた。

*実際にやると捕まります。

 

「俺の……俺の踊りを見てくれ!!」

 

 

 

「………………うわぁ……………」

 

「キッツいわー………………」

 

「ふっふ――――え?」

令音と琴里の声に気が付くと、そこはいつの間にかフラクシナス内部!!

メンバーが大急ぎで士道を回収したらしい。

 

「この変態、間違いなくレベルアップしてる……なんで!?死の淵から生還するとサイヤ人の戦闘力みたいに、変態度がアップするの!?」

 

「落ち着け、琴里……な?」

慌てて、琴里をなだめ始める士道(局部露出)!!

自身の分身を隠す事なく、自身の愛しい妹を落ち着かせようとする。

 

「う、うわぁああああんん!!やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!

こんな変態がお兄ちゃんなんてやだぁー!!!」

ボロボロと涙を流し、わがままを言う子供の様に泣きじゃくる!!

 

「琴里……覚えてるか?その黒いリボン……

実は俺が『琴里にもっと強くなってほしい』って願いを込めたリボンなんだ。

なぁ、そのリボンを付けている間だけで、良いから強い琴里に成ってくれよ?」

穏やかな顔を浮かべ、泣きじゃくる琴里を励ます。

甘さだけではない、兄として自身の妹が強く生きる様にと願いを込めた言葉だった。

 

「私が……強く?」

 

「そうだよ?」

一言一言、琴里が噛みしめる様に繰り返す。

 

「変態が言っても説得力無いのよ!!」

ブチ切れた琴里が立ち上がる!!

 

「琴里!?」

 

「今すぐ、下に降りて精霊にキスして霊力封印してきなさい!!好感度的に十分だから!!」

 

「え、き、き……ごにょ、ごにょ……するなんて……俺には――

だ、第一、そう言うのは、結婚する相手としか――」

士道が顔を赤らめて、琴里から目を逸らす。

 

「テメェは乙女か!?アンだけ、パンツ、幼女言っておいて実は奥手か!?

寧ろ、お前の生き方の方がずっと恥ずかしいからな!?

自覚あるか!?普通の人間と感性ずれまくっているんだよ!!」

青筋を立てながら、士道の半分に成ったネクタイを掴み上げ、士道を締め上げる!!

そして、自身のインカムを触って神無月に指示を出す!!

 

「神無月ぃ!!今すぐ、私の指定した場所にこの変態を送り届けて!!3秒以内に出来なかった場合、アンタも同じ目に会わせるから!!」

 

『は、はぃぃぃぃぃ!!』

 

「おら!!さっさと逝ってこい!!」

 

ゲシ!!

 

「ぺぷち!!」

琴里が士道、フラクシナスのワープ装置に蹴りこんだ!!

 

「GO!!」

琴里の合図で士道の姿が消えた!!

 

「ふむ、精霊の元に送ったんだね?」

 

「半分正解」

令音の言葉に琴里が肩で息をしながら答えた。

 

「半分?」

 

「上空、オゾンすれすれの場所に送ってやったわ……

酸素が無くて、一回くらい窒息するでしょうけど、まぁ、頭冷やすには丁度良いわね」

くくくと暗い笑いをしながら、琴里が笑った。

 

 

 

 

 

「うわぁあああああああ!!宇宙キター!!!」

フラクシナスから打ち上げられて、地球の丸さがわかる位置まで来た士道!!

あたふたと、慌てて手足を動かす(局部露出)!!

 

「あ?」

夢か幻か、宇宙を漂う人の形の様な物を見つける。

 

「ふむん?」

それは、確かに生きていた。

 

(う、宇宙人だ!!あ、挨拶しなきゃ!!)

 

「オッス、オラ、ペドー!!ムラムラすっぞ!!」

 

「ふむ、ん!・?ダグバ・【(ゼグヴァ)】!!」

挨拶をしたというのに、宇宙人(仮)は自分の胸に鍵の様な物を指して、究極の闇たる宇宙の何処かへ行ってしまった!!

 

「あーあ、宇宙ロリと友達に成りたかったなー」

そんな事を思いながら、士道は再び地球の重力に捕まり落下を始めた!!

 

「うわわわ!?コレ、やばいんじゃねーの!?我が魂は幼女と共にー!!!」

死の覚悟をした、士道がメテオと化しながら落下していく!!

 

「お、おお!?」

しかしフラクシナスの制御下にあるのか、ゆっくりと士道の町へと落下していった。

そして、目にするのは、巨大な剣を振り回す十香!!

 

「十香ぁああああああ!!!」

十香目指して、士道が落下していく!!

 

「ぬ……ぺ、ペドー!!お主、生きておったのか!?」

上空から迫る士道を見て十香が驚きの声を上げる!!

 

「あ!!ちょ!!ストップ!!ストップ!!当たる!!剣、当ぁあああああああああああああ!!!!?ぎゃぁあああああああああああああああああ??!?!?!???」

十香が驚き振り返った拍子に、士道が霊力を纏った十香の剣に触れてしまう!!

 

ボテン!!

 

そして十香の近くの落ちる士道だった物……

 

「あ、ああああ!!私がペドーを!!」

 

「だ、大丈夫だ……」

ボロボロになりながら、士道が何とか立ち上がる。

最早ズボンはすべて燃え尽きて、ブレザーを羽織った変態にしか見えないがとにかく生きていた!!

 

「お主不死身か?」

 

「いや、スゲー痛い……ってか、剣どうにかしろよ。

邪魔じゃん、デートの続きに不便だろ?」

 

「た、確かに――む?まだ、でぇとを続けるのか?」

 

「最終的にキスまで行くのが目的だって」

 

「キス?」

 

「こう、唇をくっつけて――」

尋ねる十香に士道が説明する。

制服の上着にあった、自身の『お気に入り』を十香に見せる。

そこには、目にハイライトの無い幼女にキモデブのおっさんがキスしているシーンが書かれていた。

 

「おお!!理解した!!イザ!!」

十香がそう言った瞬間、士道の唇に十香の唇が重なる!!

無理やりくっつけたので歯同士が当たり、口の中に血の味が広がった!!

初キスは血液の味!!

 

「むぐ!?」

その瞬間、士道の口に何か生暖かい物が流れ込んで切る。

気が付くと、十香の霊装が消え失せ半裸の状態となっていた。

下半身露出士道と半裸の十香、傍目からどう見ても露出プレーを楽しむカップルに成っていた!!

 

後に士道はこう語る。

「え?初めてのデート?最初にパン屋に行って、最終的に野外露出で終わったよ」

 

 

 

 

「な、なぜだ!?なぜ私の霊装が……!!」

 

「あー、それはたぶん……俺の責任だ。だが、俺は謝らない!!」

 

「この……!!痴れ者が!!」

十香のビンタによって、士道の意識はそこで刈り取られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――以上です」

フラクシナス内部、琴里しか入れない部屋で琴里が今回の事の顛末を説明していた。

琴里以外、4つのぬいぐるみがスピーカー越に話している。

 

「彼の力は本物だったか」

イカのぬいぐるみが小さくつぶやいた。

 

「ふふふ……楽しくなりそうだ」

その隣のガラガラ蛇のぬいぐるみが同じくつぶやいた。

 

「そうそう楽観的にも行かん……精霊の力を取り込んだのだ。

何か問題が――」

その反対側、なぜか金色の狼の人形が話す。

 

「士道なら問題ありません、実際調べてみましたがおかしな部分は現時点で全くありません」

琴里がが不機嫌そうに、説明した。

 

「まぁいい。今回の君たちの活躍は高く評価するよ」

最後のぬいぐるみ、赤いフードを着たぬいぐるみがしゃべった。

 

 

 

 

 

「ティッシュOK、栄養ドリンクOK……さぁ!!レッツプレー!」

士道は約束通り令音から渡された、R17、9のゲームをプレイしようとしていた!!

 

「さぁレッツプレ――」

 

「ペドー!!聞いてくれ!!私も明日から学校へ――」

 

「うるせぇ!!今幼女との蜜月なんだよ!!ここに居ていいのは、幼女だけだぁ!!」

バタンと勢いよく扉を閉めた!!

その日十香は空しく扉を叩き続けたという……




キャラクター紹介!!

スズモト・ユウキ。
十香につぶされたヒャッハー系AST。
服装は世紀末ルックに、黄色いモヒカン。

日常では、民間会社に勤めている商社マン。
幼い頃、空間震によって自身の母を失う。
一時期はそれが原因でグレ、中学高校と喧嘩に明け暮れる。
偶然、『空間震被害者の会』に参加して、空間震の後から発掘されていた母からの手紙を渡される。
そこには、母の自分の幸せを願うメッセージが有った。
その事から心を入れ替え、母に見せて恥ずかしくない立派な大人に成ろうと決意する。

大学時代で、恋人ができ幸せな家族が出来ると思った矢先、再び空間震で恋人を失う。
その後ASTに誘われ、自身の母と恋人を奪った真犯人である精霊について知る。

自然災害だから仕方ない、と心に押し込めていた怒りが真実を知り一気に爆発する。
しかし初めて精霊に会った時、見た目は普通の少女であり過去の恋人と重ねてしまう。
恋人はきっと復讐など望んでいない。母はきっと今の自分を見ても喜ばない事を理解してしまう。
しかし、心に焼き付いた復讐心は決して消えなかった。

彼は今日も、母と恋人の願いに背いて戦い続ける。
彼のヒャッハーは、己の悲しみと、自身の愛した者を裏切る事への後ろめたさから来ているのかもしれない。

士道が、霊力を封じた為、自身の目的を果たすチャンスを永遠に失ってしまう。
彼は今日も何処かで、いるハズの無い復讐相手を探してヒャッハーしているのかもしれない……

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