デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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さてさえ、長くなったこの章も大分クライマックスです。
最初からクライマックスのペドーさんも、ラストに向けて頑張ってくれています。


魍・魎・跋・扈!!

それはまるで、何時かTVで見た何処かの軍隊の行進の様であった。

ザッ!ザッ!ザッ!

多くの足音が、ほぼ同時に踏み出され隊列を成して歩いている。

だが、異様な点が一つ。それは彼らが従っているのは軍の軍師でも指導者でもなく()()()()()()()()()だという事だった。

 

「マズイな……あれ全部が、美九()の兵隊かよ……」

路地の裏、右手によしのんを装着したペドーがこっそりと様子を伺う。

 

「うーん、これは美九って子に近づくだけでも大変だよね~」

 

「ああっ、四糸乃ごめんよ……仕方ないとはいえ、泣かしてしまった……

そしてその泣き顔のぞくぞくしてしまう俺が居る……うん、興奮してきたゾイ!!」

パペットのよしのんが返事をして、ペドーが考え込む。考え込む?

圧倒的準備不足、圧倒的人数差、圧倒的戦力差。

一人で1000人2000人相手に、圧勝出来る勇者などいなく、今ここに居るのはなんかしゃべりだしたパペットと、真正小児性愛者(ガチロリコン)そして……

 

「あの、ペドーさん?そろそろ服を着ません?」

かつてペドーと戦った最悪の精霊!!

その名も――

「来崎 時子……」

 

「違いますわ!!狂三ですわ!!時崎 狂三!!」

全裸のペドーに対して、狂三が食って掛かる!!

 

「はぁ?何言ってるんだ、くるみならさっきまでステージに一緒に居ました!!

第一、家のくるみちゃんがお前の様な年増なハズないだろ!?

いいか?くるみはなぁ!!ちっちゃいけど、頑張り屋でそのくせ大人に成ろうって毎日一生懸命なんだよ!!お前みたいな、授業受けない癖に学祭だけ来る奴とは違うんだよ!!」

ペドーの言葉に、狂三が多大なショックを受ける!!

コッチを振り向いたペドーさんの股間は不自然な光さんがブロックしてくれたよ!!

 

「あの、貴方の所にいるわたくしは、過去のわたくしですわよ?

寧ろわたくしが本物で――」

 

「年を取った幼女に価値はなし!!」

圧倒的拒絶!!その態度に、狂三が自身の頭を抑える。

 

「ああもう……なんでこの人は、幼女以外眼中に有りませんの!?」

どうにか、自身の計画に賛同させようとした時、他の分身の狂三が走って来て耳打ちをした。

それは、たった今起こっていた事件で――

 

「ペドーさん、聞いてくださいまし。あなたの友人の十香さんがDEM社の執行部長エレンメイザースに捕まった様ですわ」

数人の精霊が残ったステージ、なぜかペドーを探しに行かず食べ物コーナーをうろついていた十香がエレンにさらわれたというのだ。

具体的には「お嬢さん、お菓子食べ放題の店がありますよ?」「よし、行こう」という非常に高度なエレンの計画により十香が攫われたというのだ。

 

「なに!?」

 

「さぁ、戦力も服も無いペドーさん?十香さんが大切じゃなくて?

無様に懇願すれば手を差し伸べてあげない事も無いですわよ?」

怪しい笑みを浮かべ、狂三が語る。

そう、これぞ最悪の精霊の姿、甘い誘惑で誘い込みその対象の躊躇する姿を――

 

「後で良くない?っていうか、ほっておいちゃダメなん?」

 

「ちょっと!?少しは心配したらどうですの!?DEM社ですわよ!!

精霊を殺す組織ですし、何をするとか、何が目的とか多少は考えて……

って言うか、それでも本当に主人公ですの!?」

 

「うわー、メタ発言!!けど、ヒロイン=攫われるってのも安直じゃない?

今のトレンドは『攫われたけど、自力で帰ってくる系』ヒロインだと思うなー」

取り付く島もないとはまさにこのこと!!

とうとう心折れた、狂三が地面の手をつき挫折のポーズを現した。

 

「もう!!なんなんですの!!なんで、この人は此処までわたくしの計画通りに動きませんの!?

ああもう!!ペドーさんを出汁にして、第2の精霊を探す作戦がパーですわ!!」

 

「第2の精霊?」

気になる単語があったのか、ペドーが狂三の言葉に反応した。

 

「ええ、DEM社に居るっていう史上2番目に出現した精霊ですわ……

出来る事なら、その精霊から情報を聞きたかったんですけど……」

 

「なぁ、第2の精霊ってどんな奴なんだよ?」

この時ペドーは、少し気がかりな部分があったのだ。

もしかしたら、万が一の可能性を考慮して――

 

「知りませんわ、情報はほぼゼロで容姿すらわかって――」

 

「それなら……助けに行くか!!」

ペドーが蹲る狂三を起こす。

狂三はペドーの言葉が理解できない。といった顔をした。

 

「なんで?なんで急に?」

 

「もしも、もしもの可能性だが……第2の精霊が幼女だったら……

しかも俺好みの幼女だったら、助け出すしかないだろ!?

幼女監禁とか、DEM許せねぇ!!二人でなんとしても第2の幼女を助け出すぞ!!」

さっきと一転!すさまじい闘志を燃やすペドー!!

 

「え、ええ……」

狂三は第2の精霊が必ずしも、幼女ではないだろうがそのことを口に出すのは止めておくことにした。

 

 

 

 

 

「では、現状を整理しますわよ?服を着ながらで良いので聞いてください」

腰に手を当て、適当なビルの一室で狂三が説明する。

自身の分身が適当な店で、買ってきた(盗んできた)服をペドーにわたす。

 

「ふむ……」

 

「正直って、ペドーさんのバックの組織は停止状態。そしてお気に入りの精霊たちはむしろ相手の戦力――つまり貴方を助ける人は誰も居ませんのよ?」

 

『よしのんが居るよ!!』

ペドーのパペット、よしのんが元気に自身をアピールした。

 

「ええ、そうでしたわね……」

一応、と言いながらよしのんを戦力に数える狂三。

そうしないと色々うるさそうだからだ、何をするか分からないという意味では他者所か精霊すら凌駕するロリコンの相手に狂三は疲れ果てていたというのもある。

 

「相手の精霊は、どんどん戦力を増強させています……あら、TVのヘリまでも……」

二人の頭上を非常に低い高度でヘリが飛ぶ。

機体の底に、TVの文字が見えたので恐らく取材で来ていたのを、【歌】で乗っ取ったのだろう。

 

「時間と共に……状態は悪くなる……か」

何処か疲れた様にペドーがため息を付く。

 

「あら?気力が先に折れましたの?なら、ここで貴方を頂いても――」

 

「幼女が足りない……ああ、いつでも近くにいたハズなのに……くぅ!!

禁断症状が!!ああ、幼女成分が足りない!!ロリコニウムが足りない!!

ハッ!?そうだ――!!」

何かを思いついたペドーが、よしのんをひっくり返しそのまま鼻を突っ込んだ!!

 

「すーはー……こーほー……ああぁ~生き返るぅ……四糸乃がずっとつけてたよしのんの匂い……純度100%幼女の香り……」

数回吸うとまるで危ないお薬の使用者の様にペドーの目がトロンとする。

 

(……もう帰りたい……)

流石の狂三もドン引きして、真剣に第二の精霊をあきらめようとすら考え始めてしまう。

 

そんな時――

 

「うお!?」

突如突如ペドーの携帯に着信が来て驚く。

 

「気を付けてくださいまし、見つかると事ですわよ?」

 

「多分だけど、大丈夫だ……」

狂三が注意を促すが、携帯の着信相手の名は神無月。

ある意味同じ同士にして、超進化変態の一人である為信用できる相手だった。

 

「ハイ、もしもし。ねぇねぇ……君の胸のサイズ幾つぅ?」

 

『はぁはぁ、きみぃ……今どんなパンツ履いて……』

 

「神無月さん!!無事だったんですね!!」

 

「最初の一言以降おかしくありません!?」

お互いの無事を喜ぶ変態二人。唯一の常識人である狂三はむなしく叫ぶばかりだ。

 

 

「神無月さん、琴理は――フラクシナスはどうなったんですか?!」

ペドーの心配はもっともだ。

会場からの脱出に琴理を利用したが、すでに琴理は洗脳されていることが確定している。

 

「それならご心配なく、司令官及び一部のクルーが反逆を起こしたんですが、すでに暴動は鎮圧しましたよ」

そう言って神無月が、メインルームの一部に目を向ける。

そこには――

 

「むーー!!むぅーーー!!」

手足を後ろ手に縛られ、縄を噛まされ目かくしをされた琴理と、普通に気絶させられた数名のクルーが居た。

 

 

 

 

 

「良かったぁ……神無月さんたちが居るならまだ希望はある……

それに、欲しいものも手に入ったし……えっと、時子頼みたいことが有るんだけど」

 

「もう時子で良いですわよ!」

頬を膨らませた狂三がペドーに乱暴に言い放った。

 

「ちょっと、『上』で作戦会議してくるから、適当によしのんとお話してて」

上空を指さしたペドーがその瞬間ふわりと浮かび上がる。

どうやらフラクシナスの一部機能が混乱から回復した様で、ペドーをクルーが回収した

のだろう。

それと同時に、ペドーがよしのんを外し狂三に投げる。

まるで素晴らしく精密なコントロールが成されたように、よしのんが狂三の手にすっぽり嵌まる。

 

「え、ちょ――きゃ!?」

 

『はぁい、時子おねーさん!ウチのくるみちゃんがおっきく成ったらこんなかんじなのかねぇ~』

 

「実際に大きくなった存在ですわよ!!っていうか、勝手に手が動いてパクパクしてますわ……

どういったトリックなのかしら?」

 

『いやーん、よしのんに興味深々!?』

様々な方角から、よしのんを見るが結局詳しい事は分からずじまいだ。

ペドーが去っていった、方角を見ながら狂三がため息を付いた。

 

「全く、この敵地の真ん中に私を置き去りにするなんて何を――」

愚痴をこぼそうとしたが、改めて手に嵌まるよしのんをみて狂三が止まる。

彼の大切な幼女、その大切な持ち物を自身に渡した。

それはひょっとしたら彼なりの、信用の証なのかもしれないと思うって狂三が小さく微笑んだ。

 

『あ、そうだ狂三おねーさん!ペドー君がイザっていうときの隠れ家に心辺りがあるみたいなんだけど……行ってみる?』

まさかのよしのんの問に一瞬狂三がキョトンとした顔をするが――

 

「へぇ、至れり尽くせりですのね」

何時もの様ににやりと笑った。

 

 

 

 

 

「神無月さん!?琴理は――」

 

「無事ですよ、ペドーさん」

神無月たちによって取り押さえられた、琴理がむなしく暴れる。

暴れる中で、微妙にスカートがめくれ下着が見えてくる。

縛られて!目かくしで!!猿轡で!!!脱ぎ掛け制服!!!!

 

「やっぱり、豚の歌を聞いたからですか?」

カシャ!カシャ!!

 

「ええ、あの歌は機械を通しても効果があるようで……

クルーの半分程度も同時に洗脳状態になった様です。あ、私は初めから無事でしたが……」

ジィィィィ……

お互いがカメラ、デジカメで琴理を撮影しながら、会話を続ける。

 

「何か、個人差が?けど、会場の人間のほとんどは洗脳されてたし……

洗脳されていない人は、どんな人ですか?」

 

「それなら、今ここにリストアップしてあります。

一回、誰が洗脳されたか確認に使いました」

神無月がリストをペドーに渡して、確認する。

 

早すぎた倦怠期(バッドマリッジ)〉川越。

社長(シャチョサン)〉幹本。

を始めとする以下数名が洗脳された様だ。

 

「あれ?まさか――」

そう思って、頭の中で該当人物を探し始める。

神無月は洗脳されていない、ぺらぺらと洗脳されていない人物を見てペドーがとある事に気が付く。

 

「コレ……無条件で洗脳できる訳じゃないんだ……いや、むしろ洗脳出来ない条件を持った人間が居るって考えるべきか」

そこからペドーは、自身の考えを神無月に話す。

他の無事なクルーにも、同じように自身の考えを聞いてもらい――

 

「あった!!例のデータ、ありましたよ!!」

一人のクルーがペドーの用意する様に頼んでいたデータを見つける。

そして、数人の工作員を町に落とし、僅かな時間だが天央祭の為に張り巡らされたスピーカーをジャックする。

フラクシナスのマイクと市内、美九によって洗脳された人間のひしめく場所に、自身の声を伝える。

雄々しく、そして自身に満ちた声で――

 

『この放送を聞く、自身の意思を持っている者、全員に告げる!!

今、この町は理性の箍が外れている!!町の中には、ふざけた巨乳に心奪われた者たちが我が物顔で闊歩している!!良いのか!!これで良いのか!!

否!!断じて否である!!立ち上がれ!!自身の性癖を誇る者達よ!!

今、世界の理性という封は解かれた!!!日陰に隠れた数奇者達よ!!

今こそ、己の性癖と共に立ち上がれ!!』

ペドーの声は町すべてへ聞こえる!!

そう、その声は震えるモノたちを呼び起こす声!!

 

とある場所で、一人の男が立ち上がる。

部屋の中は無数の抱き枕、外に干すにはアウトすぎる絵柄が大量に鎮座している。

ベットで横になる()に別れを告げ立ち上がった。

 

又別の場所では、一人の女が立ち上がる。

目の前には、原稿とペン。

そして白紙の中で広げられるのは男同士のめくるめくラブなロマンス。

彼女はペンを置いて立ち上がった。

 

とある留置所で男が顔を上げる。

色々と厳しいご時世、電車の中でおばあさんのたるんだ尻と胸をタッチした男はいつの間にか開いていた扉から歩いていく。

 

 

 

「おねぇ様!!タイヘンだ!!」

シェリが美九に向かって走ってくる。

 

「なんですかぁ?シェリちゃん?マイクジャックはもう終わったでしょう?」

精霊たちに囲まれ、フルーツを「あーん」してもらった美九が不機嫌そうに反応する。

 

「す、ステージの外に!!大量の変態が!!」

 

「なんですって!?」

美九が立ち上がるとステージの外方声がする!!

 

『巨乳は要らなーい!!』『マイノリティ(多数派)なんてくそだ!!』『2次こそ至高!!リアル堕肉に興味はない!!』

うじゃうじゃ、うじゃうじゃやってくるのはどう見ても変態たちの方々!!

美九の歌も気にせず歩いてくる!!ファンがそれを押しとどめるべく奔走する!!

 

「な、なんで……なんで私の歌が、効かないんですかぁ!!」

美九が悲鳴にも聞こえる声で、再び自身の精霊を動き出させる!!

その様子を離れた場所で、ペドーが見る。

 

「さぁ!!始まる!!熱狂的ファンを作る精霊と――自分の萌えに忠実な変態たちの戦いが……そして、俺も――!!」

最後の仕上げをするべくペドーがフラクシナスから降り立った。




美九の歌声は洗脳というより、自身を好きに成らせる力ととらえています。

所謂、メッシー、アッシー、ミツグ君を育てる力。
けどそんな存在に興味のない(愛する対象が2次元のみ、男同士にしか興味なし、小娘はNG)等々の人達には効かないのです。

要約すると、変態へ世界を救う!!素晴らしい!!

となります。

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