デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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かなり遅れました。
待ってた人達すいませんね。


デートタイム

「ぐす……ヒグッ……」

銃弾飛び交う、教室の中。

士道が紙きれの束を抱えて、静かに涙を流す。

 

「な、なぁ?ペドー、どうしてお前はそんなに泣いてるのだ?たかが本が、一冊ダメに成っただけだろ?」

十香が、士道を見下ろし困惑気味に話す。その様子はどちらが攻略しに来たか分かりはしない。

十香の言葉を聞いた瞬間、士道の表情が険しくなる!!

 

「たかが、なんて言うな!!」

 

「うっ!?」

士道の言葉に、絶対的な力を持つ精霊である十香がひるんだ!!

 

「この本の中には、世界が有った……

幼女の『あへぇ、ひぎぃ、ぼこぉ』の三段活用が有った!!

ムラムラしたロリコンたちの、性欲の矛先を受け止める幼女が有った!!

愛い有る慈しみが有った!!ロリコン同士の友情が有った!!ボテ腹幼女が有った!!

どれも、素晴らしい物ばかりだった……!!

たとえ、2次元の虚構だろうと……

此処には確かにロリコン達の『夢』があったんだ!!」

教室の床に血が出るほど何度も自身の拳を叩きつける士道。

 

その様子は、フラクシナスのミニカメラを搭載した、昆虫型メカによりリアルタイムでメイン画面に表示されていた。

 

「うわぁ……キモイわー……鳥肌やばい……

ねぇ、神無月もそう思うでしょ?」

ピンとキャンアディを立てて、指摘する。

 

「ううっ……なんて、なんて悲しい別れ……なんて、辛い絵なんだ……」

ぐずぐずと涙をながし、ティッシュでそれをぬぐっていく。

 

「え――?」

予想外のリアクションに、琴里が慌て始める。

他のクルーに視線をやるが、皆同じようなリアクションばかりだった。

 

「失ったモノはもう戻らないんだよな……」

 

「あんなに、愛されていたのに……」

 

琴里の中にうすら寒い、感覚が走っていく。

 

「ちょ、タダの――むぐ!」

途中で琴里が言葉を飲み込んだ。

琴里の話す言葉の途中だというのに、クルーの8割近くから殺気のある気配がしたのだ。

 

この変態たちを突くのは危険だ。琴里はそう判断した。

 

 

 

 

 

「な、なぁ?ペドー?悲しいのはわかる、わかるぞ?

ならば、気晴らしに何処かへ行かないか?」

十香が気を利かせて、そんな提案を士道にする。

 

「それって……デートか?」

 

「そ、そうだ!!でぇとだ、でぇと!!明日私とでぇとしよう!!」

聞きなれない単語なのか、『でぇと』と少しズレたイントネーションで十香が話しをあわせた。

 

『やったわ、士道!!精霊とのデーとなんて、一気に進展したじゃない!!』

耳のインカムから、琴里の嬉しそうな声が聞こえてくる。

 

「ところで、ペドー。私から誘っておいて、なんだがでぇととは、なんだ?」

やはり意味が解っていなかった十香が、士道に尋ねて来る。

 

「ああ、デートっていうのは……盛ったオスメス同氏が性欲を高め合ったあと、交尾し合う爛れた儀式だ」

 

パリーン!!

 

十香と士道の話している最中、教室の窓を突き破り折紙が侵入してくる!!

 

「わたしも、士道と、爛れた儀式に参加したい」

鼻血を流し、無駄に高そうなカメラを構えてこちらを荒い息使いで見て来る!!

 

「また――貴様、か!!来い!!鏖殺公(サンダルフォン)!!」

金の玉座が地面から、盛り上がり一本の剣が十香の手に出現する!!

 

「わわわわ!!」

士道が、慌てるが容赦なく十香が鏖殺公(サンダルフォン)をふるう!!

 

『ちぃ!!士道を回収するわ!!』

琴里の声が聞こえた瞬間、士道の体を浮遊感が襲い、一気に景色が変わった。

 

 

 

 

 

「マジか……」

瓦礫の山をみて、士道が思わずつぶやいた。

破壊された校舎、当たり前だがここで授業などできるハズは無かった。

 

『今日は休みだよーん!!間違って来た生徒ザマァ!!by校長』

と書かれた看板が、辛うじて形を残した校門に掛けられている。

 

イラッ――バキ!!

 

看板を叩き割って、士道は試案を始める。

 

(どうすっかなー、公園で幼女を観察してもいいけど。

あー、昨日燃えた、本条先生の本を探しにいっても良いかな?)

 

「おい!!おい、ペドー!!無視をするな!!」

目の前に現れた、十香が不機嫌に話しかけてくる。

 

「え?あ――胸部デブ……」

 

「十香だ!!間違えるな!!」

不愉快そうに、十香が眉をつりあげた。

 

「お前も、間違って学校――って、精霊は学校いかないか」

勝手に理解した、士道がうんうんと一人納得する。

 

「昨日の事だぞ?もう。忘れたのか?

今日はでぇとと約束ではないか」

キリリと眉を引き締め自慢げに十香が霊装を揺らす。

 

「わかった、わかった。

よし、んじゃ、どっか遊びに行くか?」

 

「む?でぇととやらはしないのか?」

手を差し出す、士道の言葉に十香が訝し気に聞いてくる。

 

「男女が、遊びに行くのはデートって言うんだよ」

 

「なるほど……」

士道の言葉に、納得した様に十香が何度も頷いた。

 

 

 

 

 

「よし、まずは着替えだ。正直言ってその恰好はかーなーり、目立つ!!

あと、一緒にいて恥ずかしいし……」

士道が十香の着る、光を纏ったかのようなドレスを指さした。

正直いって、かなりレベルの高いコスプレにしか見えない。

 

「な、我が霊装を馬鹿にするのか!?この服装こそ我が領地――」

 

「AST来るよ?」

 

「ぬ?」

士道の言葉に、十香が止まる。

 

「えー、えす、てぇー?とはなんだ?」

 

「いっつも空飛んでたり、ひゃっはーしてる奴ら入るだろ?あいつ等だよ。

来られると、うっとうしいだろ?」

 

「なるほど、確かにそうだな。私もペドーとのでぇとの邪魔はされたくない。

よし……ならば――」

フッと十香の服が、士道の学校の服に変わる。

少なくとも見た目だけは普通に成った。

 

「服を変えれるのか!?」

 

「ふふん、我が力をもってすればたやすい事だ!」

驚愕に目を見開く、士道に対して十香が自慢げに鼻を鳴らす。

 

すっと、士道が胸の内ポケットに手をのばす。

そこには……

 

(スク水ランドセル……いや、首輪エプロンも……)

士道お気に入りのフェチっぽい恰好をした幼女のイラストが入っている!!

*ロリコン末期の士道君は、定期的に幼女成分を取り込まないと禁断症状に襲われまともな生活ができないため、このようなイラストを所持しています。

 

「いや、そのスタイルでは無理か」

十香の胸部をみて、いずれの恰好も無理と決めつける。

 

「なんの話――うお!?なんだこの数は!?伏兵がこんなに!?」

目の前の、大量の人間達をみて十香が驚きの声を上げる。

空間震が起きている状況では、基本的に地下のシェルターに逃げ込む為、此処まで多くの人間がいるのは珍しいのだろう。

 

「ぺ、ペドー……こ、この数は流石に――」

 

「だいじょうぶだ、こいつ等は別にお前の命なんて狙ってなぞ?

ほら、基本スルーだ」

 

士道の言葉通り、十香の目の前を大体の者はスルーして居く。

中には十香の美貌をみて、思わず足を止めるがそれでも、敵意を向ける者はいなかった。

 

「腹減らないか?なんか食おうぜ?」

士道がそう言って一軒の店を指さした。

 

「あの店は?」

 

「パァン工場・アンペンメン」

 

 

 

 

 

「令音ー、それ一個頂戴?」

 

「雪見だいふくに対して、そのセリフが言えるとは……なかなかだな」

琴里のセリフに対して、令音がため息を付きながら自身の皿に有るアイスを差し出す。

 

「ん、アリガト」

二人がカフェでのんびりとお茶をしている。

今日は学校のハズだったが、昨日の精霊の影響で休校になっていた。

何度も起きている事なので、琴里はもう気にしない。

クラスメイトから「えー?五河さん昨日間違って学校来ちゃったのー?おかしいなー、連絡網回ってなかったのかなー?」

なんて白々しく言われても気にしない!!

 

「ぼっちじゃねーし……」

一人さみしく琴里が口に出す。

 

「さて、そんな事はどうでもいい。

彼について聞かせてくれないか?」

琴里の言葉を無視して、令音が尋ねて来る。

 

「ああ、前言った血がつながってないって奴でしょ?

ずいぶん昔の事よ、両親に捨てられたおにーちゃんが家に来たの、幼い子にとって両親、特に母親は絶対の存在――そんな、相手から捨てられた当時はすごく荒んでたみたい。

良く自殺しなかったな~って自分で言ってた。

人の絶望にそのせいか敏感なんだよ……傷を負った心を探して――近付くの」

 

「ふむ、その彼が今は――」

令音の脳裏に、幼女幼女言って走り回る士道の姿が思い浮かぶ。

 

「何処で間違った?」

 

「いや、それは――ぶぅうぅぅぅぅぅ!!」

琴里が会話の途中で口に含んでいた、紅茶を噴き出した!!

 

「どうしたんだね?」

令音が紅茶まみれになりながら、琴里に話す。

 

「う、うしろ!!おにーちゃんが精霊を連れてデートしてる!!」

 

「ほう、本当だ」

慌てふためく琴里とあくまで落ち着いて令音が反応する。

 

「どうして!?精霊が顕在する反応はなかったのに!!」

 

「そっくりさんの可能性は?」

令音が未だ落ち着きを取り戻さない琴里に尋ねる。

 

「いやいやいや、おにーちゃんの性癖的にありえない!!

大き目のカバンに、幼女をハイエースしていても不思議じゃないし、幼女相手に踏まれて恍惚の表情を上げてても、何とか受け入れれるけど――

巨 乳 は あ り え な い !!」

 

 

 

「な、なぁ……ペドー。

あの、粉はもうないのか!?この店に――あの粉はもうないのか!?」

息を荒くして十香が、士道に詰め寄る。

メニューを見ても無い、無いとばかり言っている。

 

「落ち着け、十香。たまにはそれ以外も食べようぜ?」

 

「だ、だめだ!!あの、常習性!体が、体があの粉を欲しているんだ!!」

 

「仕方ないなー?ほら、お前の欲しがってたヤツだ」

士道が懐から、黄色っぽい粉を取り出すと、ひったくる様にして十香が手に取って口に投げ込んだ!!

 

「うひゃひゃひゃひゃ!!やっぱりこれだ~~~~

あ~、あー……たまらない……うひひいひひひひひひ!!」

粉を摂取しながら十香がケタケタと笑い始める。

*黄な粉です。

 

「なんだ?もう、トリップしちまったのか?まったく、量は考えろよ?」

*黄な粉です。

 

「らってぇ……こにょ、こにゃ……たべりゅと……スッゴイ気持ちぃいぃぃぃ…………」

*何度も言いますが黄な粉です。

 

「しかた無いなぁ……なら、とっておきの最高の粉をご馳走してやるよ」

 

「本当か!?こなぁ……粉もっとほしいぃぃい……もっと、吸引したいぃぃぃぃ……」

*重ね重ね言いますが黄な粉です。

 

「よし、食べたら買いにいくか?」

 

「いくぅ……もっと粉……食べに行くぅ……」

呆然とする令音と琴里の前で二人は店を出て行った。

 

 

 

町を一望できる高台にて――

二人が夕焼けに色付く街並みを見下ろしていた。

 

「どうだ、この町は?みんな敵じゃないだろ?」

 

「ああ、そうだな――――みんな、優しかった。

私は、私はこの町を、壊していたのか……」

悲し気に十香の目が潤む。

 

「この世界は素晴らしい……だから、天才である俺が管理しなくては!!

それをわかっていない馬鹿が多すぎる!!」

 

「どうした士道?何があった?」

困惑気に十香が慌てる。

 

「ん?いや、高い所ってテンション上がんない?

それにさ。悲しそうな顔、消えただろ?」

さっきまで泣きそうだった十香の事を思っての言葉だった。

 

「な!?私を謀った!?」

 

「騙される方が悪いんだよ!!」

二人して笑い合う。

 

「なぁ、十香。この世界に住まないか?空間震さえ起きなきゃ、誰もお前を嫌った理なんかしない」

 

「だ、だが――」

 

「じれったいな!!好きな物が有るなら、大切にしろよ!!やりたいことが有るなら躊躇なんてスンナ!!」

ためらう、十香に対して士道が、手を指し伸ばす。

 

 

 

 

 

少し離れた場所にて――

 

「上の指示は?」

 

「待機だって――未だ会議中なんでしょ?」

折紙とその上司がASTの機械鎧を纏い、対精霊用ライフルを精霊である十香に向けている。

 

「ヒャッハァー!!差し入れだぁ!!」

 

「水に食料まであるぜー!!」

別の隊員たちが、差し入れを持ってきてくれた様だった。

 

「――少し、休もうか」

どうせ、待機だろうと折紙は、持ってきてもらった野菜サンドを口に含む。

 

「あー、精霊が少年と……ねぇ、待機か」

 

「そう、もどかしい」

コーヒー牛乳を飲みながら、折紙が先輩の問いに答える。

 

「ママー、あの人たちなにしてるのー?」

 

「しッ!見るんじゃありません!!」

母親が子供を連れて歩いていく。

こんな、平和な日常を守ろうと、ひそかに折紙が決意しなおす。

 

「ヒャハ!!もう我慢できねぇ!!0だぁ!!」

先輩が、ついにトリガーを引いた!!

 

「あ、やっべ……」

スコープの向こうでは、士道が血まみれで倒れるのが、見えた。




AST装備について。
*独自解釈含みます。

ASTはリアライザと呼ばれる装置によって、魔術に近い能力を発揮できる。
己のテリトリーを一定空間に作り出し、そこで通常では不可能な技を可能にする。
例としては、飛行、武器の生成、モノの解析等。
しかし、誰にでもできる訳ではなく、いかにうまく顕現装置を使うかによる。
上手くとは、筋力が優れている等などではなくいかに『その存在を信じれるか』である。
極端な話、妄想力=強さである。
しかし、頭脳のみでASTは武装は完全に使えない。
武装は補助という意味合いが強い。

より、強そうな物ほど高威力なのではないか?

ASTの女性隊員はレーザーブレード等の最新機器を使用。
対して、男性は鎖や刺バット、バイクなどの世紀末装備を使用している。

性別の違いで、使いやすい武装に違いがある様だ。

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