デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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ずいぶんお待たせしました!!
約一ヶ月ぶりの投稿です。

お待たせして申し話訳有りませんでした!!
べつに病気とかではないので、安心してくださいね?


勃・発・暴・動!!

天宮セントラルステージには、さっきまで舞台に上がっていたメンバーたちが総集結していた。

意図的に暗くされた、ホールにドラミングのだらららら……という、おなじみの曲が鳴る。

すべての出し物が終わった今、後は結果を残すばかり。

 

一世一代の美九との賭け。

 

ペドーが負ければ、四糸乃、くるみ、琴理、シェリ。

あと、胸部デブとナルシストな双子がとられてしまう。

だがそうしないと、美九を攻略できない。

攻略さえしてしまえば、霊力封印でどんな幼女も言いなりになる声が手に入り……

 

「ぐふ、ぐふふふふふ……」

心の中の邪な妄想が不気味な笑みとなって、ペドーからこぼれる。

その様子をすぐ隣で見る幼女精霊たち――

 

(なにか……良く無い事……考えてます、よね?)

 

(ぺどーさん、またよからぬことを……)

 

(うわー、キッモ!)

さっきまでは少しカッコよく見えたが、どうやらゲレンデの魔法ならぬステージの魔法だったようだ。

 

その瞬間、不意にドラムロールが止まり――

 

カァッ!!

 

『ステージ部門第3位は!!志余束高校、即席バンド《業速弓(カルマ・スピード)》の皆さんです!!』

 

照らされた位置にいた、男たちが歓声の包まれる!!

このメンバーはペドーたちの一歩先に出ていたグループで、同じく幼女を連れていたのを思い出した。

リーダーなのか、肩に青いカラーひよこを乗せた男が、手をゆっくり振るった。

 

(『志余束』ってたしか、怪しい男の言ってた飛び入りグループだよな?

飛び入りで賞取られたって、他の学校ブーイングだろうなー)

実際そこそこのレベルはあったと思うが、それでも飛び入りのグループに3位を取られたとなってはいい気はしないだろう。

 

(ま、飛び入りだからこそ印象に残ったっていう見方も出来るかな?)

そんな風に考えてる最中に再びドラムロールが始まった。

これは、運命の一瞬だ。

 

此処で美九の率いる竜胆寺の名が呼ばれれば、一位は他の学校へ。

しかしもし、ペドーのいる来禅の名が呼ばれれば――

 

『第二位は――惜しい!!僅差で敗北――来禅高校ォ!!』

聞こえた声の内容を理解した瞬間、ペドーがガクッと膝から崩れ落ちる。

 

『それでは栄光の一位は――』

聞こえてくる音が、遠い。

まるで耳に水が詰まってしまったようにボオッとした感覚。

何処か遠い所で音が鳴っている様に聞こえてくる。

 

「残念でしたね。けど、ちゃんと約束を守ってもらいますね?」

 

「豚……!」

打ちひしがれる、ペドーに追撃する様に美九が悠然と歩いてきた。

 

「では約束通り、士織さんと詩織さんの攻略した精霊の子はみんな――」

 

『という訳で!!天央祭一日目の総合優勝はぁ!!来禅高校だぁあああああああ!!!』

美九の声をかき消す様に、会場中に響くアナウンサーの声!!

その声に呆然とするのは――

 

「……あ、え……なん……で?」

さっきまで勝利を確信していた美九だった。

 

「ま、ステージにばかり予算出してたらこうなるよねー?

えっと、豚のクラスの出し物は……あ、ビデオ試写室か……部活とかのを編集したビデオを終始流すだけ?あー、これは勝てますわ。

ねぇねぇ、どんな気持ち?勝ったと思って煽りに来たら実は負けてたって、どんな気持ち?ねぇねぇ?D(どんな)K(気持ち)D(ですか)

へぇい!!DKD!!DKD!!DKD!!」

実はある程度予想していたペドー!!

仕返しとばかりに美九を全力で煽り返す!!

 

『いやー、今回はまさかの来禅高校の優勝でしたねー。

竜胆寺はやはりステージでは最高でしたが、今回は展示や出し物が振るわなかったようですねー。

それに比べ、来禅高校はメイド喫茶でした。いやー、これは行きますね!!

メイドのレベルも高くて、いやぁもう最高でしたね!!』

 

「おーおー、今回の優勝はうちの様だな!!

ヒャハハ!!!歌えない豚はただの豚だぁ!!大人しく豚舎に戻るんだなぁ!!

グッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」

中指を立てて舌を出しキッタネェ笑顔で美九を煽るペドーを見て、四糸乃くるみシェリの3人が申し訳なさそうに美九をながめている。

彼女の怒りを示す様に、プルプルと肩が震える。

 

「なんですか――これ……?」

美九が自身の声を絞り出す。

 

「ん?」

 

「私は、私は誘宵 美九ですよ!!

負ける訳ないじゃないですか!!

現に私は勝った!!勝ったんです!!あのこが、あの子たちがしっかりしないから――」

 

「うるせぇ2位!!」

 

「あう、えうぅううう!!!

わ、私が負けるなんてありえないんですよぉおおお!!

来なさぁい!!〈破軍歌姫(ガブリエェエエエエエエル)〉!!」

美九が腕を上げた瞬間、ステージに地面から光があふれ出てくる!!

そして地面から、ゆっくりと数本の鉄の筒――最も近い道具と言えばパイプオルガンだろうか?

 

観客が、突然の出来事でざわめきだした。

目の前の異常事態に、頭が付いていけない。

騒ぐだけで、突っ立っているばかりだ。

 

「おい、約束は――」

 

「歌え!!詠え!!謡え!!〈破軍歌姫(ガブリエェエエエエエエル)〉!!」

美九が光る鍵盤に指を走らせた瞬間、音が爆発する。

巨大なパイプオルガンから、大きな音が響く――!!

 

〈ボエェエエエエエエエ―――――――――――――――――!!〉

 

巨大な音が会場中を包み込む。

 

 

 

 

 

「うお?」

数秒後ペドーが耳から手をどけ、周囲を見回す。

そして、とある異常に気が付きギョッとする。

 

「んだ、コレ……」

会場中の観客が皆、直立不動で立って美九を見ている。

あまりに秩序的な不動の体制をみて、ペドーは何処かの軍隊の式典の映像を思い出す。

 

「まさか――」

 

「あっははは!そうですよ、これですよ。

私の力に掛かれば、みんな思い通りになるんです。

私に逆らう存在なんてあってはいけないんですよぉ?」

 

「「「美九様万歳!!美九様万歳!!美九様万歳!!」」」

洗脳された兵士に様に皆、美九様と喝采をする。

ぞぞぞっと、背中に悪寒が走った。

 

(豚の力――『お願い』の効果が、此処まで大きくなるのか!?)

会場の観客は、一瞬にして美九の手下に変わった。

声援をくれた客は皆、ペドーの敵へと変わった!!

 

「捕まえてください」

 

「お、い、なに――を!?」

数人のスタッフがペドーを後ろから捕まえる!!

罪びとの様に、ペドーを捉え両腕を広げさせる!!

あっけなく拘束されたペドーに、怪しげな笑みを浮かべ美九が近づく。

 

「おい、約束はどうした!?」

 

「そう怒らないでください、もう約束も関係ありません。

初めから、こうすればよかったんですよねぇ?」

つつーっと、美九がペドーの太ももを指先でなぞる。

年増のデブになでられた事で、ペドーに鳥肌が立つ。

 

「うふふ、そう睨まないでください。

すぐにみんな、私のおもいどおり――に!?」

腿を撫でていた美九が、ペドーの足の間に触れた瞬間言葉が止まる。

 

「え、いや……まさか?

か、確認してください!!」

美九の声に、同じく洗脳されたであろうシェリが走って来て、ペドーのスカートを上げる!!

 

「やめろぉ!!スカートをめくるなぁ!!興奮してしまいます!!うっほ!!」

 

「うわぁ……」

シェリが非常に、非常に嫌な顔をしながら、ペドーのスカートをめくりさらに下着をずらしブツを確認する。

 

「……どうでした?」

美九の言葉に、シェリがコクンと頷く。

その瞬間、美九の顔が一気に血の気が引いていく!!

 

「士織さん!?あなた、おと、男ぉおおおお!?」

そう、美九が気にいていた士織は実際には美九がこの世で最も嫌う生き物の『男』だった!!

それだけではない!!さっき、自分は在ろうことかその男の――

 

「うわぁああああああああ!!」

喉が裂けんばかりの悲鳴!!

そして、美九のファンたちが同時に、ペドー目指し走り出す!!

 

「わ、ワタシを騙したことを後悔させてあげます!!」

その言葉に反応した、ファンの皆は同様に凶暴な光を瞳に宿していた。

多勢に無勢、しかも囲まれているとなってはペドーに出来る事は限られている。

 

「仕方ない――はぁ!!」

ペドーが自身の上着を脱ぐことで、拘束から逃れる!!

ペドーは何時、いかなる時も高速で脱衣する能力を持っているのだ!!

 

シェリに、下着を奪われさらに自ら上着を脱ぎ捨てたネイキッド・ペドーが美九にとびかかる!!

靴と靴下を履いているから全裸ではない!!恥ずかしくないモン!!

 

「いやぁあああああああ!!変態!!変態いいいいいい!!」

 

「変態ではない!!幼女を守る愛の戦士!!ロリコンだ!!」

美九にペドーが近づく瞬間、氷の壁が美九を守った!!

 

「これは――」

 

「お姉様に、手出しはさせません!!」

そこに立っていたのは、四糸乃だった。

何時も優しく、時には困惑しつつペドーの事を踏んでくれたり、頼めば罵倒してくれる四糸乃が明確な敵意を持ってこちらを睨んでいた。

 

「四糸乃……」

 

「ふん、お姉様に手出しはさせんぞ?」

 

「宣言。お姉様を騙した罪は重いです」

ペドーの後ろに、周り込むのはナルシスト精霊2人組。

正直いってこっちはどうでも良い。

良いのだが――

 

「あは、あっはは!なんですか、みんな精霊を連れてきてくれてたんですね。

しかもみんな私の好みの子ばっかり!

……なら、もう士織さんは要らないです――きえてください!!」

冷酷な命令が、ペドーに下された。

 

「なら、仕方ないな」

絶対絶命のペドー。

そんな彼がとった行動は――

 

「よしのんおいでー」

なんのためらいも無く、四糸乃から腕に装着されているよしのんを奪い取った。

 

「ひぐッ――!」

その瞬間、空気が凍った。

半分は比喩表現だが、もう半分は違う。

よしのんを取られた四糸乃は、その青い双眸に涙を溜め――

 

「びえぇええええええええええええええええんんんんん!!!」

大きな鳴き声と共に、会場全体に無数の氷が生まれる!!

その氷は容赦なく、美九のファンも足止めして――

 

『なぁ、琴理――美九って豚以外の愛称で呼ぼうと思うんだけど、良いアイディアない?

候補としては豚子(トンコ)とかなんだけど――』

 

『ふっざけるんじゃないわよ!!良くも()()()に向かってそんな口を――!!』

ペドーは内心、心の中でガッツポーズをした。

琴理は美九を他の洗脳された奴らと同じく『お姉様』と呼んだ。

琴理は安心の無能ぶりで、見事に洗脳されていたのだ。

本来は、ここは回避すべき事態だが今回のみ、今回のみは『これでいい』のだ。

 

『ブスの豚にかまってやれないし、脱出するぞ?』

 

『あっははは!!お姉様を裏切ったあんたを許す訳ないじゃない!!

リアライザ起動!!〈フラクシナス〉主砲――ミストルティン!!うてぇ!!』

数瞬の時間のあと、威力を抑えたであろうビームが放射される!!

それは四糸乃の氷にぶつかり、会場を砕けた氷と光線で蒸発した水蒸気が会場を覆う!!

 

「士織さんは!?」

美九が声を上げるが、すでにそこにペドーの姿はなく――

残ったのは、よしのんを奪われ涙する四糸乃だけだった。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……くっそ……」

路地裏、靴と靴下それ以外は右手に装備したよしのん()()を装備した逮捕されてもおかしくない、ペドーが息を潜める。

なんとか、脱出を起こしたが、足りない物だらけだった。

仲間も、装備もなく、服もない――これは、まぁいいか。

 

『いやぁ、ひどい目にあったねぇ!』

 

「あれ、よしのんって……孤立した存在だっけ?」

急にパクパクしゃべりだした、よしのんに疑問を持つのでさえ億劫だった。

その時、小さな笑みが聞こえた。

 

くすくす……くすくす……

 

「どうやら、お困りの様ですね――ペドーさん?」

ペドーの足元、そこからするりと一人の少女が姿を現す。

赤と黒のゴスロリ風の服に、時計盤の刻まれた左目――

ペドーはその姿に覚えがあった!!

 

「お前は――」

 

「くすくす……」

 

「誰だっけ!!」

 

「覚えてないんですの!?」

 

「いや、ほら、転校してきたやつだろ?

ちっとも学校来ないで……なに?学校行きたくないけど、文化祭は来るの?」

 

「いえ、そうじゃなくて――ああもう!!なんで――」

ペドーの指摘に、彼女は慌てる。

 

「あ!名前思い出してきたぞ!!あの、ほら……く、く、る?」

 

「そう!!くる?」

 

来崎(くるさき) 時子(ときこ)!!」

 

「違いますわ!!時崎!!時崎 狂三ですわ!!」

最悪の精霊、狂三がむなしく突っ込んだ!!




最悪の精霊、来崎 時子再登場!!
絶対絶命のペドーは!?
待て次回!!……なるべく、早く出る様にがんばります……

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